#044 年賀状と7桁郵便番号

1999/01/06

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 あけましておめでとう。今年もよろしく。おもちを食べ過ぎないでね。

 以上が小学生が用いる賀詞ベスト3だそうだが(嘘)、それはともかく、この季節は郵便局が一年で最も忙しい時期であろう、年賀状の季節である。まあ年が明けたので、忙しさのピークはとうに過ぎたものと思われるが。

 今年官製年賀葉書の発行総数は27億余枚だそうで、数だけ聞くとすごい量だが、国民一人頭で計算すれば一人あたり20枚強である。私自身はその4倍くらいは出しているし、実際には企業の年賀状も相当数占めるであろうから、大した量ではない。

 昨年(1998年)2月1日に、全国の郵便番号が7桁となった。さすがに年賀状が行き交う時期に番号の変更を行わなかったのは携帯電話の場合と違い賢明な措置であったが、7桁化自体はかなり前から決っていたことにもかかわらず、そのための周知や対策はかなり間際になってからなされていたように思う。郵便番号7桁対応の住所録を備えたワープロが出回りだしたのは7桁化施行の半年くらい前からであったし、住所録ソフトで自動的に7桁化を行うものが出回りだしたのも同時期であると記憶している。

 まあ個人の名簿なんてものは多くても数百の単位であるから大した手間ではないが、問題になるのは数千から数万という住所録を持つ企業のデータベースなどである。実際、7桁化の施行後の郵便物については、個人よりもむしろ企業の郵便物の方が7桁郵便番号を記載している割合が低かったと言う。やはり数万というデータベースの書き換えには費用も手間も発生するということなのであろう。中には某市役所のように「郵政省が勝手に決めたことに従う必要はない」などと言ってあえて7桁郵便番号を使わないと言うところもあった。

 だいたいそれまでの郵便番号は3桁または5桁であったから、それがすべて7桁になったということは、ほぼ倍の記述量が必要になったということである。そして郵便番号の種類は当然百倍くらいにはなっている(7桁の郵便番号があれば町名や字名まで特定できる)ので、もはや自分の住所の7桁郵便番号以外のものは憶えていられない。昔はA5サイズの薄い小冊子であった郵便番号簿は、今や電話帳にも引けを取らないA4サイズの堂々とした冊誌になってしまっている。

 由緒ある町名を多く持つ京都市の場合、そのでかい郵便番号簿の実に19ページを割いて郵便番号が記載されている。同一区内で重複する町名については、巻末に地図入りで解説されている。京都市の人達は大変であろうと推察する。私の場合はこんなものをいちいち引いて調べるのは面倒なので、Webで公開されている郵便番号簿をテキストに変換して、検索や一括置換に用いている。

 そして7桁もあると郵便番号の書き間違いの可能性も多々ある。実際、実家の親父は自分の住所の7桁郵便番号を書き間違えて印刷してしまい、結局全部作り直したらしい。

 というわけで私の場合、一昨年までは相手の住所と郵便番号くらいは自分で手書きで書いていたのだが、年末に海外出張が重なって時間がなかった昨年からは、もう面倒になって、相手の住所も住所録からワープロの連続印刷機能で印刷してすませるようになってしまった。普段はパソコン上でCSVファイル(要するにテキストファイル)で管理している住所録を、前に話した実家にある3代目カシオワード用にコンバートし、葉書を入れておもむろに印刷する。手書きでないから郵便番号が7桁だろうが住所表記が長かろうが転記ミスということもないし、最近は毛筆フォントでそれこそ自分が手書きで書くよりよっぽど綺麗に印刷してくれる。

 裏面は、昨年行ったカムチャッカの火山観測の際に撮影した、噴煙を上げている火山をバックにしたポートレート(デジカメの写真)を加工してデザインした。ま、近況報告にもなるし、恩師から同僚から友人まで誰にでも出せるので良かろうと思ってそうした次第である。私はそれを別の紙で印刷して葉書にスプレー糊で貼りつけて作ったのだが、最近では官製年賀葉書もインクジェット紙のものが売っており、実際にパソコンとプリンタで葉書に直接印刷したと思われる年賀状を見ると、かなりクオリティが高くなっている。

 最近ではこうした葉書の年賀状の他に、Web上で年賀状を作って相手に見てもらうと言うタイプのものもあり、今年はその種の物を3通もらった。まあ私は専用線の環境を持っているので見に行くのもそれほど苦にはならないが、電話回線でアクセスしている人の場合、本来差出人が送料を払うべきところを、受取人が課金と電話料金を払ってわざわざ年賀状を見に行くというのもどうも変な気がする。中にはたかがWeb年賀状ごときでJavaScriptを起動するものもあり、非力なマシンでは表示に時間がかかって仕方がない。正直言ってもらってもあんまり嬉しくない

 それにしても、齢三十を目前にすると、年賀状の文面に「結婚はまだですか」「今年あたりそろそろ」という類の文句が目立つようになってきた。結婚しようがしまいが本人の勝手なのだからほおっておいて欲しいものだが、まあ心配してくれるうちが華なのかもしれない。


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