#032 私のバックアップ法

1998/11/11

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 前回の続き、私が実際に行っているパソコン関係のデータのバックアップの実際について述べることにする。もちろんバックアップなどというものは個々の環境に依存するものであるから、以下に述べるのは一つのケースだと思っていただきたい。

 まず私が常用しているノートPC(前にも書いたが、なんと未だにMS-DOSだ!)は、自宅と職場に同等の機種を用意し、ハードディスクの中身をほとんど同じにしている。そしてここが重要なのだが、片方のPCで作業し追加・修正されたファイルは、その日の仕事の差分としてFDに記録され、移動した先で展開されてもう片方のPCに反映される。Windowsで言うところのブリーフケースという機能だが、あれは持ち運ぶデータの選別については自分で管理せねばならないのに対して、私の方式ではアーカイブ属性をうまく利用して、更新されたファイルだけを自動的に選別し収集するようにしている。そういうわけで常に最新の内容が両方のシステムに再現されている。だから、万一どちらかのPC全体がクラッシュしても、作業不能に陥ることはない。

 もちろんこの常用システムは更に安全を見て、月に一度くらい、システム全体をMO(光磁気ディスク)にバックアップしている。さらにこれらのバックアップも、更新履歴として、半年毎に新しいものに交換し、過去のバックアップは永久保存させている。こうしておけば何かの拍子に「今は更新されてしまったが、1年前のこのファイルが急に必要になった」という場合にも対処できる。つまり、バックアップも最新のものだけでなく、それぞれの時間スケールで二重三重に構えておくとより安心ということである。

 更に常用システムに入りきらない各種データやソフトウェアのオリジナルは、昔はせっせとFDに記録していたが、最近ではそれらFDにも磁性体の寿命が来そうなので、そのバックアップFD自体を更にMOにバックアップしている。

 HP200LXのデータなどは簡単に消えてなくなる可能性が高いので、常用システム内のデータと常に共有/バックアップしている。携帯電話内のメモリもパソコンに吸い上げてバックアップするようになった(#014参照)。

 メールについては特に神経質だ。自分の文章なら自分が書いたのだからある程度は復元可能だが、他人の文章や資料は失ったら自分では復元できない。メールスプールのあるシステムが停止してメールが読み出せなくなったり、何かの拍子でスプール内のメールが消えてしまったりという事態はよくある。そのため特に重要なものについては4ヵ所のスプールに分配し、通常読みだし用、臨時読みだし用、外部からの読みだし用、保存用というように使い分けている。受信したメールも、重要なものは差出人毎に分割整理し、先に述べた常用システム内に保存される一方、生のメールログもMOとWS内に保存している。

 以上のデータはほとんどMS-DOSのものである。実際、MS-DOSのシステムは比較的単純で、システムそのものを含めてもデータ量はそれほど多くないので、システムごとバックアップしたりリストアしたりということが簡単に行える。

 それに比べてWindowsなどは、全体のデータ量が無闇に多く、システムまで含めると到底一媒体にバックアップを取ることができない。しかもそもそもどこまでが必要なファイルでどこまでが不要なファイルなのかわからないまま、気がつくとハードディスクの空き容量が減って行くと言う有様である。また自分が作ったデータも使ったソフト毎に勝手なフォルダに保存するので、いざデータを探すとなると文字どおりエクスプローラで探検しなくてはならない。更に私の職場の場合、沢山のWindowsマシンがネットワークにつながっていたりするので、その場の状況で場当たり的に空いたマシンを使って作業をするものだから、最新のデータがどこにあるのかわからなくなってしまう。そしてまたWindowsのシステムは、MS-DOSよりも不安定ときているので、再インストール/ハードディスクフォーマットが日常茶飯事だったりするから、おっかないったらありゃしない。

 以上のことから結局のところ、Windowsのシステムの中には大事なデータを入れておくもんではない、というのが私の方針である。実際、Windowsに入っている自分のデータについては、本当になくなったら困るデータのみバックアップを取り、残りは野放し状態である。従ってますますデータが散逸していくのである。管理が複雑で中途半端にしかできないシステムであるというのも、私がWindowsを嫌う理由の一つである。もっともだからと言ってMS-DOSが優れているなどと言うつもりはないが。


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