△ 不等辺ワークショップ第72回 (2010/01/31)


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写真  進行役を務めた林です。ごめんなさい、これを書いているのは2月16日です。ワークショップからすでに半月以上もたってしまいました。アシスタントの廣瀬さんからはワークショップ当日の夜に原稿が届きました。廣瀬さん、すごい! 仕事が早い! なのに私、遅い! 仕事が遅すぎる。ちょっとばたばたしまして、書く時間がなかったです。あぁ、言い訳だ。私の日々の活動は「不等辺演劇倶楽部のブログ」をご覧ください。おかげさまで楽しく忙しく毎日を過ごしています。さて。1月31日のワークショップです。ざっとかいつまんでご報告します。

写真  ワークショップは午後1時スタートです。それまでの待ち時間に毎回「おもてなしゲーム」をなにか用意しています。今回はゲームというより、フリートーク。前回もそうでしたね。椅子を丸く並べてね。3人ぐらい集まったら、もうトーク。ある程度人数が集まらないとゲームが始められないんですよね。苦肉の策だったんですが、やってみるとゲームよりこっちのほうがいいようにも思います。どうでしょう。一応ゲームもやっていまして、今回は『もじの回転』銀一のルールを導入。「さ」から始まる「長いもの」を時計回りに挙げていきました。「桜並木」はきれいな答えだなぁ。秋田角館の桧木内川を連想します。春が恋しい。私の「埼京線」もけっこう自信のある答え。JR渋谷駅の埼京線ホーム、長すぎてうんざりしませんか。ホームが長いというか、ホームにたどり着くまでが長い。「長いもの」っていうお題はなかなかおもしろいですね。長いのが形だったり距離だったり時間だったりするし。長いことが長所だったり短所だったりするし。長いのが「短所」ってのもアレだなー。

写真 写真  おなじみのテマリ。5人ずつ2チームに分かれて対戦します。「ひしたわし」対「わっつまえ」。この奇妙なチーム名はメンバーの頭文字のアナグラム(並べ替え)です。試合前、まずチーム名を作ってもらいました。これが私テキには今回のヒット。手前味噌ですが、いいルールでした。メンバー全員が自分の頭文字を言って、でもフルネームを明かす必要はなくて、それを誰かが「なにかに書きましょう」ということになって、黒板の前とかに集まって、文字を見ながらみんなでアイデアを出す。目的(チーム名を決めること)があって、メンバー全員が関与して、意見を出し合ってチームとしてのアウトプットを出す。これも立派な集団創作です。有意義なプロセスをしっかりと踏んでいる。じつは高校の授業のときに、生徒たちが勝手にアナグラムでチーム名を決めたことがあったんですよね。そのことを覚えていて、とっさにここでも試したのでした。試合は23対18で「わっつまえ」の勝利。23点とか18点とかすごいハイレベルですね! 授業では3チームでやって6対5対4でした。勝者敗者それぞれのキャプテンにインタビューをして休憩。

写真  今回の私たちのニックネームは「チョコ」「ファイヤー」「スター」「マリンバ」「肉球」「もぐり」「ポジ」「ビーンズ」「さみだらい」「ロケット」「織姫」「病院」です。最後のが私。これは30秒スピーチを基に命名されたものです。今回のスピーチのお題は「一番古い記憶」でした。あー、これメモをとっておけばよかったなぁ。スピーチ内容のひとつひとつを詳しくは思い出せない。全体として、当たり前かもしれないけど、言葉や文字じゃなかったですよね。ばっと目の前におっぱいがあったり、布団のなかにもぐりこんだり、焼けた建物を目の当たりにしたり、目だったり耳だったり鼻だったり体だったり、とっても感覚的なものでしたよね。私の一番古い記憶は2歳のときのものです。たぶん夜。2歳の私は父とふたりでタクシーに乗っています。向かう先は病院です。あれは妹が生まれる日かその前日のことのはず。だから日付もわかります。妹が生まれる前の、私の唯一の記憶がそれだ。タクシーの中でなにか感じるものがあったんでしょうね。景色とかじゃなくて、たぶん父からね。

写真 写真  イス取りゲームから世間話フルーツバスケットに進みます。今回は場所を都内に限定して挙げてもらいました。「世間話フルーツバスケットIN東京」です。挙がったのは「ウォーターフロントのベンチ」「都庁の屋上」「祖師ヶ谷大蔵のマクドナルド」「祖師ヶ谷大蔵駅の駅前広場」「四季自由劇場の客席」の5ヶ所だったかな。場所によって、そして誰といるかによって、それぞれちょっとずつ違う自分が立ち現れます。それを味わうゲームです。場所を東京都内に限定するというアイデアは、12月に青森で渡辺源四郎商店の「みなぎる血潮はらっせらー」を観ていて思いつきました。というかアイデアを拝借しました。やっぱり地域限定したほうがおもしろいなぁ。やりながら東京に対する愛が湧くというか、東京に暮らす自分たちを実感できるのじゃないかしら。これ、もっと狭いエリアに限定してもいいですね。「IN世田谷区」とか。「IN下北沢」とか。今回もマックと駅前広場とが結びついて、ちょっとした「祖師ヶ谷大蔵物語」が生まれました。地方に出張してワークショップをやるときは、もちろんその県なり市なりに場所を限定してやってみます。名古屋とかでやりたいなぁ。学校とか会社でもできそうですね。

写真 写真  今回のメインは会話のスケッチです。これは高校の授業でやったそのままの内容です。実際に日常で交わされている会話をスケッチしてくるのが最初の作業。場所はどこでもいいし、誰の会話でも構いません。ただし自分はその会話に参加していません。自分の周りで耳にした会話を書き留める。これを冬休みの宿題にしていました。今年はおもしろいスケッチがいっぱい集まったので、これを使った授業もおもしろかった。スケッチを使った遊び方はいろいろあります。今回は3チームに分かれ、チームごとにスケッチをひとつ選んで上演してみる。発表会をした後、ブラッシュアップのために課題をふたつ用意しました。【課題1】登場人物をひとり増やしてください。しかしセリフは増やしません。喋らないけどずっといるという人物を入れる。喋らないけど、でも他の人物とコミュニケーションはとっている。「人物」なので猫とかはナシね。【課題2】場所をそれぞれ秋田県、兵庫県、鹿児島県にしてください。これは難しいですね。ウソっこの方言を話すことよりも、むしろ体の使い方や空間の使い方に変化が現れることを私としては期待しています。いやー、明らかにブラッシュアップ後の作品のほうが見応えがある。すばらしかったな。帰り道に雨が降っていたりとかね。そういう体の工夫が素敵ですねー。

写真 写真  そうかぁ、いま考えつきました。【課題2】は空間(場所)をアレンジするよりも、時間をアレンジするほうがよかったかもなぁ。『世間話フルーツバスケット』では場所に限定をかけましたが、この『会話のスケッチ』は時間ですね。まず時刻。その会話がなされるのが1日のうちの何時何分なのかを決める。次に日付。その会話が「2009年12月31日」になされたものだということにする。そして時刻順に上演する。大みそかに、マチのあちこちで市井の人物たちがそれぞれの会話をして、そうして2009年は暮れていく。あぁ、上演としてはそっちのほうが素敵だなぁ。大みそかの夜10時の蕎麦屋の、あのスケッチが魅力的すぎるんですよねー。このルール、いつかやってみよう。

写真  ご参加くださったみなさん、お疲れさまでした。アシスタントは廣瀬礼子さんです。廣瀬さん、一日お付き合いくださってありがとうございました。またぜひ! 次回は3月6日(土曜)です。通算で70回を超えた「俳優を目指さない演劇ワークショップ」です。ますますパワーアップし、かと言って肩に力が入ることなく、楽しく演劇で遊びたいと思います。多くの方とお会いできますように。参加のお申込みをお待ちしています。そうそう、今回からデジカメを新しいものに変えています。きれいな写真、次回もたくさん撮りますよ。参加者のみなさんは写真もどうぞ楽しみになさってくださいね。

 不等辺△劇団WS管理部 林成彦(はやしなるひこ)


写真 お天気に恵まれた日曜日のひるさがり。
公民館にあつまる20歳代〜妙齢の、初対面の男女12名。
さぁ〜て、なにがはじまる?

「”ま”で始まる長いものを挙げてください。形容詞なんかを使ってもいいですよ。」
言語ゲームでウエルカム。
瞳をみつめて「好きです!」大声で告ったり(手あたりしだいってどういうことぉ?)、同窓会のためウルトラマン像の前で待ちあわせたり(あれ?同じ高校だったっけ?)、秋田県の女子高生になりきって、さがってくる靴下のわずらわしさを嘆いたり(あの〜…男性、ですよね?)、あんまり日常的でない言葉や状況に、真剣に悩み、語り、全身で遊びました♪

今度はアナタの笑顔を追いかけたい(*^^*)

「織姫」(素敵な呼び名をありがとうミ☆)こと、廣瀬礼子


★アンケートより

写真 ○世間話フルーツバスケット、楽しかった。
○フルーツバスケット、すごくおもしろかったです。ロマンを感じました。
○世間話フルーツバスケットが発見が沢山あって面白かったです。
○やっぱりフルーツバスケットはおもしろい。それを楽しみにしてきたので期待通り楽しませてもらいました。
○台本をふくらませて芝居をつくるワークがおもしろかったです。
○もっと時間があったら、最後のお芝居に台詞を自由に加えてOKというのもやってみたかったかな?
○演劇寄りなの(頭を使う)と、体を使うの(テマリなど)と、メリハリがきいていてよかった。
写真 ○演劇の創作のおもしろさが改めて感じられた。
○(参加費が)1000円で得しました。ありがとです。(この金額で活動を続けていけるのか)心配です。
○初めてその場に居合わせた人たちがたった4時間で作り上げる空間を体験できてよかったと思う。
○やはり一期一会、その場でしか気づけないことを経験する瞬間があることが良いですね。
○at homeの中にもvisionがほの見えてすばらしいですね。
○PDCAがしっかり回っていますね。特に難しいAの部分がフォーカスされています。
○手まりゲームの時に“ドンマイ”“ナイスプレー”“ナイスフォロー”というバレー部の声かけを取り入れてほしいです。
○あんまり進行の不都合とか感じなかったのは、やっぱり見えないところで段取りが考えられてるんだろうなぁと思いました。

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