△ 不等辺ワークショップ第39回 (2006/05/27)


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写真  やー。雨ですねー。朝からずっと雨。ワークショップの日に雨が降るのはめずらしいです。この足元の悪いなか、八幡山までおいでくださってありがとうございました。受付でお迎えしつつ、私は感謝の気持ち満々です。満身感謝(?)。お天気の悪い日は、おもてなしの気持ちがいつもの2倍です(当社比ってやつですね)。また私がうれしいのはアシスタントの近藤くんです。あとで聞いたのですが、「笑顔で受付をする」というのが自分のテーマだったそうです! もうね、ご参加ご協力くださったすべてのみなさんに「謝謝!」です。
写真  いつもの通り、午後1時きっかりにスタートです。まずは『ウォーキング』。きょろきょろと会場を観察することからはじめましょう。ここで「探しもの」の課題を出してみました。「まるいもの」。「紙でできているもの」。「やわらかいもの」。会場のなかでいくつ見つかるかしら。そうそう、「とっても汚い消しゴム」を見つけた方がいましたね。ナイス観察。ナイス発見。ナイス接触でした。触りたくないものにあえて触る必要はなかったですけども…。いつもだったらこの次はアイコンタクトですね。今回は「相手の目」よりも先に「相手の名札」に注目です。歩き回りながら他の人たちの名前を声に出してみる。そのほうがソフトだし、スムーズじゃないかな。どうかしら。

写真  この『ウォーキング』にはいろんなゲームが詰まっています。ゲームの詰め合わせ。これは私からみなさんへの贈り物、…かな? 序盤のギフト。毎回少しずつ中身も変えています。心のカメラ、覚えています? パシャッと写真を撮りましたね。心のなかでこっそりシャッターを切る。ふたりのモデルと自分とで「二等辺三角形」を作りました。ちなみに劇団の名前は「不等辺さんかく劇団」です。いっつも「二等辺」と呼ばれます。これねー。じつはねー。「不等辺△」の名前には深ーい深ーい意味があるのですよ。いつかたっぷりお話しますね。きっとブログでね。お、話がずれました。背中合わせで歩き回ったときにも、この心のカメラが活きてきました。背中での会話が、あるていど目的をもったものに変わりましたもんね。

写真  今回のワークショップには、めずらしくテーマがありました。それを私、「板書」したんですよねー。黒板にキーワードをさらさらっと書く。なんだか学校の先生みたいだ。いやね。じつはね。私は先日、とある都立高校に授業をしに行ったのです。もちろん「演劇」の授業です。いまの高校って演劇の授業があるんですねー。新鮮だ。私が高校生だったころはそんなのなかったです。あったとしても、当時の私が「演劇」を選択したかどうかは疑問ですけどね。いまも多くの高校生男子にとってはそうかもしれない。少しずつではあっても、でも時代は変わったし私も変わりました。演劇の授業があって、私が先生だとは。そして今後も少しずつ変わっていくのでしょう。時代も私も。

写真  もちろんこのワークショップは授業じゃないです。私もここでは先生じゃありません。ここは遊びの場です。演劇で遊ぶために集まった私たちだ。ただ遊ぶにもコツのようなものはあります。うまく遊ぶには、それなりの秘訣があるのです。それを黒板にさらっと書いてみた。

 ひとつは「働きかけ」でした。英語だとオファーですか? 目で顔で声でことばで身振り手振りで、つまりは自分のカラダのすべてを使って、働きかけること。それを忘れない。ふたつめは「積極性」です。ポジティブであることとアクティブであること。相手からの働きかけをポジティブに受け止めて、相手にアクティブに働きかけましょう。どんどん動いて、場を動かしていく。で。ごめんなさい。みっつめもあったんです。説明するのをうっかり忘れました。「働きかけ」「積極性」ともうひとつ。さてなんでしょうか。簡単なことです。答えはのちほど。このレポートの下のほうで書くと思います。

写真  おなじみの『ジャグリング』。自分を語るキーワード。自己紹介のためのヒント。それをひとつずつ挙げてもらいます。今回は「豆乳」、「MI6(エムアイシックス)」、「環境」、「うさぎ」、「梅酒」、「ペルー」、「ひょうたん」、「ミュージカル」、「動物」、「マウンテン」、「腎臓」でした。このバラバラ感がステキです! ちなみに「腎臓」は私です。由来は申しますまい。「MI6」ってなんなのか。休憩のとき本人に詳しく聞きました。アンケートで、それぞれの由来を知りたかったという回答がありました。確かに! 私も気になります。でもあえて自己紹介の時間を設けないのが私のワークショップの特徴です。気になった名前は、ぜひ個人的にアタックを!

 『テマリ』は働きかけのゲームです。打つなら打つ。打たないなら打たない。それをきちんとオファーできるかどうか。じつは今回、試してみたかったことがありました。1回ずつ、かならず男女が交互になるように打つこと。男女の人数がもうちょっとバランスがとれていたらなぁ…。試せずに残念です。これを踏まえて、あとの『ペンキ屋』でもおなじルールを導入したかったのです。かならず男女が交互にセリフを言うこと。こんど試してみましょうね。ボールとセリフのちがいはあっても、『テマリ』『ペンキ屋』とはやってることはおなじなんだよ。オファー合戦なんだよ。みたいな説明を反省会のときにしたら、近藤くんが感心したような目で私を見ました。うれしかったです。

写真  『ウォーキング』ともうひとつ、この『イスとり系』もいくつものゲームの詰め合わせ。中盤のギフトです。アイコンタクトを交わしてイスをチェンジしたり、フルーツバスケット的なゲーム(これは言葉のオファーですね)をしたり。穏やかなゲームのあと、「芸能プロダクション」のゲームを試しました。これは激しい。ライバル同士ふたつのプロダクションがお互いの所属タレントを引き抜きあう、スカウト合戦ですね。生き馬の目を抜く芸能界。ライバル社長からウィンクをされたらそれが文字通りのオファー。素早く移籍しちゃいます。社長は相手プロのタレントに目配せしつつ、引き抜かれないように自社タレントを守る。すごいゲームだ。凄腕の社長というのがいるもので、聞いたら相手社長の目の動きを見ていたんだそうです。なるほど。それはビジネスの感覚としても正しいね。ちなみにこのゲーム。先日の高校の授業でおそわりました。私にとって得るもの大な授業であった。

写真  『天使のウィンク』。これは以前『カンペ』と呼んでいたゲームの増補改訂版です。カードの枚数と中身をバージョンアップ。ルールもひとひねり。ひさしぶりに当時のレポートを読んでみました。私の髪型がいまとまったくちがう…。『神様』『ペンキ屋』も当時から脈々とつづいているのに、このゲームは長いブランクがあった。その理由は簡単です。人数が多いとうまく回せないんですよね。全員に順番が回るようにすると時間がかかってしまう。それを今回はすっきりと解決。4セットしかやらないと決めて、やりたい人に手を挙げてもらいました。早い者勝ち。積極的にどんどん手が挙がって、ひじょうによかったです。やれなかった方は、ぜひまたの機会に。

写真  以前はお見合いという設定でしたが、それはやめる。テーマは「誕生日」です。どちらかの人が今日は誕生日なんだという設定で会話を進めること。仮にいきなり「誕生日おめでとう!」と言われてしまったら、そのオファーを受け入れる。「ありがとう」と、ポジティブにね。この部分、今回はやっていませんが『バースデイ』とおなじですね。あれは、オファーとポジティブを体験する、とっても基本的なゲームなわけですね。じつは『イスとり系』のなかで試して、これの布石とするつもりでした。

写真  そうなんですよ。今回はやるつもりでいて実施できなかったことがいくつもありました。『宝箱』というゲームもそう。やれずに残念です。これは見えない大きな宝箱からひとりひとりなにか宝物を取り出すというゲーム。カラダを使ったオファー。みんなが見ている前にひとりで出て行く積極性。そして見えない宝物を見ようとする想像力。そう、みっつめの秘訣は「想像力」だったのです。

写真  「働きかけ」と「積極性」と「想像力」。これが演劇で遊ぶための3つのアイテム。心強い味方です。桃太郎にとっての犬と猿と雉。三蔵法師にとっての孫悟空と猪八戒と沙悟浄です。ヘンなたとえだな。みなさん3つとも、ここまでで用意できましたよね。じゃあ『ペンキ屋』です。『ペンキ屋』はいってみりゃ総合問題。3つを駆使して、全員でひとつの世界ひとつの物語を共有しましょうね。

 ひとつめの部屋はオリビア・ニュートン・ジョンの「カントリー・ロード」。ふたつめの部屋は映画「サイダー・ハウス・ルール」のメインテーマ。これは私からのオファーです。受け止めてくださってありがとうございます。もちろん私の思惑を超えて、自由にイメージをふくらませていただいてかまいません。それをみんなで共有できることが大切です。いかがでしたか?

写真  ご参加くださったみなさん。ありがとうございました。お疲れさまでした。ぜひまた遊びにいらしてくださいね。あとで知りましたが、今回は演劇や表現活動に関わっていらっしゃる方のご参加が多かったようです。いや、私のごときがあたかも先生であるかのごときで、なんだか恐縮です。アシスタントは近藤樹里子さんでした。近藤さんは舞台芸術学院で演劇を学んでいる方です。とってもお忙しいところ、1日お時間を作ってくださってありがとうございました。8月の10日から13日まで近藤さんの学校の公演があるそうです。詳細はおって「不等辺演劇倶楽部」のブログなどでお知らせします。どうぞ足のお運びを。近藤さん、がんばってね!

 不等辺△劇団WS管理部 林成彦(はやしなるひこ)


写真  私は実はこのワークショップが大好きなので、今回アシスタントとして参加することができてとても嬉しかったです。(とはいっても、ほとんどお仕事よりゲームに夢中でしたが)。個人的には「天使のウィンク」がとても気にいってしまいました(笑)。

 普通に参加するのとはまた一味も二味も違い、普段できない体験をさせていただいたと思います。他の参加者の方々からもたくさん良い刺激を受け、私自身の勉強にもなりました。また機会がありましたら、ぜひぜひよろしくお願いします☆

 林さん、皆さん、楽しい一日をありがとうございました! 近藤樹里子


★アンケートより

写真 ○雰囲気がとてもよかったです。年齢もいろいろだけどあまり年の差を感じませんでした。
○最初に自己紹介とかするのかなと思っていたんですが、逆になかったことで先入観なしに接することができてよかったです。
○ただやってみるというだけではなくて「どのように進めるのが理想なのか」を教えていただけたので、(全くの放任より)ゲームの意図とかを自分なりに考えることができました。
○「ジャグリング」は名前をおぼえるのにいいですね。
○「天使のウィンク」、天使のタイミングが絶妙でおもしろかったです。
○「天使のウィンク」は演者、天使ともタイミングとアイコンタクトが必要なゲームだなと。
○「天使のウィンク」、即興で話を作るのはとてもむずかしい。話を出すのも出させるのもテクニックがいりますね。日常生活にも役に立ちます。またやりたいです。
○「天使のウィンク」「ペンキぬり」、おもしろかった。
写真 ○私は「ふたつのプロダクションのウィンク合戦」と「天使のウィンク」「ペンキ屋」がお気に入りです。最後の感想でも申し上げましたが、自分の会話のクセがなんとなくわかった気がします。
○自分たちでつくっていくゲームの部分、「天使のウィンク」「ペンキ屋」などエネルギーと集中度を使いますが、もう少し長い時間を使ってもよかったかな…。もう少し味わいたかったです。
○演劇というツールを使って、はじめて顔を合わせた人たちがゲーム形式を楽しみながらつながっていく、ポジティブな気持ちになれるのがいいですね。
○お芝居の稽古がなかなか好きになれずストレスになってまして。。。今日参加したことで前向きにいこうと思いました。ありがとうございました!!
○はじめて他劇団のワークショップに参加しました。やっぱりゲーム感覚、いいですね。
○投げる受ける、芝居ってそーだよなーと改めて思いました。アリガトウございます。
○ワークショップについての案内のチラシが丁寧であたたかい。
○お茶とチョコがうれしかった。疲れが半減。
○来ている方のニックネームの由来を聞きたかったです。
○自分のワークショップ(2時間ぐらいの、リズムをテーマにしたワークショップです)と、めざすところが重なるところがいくつも感じられました。
○「ウォーキング」のときのアイコンタクトで、必ず口の開いている林さんを発見!

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