△ 不等辺ワークショップ第38回 (2006/04/22)


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写真  アシスタントの近藤くんとのんびり会場を設営。しながら衣装のお話などを。つい最近、近藤くんが出演した公演で、とってもすてきなイデタチの登場人物がいたのでした。賊を退治する人なのですけど、あの衣装よかったなぁ。ああいう恰好してみたいなぁ。私はたまに、非現実的な恰好をして人前に出たくなるときがあるんですよ。ちなみに近藤くんの役名は「舞舞」でした。マイマイと読む。いい名前だよなぁ。そんな話をしているうちに、早め早めに今日は参加者が来てくださいます。私たちは緊張する間もなく、なんだか普通に午後1時。

写真  さて38回目のワークショップ。前回のレポートで予告したとおり。今回から定時きっかりにスタートします。まるで「新幹線のように」です。しかも今回は6時間のロング・ワークショップを予定。新幹線に6時間も乗ったら博多まで行っちゃいますよね。そんな長い時間を、演劇でただただ遊ぶって、すばらしいことだ。アタマと身体を両方とも使って、イマジネーションの世界で遊びましょう。気づいたら「博多よりもっと遠いところ」まで。なんだか夢のような世界まで、みなさんをお連れできれば幸いです(博多もいいところですけどね)。1ヶ月にいちど発車する、夢の新幹線「のぞみ38号」です。さてさてどこまで行けたやら。

 参加者が19名というのはいままででいちばん多いんじゃないかな。『ウォーキング』で会場内をくまなく歩き回ります。なんだか「雑踏」のような雰囲気。まるで朝のJR東京駅のようでした(もう新幹線をひっぱるつもりはないですが)。ばらけて動き回ると、その人数に圧倒されます。たぶん私はいつもより2割ぐらい大きな声を出している。この「雑踏」に、動きや遊びのルールが加わると、ある種の「舞踏」になります。私たちは舞うわけだ。舞舞。『ウォーキング』って、やっている私たちが楽しいのはもちろん、それを周りで眺めているのもおもしろいんじゃないかしら。楽しそうであるうえに、きれいで。

写真  『全員集合』もそれとおなじノリ。雑踏の状態でスタートして、10カウント以内に全員集合します。私が指示した人を探して、その人のところに集まる。試したのは「お酒が強そうな人!」。「コンピュータが得意そうな人!」。「子どもに人気がありそうな人!」。「足が速そうな人!」。まぁ、人は見かけによらぬものですよ。私の指示は「色メガネ」ですよね。色メガネをかけて、周囲の人たちを観察しちゃうゲームです。いちばん最後が「空を飛べそうな人!」。用意した曲はスピッツの「空も飛べるはず」。用意したというか、私が自分で歌っただけだけど。サビを。

写真  前回初登場の『エイジ』。全員でおなじ年齢になって、全員でいっしょに年齢を重ねていくゲームです。これは明るく悲しく楽しいゲームだ。こういう強固な設定のなかだからこそ、思わぬ相手とのびのびと話せた、という方もいるでしょう。見ていて「おおお」と思ったのは、66歳のときだったかな。81歳のときだったかな。男性と女性と、ふたつのカタマリにきれいに分かれた時間帯(世代)があったんですね。たまたまのことかな。でもそれは年配の方々の様子として、リアルな気がしました。そのリアルさが悲しい。その年配の方たちって、特に男性が固いんですよね。重い肩こりのように凝り固まっている感がある。ほぐせないかしら。私になにかできることはないかしら。きっとあるはず。きっと空も飛べるはずだ。

写真  『ジャグリング』では、例によってニックネームを決定。今回も「自分を語るキーワード」をひとことずつ挙げてもらいます。趣味でも、出身地でも、好きな食べものでも、生活信条でも、なんでもよし。挙がったのは「牛乳」。「赤」。「ゾウガメ」。「狼」。「紅茶」。「三鷹」。「イワトビペンギン」。「ドラゴンボール」。「パタリロ」。「我田引水」。「大阪」。「ハリネズミ」。「ケーナ」。「いぶし銀」。「カトゥーン」。「ケンダマ」。「お菓子」。「アスレチック」。「新之助」。これを覚えるわけだ。たいへんだよなぁ。でも覚えないと『ネーム・バレー』で相手チームから標的にされてしまうもの。ちなみに「新之助」は私です。漢字で書くと一目瞭然ですよね。いまの海老蔵だ。私はけっしてクレヨンではないし、読売のキャッチャーでもないのです。坊主頭にしていたころは「武蔵(むさし)」とあだ名されてさえいた私だのに。似ていたのは髪形だけだったのね…。

写真  『ジャグリング』でもそうでしたが、『イスとり系』でもアイ・コンタクトを強調します。その後、音楽が停まったのを合図にイスをとる、普通のイスとりゲームを経て、新ルールを試す。イスのほか、座っている人のヒザにも座っていいことにしました。なんだかすごいことになっている。かつてこれほど「イスの存在感」が希薄なイスとりゲームがあったでしょうか。そういう意味でイスがかわいそう。ごめんね。イス。

 『ペンキ屋』では今回もBGMを用意。さらに「エイジ」の設定も加味します。しばりがキツくなればなるほど、かえって自由に遊べるもの。なのではないかな。用意した曲は「OH,プリティ・ウーマン」。ミュージカル「シカゴ」のサントラから「OVERTURE/AND ALL THAT JAZZ」。フィンガー5の「学園天国」。エディット・ピアフの「バラ色の人生」でした。

写真  「シカゴ」のサントラをBGMとして使った部屋では、年齢設定を「70歳以上で」とお願いしました。「どうしてその年齢なの?」と思った方もいるでしょうね。ヘンな取り合わせだもの。あれ、私の趣味です。私は高校演劇が好きで、じつは去年、全国大会に進んだ作品にそういうのがあったんですね。都立江北高校演劇部。タイトルが「老人ホームひまわり園」。ホームのお楽しみ会で、おばあちゃんたちがあの曲で踊るシーンがありました。名シーンでした。ああいうのを見ると、トシをとるということに対して、すこしだけポジティブな気持ちになります。「ペンキ屋」の70歳以上バージョンも、やりながらちょっと明るい気持ちになったんじゃないかな? 「老人ホームひまわり園」については、ブログに記事を数本、書いています。去年の7月あたり。よければご覧ください。

 いつものワークショップだったら、だいたいこの辺りで終了です。だけど今回はロング。そろそろ疲れてきましたよね。お腹もすくし。外は暗くなってきているし。あと1時間半ほどです。最後ですし、遊び尽くしましょう。『シェイプ・アップ』をいろいろと試し、階段をだんだんのぼるようにして『演劇学園』にたどりつきます。今日の最終ステージがこれ。「演劇学園」は今回の目玉です。はじめて開講。というか本日開校。「演劇学園」の理念(?)はこんなです。

写真  ひとつ。毎日が学園祭である。
 ひとつ。なんでも演劇でやる。

 今回のテーマは「理科」です。3チームに分かれて学園祭の準備。4年生チーム。5年生チーム。6年生チーム。各チームに配ったのは教科書のコピーです。いまの小学校の教科書って、なんだかグラビア雑誌みたいなんですね。びっくりしました。隔世の感があるなぁ。配ったコピーに書かれてあることを題材として、1分間ほどの演劇作品を作ります。学園祭で発表ね。隠れテーマとして、なんらかの形で「出会いと別れ」を感じさせてくださいませ。

写真  準備はたいへんだったろうと思います。グループワークって簡単じゃないですから。しかし発表された作品はどれもとってもおもしろかったです。4年生は「固体と液体と気体」。5年生は「てこの原理」。6年生は「食べものの消化と吸収」。テーマもそれぞれなら、作風もそれぞれ。上演すること自体もさることながら、他学年の作品を見るのもおもしろいことですよね。「演劇学園」にはもっと時間をかけてもよかったな。これからも楽しみです。「学園」とは言いながら、勉強科目にかぎらずね。国語・算数・理科・社会はもとより、今後はもっと広範なテーマを取り上げたいものです。「演劇学園」はまだはじまったばかりです。どうぞご期待ください。

 ご参加くださったみなさん。お疲れさまでした。ありがとうございました。次回のワークショップは5月27日(土曜日)。午後1時きっかりから午後5時ごろまで。「俳優を目指さない演劇ワークショップ」です。興味をお感じの方は、どなたもどうぞ遠慮なさらず。お申し込みをお待ちしています。

写真  最後に「今月の一行詩!」。これは余興です。谷川俊太郎が小学校でやっている、あれですね。参加者のみなさんに、アンケートで一行ずつ書いていただいて、それを適当に並べてみました。できあがった詩は、このレポートのいちばん下にあります。今月のタイトルは、僭越ながら「林成彦」。文末を「!」でそろえた以外は、みなさんが書いてくださったまんまです。いやぁ、みなさん詩のご参加ありがとうございました。一行も内容が重複していなくて、すごい。おもはゆい。

 今回の『演劇学園』は私にとって、ひじょうに意味のあるものでした。「なんでも演劇でやる」というのが、いい。演劇に関わっている者の多くは、それは私も含めてですが、演劇をすること自体が目的になっている嫌いがあります。でも演劇って、きっと本来は「手段」ですよね。あるいは「道具」。コンピュータやインターネットとおなじです。それを巧みに使いこなせること以上に、それを使ってなにをするかが重要なんだろうと思います。「演劇を」やるのではなく「演劇で」やる。私は演劇が、まぁある程度は得意なので、それを使ってなにをやるか。私はこれを広く広く考えてやろうと思います。

 私の夢をひとつ語りましょう。それは学校をはじめることです。「演劇学園」を本格化した、新しい演劇学校です。もちろん演劇を学ぶのではなく、演劇で学ぶのだ。やって楽しく見て楽しい「俳優を目指さない演劇学校」だ。ステキだなぁ。私ひとりの自己実現なんぞ、目的としてはちっぽけなものです。もっと大きな目的をもって、多くの人、広い社会に役立てるように。いまはコツコツと演劇リテラシー(?)をみがいて、時機を待ちたいです。跳躍。飛翔。私もきっと空を飛べるはずですから。

 不等辺△劇団WS管理部 林成彦(はやしなるひこ)


 今回アシスタントをさせていただいた近藤です。

写真  林さんのワークショップに参加させていただいたのは、去年の5月と12月で今回は3回目となります。「アシスタントで…」と林さんから声をかけていただいた時には、とても嬉しかった反面「わたしにできるだろうか?!」と不安いっぱいでした。当日受付に来られた方々も、初参加の方が多いということで緊張した表情の方が多かったように思います。

 でも、実際にワークショップが始まる前に林さんの声がけで車座になって座ってもらい、一人一人に声がけをしながらチョコレートを配って、説明をして…そこで一気に柔らかい空気になりました。

写真  さすが林さんです!!

 林さんの柔らかい雰囲気は周りも一緒に柔らかくしますよね。初めて会う人ばかりなのに、年齢も性別も関係なく、気が付いたらみんな前からの友達かのように遊んでいました。大の大人がみんなで大声出して笑って、喜んで、思いっきり楽しんで…ステキなことだと思います。私もアシスタントという立場を半分忘れて(半分じゃすんでないかも?!)思いきり楽しませてもらいました(^0^)

 林さんのワークショップは、常に前向きでとても元気になれます。参加されるみなさんもまた面白い方ばかりで…日頃のストレスなんて一気に忘れちゃいます。毎月定期的にやっているので、ちょっとでも興味を持った方は、サラリーマンでも、主婦でも、引きこもりでも、一度参加してみるといいと思います☆

 近藤直子


★アンケートより

写真 ○大人数でしたが、各々ケガもなく楽しくできました。
○みんな良い人たちでよかったです!
○男女比も偏っておらず、参加者も明るい方々でよかったです。
○とても楽しくてよかったです。かたっくるしくなくて参加しやすい。
○いろんな年齢の人がいて、初めはみんな緊張していたけど、ゲームをするうちにひとつになれる瞬間というのはとてもいいなぁと思いました。
○初対面の人ばかりで初めは緊張したけど最後には初対面という感じがあまりしなくなった。
○場の作り方がすごいというか、気をゆるめることができた。
○「全員集合」とか「ウォーキング」はまだ全然知らない人とでも気負いせずできて良いと思います。
○「ネームバレー」が盛り上がった!
○雰囲気がとてもよかったです。最初に自己紹介などをしないことが良い方向に運ぶのだと思うので、逆にゲームの中で様々な人がいるのだとわかった「イスとり系」がおもしろかったです。
○フルーツバスケット(「イスとり系」)が楽しかったです。
○すべてが新鮮でした。特に「ペンキ屋」は人とのやりとりが楽しかった。
○「ペンキ屋」がおもしろいけどムズかしかったです。
○「ペンキ屋」の、あいうえお順にセリフをつなげることで会話が成立することにはおどろいた。
○「演劇学園」が他の参加者との一体感があって楽しかったです。
写真 ○「演劇学園」、すごかった〜。人って、生まれながら芝居の才能もってるのかも!と思いました。
○「演劇学園」、初めてだったのですが、こういう物語を作るゲームって結構大変だなぁと思っていたのが、意外に楽しくできてよかったです。
○先日、他団体のインプロワークショップに行きました。そこへ行って思ったのですが、林さんはとても優しい雰囲気で、説明が上手なんだなぁと思いました。今日も楽しかったです。
○市民コーラスやスポーツクラブのようには一般の人が演劇を楽しめる受け皿が本当にないので、こういうワークショップはすごく貴重です。私は会社勤めを辞めることはできませんが、自分も身体を動かしたり声を出したりしたいと思うことは多々あるのです。


★今月の「一行詩!」

☆タイトル&テーマ『林成彦』

写真 先生みたいな雰囲気!
しっかりしてる!
信頼できるニュウトラル!
リーダーなのに腰低い!
美声のMC!
濃い顔が目に焼きつく!
大きな瞳と長いまつげが魅力的!
背中の8番が目立つ!
青いシャツお似合いでした 林さん!
林さんの「OKです」の仕草と表情が夢に出てくる!
ダメ出しはいつも腕でバッテンをつくります!
普段は何してるんだろ? 気になるなぁ!
どうしていつもルス電なのかしら??
名古屋の赤みそはうまい!

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