トップページ > ページシアター > 背中のイジン > シーン24|初演版 【公演データ】
明転すると下手灯り。瀬名診療所の病室。周人はベッドで眠っている。満から話を聞き
道子、典子、森島、おじい、花音が沈んでいる。
森島 「なんだよそれ…」
花音 「…ホントにどっちも助けるって道はないの?」
満 「その武者の話では…」
典子 「そいつがウソをついてるって事は?」
満、首を横に振る。
おじい 「別の人間が身代わりになる事はできんのか?私の命ならいつでもくれてやる!」
満 「問題は彼らが『守護霊』と『それを宿す人間』だという事なんです。」
花音 「他の人間の命じゃ、何の代わりにもならない…」
道子 「私は信じない。」
典子 「母さん…」
道子 「私は医者よ。このまま黙ってどちらかの死を選ぶなんて、そんな事認められる訳ないじゃない。」
周人 「そうか…俺、死ぬのか…」
道子 「周人。」
周人 「周作さんは?」
満 「僕の家だ。さっき妹が戻って来てな。彼をみてくれている。」
周人 「そうか…。花音?」
花音 「なに?」
周人 「周作さんの所に行ってやってくれないか?あいつきっと、落ち込んでるからさ。」
花音 「…うん…わかった、行ってくる。」
おじい 「とにかく、医者としてやれるだけの事はやろう。」
道子 「どちらも死なせやしない。」
(作:松本じんや/写真:はらでぃ)