トップページ > ページシアター > 背中のイジン > シーン16|初演版 【公演データ】
照明が変わるとラボ。森島が電話をかけながら出て来る。そのうしろからおじいも。
森島 「はい…で、例の件は?…本当ですか?!…ええ、もちろん。はい、失礼します。」
おじい 「誰から?」
森島 「医学研からです。実は周作さんに抗癌剤の研究資料を見せたんですが、あっという間に新薬案のレポート作っちゃったんです。で、試しに医学研に持ってったら、とても興味深いって…」
おじい 「そりゃ凄い!」
周作、花音、典子が入って来る。
周作 「修理どうです?」
おじい 「後もうちょういです…あれ?周人は?」
典子 「バイト。ファミレスの。」
森島 「それより周作さん、医学研から例のレポートの件で。」
周作 「どうなりました?」
森島 「かなりの好感触でした。今度お会いしたいって。」
周作 「それは良かった。僕も楽しみです。」
森島 「えぇ。あ、そうだ花音ちゃん。うちにも来てたよこれ。(潤からのハガキを出す)」
花音 「あぁ、潤のハガキ。」
周作 「何です?」
花音 「うちらの幼馴染で、今度結婚するんだって。」
周作 「あれ?この人どこかで…」
おじい 「また潤君のご先祖と知り合いだとか?」
周作 「いや、つい今しがた…あ、そうです!銀座でぶつかった二人ですよ。」
花音 「え?」
周作 「でもこっちの方はもっとゲッソリしていましたが。」
森島 「ちょっと待って下さい。今、二人って言いました?」
周作 「はい。」
花音 「ここに、いるの?もう一人…?」
周作 「えぇ…え?もしかして…」
森島 「あいつ幽霊と?」
典子 「ゲッソリしてたって事は…」
花音 「すぐに潤ち行きましょう!」
周作 「ええ!」
典子 「私も行く!」
花音、典子、ハケる。
森島 「周作さん、帰って来たらレポートの件…」
周作 「はい。必ず。」
周作、ハケる。
(作:松本じんや/写真:はらでぃ)