△ 「時空の異邦人」シーン26 part7


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みんな讃え合う。早坂、眉村、伊達、鏑木も戻って来て。なごやか空気の中ストップモーション。筒井にスポット。写真

筒井 「と、めでたしめでたしばかりではないのが現実です。その後、我が国とエイベキスタンとの裏でのやり取りはごたごたの極み。当然のごとくタイムマシン・プロジェクトは中止となり、処理班を残してチームは解散。そのうち、都市伝説になりました。」

筒井、はける。

早坂 「目撃者も結構いる中で、これだけのプロジェクトの存在を消すのは相当の労力です。ま、事実を隠ぺいし都市伝説にしてしまうのは政府のお家芸ですけどね。我々公安も忙しい忙しい。」

早坂、はける。

伊達 「我々が過去に行ったという話も聞きました。でも実際は行っていない。吉山さん達が体験したことは、この世界では無かった事になります。それがどういう事なのか?タイムパラドクスはよくわかりません。」

伊達、はける。

鏑木 「とにかく、そっちの世界でも、我々は任務を果たせたそうなので良かったです。でも、結局サルベージ・ツーのメンバーはみんな死んでしまったとか。我々の冥福をお祈りします。…う〜ん、やっぱりなんか変です。」

鏑木、はける。

眉村 「我々は生きている。それは事実。人命は救えたが、ボックス回収には失敗。え?ボックスは回収したはず?確かにボックス自体は回収しましたが、問題はその中身。中には『次元エネルギー電池』は一本もなく作製データもなかった。ところがその代わりに、とんでもないものが入っていたんです。どうやら中身を入れ替えたのは、過去に行った私の仕業らしいのですが…」

眉村、はける。

津田 「そのとんでもないものとは…なんと6匹の狼の子供だったんです!ご存知の通りニホンオオカミは絶滅した種です。これが良い事なのか悪い事なのか、僕にはわかりません。が、しばらくしてこんなニュースが流れました。『絶滅したと思われたニホンオオカミを九州で発見!』」

津田、はける。

朝倉 「それは久しぶりの明るいニュースとして世間を賑わせていましたが、その裏で処理班の仕事は激務でした。試作機の事故の真相についても、我々凡人じゃどうにも処理しきれない。ただ、とんでもない力のある『次元エネルギー電池』とその作製データを持ち帰れなかったことは、逆に良かったのかもしれません。」

朝倉、はける。

深町 「しかし、一つだけ不安要素は残っています。『次元エネルギー電池』は結果的に2本残っていたはずなんです。5本あった電池のうち、サルベージ・ワンは往復で2本使いましたが、サルベージ・ツーは1本しか使わなかったのですから。この2本の電池と2機のタイムマシンは、事件後処分が決定されたのですが、本当に処分されたのかどうかを確認した者は、実は誰一人いないんです…」

深町、はける。

瀬名 「僕は医学者なんてやってるけど、正直命についてまじめに向き合った事はなありませんでした。って言うか向き合うのが怖かったんです。でも、今回の体験で、いやが応にもたくさん向き合わされました。それは医学者としてとても大事な体験だったと思います。その点は、親父に感謝してます。さて、まだまだやる事山積みだ。絶対負けにゃいぞぉ。」写真

瀬名、はける。

吉山 「『マイケル・ジャクソン ジャパンツアー2022』これは我々が過去で起こしたことで、現代が変わってしまったと、考えるか?それとも元にいた世界には戻って来れず、元々マイケル・ジャクソンの生きている全く別の世界に来てしまったのか?パラレルワールド、パラドックス、実際に時空を超えた僕にさえ、よく分かりません。でも、あの桃太郎達のいた時代と今現在は確実に繋がっているんです。(お守りを取り出す)僕のこのお守り、フッと妙な気分になり、中の紙に包まれた黒い板を出してみました。我が家に代々伝わるこのお守りの中身。よく見ると、うっすらと人が見えたんです。更に良く見ると、なんとそれは、桃太郎とその仲間達の姿。そう、これは向こうを出発する時、瀬名さんが写して桃太郎に渡した写真だったのです。ってことは…」

(作:松本仁也/写真:はらでぃ)

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