△ 「時空の異邦人」シーン26 part8


トップページ > ページシアター > 時空の異邦人 > シーン26 part8 【公演データ

<前一覧|次>

吉山ははけず、二元舞台。桃太郎が走り込んで来る。

桃太郎 「おばあさん!おばあさん!」

おばあさん、出て来る。

おばあ 「なんじゃ桃太郎、騒々しいのぉ。」
桃太郎 「大猿と犬吉はおるか?!」
おばあ 「ああ、お菊さんと市場に出かけよったが。」
桃太郎 「あやつら!逃げ追ったな!」

おきじ、出て来る。

おきじ 「桃太郎!稽古の最中に逃げ出すとは何事じゃ!」
桃太郎 「姉上、勘弁じゃ!姉上の稽古は厳しすぎじゃ!」
おきじ 「たわけた事を申すな!戻らんか!」

おきじ、桃太郎を追いかけ回す。

桃太郎 「勘弁じゃ!ああ!姉上は鬼よりおそろしいわ!」
おきじ 「今なんとぬかした!」
桃太郎 「母上〜!」
おばあ 「母上ならざくろ殿の所へ遣いじゃ。」
桃太郎 「雷様〜!お助け下され〜っ!」

おじいさんが、走り込んで来る。

おじい 「一大事じゃ!一大事じゃ!」
おばあ 「なんじゃ、じいさんまで。」
おじい 「こ、こ、これを…」

おじいさんは赤ん坊を抱えている。

桃太郎 「なんじゃ?!」
おきじ 「これは赤子ではないか!」
おばあ 「いったいどこの子じゃ?!」
おじい 「向こうの竹やぶで光る竹をみつけて、切ってみたら中におったんじゃ!」写真
桃・おきじ・おばあ 「竹の中に赤子が?!」

吉山以外ストップモーション。

吉山 「彼らは彼らの時代を力いっぱい生きた。そして彼らが作った未来に、僕らは生きている。この先、再びタイムマシンが活躍する時代が来るかどうかはわからないけど、未来を変えるのにタイムマシンなんかいらない。未来を変えるのは、今を生きている僕達自身なのだから。」

桃太郎達また動き出す。吉山、過去の桃太郎達と目が合い、皆でうなずく。全員空を見上げ、ゆっくり暗転。
おしまい

(作:松本仁也/写真:はらでぃ)

<前一覧|次>


トップページ > ページシアター > 時空の異邦人 > シーン26 part8 【公演データ