△ 「時空の異邦人」シーン10


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みかん、かぶ、あんず、歌い踊りながら出て来る。

み、か、あ 「♪ある〜日、ほい!森のな〜か、ほい!、くまさ〜んに、ほい!であ〜った、ほい!い〜い日〜、ほい!たイタ〜チ〜、ほい!子だ〜ぬき〜、(ほい!)ねえ、こ〜こ〜ろ〜ま〜で(ほい!)白く…」

大猿と瀬名が出て来る。

大猿 「瀬名殿、これはぬしが教えた歌か?」写真
瀬名 「え?はい、まあ。」
大猿 「雷様の国の歌は実に愉快じゃの。意味はわからんが。」
瀬名 「でしょうね。メドレーみたいにしちゃってるしね。」

おきじが出て来る。

おきじ 「賑やかじゃな。」
大猿 「おきじ、もう動けるのか?」
おきじ 「瀬名殿は、医術にも長けておっての。雷様の国の医術はまるで妖術の様じゃ。」
瀬名 「でもまだあまり動かない方が…」
おきじ 「外があまりに楽しげで、出て来てしもうた。」
大猿 「天の岩屋戸じゃな。」
おきじ 「わしゃ天照大神(あまてらすおおみかみ)か?」
瀬名 「お、突っ込みだ。鎌倉時代からあるんだ…」
おきじ 「突っ込み?」
瀬名 「いや、なんでもないでござる。」

奥から、大林がでてくる。

大林 「瀬名さん、サイコ・メディカル・システムは?」
瀬名 「オール・クリアー。そっちは?」
大林 「残りはエネルギー・システムだけですが、一番破損がひどくて。データもバックアップごとやられてて今プログラミングし直してます。」
瀬名 「あれを手入力?!うわ、すげえなおい。」

おじいさん、おばあさんが出て来る。

おばあ 「飯ができましたぞ。」
み、か、あ 「おお!飯じゃ飯じゃ!!」
おじい 「腹が減ってはなんとやらじゃ。ささ。」
み、か、あ 「め〜し!め〜し!め〜し!」

大林、瀬名を残してみんな去る。

大林 「瀬名さん、ちょっと。」写真
瀬名 「ん?」
大林 「修繕していて思ったんですが、我々、肝心なこと忘れてると思いませんか?」
瀬名 「え?何?」
大林 「朝倉隊長が亡くなる寸前、何て言ってたか覚えてます?」
瀬名 「え?えっとぉ…」
大林 「「これは故障じゃない。明らかに人為的に仕掛けられたものだ」って。」
瀬名 「言ってた言ってた!でも、こんなトップ・シークレットのプロジェクトでそんな事できる奴って言ったら…」
大林 「犯人は内部の、しかも極一部の限られた人間しかいません。」
瀬名 「俺たちの良く知ってる人間ってことか?」
大林 「恐らく。そしてそいつが我々を消そうとしていたとすれば。」
瀬名 「たとえ無事に戻れても安心できない…」
大林 「ええ。」

おばあさん、みかん、かぶ、あんず戻って来る。

おばあ 「ほれほれ、雷様方もはよ。」
瀬名 「あ、はいはい。」
大林 「俺は後で。プログラミング、もうちょっとなんで。」
瀬名 「ああ。」
みかん 「瀬名殿、わちにもっと歌を教えて下され!」
瀬名 「ああ、はいはい。」
かぶ 「わちが先だお!」
あんず 「わちが先じゃ!」
みかん・かぶ 「うぬはだめじゃ!」
あんず 「ああ!ああ!ああ!」

おばあさん、瀬名、みかん、かぶ、あんずはける。最後に大林、別方向にはける。

(作:松本仁也/写真:はらでぃ)

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