△ 「時空の異邦人」シーン6


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奥からみかん、かぶ、あんずの声。

あんず 「父上!父上!」
みかん・かぶ 「ざくろさ〜ん!」

ざくろ登場。

ざくろ 「おお、何事じゃあんず。」

あんずを先頭に。みかん、かぶも走り出て来る。

あんず 「父上〜!」
みかん・かぶ 「ざくろさん!」
ざくろ 「みかんもかぶも、なんぞあったか?」
みかん 「イカズチじゃ!」写真
かぶ 「ハガネだお!」
あんず 「雷様が!」
みかん 「へそは取らんと!」
かぶ 「歌は愉快じゃ!」
あんず 「地獄耳じゃ!」
みかん 「みねおねにバーン!つって!」
かぶ 「みんなでぴゃ〜っつって!」
あんず 「逃げて来たんじゃあ!」

間。

ざくろ 「うん、一つもわからん。」
み、か、あ 「ああ!ああ!ああ!」
ざくろ 「まあ、まあ、落ちつけ。順序だてて話すんじゃ。まず、いずこに参ったんじゃ?」
みかん 「おじいさん、おばあさんの家の裏山じゃぞい。」
ざくろ 「いかがして?」
かぶ 「バーン!つって!」
ざくろ 「バーン?」
あんず 「イカズチの音じゃ。」
ざくろ 「イカズチ?この様な晴れの日にか?」
みかん 「そしたら、ハガネの社がどーん!」
ざくろ 「ハガネの社じゃと?!」
かぶ 「中から雷様が出て来て愉快な歌をうたいおった!」
あんず 「♪くまさぁんに〜出〜あ〜ったぁ〜。」
ざくろ 「おお!わしらの歌か?」
あんず 「わちらの歌じゃ!」
みかん 「わちのもあったぞい!」
かぶ 「わちのもだお!」
ざくろ 「おお!イタチとタヌキの歌もか!」

みかん、かぶ、同時に歌う。

みかん 「♪い〜い日〜、たイ〜タチ〜!」
かぶ 「♪子だ〜ぬき〜!」
ざくろ 「おお、おお、…お?…待て待て待て、雷様とや?」
あんず 「そじゃ!」
ざくろ 「ハガネの社に雷様…もしや…御主達、その雷様になんぞされたか?!」
みかん 「イカズチを撃たれた。」
ざくろ 「おぬしらがか?!」
かぶ 「みねおねにだお。」
ざくろ 「みねとおねにとや?あやつら、何をしおった?」
あんず 「雷様をさらおうとしたんじゃ!そんでみかんとかぶが雷様を守ろうとして…」
ざくろ 「ぬしらが?!」
みかん 「うちらも、ようわからんうちに前に出とったぞい。」
かぶ 「体が勝手に動いたお。」
ざくろ 「さようであったか…ついに…」
あんず 「じゃが、二人とも斬られそうになって、雷様がイカズチをバーン!つって!」
みかん 「それでみなでぴゃーっつって逃げて来たんじゃ!」写真
ざくろ 「逃げたじゃと?それは御主らを助ける為のイカズチではなかったのか?」
かぶ 「そうじゃが、おそろしゅうておそろしゅうて。」
ざくろ 「御主ら、参るぞ。」
あんず 「いずこへじゃ父上?」
ざくろ 「雷様にお礼を言いにじゃ。」
みかん 「お礼?」
ざくろ 「言うたか?」
かぶ 「言うてないお。」
ざくろ 「じゃから参るんじゃ。ちと話もあるでな。」
あんず 「参ろう参ろう!」
みかん・かぶ 「参ろう参ろう!」

みかん、かぶ、あんず、ざくろを抜かして走り去る。ざくろ、それを見つめ。

ざくろ 「ついに…時が参ったか…」

ざくろ、はける。

(作:松本仁也/写真:はらでぃ)

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