△ 「背中のイジン」シーン27


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夜の街。タクシーをさがす周作。

周作 「なぜ止まらないんです!辻待ち自動車が一等早いというのに!…そうだ、地下鉄!」

周作ハケる。満と花音、車の中。

「銀座だ、間違いない。周作さんはあの場所で死ぬ気だ。」
花音 「車で先回りすれば…」

車、いきなりパンクする。

「くそっ、なんでこんな時にパンクなんか!」舞台写真
花音 「タクシー拾いましょう!」
「あぁ。」

二人ハケる。周作走り出て来る。

周作 「(息を切らしながら)この先の大通りだ。そこで車に飛び込めば…」

周作大通りに辿り着くが、呆然と立ち尽くす。

周作 「…なんですかこれ…なんでこんな…なんで今日に限ってこんな!」

満、花音、周作に追い付く。

「あそこだ!」
花音 「周作さん!」

二人駆け寄る。大通りを見て

「…工事中で通行禁止か…」
周作 「お願いです。私をここで殺して下さい!」
「なに言ってんですか!」
周作 「周人君が、周人君が死んでしまう!」
花音 「でも殺すなんて!」
周作 「大丈夫。殺人にはなりません!私の肉体は消えてしまうんです!」
「駄目ですって!」
周作 「周人君を…周人君を助けて下さい…」
花音 「周作さん…」

後ろから貝塚が現れる。気付く三人。

「貝塚…」
花音 「どうしてこんな所に…?」

反対側から浜崎、後藤出て来る。

浜崎 「貝塚!」

貝塚、警官から奪った銃を取り出す。

周作 「危ない!」

周作が飛び出した瞬間、銃弾が胸を貫く。

後藤 「うらぁっ!」

後藤、浜崎、貝塚を取り押さえる。

花音 「周作さん!」
「周作さん!」
貝塚 「殺してやる!みんな殺してやる!はははははは!」
浜崎 「連れてけ。それと救急車!」
後藤 「はい!」舞台写真

後藤、貝塚を連れ去る。

周作 「呼ばなくていい…」
浜崎 「なに言ってんだ、撃たれたんだぞ!」
周作 「おかしい…消える気配がない…」
浜崎 「おいっ、早く救急車!」
周作 「違う…そうか思い出した。ここではない!」
「ここじゃないって?」
周作 「私が死んだのはここではない…」
「なんだって?」
周作 「実験室だ。実験室に戻ってくれ。」
「しかし。」
周作 「頼む…」
浜崎 「俺の車に乗れ。」
「えっ?」
浜崎 「早くしろ!」

四人ハケる。

(作:松本仁也/写真:広安正敬)

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