△ 「ブリジニツィー」シーン25


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ピンクと島袋が出て来る。

ピンク 「駄目だわ。ここも埋まってる!」舞台写真
島袋 「おいおい頼むよ、お前らの逃げ道だけが頼りなんだから。」
ピンク 「駄目よ、大回りしなくっちゃ。」
グレイ 「その必要はねぇ。」

2人の後ろからグレイが出て来る。

ピンク 「グッ、グレイ…」
島袋 「残念だけど、ここからは抜け穴まで行けない様ですよ。」
グレイ 「見りゃわかるさ。」
ピンク 「(グレイの後ろの姉を見て)誰その人?」
グレイ 「お前らより信頼をおけるパートナーだ。それよりピンク。」
ピンク 「何よ。」
グレイ 「例のディスクは?」
ピンク 「2枚ともこの刑事さんが確保してるわ。」
グレイ 「ほう、こいつぁ〜ラッキーだ。探す手間が省けたぜ。ピンク、そいつから奪って持って来い。」
島袋 「仕方ないな。(ディスクを渡す)」
ピンク 「そのパソコンもよ。(パソコンも奪い、グレイの所へ。そしてホッとして)助かったぁ。」
グレイ 「あぁ、でかしたな、ピンク。」

レッド、入って来る。

レッド 「(手錠をM型にして)この続きは、春のマクドナルドでって感じかな?」
島袋 「手錠で遊ぶな!」

グレイ、いきなりピンクを撃つ。ピンク、倒れる。

レッド 「ピンク!(姉に銃を向けられる)おい、どういう事だよグレイ!」
グレイ 「俺を出し抜こうとした罰だ。」
島袋 「貴様なんて事を…」
グレイ 「確かにこいつらは腕はいいが、用が済みゃただのゴミだ。」
レッド 「何だとてめぇ!!」

レッド、銃を構えようとするが、姉に押さえられ、グレイに撃たれる。

レッド 「うおあっ!」
グレイ 「特にお前は一番のクズだ。」
レッド 「ちくしょおっ…」
グレイ 「次はアンタだ。(島袋に銃を向ける)いろいろ手こずらせてくれたな。死ね。」

シュッと風を切る音がして、グレイの腕にカードが刺さる。

グレイ 「うあっ!」

姉、カードが来た方にハケる。その直後、チェーンの音がして、チェーンにからまった姉が出て来る。チェーンの先にはヨーヨーが付いている。続いて、木村とヴァイオレットと今井が出て来る。

島袋 「木村君、今井君。」
木村 「このヨーヨーだけは使いたくなかった…」
今井 「警部、もう大丈夫です。」
島袋 「すまん。…上原君は?。」
今井 「分かりません。」
島袋 「そうか。二人とも無事ならいいが…」
ヴァイオレット 「よくも、よくも姉さんを!」舞台写真
グレイ 「おっと待った!(懐からスイッチを取り出す)これが何だかわかるか?」
ヴァイオレット 「え?」
グレイ 「お前の姉さんの体内に仕掛けた爆弾のスイッチだ。」
ヴァイオレット 「何ですって?!」
グレイ 「全員動くな!動くとお前らも吹っ飛ぶぞ!」
今井 「ちくしょう。」
グレイ 「じゃあなみなさん!ハハハハ!(笑いながら去る)」
ヴァイオレット 「お姉ちゃん!」
木村 「今井、何とかならないの?!」
今井 「いや、体内爆弾の処理は…」
島袋 「追うぞ!」
レッド 「待てぇ!!」
今井 「お前…」
レッド 「どきやがれ!」
ヴァイオレット 「レッド!」
レッド 「奴が見えねぇんだよ、どけったらどけ!」

みんな避ける。

今井 「無理だよこの距離じゃ…」
レッド 「ヴァイオレット!肩貸せ!」

レッド、ヴァイオレットに肩を借り、苦しみながらも狙いを付ける。

レッド 「あばよ…」

2発連続で発砲。

グレイ 「(奥から声だけで)うわあああああっ!」
島袋 「やったか?」
木村 「見て来ます!」

島袋と木村、グレイの逃げた方向へ。

レッド 「俺は、お前より抜くのは遅せぇがな…的は外した事がねぇんだ…」
ヴァイオレット 「レッド…」
レッド 「今度…早抜き教えてくれや…」

木村、島袋戻って来る。

木村 「すごいわあんた!スイッチ持った手首と心臓を打ち抜いてた!」
レッド 「我ながら惚れ惚れするぜ…(気を失う)」
今井 「ちょっと待って下さい…まずいですよ、こりゃ!」
島袋 「どうした?」
今井 「あいつスイッチ押してます!」
ヴァイオレット 「何ですって?」
今井 「これ、時限装置のスイッチです!」
島袋 「時限装置?」
木村 「それじゃ…」
ヴァイオレット 「そんな!!(姉にからまったチェーンをはずそうとする。」
島袋 「なんて事だ!」
今井 「離れるしかないですよ!」
木村 「彬!お姉さんから離れて!」
ヴァイオレット 「嫌よ!!」
島袋 「今井君、彼を!」
今井 「はい!(レッドを背負う)」
ピンク 「うっ、うう〜ん…」
今井 「あれ?こいつもまだ息がありますよ!」
島袋 「わかった!私がかつごう!(ピンクを背負う)」
今井 「お願いします!」
木村 「彬!」
ヴァイオレット 「逃げて下さい!私はお姉ちゃんと残ります!」
木村 「駄目よ彬!」
島袋 「木村君!」
木村 「警部!先に行って下さい!」
島袋 「手短かにな。ん?腰に当たる突起物…この人…女だよな?」

島袋、今井、それぞれピンクとレッドを担いで逃げ去る。

木村 「彬、しっかりして!あなたの姉さんは死んだの!そこにいるのは香澄さんの姿をしたニセモノなの!」
ヴァイオレット 「ニセモノでもホンモノでも、そんなのどっちだってかまわない!」
「あ、き、ら…」
ヴァイオレット 「お姉ちゃん。私ずっと謝りたかったの。あの日もっと早く帰っていれば…迎えに来いなんて言わなければ、お姉ちゃんは…お姉ちゃんはきっと…」

姉のチェーンがはずれるが、姉はヴァイオレットに銃を向ける。

「あ、き、ら…」
ヴァイオレット 「ごめんなさい…」
「に、げ、て…(手を震わせながら銃を下ろす)」
ヴァイオレット 「え?」
「逃げて彬…」
ヴァイオレット 「お姉ちゃん?やっぱりお姉ちゃんなのね?!」
「(首を横に振って)ち、がう…」
ヴァイオレット 「え?」
「私は…あなたの…姉さんでは…ない…」
ヴァイオレット 「だって…」
「でも…あなたには…死んで欲しく…ない…そんな気がする…」
木村 「彬、もう時間がないわ!」舞台写真
ヴァイオレット 「でも…」
「いっつも…あんたは…時間ぎりぎり…なんだから…」

ヴァイオレット、驚いたように姉を見る。

「めんどう…見きれないわよ…」

ヴァイオレット、姉を抱き締める。

木村 「彬…」

木村、察したように去る。ヴァイオレットも姉から離れる。

ヴァイオレット 「さよなら…。」

ヴァイオレットの去った後、姉、うっすらと微笑む。

「さよなら…彬…」

暗転。と同時に爆発音。

(作:松本仁也/写真:広安正敬)

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