△ 「ブリジニツィー」シーン26


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明転。薄暗い照明の中上原が入って来る。

上原 「何だ今の爆発音は?(前から物音がして、銃を向ける)誰だ?!」舞台写真
オレンジ 「お前は…」
上原 「お前がもう1人の僕か?」
オレンジ 「驚いたな本当にもう1人いるなんて。」
上原 「お前がクローンなのか?」
オレンジ 「それはお前だろう。」
上原 「僕には過去の記憶がある。」
オレンジ 「僕にだってある。」
上原 「嘘だ。」
オレンジ 「嘘じゃない。」
上原 「初恋の相手は?」
オレンジ 「孤児院のヨシコ先生。キョンキョンに似てた。…初めて1人で見た映画は?」
上原 「『ドラえもん・のび太のパラレル西遊記』同時上映『エスパー魔美・星空のダンシングドール』高校1年生の時だ。」
オレンジ 「確かに。恥ずかしくて誰にも話していない事だ。」
上原 「…なぁ、僕らは共存できるんじゃないかな?双子の兄弟みたいなものだろ?欲しくてたまらなかった家族が出来たと思えばいいじゃないか。」
オレンジ 「僕らしくない考えだな。ホンモノなら、クローンなんて得体の知れないニセモノの存在など許せないはずだ。」
上原 「それこそ僕らしくない。考えてみろよ、自分が2人いたらいいなって思った事あるだろう?俺が1号でお前が2号ってのはどうだ?」
オレンジ 「くだらない!何が1号と2号だ。仮面ライダーじゃあるまいし。」
上原 「1号、2号と言ったらロンブーだろ。大体、今のライダーは怪人の方が1号、2号って呼ばれてて…」
オレンジ 「馬鹿、クウガは4号って呼ばれてたじゃないか。」
上原 「そりゃそうだけど…って」
上・オレ 「何の話だよ?!」
上原 「でもいい案だと思わないか?交代交代に出勤すれば、半分は休めるぞ。」
オレンジ 「給料1人分じゃないか。どうやって暮らす気だ?」
上原 「片方がバイトでも何でもすりゃ…」
オレンジ 「くだらない!脳みそ足りないクローンの考えそうな事だ。」
上原 「お前、ホンモノに嫉妬してるんじゃないか?」
オレンジ 「お前こそ共存なんて言いながら本当は僕を消そうとしてるんじゃないのか?」
上原 「僕のくせに僕の言ってる事が信じられないのか?」
オレンジ 「僕はお前じゃない!お前も僕じゃない!」
上原 「僕も僕がお前だなんて思ってやしないし、お前も僕が僕で僕の僕、ぼ、ぼっ、あぁ〜っ!!」
オレンジ 「うるさいよ!!とにかく僕はニセモノの存在は認めない。」
上原 「僕がホンモノだったらどうする?」
オレンジ 「どちらがホンモノかなんて、わかりゃしない。生き残った方をホンモノとしよう。」
上原 「馬鹿な考えだ。僕は例え僕がクローンだとしても、オリジナルを消そうだなんて思わない。大体、ホンモノかニセモノかなんて論議自体馬鹿げてるんだ。二人ともホンモノとして生きてるじゃないか。」
オレンジ 「クローンだからそんな事言えるのさ!」
上原 「なにぃっ?(お互い銃を向けるが上原だけ下げる)…やめよう。良く考えてみろ、僕達は互角だ。このままじゃ2人とも死ぬに決まってる。」
オレンジ 「本当に互角かどうかまだわからない。やってみる価値はあるさ。」
上原 「考え直せ。」
オレンジ 「断る。」
上原 「やめろ!」
オレンジ 「銃を構えろ!」
上原 「銃を下ろせ!」
オレンジ 「構えろ!」
上原 「下ろせ!僕は殺したくないんだ!」
オレンジ 「ならお前の負けだ!!」
上原 「やめろぉ〜…」

暗転。2つの銃声。

(作:松本仁也/写真:広安正敬)

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