メインテナンス

内容と間隔

 歯周病はきちんと管理していないと再発しやすい病気です。歯周病の原因と考えられている菌は口腔内に常在しています。しかし、歯周治療後の状態で は歯周組織に無害な菌の比率が大きく、有害な菌の比率が小さくなっており、有害な菌の勢力が押さえられています。あるいは、体の防御機能が十分対応できる だけ、有害な菌の数が少なくなっています。
 これらの状態が適切なプラークコントロールによって維持されているならば、歯周組織は健康を維持できるでしょう。しかし、プラークコントロールが不良な まま放置されれば、有害な菌が住みやすい、あるいは勢力を持ちやすい口腔内環境に変化していき、歯周病が再発する危険性が増加します。

 したがって、メインテナンスを行うことにより、獲得した歯周組織の健康を維持していくことが必要となります。
 歯周組織の健康を維持していくために、以下のことを確認します。

  1. 歯周病再発の早期発見と治療
  2. 歯周治療後の予後の判定
  3. 患者教育とモチベーションの再強化
  4. 全身状態や生活習慣の確認

メインテナンスに関する用 語

 メインテナンスに関しては、メインテナンスサポーティブペリオドンタルセラピー(SPT)という2つの用語が用いられています。

 メインテナンス : 治癒した歯周組織を長期的に維持していくためのセルフケアとプロフェッショナル ケア。

 SPT : 4mm以上の歯周ポケットや動揺度が残っているものの、病状安定と なっている歯周組織を、継続的な歯周治療で維持していくこと。

 治療後の歯周組織は、治癒病状安定という状態に分けられます。

 治癒

 病状安定

メインテナンスの内容

 メインテナンスは以下の順で行うのが効率的であると思われます。

メインテナンスの間隔

 研究者により多少異なりますが、治療終了後を治癒期間とし、その間は間隔を短めで来院してもらいます。メインテナンスの間隔は3ヵ月ごとが推奨さ れていますが、必ずしも3ヵ月に固執する必要はなく、悪化しているようであれば一時的に短い間隔で来院してもらうとか、非常に良好な状態であれば間隔を 6ヵ月ごとにするなど、患者さんごとに適切なメインテナンス間隔を設定するのが望ましいと思われます。

研究者 治療終了後の治癒期間 その後のメインテナンス間隔
Westfelt ら
(1983)
6ヵ月間
(2週間に1回の来院)
3ヵ月ごと
Kowles ら
(1979)
4週間
(1週間に1回の来院)
3ヵ月ごと
Ramfjord
(1987)

 メインテナンスとSPTという概念からは、次のようなリコール間隔が考えられています。


1 年目
1 年以降
メ インテナンス
3 か月ごと
半 年〜1年ごと
SPT
3か月以内(1か月)


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最終更新2013.1.11