歯周-矯正治療

歯周-矯正の目的

 歯の欠損、歯周病、咬合高径(かみ合わせの高さ)の低下等により、歯の位置は移動することがあります。
 歯周病の治療においては、歯の位置以上によって生じる外傷的な力を排除したり、補綴をしやすい環境にしたり、審美的な改善を目的として、矯正治療が行わ れることがあります。

 

歯周-矯正の時期

 歯周-矯正は、歯周外科の前後に行われます。

 歯周外科の前 : 歯肉形態や歯槽骨形態の改善が必要なとき。

 歯槽骨や歯肉の位置は遺伝的に決まっており、一定以上に歯を移動しても、骨は一緒に移動しません。
 すなわち、歯肉退縮がみられる歯を舌側に移動すると、特に手術はしなくても歯肉退縮が改善することがあります。
 したがって、矯正治療後にも歯肉退縮がみられる場合のみ、歯周形成外科を選択するべきです。


 歯周外科の後 : 歯周ポケットの除去が必要なとき。

 歯周病の歯を移動すると、歯面に付着しているプラークや歯石も一緒に移動することになります。
 したがって、移動する方向によっては歯周ポケットを人工的に形成することにもなりますので、歯周外科処置後の矯正を選択するべきです。
 矯正移動の方向と歯周ポケットの関係を以下に示します。



歯周一矯正治療を行う場合の問題点

 通常の矯正治療とは異なる注意点を以下に列挙します。
  1. 支持歯周組織量の減少
  2. 歯の摩耗あるいは咬耗
  3. 歯間乳頭の退縮
  4. 挺出、移動に伴う歯冠長の不ぞろい
  5. 術後の固定の必要性
  6. 悪習癖の合併(弄舌癖、舌圧迫癖、喫唇癖など)
  7. 長期間にわたるメインテナンス、SPTの必要性

矯正装置の具備条件

 具備条件は通常の矯正装置と同様です。ただし、固定源となる歯の支持が弱い場合には考慮が必要です。
  1. 適切にデザインされている
  2. 確実な固定源が得られる
  3. 歯、歯肉および歯槽粘膜を刺激しない
  4. プラークコントロールがしやすい
  5. 審美性や発音機能を損なわない

矯正装置の選択基準

 以下の条件を考慮して矯正装置を選択します。
  1. 年齢や職業
  2. 歯周組織の状態
  3. プラークコントロールの状態
  4. 咬合状態
  5. スペース(歯の移動距離)
  6. 固定源の設定
  7. 残存歯数
 

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最終更新2013.1.11