2007年11月の映画  戻る


タロットカード殺人事件 scoop
2007年 英国/米国 95分
監督・脚本 ウディ・アレン
撮影 レミ・アデファラシン
キャスト  スカーレット・ヨハンソン(サンドラ・プランスキー)/ヒュー・ジャックマン(ピーター・ライモン)/ウディ・アレン(マジシャン・シド・ウォーターマン)/イアン・マクシェーン(ジョー・ストロンベル記者)
メモ 2007.11.27(土) シネ・リーブス梅田
あらすじ
急死した敏腕記者ジョー・ストロンベルは、三途の川の渡し舟の上で女性と知り合う。彼女ジェーンの言うことには「私は秘密を知ったばかりに、毒殺された」。 ロンドンを震撼させている「タロットカード連続殺人事件」の犯人は、貴族のライモン(ヒュー・ジャックマン)だというのだ。ライモンは、地位、名誉、金、ルックスすべてに満たされた、「金のさじ」をくわえて生まれてきた男だ。
このスクープをこのままにしてはおけない!! と死神の目をかすめ、三途の川をさかのぼり始める記者魂を持ったジョー。現れた所は奇術の箱の中。その中には、記者の玉子のアメリカ人学生、サンドラがいた。
感想
こじんまりした良品。のったりくったりまったりちんたら した展開で、面白いような退屈なような。「マンハッタン殺人ミステリー」「スコルピオンの恋まじない」もこういう感じだったな。イギリスの庭園は、見所だったけどね。ウディ・アレンの独白がいまいち冴えないのは、翻訳のせいかな? 前作の「陽のあたる場所」現代イギリス版「マッチ・ポイント」のスリリングな展開の方がさぼてんは数倍好み。
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ただ、スカーレット・ヨハンソンのエンジ色のスクール水着姿は一見の価値あり。見せるより見せない方が色っぽい。反対にヒュー・ジャックマンのマッチョ過ぎるヌードに少し引く。
お薦め度★★★1/2戻る

ディスタービア disturbia
2007年 米国 104分
監督 D・J・カルーソー(「テイキング・ライブス」
原案・脚本 クリストファー・ランドン(「大草原の小さな家」のマイケル・ランドンの息子)
脚本 カール・エルスワース
撮影監督 ロジェ・ストファーズ
音楽 ジェフ・ザネリ
キャスト シャイア・ラブーフ(ケール「穴−HOLES」)/キャリー=アン・モス(ママ・ジュリー「マトリックス」)/デヴィッド・モース(隣人ターナー)/サラ・ローマー(アシュリー)/アーロン・ヨー(悪友ロニー) >
メモ 2007.11.24(土) 千日前・敷島シネポップ
 
あらすじ
高校生のケールは、ある事情から家から出ることが出来ない。暇を持て余したケールは、双眼鏡でご近所を観察し始める。それは覗きである。そして「趣味に浸り静かに生活している」隣人に、ある疑惑と妄想が起こり始め”狼少年”となる。しかしこの狼少年は、やたらメカに強かった。
感想
軽くポップに楽しめるB級娯楽映画。ニタニタ笑いながら映画館を出る。好み。
 
コーネル・ウールリッチ原作、ヒッチコック映画「裏窓」を、現代のアメリカの高校生に置きかえ、ラブグロで味付けしてある。行動をせばめられる仕掛けが良く出来ていた。文字通りの足かせと共に、それはSOSを発する手段にもなる。
ケールの相棒で、おふざけロニー(アーロン・ヨー)がおいしい役なんだな。さぼてんは、ずっとずっとこの人を見てたよ。お顔とヘアスタイルが好きだ。その若さに涙でそう。びびりまくり心臓パクパクしながら、ゲーム感覚で悪友に力をかす、パープリンでいいやつなんだよ。
 
主人公のケール役がシァイア・ラブーフって俳優さんで、「穴−HOLES」で四世の少年やったらしい。ケールが隣家の彼女アシュリーに「覗き見して得た情報」で迫るシーン、「君は読書が好きだ。部屋にいるより屋根の上にいる時間の方が多い」に彼女がぐっとくる所、わかる。「覗き見を正当化してるやん」と思うもんの、乙女心をくすぐるんだな。「”本当の自分”をわかってくれる人なんて、いてへんのよ」と思うけどね。そういう風に、あれやこれや辻褄あわせをしている所に、好感を持つ。
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クワイエットルームへようこそ
2007年 日本 117分
監督・脚本 松尾スズキ
原作 松尾スズキ「クワイエットルームへようこそ」
撮影 岡林昭宏
出演 内田有紀(佐倉明日香)/宮藤官九郎(鉄雄)/蒼井優(患者・ミキ)/りょう(看護士・江口)/平岩紙(看護士・山岸)/大竹しのぶ(患者・西野)/塚本晋也(明日香の元旦那)/妻夫木聡(鉄雄の弟子・コモノ)/中村優子(夫が医者の患者・栗田)/高橋真唯(食べない患者・サエ)/ 馬渕英俚可(患者・チリチリ)/筒井真理子(患者・和服の金原)/宍戸美和公(患者・水原)/平田満(俳優)/徳井優(医師・白井)/峯村リエ(婦長)/武沢宏(芸人)/箕輪はるか(患者・ハリセンボン)/近藤春菜(ハリセンボン)/庵野秀明(医師・松原)/河井克夫(内科医)
メモ 2007.11.18(土) 梅田ブルク7 晴れ
あらすじ
駆け出しライターの明日香(内田有紀)は、毎日走っている。日中はインタビュー、夜は原稿書きの毎日でオーバーワーク気味。精神的にもダメージがあり、難儀な事に心にも頭にもとりついて明日香から離れない。そしてある晩ぶったおれ、気がついたら誰もいない真っ白な部屋で寝ていた。手と足は拘束されている。
感想
「大人計画」を率いる松尾スズキが、「大人計画」と人脈から多彩な俳優を集め、自らの原作を映画化した作品。「新世紀エヴァンゲリオン」の庵野監督が松原医師役らしい。
面白くて恐い映画であった。
美人ゆえ、今まで行き当たりばったりフーゾクにまで片手を入れ、ちゃらんぽらんに生きてこられた主人公・明日香が常識人に思えるほど、変人奇人風変わりな人々がてんこもり。まじめにずれている暗い暗い明日香の元夫(塚本晋也)、人の死さえ、ちゃかさずにいられないさがの持ち主・放送作家のてっちゃん(宮藤官九郎)、能面の様な美貌の看護士・江口(りょう)、小さな閉ざされた世界でヤクザの追い込みをかける患者・西野(大竹しのぶ)、そこにいてもなんの違和感もないハリセンボンの箕輪はるか。大竹しのぶの怪演には今更ながら関心した。若い頃から生まれながらの怪物だったが、すごみがさらに増している。しかし何でも演じれそうだよな、この人。この間山田洋次監督の「かあちゃん」の予告編を見たが、吉永小百合より大竹しのぶが演じた方が、年齢的にもいいと思う。
 
とっても教育的な内容なんだよ。まず痛烈な批判がふたつ。「患者の様子も見ず薬を出し続ける医者」。結果、元不眠症だった明日香は、睡眠薬がたまり酒と共に呑んで呑んで呑んで、オーバードーズ(OD)に陥る。もうひとつは「自殺」。病に冒され余命幾ばくもないならともかく、自殺はとり残された「心ある人々」に暗い影を落とす。この間TVドラマ「相棒」で水谷豊が「自分が死ぬ事で、何かをしようとしてはいけない」と言われていたがその通りだと思う。
 
そして大事な事は、監督のメッセージは、何事も最初が肝心だと思う。拒食症や過食症、うつ病の患者達は入退院を繰り返す。財力のある親族に甘えているともいえる。てっちゃんとの絆を切り、明日香は自立する事を決心する。
銀幕の片隅で、「アルコール依存症にも薬物依存症にも、うつ病にもぜったいなるまい」と固く決心したのであった。人生という限りある時間が楽しめない。何年も苦しむんだ。そして、その異常な状態が日常になるんだよ。
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インベージョン  THE INVASION
2007年 米国 96分
監督 オリバー・ヒルシュビーゲル(es[エス]「ヒトラー −最期の12日間−」)
原作 ジャック・フィニィ「盗まれた街」
脚本 デヴィッド・カイガニック
撮影 ライナー・クラウスマン
キャスト ニコール・キッドマン(キャロル)/ダニエル・クレイグ(恋人・ベン)/ジェレミー・ノーサム(元夫・タッカー「カンパニーマン」)/ジャクソン・ボンド(オリバー)/ ヴェロニカ・カートライト(ウェンディ)/ジェフリー・ライト(「バスキア」)
メモ 2007.11.6(火) 梅田ブルク7
あらすじ
政府機関の特殊チームに属しているタッカー(ジェレミー・ノーサム)は、スペースシャトルの爆発現場で「えたいのしれない物」に接してしまう。
あくる日、ワシントンに住む精神科医のキャロル(ニコール・キッドマン)は、4年前に離婚した前出の元夫タッカーから突然「息子に会いたい」と連絡を受け、混乱していた。今まで一度も息子に会おうとしなかったのに。人が変わったみたい。。。
感想
ジャック・フィニィ「盗まれた街」の4度目の映画化。言わせてもらうなら、もっともインパクトが小さい。(ダニエル・クレイグがふけていて、誰かわかんなかった。「007」は大丈夫か?) だいたい莢(さや・ポッド)が出てこない。それゆえ、複製を作るのではなく、ウィルスのような感染。「インフルエンザ・ウィルス」を恐れている時代に即しているんかもしれんけど、うさんくささがなく、なんか凡庸になっているように感じる。
「盗まれた街」の映画化第1作は、「マンハッタン無宿」のドン・シーゲル監督の「恐怖の街」(1956)。モノクロ映画。サム・ペキンパーが脚本に参加している。
2作目は、ドナルド・サザーランドの「SF/ボディ・スナッチャー」(1978)。
監督はフィリップ・カウフマンって人で、「ライトスタッフ」の監督さんらしい。最後、仲間に「ぎゃー」と叫ばれるシーンが有名(だよな)。この叫んだ女の人は、「エイリアン」では勇敢なリプリーではない、もうひとりの女性の乗組員で、座り込んでめそめそ泣いて殺されるのを待っていた人。ヴェロニカ・カートライトって方らしく、本作では「夫が夫ではないの」とキャロル(ニコール・キッドマン)に訴えるウェンディ役の人とか。(太りはったね)
3作目は、ガブリエル・アンウォーのほてったヌードで(みんなが)息をのんだ「ボディ・スナッチャーズ」(1993)。
 
リメイクを作るのはムツカシイと思う。ま、こういう話があるんだと手を変え品を変え、若い人に伝え続けていくのに意味があるのかもしれん。(シネフィル以外、ばかみたいに古い映画を観ないよな)
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