2006年6月の映画  戻る


ステイ STAY
2005年 米 101分 字幕:栗原とみ子
監督 マーク・フォースター(「チョコレート」「ネバーランド」)
脚本 デイヴィッド・ベニオフ(「25時」「トロイ」)
撮影監督 ロベルト・シェイファー
キャスト ユアン・マグレガー(サム)/ナオミ・ワッツ(ライラ)/ライアン・ゴズリング(ヘンリー・レサム「きみに読む物語」)/ボブ・ホスキンス(レオン博士)/ジャニーン・ガラファロ(ドクター・ベス)/エリザベス・リーサー(アシィーナ)
メモ 2006.6.30(金)晴れ 梅田ガーデンシネマ
あらすじ
精神科医のサム(ユアン・マグレガー)は激しい夢を見た。仕事に疲れているせいかもしれない。
今日は病気で休んでいるドクター・ベスから引き継いだ患者・ヘンリー(ライアン・ゴズリング)と会う。ふらっとやって来たヘンリーは不思議な若者だった。
悲しそうな目をしている彼はあやかしの様な事を言って去る。
患者も心配だがサムはもうひとつ爆弾を抱えていた。恋人のライラ(ナオミ・ワッツ)。ライラは元患者であり自殺願望から立ち直ったとはいえ、手首の傷は消えず心の傷も見え隠れしどこか人を不安にさせる。
そんなこんなで心労の耐えないサム。消えたヘンリーを探す中、世の中がきしみはじめる。それはサムの方が崩壊しはじめているのかもしれない・・・。
 
 
感想
ぜ・っ・た・い・に・   結末を知らない方がよろし。  感想も読まない方がいい。
 
ヘンリーご登場の時は「ヘンリーとライラが組んで、サム(ユアン・マグレガー)の理性を狂わそうという罠なんだな。」と読んだ(あくまでミステリ読み)。  ところが「雹(ひょう)が降る」とヘンリーが破天荒の予言をした所でこの予想はあえなく撃沈。しょっぱなから「今観ている事や聞いている事をそのままとるな」と示している。
「どういう関係?」 「何におびえてんの?」 「何がしたいねん」 「はあ?」  と脳内ぐるぐる(やたら階段が出てくる) 頭が沸く。 寄り添えない人は・・・・最後までより添えない。置いてきぼり。
まあ要するに「走馬灯のように」というわけ。
まだまだ新しい映画が撮れるとは。 ビバ!
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ククーシュカ −ラップランドの妖精 Kukushka
第24回モスクワ国際映画祭5部門受賞
2002年 ロシア 104分 字幕:細川直子
監督 アレクサンドル・ロゴシュキン
キャスト アンニ=クリスティーナ・ユーソ(アンニ)/ヴィッレ・ハーパサロ(ヴェイッコ)/ヴィクトル・ブィチコフ(イワン)
メモ 2006.6.25(日)雨 OS名画座
あらすじ
時は1944年、第二次世界大戦末期。フィンランド国は、フィンランド軍がドイツ軍と共闘してロシアと戦っていた。フィンランドはスウェーデンとロシアに挟まれた国であり、長い間両国に翻弄され続けてきた。あげく第二次世界大戦では侵略してきたロシアに対抗するためドイツ第三帝国に接近してしまったのだ。
 
ロシア軍の大尉イワンは秘密警察に逮捕され軍法会議へと護送される途中、自軍の爆撃機に誤爆される。容疑は反体制的な通信文を書いたという罪。罠にはめられたのである。誤爆で秘密警察は死に、気を失っていたイワンはサーミ人(ラップ人)のアンニに見つけられ家にひきづられ手厚く看護される。 一方フィンランドの狙撃兵・ヴェイッコは戦友らに大岩に鎖でつながれ置き去りにされてしまう。プロメテウスだ。ドイツの軍コートを着せてロシア人に狙い撃ちされる様にした上、見晴らしのいい所に置いてけぼり。ヴェイッコは大学生の身で戦争に招集されたが、あまりの平和主義者ゆえ戦友たちの大いなる怒りを買ったのである。知恵を総動員し数日間格闘したあげくヴェイッコは岩に打ち付けられていた釘を引き抜いた!。鎖をはずそうと彷徨っているうちにサーミ人のアンニの家に辿り着く。
 
アンニはフィンランドのサーミ(ラップ人)でありサーミ語しか話せない。ヴェイッコはフィンランド語、イワンはロシア語。3人はまったく言葉が通じない。しかもイワンは軍服からヴェイッコをドイツ人と思い込み(彼はドイツ語とフィンランド語の区別すらつかない)「ファシスト」とロシア語でののしるのである。
感想 結末もかすかに書いています。ご注意!
観客のみ3人の言っている事や考えている事がわかるという趣向の不思議な映画であった。どの言葉かは字幕がなかったら、またそれは味わい深い不思議な映画になっていたと思われる。わかり過ぎているより、わからない方が面白そうなのだ。しかし現実はそうもいかない・・・それはストレスが溜まる。
 
仕事で打合せしてると相手と利害が違い立つ瀬が異なるせいか、「??? ゆーてはる事がわからん。ちんぷんかんぷん」 「誰がそんな事ゆーたの? いつ?」 「何故にそう取るっ」 「わからない振りしてるだけか? 狸か?」 とまるでかみ合わない事がある。私って日本語しゃべってるよな。相手も日本語よね。タイ語でもベトナム語でもないよね。つきあってらんない、ああもう自分だけの世界に沈みたい。と、じっと相手の顔を見る事になる。
とまあ、同じ文化同じ言語を持っている相手にさえかくも意思の疎通は難しいのである。ストレスが溜まる。
 
この映画では登場人物3人はまったく言葉が通じない。しかも中のひとりロシア兵はドイツ嫌いと若い男への嫉妬からパラノイア気味。しかしロシア兵は厭戦気味の詩人でもあった。やさしい人なのだ。フィンランド兵はノー天気な争いを好まぬ男。「2ヶ月女にあっていない。どんな婆さんもお姫様に見える」状態でありながら男ふたりはアンニに襲いかからない。4年前に夫を招集されたきりのアンニの方が襲いかかる。アンニにとっては男ふたりは天からの授かりものだった。
そしてアンニは男二人にとって天女やったん。「ノーマンズ・ランド」と同じシチュエーションながらずい分と違う映画になっている。3人は「相手が何を考えているか?」などと無用な勘繰りをせずに(してもしゃーないから)、それぞれ自分に都合よく考えマイペースにある意味自然体で暮らす事になる。この単純な生活と大いなる自然がとてもいい。アンニが男二人が故郷に帰りたがっているのを察し、食料を持たせて返す姿があっぱれだ
 
会社に勤めてからでも日本の世はずい分変わった。女の人には生きやすくなったと思う。すくなくともアタシはそうだ。それでも昔の文化の方が良かった事もあったんだな。その良さは永遠に失ってしまったんだな、映画の中でしか感じられないんだなと思える映画であった。
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ディバージェンス 運命の交差点
2005年 香港 101分
監督 ベニー・チャン
脚本 アイヴィ・ホー
撮影 アンソニー・プン(HKSC)
キャスト アーロン・クォック(シュン)/イーキン・チェン(トウ「欲望の街・古惑仔」)/ダニエル・ウー(コーク「香港国際警察」))/アンジェリカ・リー(「the EYE」)/エリック・ツァン(チョイ「インファイナル・アフェア」)/ニン・チン(ティン「哀戀花火」)/ロー・ガーリョン(イウ)/サム・リー(レオン)
メモ 2006.6.9(金)晴れ ビッグステップ・シネマート心斎橋
あらすじ
香港警察の刑事シュンは10年前に消えた恋人を思い切る事が出来ない。時々白日夢を見る。先輩刑事(エリック・ツァン)からは「お前は死人だ」と言われるが、もう一度会って別れてやるまでは面影を追いかける日々。ところが張り込みの最中、彼女を目撃する。彼女はへたをうった黒い実業家イウの弁護士トウ(イーキン・チェン)の妻であった。彼女をストーカーしだすシュン。子供がふたりいる裕福で夫婦仲もよさげな幸せそうな家族であった。眺めているだけで幸せだ。
感想
凄腕のスナイパーがいて、黒い実業家のタレントの息子が失踪して、謎の連続殺人があってとごちゃごちゃ詰め込まれていた。それぞれからみあって必要なんはわかるねんけど、バランスがちと悪い印象が残るな。 ワイヤーを使った連続殺人の犯人と動機には唖然としたよ。ここ唖然とするとことちゃうねんよ。深く哀しむはずなのにな。黒い実業家のクレイジーなエピソードがきつすぎるのと、彼女がかわいいようなそうでないようなのがもうあとひとつ気持ちが乗り切れなかった理由ではないかと思われる。いや、違うな。「失踪」というのが恐ろしくて腰が少し引いてしまったんだ。(死んでいるかも生きているのかも何があったかもわからん。残酷過ぎ。)感情移入をきょひってしまった。
アクションはいい。「欲望の街・古惑仔」をまた見たい。スナイパーを追って高速道路を駆けるシーンは抜群にいいよ。
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