2005年8月の映画  戻る


メドゥーサ・タッチ−恐怖の魔力 The Medusa Touch

1978年 イギリス/フランス 105分
監督 ジャック・ゴールド
原作 ピーター・ヴァン・グリーナウェイ
脚本 ジョン・ブライリー
撮影 アーサー・イベットソン
音楽 マイケル・J・ルイス
特殊効果 ブライアン・ジョンソン
出演 リチャード・バートン(作家ジョン・モーラ)/リノ・ヴァンチュラ(刑事ブルネル)/リー・レミック(Dr.ソンフェルド)/ハリー・アンドリュース/アラン・バデル/マリー=クリスティーヌ・バロー/ジェレミー・ブレット
メモ 2005.8.28(日)晴れ DVD
あらすじ
大都会ロンドン、作家ジョン・モーラ(リチャード・バートン)は執拗に頭を連打され殺される。凶器はナポレオンの置物だ。担当の刑事はフランスから研修に来ているブルネル(リノ・ヴァンチュラ)。刑事は被害者の日記を読み、かかりつけの精神科医(リー・レミック)の元を訪れる。医者が言うには、彼には妄想があったという。幼少の頃のメイドの死、両親の事故死、教師の死はすべて自分のせいだというのだ。念じる事で災厄を起こす事ができる自分は、神が作りたもうた怪物メドゥーサのような人間なんだと言うのである。。
感想
ジョン・モーラは「破壊的な自分の能力」から救って欲しいと切望しながらも、罪悪感から絶望の淵に落ちていく。信心深い善男善女にさえ神は災厄をもたらす。そしてそれを悪魔のせいにする。自分は神のダーティな仕事をするために生み出された怪物なのか。。。。そうであるならば(神がそういう気であるなら)自分が死ぬときは世界が終わる時なのである。 アメリカやロシアや北朝鮮やらの指導者が死の床でこう思ったらこの世はどうなるのか? 現代にも通じる映画だ。四半世紀たっても何も変わっていない。綱渡りの世界。
 
最初はミステリやったのが、徐々にホラーに変わっていく。タワーに飛行機が激突するシーン、大聖堂崩壊のこの世の終わりかというシーン一見の価値あり。音楽がまたよいのよ。
お薦め度★★★1/2戻る

マジック MAGIC

1978年 アメリカ 107分
監督 リチャード・アッテンボロー
原作・脚本 ウィリアム・ゴールドマン(「マラソン・マン」「殺しの接吻」
撮影 ヴィクター・J・ケンパー
美術 テレンス・マーシュ
音楽 ジェリー・ゴールドスミス
出演 アンソニー・ホプキンス(コーキー/ファッツ)/アン=マーグレット(ペグ)/バージェス・メレディス(ベン・グリーン)/エド・ロ ーター(デューク「シービスケット」)
メモ 2005.8.20(土) DVD
あらすじ
いきなりねたばれご注意
病気の師に代わりクラブの舞台に立ったマジシャンのコーキー(アンソニー・ホプキンス)。客を引きつける事ができず無視され、舞台で怒鳴り 散らしてしまった。そんな彼に師は苦しい息の下から言う「何か工夫するんだ。自分で考えな。」。
コーキーの工夫は腹話術だった。人形のファッツのお喋りで客の視線を集め、見られていない方の手でマジックの種をちょこ。大うけに入った彼 にTVの仕事まで来る。彼の特集を組むというのだ。TV局は万一の事を慮りコーキーの健康診断を要求する。ところがなぜかコーキーは拒否する。 エージェントのベンが説得するが首を縦には振らない。しまいに失踪。故郷に帰り廃屋となった実家を眺め、初恋の人ペグ(アン・マーグレット)を 訪ねる。湖のそばのペグのボート小屋を借りて静かに暮らし始めた。彼は10代の頃には打ち明けられなかった恋心を、人形のファッツの力を借りて 告白する。人妻のペグは夫デュークとの結婚はうまくいっていないとこちらも打ち明けるという告白大会。10代に戻ったふたりはデュークの出張中 をいい事に純な恋人同士に。そんな所に突如エージェントのベンが現れた。
コーキーとファッツがお喋りどころか言い合いまでしているのをベンは見てしまった。そして言う。 「いつからなんだ?」
感想
腹話術師ってこういう風になりかねない所があるらしいね。二重人格というか人形が人格をもちだして本家が支配されてしまう。以前海外のサス ペンスドラマでもこの題材を見たことがあるな(どうやら「ミセス・コロンボ」やったみたい)。独り言もあぶないっていうね。 心の声を人形が代弁し、人形がダークな仕事し、そして元の人格を 脅す。それでも最後まで、たったひとりの友達なんだ。コーキーはファッツを選んだんやね。
長らく見たかった作品。余は満足じゃ。たぶん我孫子武丸の人形シリーズ(「人形はこたつで推理する」)はこの映画の影響を受けてると思うか ら。映画マニアの我孫子武丸だからな。つまりー、あのほのぼのしたー、コメディタッチの推理小説でさえ、「殺戮の病」とかに通じる物がある。
映画は人形のファッツが不気味でね。目、まゆげ、口、耳がうごく時よりも、動かない時の方が怖い。
  死体を湖に捨てに行くコーキーを窓から見張っているシーンなんか、とってもお奨め。