2005年1月の映画  戻る


レイクサイドマーダーケース

2004年 日本 118分 東宝
監督・脚本 青山真治
原作 東野圭吾
脚本 深沢正樹
出演 役所広司(並木俊介)/薬師丸ひろ子(並木美菜子)/牧野有紗(並木舞華)/柄本明(藤間智晴)/黒田福美(藤間一枝)/村田将平(藤間直人)/鶴見辰吾(関谷隆史)/杉田かおる(関谷靖子)/馬場誠(関谷拓也)/ 高階英理子(眞野裕子)/豊川悦司(津久見勝)
メモ 2005.1.27 梅田 三番街シネマ
あらすじ
「レイクサイド」
感想
舞台劇の様だった。謎解きミステリではないな。凝った舞台と俳優の演技。役所広司って間のとり方がうまい役者さんなんだな。柄本明と豊川悦治がさすが。
 
point of no returnを過ぎた状態での役所と柄本のやりとり。
 (役所)「そこまでやる必要があるんですか」
    (柄本)「そこまでとはどこまでですか、どこからが要らないんですか」
ブラックユーモアとはこういうのを言うのではなかろか。。 
 
薬師丸ひろ子のこちとらびっくりするような純真さ、杉田かおるの世慣れた蓮っ葉さ、黒田福美の良妻賢母。凝縮された内容だった。原作と比べ話は単純になっているが遜色ないと思う。特に夜の湖が恐ろしい。 オカルト多少入っております。青山監督が現場に持っていったビデオが「ワイルド・アット・ハート(デヴィット・リンチ)」 「「ホワット ライズ ビニーズ(ロバート・ゼメキス)」 「ギフト(サム・ライミ)」 「エヴァの匂い(ジョセフ・ロージー)」だったそうです。なるほど。 愛だよ愛、先が見えないけれど突き進むしかない>「ワイルド・アット・ハート」 水、水、水の「ホワット ライズ ビニーズ」、未来が見える>「ギフト」、男を滅ぼす女>「エヴァの匂い」かな。
 
原作とは違い、義理の子供は女の子であった。映像的に映えるからか、義父がめろめろになれるからかは不明である。と言うわけで男同士の連帯感ってのは抜け落ちた。息子の健気な思いも。女の子をお受験させるってのは、見ている方に結構難しい問題を与えるのである。 結局娘をどういう大人にしたいわけ? という疑問がわき男の子ほど単純に見えてこないんだな。手厚く教育してくれる学校でよい学園生活を送り、よい夫をゲットし、黒田福美のような よき妻、よき母をめざしているのか(しかし、、、、国公立という税金を使った大学を出て専業主婦ってどうよ)、医者か国家公務員にしたいのか。母親は自分と同じような幸せな人生を歩ませたいのか、ぜんぜん違う独り立ちできる経済力をつけさせたいのか。医者や国家公務員というのは苦労の多い仕事ではなかろか。苦労させたいのか?
おすすめ度★★★★
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銀のエンゼル

2004年 日本 110分 
監督・原案 鈴井貴之(「水曜どうでしょう」「river」)
出演 小日向文世・こひなたふみよ(オーナー・北島昇一)/西島秀俊(店員・佐藤)/佐藤めぐみ(北島由希)/大泉洋(運送屋・ロッキー)/浅田美代子(北島佐和子)/嶋田久作(警官)/山口もえ(スナックママ・明美)/辻本祐樹(中川)/村上ショージ
メモ 2005.1.20 梅田シネ・リーブス
あらすじ
北海道の国道沿いにぽつんとローソンがある。夜勤を担当している店長の佐和子は働き者だ。夫でオーナーの昇一は昼勤だがいまいち商売に身が入っていない。町のみんなに頼まれてコンビニを開いたもんのいまだ農業に未練があり、トラクターも大事にしまってある。ひとり娘の由希は高3、難しい年頃だ。中年でさえない親父さんに容赦がない。そこへ降ってわいた災難。佐和子が交通事故で全治三ヶ月! 「今まで働きすぎだったの。病院でゆっくりさせてもらうわ。」と鷹揚に構えている佐和子と反対に、昇一は頭をかかえていた。夜勤もしなければならず寝る間がないのだ。しかも10年ぶりに町に帰ってきてスナックを開いている明美に「由希ちゃん東京の大学に行くんでしょ? お店のお客さんが『昇一がよく出すなあ』って話してた。」と告げられる始末。寝耳に水とはこれのこと。店員の佐藤に「佐藤君、、、、由希が東京の大学に進みたいって知っていた?」と問えば、あっさり「知ってましたよ。」 病院の妻に問えば「知ってたわよ。」・・・・・知らなかったのは俺だけかよーと大きなショックを受けるのである。
 
「銀のエンゼル」とは森永チョコボールのキョロちゃんのクチバシの事。5枚そろえてお菓子の缶詰を貰うところまでなっかなか届かない事から、夢や幸せも簡単には手に入らないという事を意味しているそうな。
 
感想
ちょっと映画「テオレマ」のようだったな。あんな悲惨な話ではないんやけどね。ふらっとやってきたエンゼルが一歩踏み出せず迷っている昇一、由希、明美の3人に「自分の道は自分で決めろよ。」と示し去っていく。そのエンゼルは謎の店員・佐藤。優しいようなクールなような不思議な雰囲気の持ち主だった。声が森本レオにちょっと似ていて淡々としている(素敵だという事だ)。
 
都会で働いていると「自分の替えは、いつでもどこにでもいるねん。」という冷めた気持ちがどこかにある。地方だとひとりひとりが、なくてはならない役割を背負っているんじゃないかな。そんな気がしたな。
 
この映画を見て品揃えの多いコンビニの合理的な運営がおもしろそうと思い、会社で「55歳になったら早期退職して、コンビニで深夜に働くのもいいかなー(深夜勤やったら雇ってもらえそうー)」と話をしたら、みんなから「強盗に襲われたらどーする! やめとき!」とあっさりこてんぱんに言われやした。
おすすめ度★★★★
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