しかし圧倒的な存在感を見せつけるのは第一講の数理学科助教授の
増田米尊(ますだよねたか)。増田は「世の中のあらゆる事象を数学的に解き明かしたい」という野望を持っているアブノーマルでありメタモルフィックな
変態である。常識的には変質者に近いかもしれん。フィールドワークを最重視するという異端の数学者であり、助手の宮崎相手に「若い女性の性行動のパターン」を自慢げに解析しているシーンに(○_○;)。・・・・・
「研究のためだ。きっと三浦くんもわかってくれるだろう。」
「宮崎くん、(相手の男が誰か)気になるかね。ではちょっと想像してみようじゃないか」
おすすめ度★★★★1/2
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システム障害は何故起きたか−みずほの教訓
2002年 日経コンピュータ編 日経BP社 190頁
あらすじ
2002年4月合併直後に発生したみずほ銀行のシステム障害を追跡し2002年5月30日に緊急出版した書。第一部はみずほフィナンシャルグループの情報システム障害を徹底検証。第二部は他銀行の情報システム統合の奮闘を追ったルポルタージュ。第三部はみずほの事例から学ぶ教訓という三部構成になっている。
感想
最大250万件の口座振替未処理を起こした直接の原因はプログラムの不具合とテスト不足であった。
口座振替処理ではなく、突貫工事で作った旧3行へのデータ振り分け処理で障害が起こる。そうか。末の末の末席にいるさぼてんでも想像のつく障害だったのである。一見単純であるが繰り返しテストをしなければならない奥が深い処理だと思う。データのフォーマットが各顧客(東京電力、ガス)によって異なっていたためそれぞれ対応するプログラムが必要だったのだ。
諸悪の根源と日経コンピュータが断じているのは
経営トップ旧3行の頭取。システム統合を現場任せにした情報システムオンチは罪が深い。現場任せにしたら「宴会ではグループ企業のピールしか飲まない」と言われるほど縄張り意識の強い銀行とその後ろに控えているコンピュータメーカー(富士通、IBM、日立)の争いになるに決まっている。誰が考えても。特に第一勧業銀行は各委員会に旧第一銀行と旧勧業銀行出身者を組にして送り込む事が多かったらしく興銀と富士の出席者を驚かしたらしい。一説では「四行合併」というらしい。
日経コンピュータはみずほ銀行のみならず
「日本の情報システムは危機に瀕している」という。
たとえば銀行の勘定系システムは世界に例がないほど複雑かつ巨大らしい。ATMでどこの銀行へも瞬時に送金でき、しかも口座から自動振替できる。通帳まで出てくる。都市銀行で一億ラインと言われるシステムは(ラインっていうのは一行ね。IF you are NEO ?というので一行)、一人のエンジニアが開発できるプログラムを月に500ライン〜800ラインとすると、単純計算で千人のエンジニアが10年開発して出来上がる数値なのだ。このいたれりつくせりのシステムのためによりいっそう危機がつのる。IT技術とやらがいくら進もうがいまだプログラムは手作りなのだ。しかしそのシステムをお守りする、また新たに作り変えるだけの実力のある後継者がさほど育っていない(この不況の中大規模なシステム開発がない「失われた10年間」)。そして経営トップが情報システムにさほど感心がない。IT技術を魔法の杖と思いこんでいる。
読んでいて(わが身にとっても)経営者トップにむかむかするが、よく18日間で復旧したものだと思う。現場の人たちはえらい。こういう人たちが日本を支えているのだな。
経営トップがはたしてこの本を読んでいるのだろうか?「情報システムの問題のかなりが経営(マネジメント)の問題であって技術の問題ではない。」である。重役でもある部門長は読んでないな。いまだに「IT技術を使って経営を動かす(反対だと思うが)」なんて事ばかり言っているもんな。最近は「若手のリーダーを育成する」なんてていよく言って「丸投げの王子様」状態。来年は異動濃厚のため「後はまかせたー(道は作った。<これみんな言うネ)」って感じ。