高島郡朽木村小入谷 カキツバタの群生する湿地

根来坂峠を下った朽木村小入谷にある広さ約300uの湿地には、およそ1000株のカキツバタが生育している。もともと水田として耕作されていたが、過疎化の進行とともに放棄されると、付近に自生していたカキツバタが増え、今ではすっかり自然の湿原となった。自然観察ゾーンとして湿原を散策できるよう木道が整備されている。鯖街道を往く人々の目を楽しませてくれたカキツバタだ。

アヤメ

伊吹山三合目のアヤメ

標高七五〇−八〇〇bの伊吹山三合目一帯の植物観察ゾーンでは、6月上旬頃よりアヤメが咲き競う。平地で咲くアヤメは背丈が30a以上あるが、伊吹山のアヤメは平地より背丈が低く15〜20aとこぶり。梅雨の時期で登山者は少なく、意外と知られていない。植栽されたものではない、アヤメはもともと山の植物だ。

ハナショウブ

高島郡新旭町藁園 新旭風車村のハナショウブ園

日本で園芸品種として改良された植物で、元はノハナショウブ。色彩、花形ともに変化に富み、日本独特の観賞用園芸品種である。新旭のハナショウブ園は風車村の西側およそ3.8haに約250品種30万株が群がる。園内には3基の風車が回り、レストラン、宿泊施設もある。

カキツバタ

高島郡今津町深清水

琵琶湖北西部の箱館山北面にある(たいら)池では六月の初めから中旬にかけて約一万本の野生のカキツバタが湿原を青紫に彩る。平池は処女湖へと通ずる酒波(さなみ)谷林道の脇にあり、標高約400メートルである。家族旅行村ビラデスト今津のオープンにともなって酒波谷林道が整備され、平池へは行き易くなった。平池は周りを杉やクマシデなどの濃い緑樹で囲まれており、カキツバタがよく生える。また、平池はモリアオガエルの生息地でもあり、このシーズンには木に産み付けられたずらりとならんだ白い卵隗を見る。ビラデスト今津のできる前は、未舗装で、整備もされていない林道だったため、ほとんど訪れる人もいない平池だったが、今は林道も整備され、また旅行村もできたことから、カキツバタシーズンは池の周りに人垣ができるほどカキツバタの名所となった。ビラデスト今津の周辺は自然をうまく残した散歩道があり、植物観察には最適だ。


1月
2月
3月
4月
6月
7月

8月

9月
10月
11月
12月
5月
アヤメ

 

 

 

 

 世阿弥の謡曲「杜若」は杜若の精が艶やかで、美しい舞を披露しますが、この中に「似たり似たり杜若(カキツバタ)花菖蒲(ハナアヤメ)」というくだりがあります。このくだりが、優劣きめがたいことのたとえ「いずれアヤメかカキツバタ」になりました。ショウブ、アヤメ、カキツバタ、ハナショウブはいずれも剣状の葉を持っています。ショウブはサトイモ科に分類され、小さい花が穂状に集まるだけで、花を見ればアヤメなどと間違えることはありません。一方、アヤメ、カキツバタ、ハナショウブはアヤメ科で、花もよく似ています。
  万葉の時代、ショウブをアヤメグサと呼び、アヤメをハナアヤメと呼びました。また、ショウブの漢名を菖蒲にしたことからますます混乱が生じました。

   



 

 

サトイモ科

ショウブ
 水のあるところ、土手、岸に咲く。花は小さく、穂状に集まる。万葉時代はアヤメグサと呼んだ。

アヤメ科

アヤメ
 山野、野原を好む。余り水があると育たない。花びらの付け根のところが「文目(あやめ)格子」になっている。花の色は紫。

カキツバタ
 水辺を好む。花びらの付け根が白。花の色は紫。

ノハナショウブ
  湿地、全く水のない林の中や路傍でも見る。花びらの付け根に黄色の筋がはいっている。この花を元に庭園鑑賞園芸種としてかいりょうされたのがハナショウブ。花の色は赤紫。

キショウブ
  ヨーロッパ原産で、明治時代に渡来し、現在日本全土の湿地に分布する。花は鮮黄色。