蒲生郡日野町鎌掛(かいがけ)正法寺
寺の開祖普存禅師が京より持ち帰った苗木が成長した。樹齢300年。
犬上郡甲良町八幡神社
藤堂高虎の産土神。藤堂家初祖三河守景盛が石清水八幡宮を勧請し、創建の折 持ち帰った藤。5月中頃「藤の花切り」がおこなわれ配られる。
草津市志那町 三大神社
藤原氏の隆盛を記念して植樹されたが、織田信長の兵火により焼失した。そのごっ再生し、次第に繁茂した。今は保存会ができ歴史ある藤を世話している。
ライトアップされた藤。花房の先端が滝のように光る。
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 フジは日本特産の植物。マメ科フジ属の蔓性落葉木本でフジとヤマフジの二種類がある。フジの花序は多数の蝶形花があつまって長く垂れ下がり、長いものは2メートルにも達するという。花序の長さでは滋賀県は草津市志那町三大神社境内にあるフジがよく知られている。垂れ下がった花序の上から下へ順に咲いていく。日本全土の山野に自生し、また庭木として植えられている。蔓はよく伸び、右巻きで、庭木ではフジ棚で栽培し、野生のフジは他の木に巻きつく。摂津の国野田のフジは豊臣秀吉も見物に訪れた名所で、この地名からノダフジとも言う。藤の字をあてる。ヤマフジの蔓は左巻きで、花序もフジにくらべて短く20から30cm程度で、花はいっせいに開く。
 
「万葉集」「枕草子」「源氏物語」をはじめ、多くの古典にでてくるフジはヤマフジではなくフジである。紫色を藤色ともいい、フジが身近な花だったことを語っている。藤というのは繊維が非常に丈夫で、『万葉集』にこの藤で作った藤布が歌われている。また藤ではヤマモモのような色合いに染まる。
「春日野の藤は散りにて何をかも御狩の人の折りて
挿頭(かざさん)さむ」(『万葉集』巻10−1974)と詠まれているように藤の花を頭に挿す習慣があった。藤を挿頭(かざし)するしきたりは「葵祭り」や、春日神社の若宮御祭りでも見られ(両者とも季節がら造花を使用)、藤の花の持つ霊力にあやかろうとする呪術性が感じられる。
藤原氏の氏神である春日大社のある春日山にも藤は多く、姓に藤の字を持つ佐藤、工藤などの家紋は藤だが、天智天皇より藤の生える地にちなんで藤原の姓を授けられた本家藤原の家紋は訳あってボタンである。