ソリタリーウェーブ

   [Solitary Wave] 一般にはソリトンと呼ばれることが多い。日本語では「孤立波」と呼ばれる。
   ソリトンすなわちソリタリーウェーブとはエネルギィが集中し、形を変える事なく伝播する波のこと。ソリトンは我々でも簡単な実験で目にすることができる。縄の一方の端を持ち、波打つように振るとその波の形が縄のもう一方の端まで伝わっていく。いささか簡単ではあるが、これがソリトンと呼ばれるものである。
   ソリトンの代表的な例として津波が挙げられる。南米チリ沖で発生した地震により生じた波が、太平洋を横断して日本列島にまで達し、津波となって太平洋岸一帯に被害をもたらすことがある。この例からわかるように、ソリトンとは究めてエネルギィ伝播効率が良い波であり、更にそのエネルギィはごく狭い範囲に集中するので、エネルギィ密度は必然的に大きなものとなる。
   マイクサウンダースナンバーが誇るディスクXはこのソリタリーウェーブを音楽にのせソリタリーウェーブライザーより目標に対して放射、固有振動数を同調させてその物質のみを破壊する。音楽の届くところならばたとえ視認の範囲外であろうと有効であるうえ、きわめて広範囲にも放射が可能である。
   固有振動数とは外側からかけられる力のない、その物体にとって自然な周期の振動、揺れのことを言う。外側から力(エネルギィ)を加える周期がこの固有振動数に近いものであればあるほど、力はより効果的に伝わり、揺れ幅は大きくなる。更に外側からの力を加える周期を物体の固有振動数と完全に同調させると、共鳴(共振)が発生し、エネルギィが最も効率よく伝播される。
   しかし、このように物体に力を加えても、その物体は一様に揺れるわけではない。部分部分によりその揺れは異なり、したがって力はどこか一部に集中することになる。そのような状態で振動が繰り返されれば、その力が物体を破壊するほど強いものでなくとも、その物体が破壊されてしまうことがある。これは疲労破壊と呼ばれ、その物体の強度に比べ、加える力が比較的弱くても、その物体を破壊することができる。
   ディスクXは以上のような原理をもって特定の物体に対して、選択的に疲労破壊を誘発する脅威の兵器なのである。獅子王雷牙博士の言葉に在るように「分子構造さえ把握しておけばこの攻撃で破壊できない物質は理論上存在しない」。
 だが、恐るべき性質を誇るソリタリーウェーブも無敵というわけではない。エネルギィの波、すなわち振動であるがゆえの防御手段が存在する。振動による相殺である。ソリタリーウェーブ、とりわけマイクサウンダースが放つそれはきわめて狭い範囲に発生する。それゆえに防御側から同様に(周波数は同調させなくてもよい)エネルギィ振動を発生させれば水面の生じた波がぶつかり合って打ち消されるようにソリタリーウェーブは無効化され、無効化されないまでも振動を乱され効果を著しく失ってしまう。また防御側から発したエネルギィ振動がきわめて強いものであった場合、ソリタリーウェーブはかき消され逆に防御側の発したエネルギィ衝撃波がマイクを襲うことになる。Zマスターザ・パワーとこの方式を用いて重力レンズによって収束されたソリタリーウェーブを無効化し、同時にマイクサウンダースナンバーを壊滅させることに成功している。