『S−Report』   11/15号   OSはどうする Linux  −  もうパソコンはいらない!?(3)   コンピュータウィルス警報

 
このところパソコンの新しいOSが登場しています。アップルのマッキントッシュでもOSX(ver10.1)がリリースされマイクロソフトのウインドウズの最新版であるWindows XPも11月16日に発売 になります。
  (もちろん既にWindows XPがプリインストールされたパソコンは販売されています。)

 さて、前回はワープロなどの「パソコンで使うソフト」である「アプリケー ション」のお話でしたが、今回は「パソコンを動かすためのソフト」である 「OS」のお話です。 OSX(ver10.1)もWindows XPも共に最新のテクノロジーを導入し、新型CPUのパワーを有効に使うものです。また、プロードバンドに対応し今までより早くネットにアクセスでき、動き遅くなる原因であるシステムリソース不足を解決するものです。

 米Microsoftは、10月25日に発売された最新OSのWindowsXPが、2週間で700万本以上の売上げを達成したことを発表した。  
  http://pcweb.mycom.co.jp/news/2001/11/12/25.html

 これなら日本でもユーザーはすぐに導入するでしょうか。

 はっきり言ってOSのアップグレードは「危険がいっぱい」です。インストールに失敗して「泥沼状態」に陥らないためにも、自分が使っているハードソフトがWindows XPで問題なく動くのか、事前の徹底した情報収集を行ったうえでインストール作業に臨んでください。それでは、皆さんのアップ グレード成功をお祈りしています。
「特集2 Windows XP導入ガイド」 日経バソコン11月12日号  

  登場以来、最大のバージョンアップを予定しているWindowsだが、はたしてユーザーはすんなりと乗り換えてくれるのだろうか? Windowsは95でその地位を確立したといってもいいのだが、その後のバージョンにおいてはア ップグレードしないユーザーが増えつつある。1つには、アップグレードする 理由がないアップグレードが困難なハードウェアである、アップグレードが うまくいかない可能性もあるといったことが理由らしい。 (中略)
 こうした状況を考えると、ここでWindows XP、Office XPに移行しないユーザーがかなり増える可能性もある。だとすると、業界全体の構造が少し変わってくるのではないだろうか。Windows関連市場では、WindowsやOffice がバージョンアップすると市場全体が対応して移行していた。いまでは、Windows95やOffice95を入手することも困難だし、Windows 95をサポートしない周辺装置なども多い。アップグレードしないユーザーが増え、一定以上の数になったとき、業界全体としては、旧バージョンも引き続き対応せ ざるを得なくなるだろう。
「XPに移行する? しない?」 塩田紳二
 http://linux.ascii24.com/linux/news/column/104/2001/05/12/625986-000.html

 「もうパソコンはいらない!?(1)」(10/18号)で「普通の商品では別に最新式でなくてもいいものが多いです。ではなぜパソコンだけに最新を求める のか。そしてハードと同じように、OSやソフトも最新のものでなければならな いかということです。」 と書きましたが、このようにはっきりとしたメリットが なければもう誰もパソコンメーカーやソフトベンターの目論見通り新しいOS に移行しないということです。
  さて「StarSuite 6.0」(「もうパソコンはいらない!?(2)」11/1号)を無料で提供しているサン・マイクロシステムズはこのOSも

 サン・マイクロシステムズが、同社の最新UNIXである「Solaris8」を発表した。 (中略)だが、最大の特徴は、なんといっても、このOSが無償で提供されるとい う点にほかならない。同社の発表によると、今回のSolaris8では、ソースコード をオープンにするとともに、8CPUシステムまでのバイナリ・エンド・ユーザー・ラ イセンスを無償にするというものだ。同様にUNIXを母体としているLinuxが無 償で配布されているだけに、Solarisも同じ道を歩まざるを得ないともいえるが、メーカーがしっかりと保証した上で、無償で提供するというのは、Linux以上にインパクトがある。しかも、8CPUまでの重厚なサーバー環境においても無償で配布するのだから驚きだ。(中略) さて、話を戻そう。それではなぜサン・マイクロシステムズは、マイクロソフトには不可能な、OSおよびオフィススイートソフトの無償提供ができるのだろうか。 急速に拡大するインターネット市場で、まずは市場シェアを確保することを狙っ た先行投資なのだろうか。いや、そうではない。実は、サン・マイクロシステムズ は、ソフトウェアで利益を得なくても成り立つ体質がすでに出来上がっているのだ。
「なぜサンは最新OS「Solaris8」を無償提供できるのか? 」  http://pcweb.mycom.co.jp/column/gyokai/gyokai115.html

  こればかりではありません。「Linux(リナックス)」というOSもまた広く無料で使 われてます。

 (Linuxとは)ヘルシンキ大学のLinus B. Torvalds氏により、i386以上を搭載し たPC互換機をターゲットプラットフォームとして、スクラッチ(何もない状態)から開発されたUNIXクローンOS。DEC AlphaなどのIntel以外のプラットフォームへの移植も行なわれている。(中略) なお、Linuxとして開発されているのはカーネルなどの基本的な部分だけであり、 シェルや各種コマンドなどのユーザー環境は、Internetで公開されているフリーソフトウェアが使われている(その多くはGNUから配布されているもの)。
 そのため、 Linuxカーネルと各種コマンド、エディタ、コンパイラ、ウィンドウシステムなどをまとめたパッケージが、複数のディストリビュータからリリースされている。
 主なLinux ディストリビューションパッケージとしては、「Redhat」、「Slackware」、「Debian」、 「TurboLinux」、「Vine」、「S.U.S.E」などがある。
 Macintosh用としては、OSF(オープンソフトウェア財団)とAppleの共同作業によるPower Macintosh用のMkLinux、急速に普及しつつあるLinuxPPCがある。
 「アスキー デジタル用語辞典」

 これ以外でもやはりUNIX系のFreeBSDというOSもLinuxと同じようにまた広く無料で使われてます。
 米 University of California at Berkeley(UCB:カリフォルニア大学バークレイ校) のWilliam/Lynne Jolitz夫妻を中心に、BSD版UNIXのNET/2リリースをベースに、i386以上のCPUを搭載したPC互換機対応版として開発されたBSD系UNIXからさ らに派生した、AT&TのライセンスからフリーなBSD系UNIX OSの1種。               
 「アスキー デジタル用語辞典」

 このようにUNIXというコンピュータ汎用OSから派生したSolaris・FreeBSD、または互換性を持つOSであるLinuxは無料、廉価であるばかりでなくパソコンが最新のスペックでなくてもそのアプリケーションは充分に動きます。そのため、リサイクルパソコンばかりでなく、パソコンメーカーがWindowsの替わりに新製品のパソコンに搭載を始めています。
 さらに、これらのOSやアプリケーションは「ソースコードをオープン」にしています。 これは簡単に言うとユーザーが使いやすいように改造できるということです。つまり、今までのお仕着せのものとは違ってユーザーが使いやすいように使えるものになるということです。

 Linuxを低価格で販売しているソフトベンダーのパッケージには必要なアプリケーションがいっしょになっており、Microsoft Officesを始めとするアプリケーションと 同じ仕事が出来ます。
 だから、前回取り上げた「StarSuite 6.0」(「StarOffice 6.0 BetaSoftware」)やこれらのLinux・FreeBSD・Solarisの普及によって欧米などでは “Windows + Microsoft Office”から“Linux + StarSuite 6.0+etc”“Solaris+ StarSuite 6.0”への移行が進んでいます。

 「Windowsユーザーに警告」(8/23号)でも指摘しましたようにソフト特にマイクロソ フトの商品はユーザー満足度で言えば評価の対象にすらないものです。このような 状況でOSを独占していることで成長してきたマイクロソフトがその優位性を失うと同 時にソフトベンダー(メーカー)の地位も危うくする可能性もあります。

 そして、重要なことはマイクロソフトに限らず、このようなユーザー志向のOSやアプ リケーションの普及によってメーカーやソフトベンダー(メーカー)の言うとおりにOSやアプリケーションをユーザーが更新するという今までのビジネスが成り立たなくなりつ つあるということです。

 ここまでで既存のメーカーやソフトベンダーが勝手に作っている「今までのパソコン はもういらない」というお話は終わります。これからは「パソコン」という形態のマシン自体がその役割を終えて次の形態に移行 しつつあるという意味での「もうパソコンはいらない!?」についてのお話になります。
        
 OSの紹介


 Linux MLD mini 

 Linuxには上記の様に複数のディストリビューション(バッケージ)がありますがこれらはWindowsほどではないですが旧型のパソコンで使うのには無理があります。
 このLinux MLD miniはその中でも旧型パソコンや最小のスペックのパソコンでも軽快に動きます。

Linux MLD mini  正式名称:Linux Media Lab. Distribution mini  

分   類:OS(オペレーティングシステム)
動作環境:AT互換機(Windows95/98/Me/NT/2000搭載機)  
発 売 元:メディアラボ株式会社  
価   格:3,000円(税込)
発 売 日:2001年 7月 24日

 http://www.mlb.co.jp/linux/mini/

 Linux MLD miniはノートPCからデスクトップPCまで、また旧型から最新型PCまでなるべく多くの機種にインストールできることを目標にしています。このため最新のカーネル、X Window System、vesafbを採用して、 Xの起動までを自動化します。同時に小さなディスクのノートPCや、Pentium 166MHzマシンでも快適に動作できるよう、10 0MBを目標に、コンパクトで高速なディストリビューションを目指しています。

 コンピューターウイルス警報


  以前警告した「Nimda」の亜種が猛威を振るってます。このウイ ルスは10月29日に最初に出現していますので、それ以降にワク チンソフトの定義ファイルを更新していないと発見できないことがあります。
 各ワクチンベンダーのWebサイトを参照して、最新のウイルス定義ファイルに更新してください。

 また、最近出現した新種ウイルス「W32/Klez」はInternetExplorer の既知のセキュリティホールを悪用したウイルスでメールの添付ファイルを介して感染を拡げます。このウイルスが添付されたメールを受け取るとOutlookではメールを開いただけでOutlookExpressではプレビューしただけでも感染しますので注意してください。

 これらの影響を受けるコンピュータはマイクロソフト社のInternet ExplorerとOutlook/OutlookExpressを使用している「Windowsパソコ ン」です。
 「ホームユーザー向け セキュリティ対策 早わかりガイド」マイクロソフト社のページを参考にしてください。
  http://www.microsoft.com/japan/enable/products/security/  

 Outlookユーザーは他のウィルスとの関連もあるので「Outlook E-mail Security Update」は必ず実施してください。(但し、内容を理解の上、自己責任において実施してください。)

 また、コンピューターウイルス対策の基本的なことは「ネットワーク セキュリティ」(6/14号)及び情報処理振興事業協会セキュリティセ ンターの情報をご参照ください。
  http://www.ipa.go.jp/security/


 迷惑メール警報


 以前取リ上げた携帯電話の迷惑メールですが、NTTドコモは迷惑メ ールの受信ブロックを今月13日から開始しました。これにより宛先が 不明なものを大量に含むメールをiモードセンターにおいて一括して受 信しないため、迷惑メールが契約者に届きにくくなります。
 ただし、発信者があなたのメールアドレスを入手している場合はこのシステムでは防げません。この場合は下記のサイトをご参考の上対策 をとられることをお勧めします。

 NTTドコモ  http://www.nttdocomo.co.jp/

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