『S−Report』   10/18号   マンガはただ!? − 紙の本、電子の本(6)

 
 出版不況がいわれて久しいですが、マンガだけが売れているという感じですが。
 
 実際、マンガは全書籍・雑誌の実売シェアの約40%程度を占めており、今や出版の中心的地位にいます。1990年代前半までマンガの成長は大きく伸び、94年末に「週刊少年ジャンプ」が公 称653万部という記録を達成しました。しかし、95年にはマンガ単 行本の総販売金額が初めて前年を下回ました。
 それ以来マンガの成長の時代が終りここ数年はマンガ単行本も雑誌も総発行部数、販売金額とも前年実績割れが続いてます。事実、先ほどの「週刊少年ジャンプ」は現在では300万部台となっています。

 中高生の放課後や自宅での時間の過ごし方は、「テレビを見 る」「雑誌やマンガを読む」「CDやテープで音楽を聞く」「電話(携帯電話やPHSをふくむ)で話す」「新聞を読む」などが上位で多く、 「本を読む」は7位だった。「本を読む時間」は中、高生ともに「30 分未満」が一番多く、中学生は約3割、高校生は2割だった。
 一方、「本を読まない」中学生は約5割、高校生は6割もいた。「雑誌やマンガを読む」時間は中、高生ともに3割以上が「30分〜1 時間未満」だった。音楽を3時間以上聞く高校生は13%おり、「読書はしないが、音楽を聞いたり雑誌を読んだりはする」という中、高生の生活がうかがえる。 「学校読書調査」(毎日新聞)より

  もちろん、子供だけがマンガの読者ではなく幅広い層に読まれていますが、少年マンガに限らずマンガの購買層の主力は子供 から若者層です。マンガが売れなくなった原因はいろいろと言われています。
 まず、ゲームの発達によってマンガの受けた影響は大きいです。 90年代前半までゲームをマンガ化するメディアミックスが盛んに行われマンガとゲームは共存してきました。しかし、現在は子供から若者層にとってマンガはいくつかあるもののひとつになってしまっています。(「あそびの現在」5/10号)
 次に、ブームを超えて定着しつつあるマンガ喫茶の存在もあります。マンガの読者は手元に置いておきたいマンガだけを「新古書店」 で買い、それ以外はマンガ喫茶で読むという使い分けができています。
 そして、その「新古書店」や図書館の影響は非常に大きいです。「新古書店」とは従来の古書店とは違い、希少価値のある古書を ほとんど扱わず、近刊のマンガ単行本や文庫、ベストセラーを中心に安売りする「ブックオフ」などのリサイクル書店のことです。売値は定価の半額程度で本はきれいなので、マンガの読者は新刊書店より先に新古書店を探す傾向にあります。
 今後はブロードバンドの普及に伴いうインターネットの影響も大き くなるでしょう。日本のインターネット人口のうち相当の部分がマンガの購買層と重なり、その時間をネットに使う分だけマンガを読む時間が減少する可能性があります。

 しかし、重要なことはこのことはマンガが「売れなくなった」のであって「読まれなくなった」のではないということです。これはもちろん仮説ですが「売れなくなった」ことは出版各社のマンガの公称部数はもちろん、日本ABC協会「公査レポート」の部数であっても販売(購買部数)は年々下がっています。
 1955年からの「学校読書調査」(毎日新聞)の近年の結果は、年々ワースト記録を塗り替えています。総務省や文部科学省の生活時間調査では「マンガを読む時間」についての継続調査はありますが、そのマンガが購入して読まれたのか買わないでまたは立ち読みで読まれたのか区別はありません。
 つまり、マンガが売れなくなった統計はあっても、読まれている時間 が減ったという統計は無いのでわかりません。

 「マンガが売れなくなった理由」(上記の理由以外では)はコンビ二にマンガが置かれたことにあるのではないでしょうか。
 まず、コンビ二の普及により立ち読みが増え雑誌を買わなくなったことは確かです。そして、他の雑誌も立ち読みされますがマンガの性質上立ち読みですまされることが多いもの事実です。
 現在書店の数よりコンビ二の数ははるかに多くコンビニは旧来の書店とは異なり立ち読みをある程度許容しています。これは立ち読み目的で来店する顧客がだいたい他の物を購入するという統計が出て以来コンビ二では「立ち読みの許容」を内規としているからです。
 アニメについては大半はテレビで見られておりただで見られており、その収益はアニメとタイアップしているおもちゃメーカーなどのスポンサー料です。(アニメ映画はジブリアニメを除けばテレビでヒットして映画化されるのが通常です。ここではOVAを除きます。)
 マンガは雑誌はコンビ二で立ち読み、マンガ単行本はマンガ喫茶で読み、気に入ったものは「新古書店」「リサイクル書店」で買うという図式が考えられます。

 ここで、重要なのはアニメはテレビでただで見るよう、マンガはただで読むものになってきていることです。今後ますますこの傾向は激しくなってくるのでこのことを前提に考えなくてはならないでしょう。


 サイトの紹介


 もはや、古書店でも手に入らないマンガを見たい方に。

 「レトロマンガ館」
  http://www.books-sanseido.co.jp/manga_retro.html

 レトロマンガ館へようこそ
 当館では昭和20年代から40年代に子供たちを夢中にさせたなつかしのマンガ雑誌を復刻、購読いただきます。

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