『S−Report』   9/27号   WORLD PC EXPO 2001 −ユビキタスネットワーク−                    

 
 秋にはいろいろなトレンドショーが開催されます。目的の展示を探し見てまわり資料を収集して大変ですよね。

 9月19日(水)から22日(土)に幕張メッセで開催されたWORLD PC EXPO 2001では会場からのストリーミグ放送やネット上のビデオ放送があり、それらと併せて出展各社のサイトに見れば行 かなくてもいろいろな情報が分かります。
 これらは下記のサイトで見れます。
  biztech World PC Expo 2001    http://biztech.nikkeibp.co.jp/biztech/st2/
  WORLD PC EXPO 2001 Report  http://www.zdnet.co.jp/news/special/worldexpo2001.html           
                       http://ascii24.com/news/specials/article/2001/09/22/629847-000.html
ということで、今回のレポートは終わりです。
 というわけにもいきません。既に公開された情報だけで現場を確認もしないのではほんとのことはわかりません。

 今回の「ブロードバンド社会を拓く─Big“E”への挑戦」のテーマのもとでの今回の主なポイントは下記の通りです。

 ・Windows XP - 11月16日発売のマイクロソフトのブロードバンド対応の新OS。
 ・次世代携帯電話 - NTT DoCoMoの「FOMA」などの高速通信ができる携帯電話。
 ・デジタルカメラ- 高機能・コンパクト化、低価格化なが進んで特色のある商品。
 ・ブロードバンド - ADSL・CATV・光ファイバによる広帯域常時接続サービス。
 ・無線通信 - 無線LANやBluetoothの他にも次世代無線LAN54Mbps規格。
 ・情報家電 - エアコン、テレビ、冷蔵庫などの家電のネットワーク。
 ・新動向 - ユビキタス・コンピューティング・LinuxPDA・ネットワークゲーム
 ・海外出展社- 中国、ヨーロッパの各社が活発に展開。

 どれも今まで『S−Report』触れてきた重要で最新のアイテムばかりですが、今回はホームネットワークの中核になるホームサーバについてです。

 近い将来、家の中にある情報機器や家電製品を相互接続して、より便利に使えるようになると言われている。  その際に、いろいろな機器の中心にあってネットワークの要となるコンピューター、あるいはコンピューター的な機器をホームサーバーという、と思っていた。ところが最近は、少し違った機能を重視した機器をホームサーバーと呼ぶようになっている。
 今後、テレビ放送はデジタル化してチャンネル数が増える。そうすると、たとえば膨大な番組の中から、とりあえず興味のある番 組を録画しておいて、時間のあるときにザッと視て、つまらないモノはどんどん消す、なんてことができてほしい。  
 そのために、テレビ画面に番組表を呼び出せて、簡単に録画予約ができて、何十時間分もの番組を録画できて、見たい番組を簡単に呼び出せて、不要な番組は簡単に消去できる装置が考えれている。最近は、こうした機能を持った装置をホームサーバーということが多い。
 具体的には、大容量のハードディスクとかDVD-RAMといったメ ディアにテレビ番組を記録する。この装置を通じてインターネットに 接続したり、インターネットから取り出した情報の保存もできる。録画中に他の番組を視たり、インターネットを利用したりすることも可能になる。
 現在、少しずつホームサーバーと呼べる製品が出始めているけど普及はこれから。
 「ホームサーバー」 Cnet用語解説  http://japan.cnet.com/Help/manual/0733.html

 今回の展示の中からホームサーバに関するものは少なかったです。

【ハード】

 NECは「リビングで家族が使えるサーバ」として仮称「NetCruiser」 を展示していました。「NetCruiser」はホームネットワークの中心として機能し、地上波・BSデジタルチューナーを内蔵しHDD録画やメール受信・ストリーミング再生といった機能を持ち各種メディアを統合するセットアップボックスとなります。つまり、これ一台あれば家庭内のい ろいろ機器に接続し、テレビを見ながらメールやインターネットが利用できたりするものです。
 実際、デモンストレーションでは2台のPCにストリーミング動画を配信して、TVにも出力して見せていました。説明によると「NetCruiser」 は来年中に発売予定で価格などの詳細は決まっていないとのこと。  
  http://www.nec.co.jp/

 ソニーは「COMDEX/Fall 2000」でデジタルハイビジョンコンテンツを 蓄積・配信する「Broadband Gate」無線LANの家庭内基地局のような 「ホームサーバ」の2種類のホームサーバを参考出展していましたが、今回はまったく展示無し。インフォメーションコーナーもなくナレーター (コンパニオン)はこの件ではまったく分からない状態でした。
(トレンドショーを運営した経験で言わせてもらうとソニーに限らずナレーター教育がおざなりなところが多かった。ナレーターに派手な格好させたり写真を一緒にとらせるのがサービスだというような勘違いがあちこちでみられた。)

【ソフト】  

  インタービデオは「メディアサーバーソフトウェアWinCinema」を展示 していました。「WinCinema」をインストールした1台のパソコンによりネットワークを介してファイルを共有などができる。つまりサーバに音楽やビデオを置いておけばほかの部屋にあるパソコンやPDAで再生できるものです。
 実際、デモンストレーションでは無線LANTVチューナーを内蔵しているパソコンTVものPCカードを装備した2台のノートPCでDVD-Videoを伝送 し再生していた。説明によるとパッケージソフトとしての販売はせず、ホームサーバメーカーにOEM供給する方針だという。
 http://www.intervideo.co.jp

  アップルは「Mac OS X Server」を大きくアピールしていました。「Mac OS X Server」はMac OS、Windows、UNIX、およびLinuxへのファイル共有を可能になります。
 http://www.apple.co.jp/

 このようにホームサーバとはプロードバンドの家庭内への入り口であると同時に家庭内のパソコン、AV、情報家電をホームネットワークで結合するための中核になるものです。

 もちろん、いきなりホームサーバを中心としたホームネットワークが普及するわけではありません。
 まず、「テレビの運命−通信・放送融合 」(8/30号)でお話ししたように 、BSデジタル放送やネット放送の普及にともないチューナーやビデオレコーダーにネットワーク端子がつくようになります。
  次に、地上波デジタ ル放送の普及にともない同号の「商品の紹介」で紹介したハードディスクレコーダが普及してくるでしょう。
 このハードディスクレコーダを核とし蓄積情報を家庭内のテレビやパソコンに配信する装置で機能を持つホームサーバに移行していき、デジタ ルビデオカメラやラジカセ、シリコンオーディオ、パソコンなどがホームネットワークに対応し、どの部屋からでも情報を共有できるホームネットワークが形成されることになるかもしれません。
 また、家電のネットワーク対応が進みつつあり、インターネット接続できる携帯電話、シリコンオーディオやネットワーク対応ゲーム機がホームネットワークにつながる家電つまり「情報家電・ネットワーク家電」に移行していきます。
 さらに、デジタル放送による音楽配信やホームバンキングから外部ネッ トワークを介したサービスが拡大していきます。「IMT-2000と携帯電話・ PHS」(8/2号)でお話ししたように電話・ファクシミリがこのホームネットワークに収容されるようになります。

 先行して進んでいるインターネットとホームネットワークが確立して最終的には「ユビキタス(Ubiquitous)ネットワーク」が確立されます。
  「ユビキタス(Ubiquitous)」とは、ラテン語で「いたるところに遍在する」とい う意味でマーク・ワイザー(Mark Weiser)が提唱し、ゼロックスのパロアルト研究所の「ユビキタス・コンピュータ・プロジェクト」で確立された概念です。  
 ユビキタスコンピューティングとは、家庭、職場や外出先で、身の回りにいつでもどこでも情報通信機器があり、それらが生活を支援してくれるよう な環境の構築や利用を指す言葉である。
 「ユビキタス (ubiquitous)」日経IT用語集   http://it.nikkei.co.jp/it/dic/57.cfm  

  簡単に言うとモバイル(モバイルコンピューティング)と言われるものをさらに進めたもので、具体的には家電や電話やAVなどがネットワークで結ばれ、駅の自動券売機や今回の展示にあったようにコーラの自販機までもがネットワークにつながれ、歩きながらでも車や電車の中からでも「どこからでもネットにアクセスできるシステム」のことです。
 とは言っても、「ユビキタス(Ubiquitous)ネットワーク」以前にホームネットワークやホームサーバのレベルでもセキュリティや著作権保護など解決すべき問題もあります。

 情報化月間


 10月は情報化月間です。

 平成13年度のメインテーマは「ITで創る21世紀」、サブテーマは「世界最先端のIT社会を目指して」です。
  期間中全国各地で、展示会・講演会・セミナーなど多彩 な行事が開催される予定です。
  21世紀を迎え、日本が目指す「高度情報通信ネットワーク社会」を実現するために、「e-Japan戦略」に対する理解を深めていきましょう。

  http://www.jipdec.or.jp/gekkan2001/    平成13年度 情報化月間行事一覧     
  http://www.jipdec.or.jp/gekkan2001/    各地で情報化月間行事に参加するとことをおすすめします。

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