『S−Report』   9/20号   「千と千尋」もデジタル                 サイバーテロ・コンピューターウイルス警報 

 

 「千と千尋の神隠し」はご覧になりましたか。
 このアニメは公開 以来1週間の興行成績で日本新記録を樹立した後も観客は増 え続け「もののけ姫」を抜いて日本映画の興行収入記録を更新続けているようです。夏休み中にご覧なった方も多いかもしれません。

 主人公の千尋(ちひろ)は現代に住む10歳の女の子。裕福な家庭でわがままに育てられたひとりっ子です。引越しの途中、千尋の一家は「不思議の町」へ迷い込みます。
「千と千尋の神隠し 製作報告会」 「千と千尋の神隠し プレスサイト」 http://www.sentochihiro.com/

  宮崎駿監督は、「思春期前の女の子に向けての作品をこれまで作っていなかったから(今回作ってみた)」という経緯を説明し 、「若いガールフレンド(知人の子供)たちに喜んでもらえるか勝負という気持ちで作った」と話したという。
 サンケイスポーツ(2001年03月27日)

  この作品は殺伐とした事件が続くこの頃見たらほっとするかもしれません。

 さて、「千と千尋の神隠し」については映画を見ていただくとして、この作品の背景画以外のアニメーション部分を全てをCGを 使って作成しています。この作品ばかりでなく、このところアメリ カ等でで公開された「A.I.」「ファイナルファンタジー」(7/19号) 「ジュラシックパークIII」「パール・ハーバー」などでもCGやCG合成を駆使しており、もうデジタル処理は映画制作には欠かせな いものとなっています。
 しかし、映画にかかわるデジタル技術は制作ばかりでなく公開 の形態、配給のシステムにも影響を及ぼしています。
  すでに「千と千尋の神隠し」をNTT西日本と東宝がNTT西日本の光アクセスラインを用いて映画館に配信するというデジタル配給のシステム の実証実験を7月におこなっています。
 このように映画全般にデシタル技術が導入され効果をあげるようになつています。

  さて、「もののけ姫」を抜いて日本映画の興行収入記録を更新 しているのは内容がいいのはもちろんなのですが映画館が増えたのも一つの要因です。ビデオに押されて一時期閉館の相次いだ映画館が再び増え始めたのはシネマコンプレックス型の映画館(以下「シネマコンプレックス」)が増えたのです。

 シネマコンプレックスとは「同一建物または複合ビル内に複数 のスクリーンを持ち、かつ、入場券売場、売店、入口及び映写室等を共有している映画館」(通商産業省「特定サービス産業実態 調査」)であり、特定の上映系列に属さず、配給作品の選択が自由でかつ館内 どのスクリーンでも上映可能であることを前提に配給を受ける映 画館のことである。
  この構造により、@複数の作品が同時上映でき、1作品の評判による興行収入の変動を小さくすることができる 、A座席数の異なるスクリーンを観客数に応じて適宜割り振った り、人気作品の場合には複数スクリーンで同時上映もでき効率的 である、B単スクリーン館に比べ1スクリーン当たりの人件費、投資額を抑制できる、などのメリットがある。
  東洋信託銀行 「劇場映画を活性化するシネマコンプレックス」  http://www.toyotrustbank.co.jp/j/j75.html

 このように銀行側からもその効率性、収益性が認められ急速に広がりました。そして現在、日本ではシネマコンプレックスが約2000スクリーンあり、今後1000〜2000スクリーンに増えると見込まれています。
  そしてその後は淘汰の時代を迎えるともいわれています。

 この状況の中で日本で最初に(93年4月)シネマコンプレックス 「ワーナー・マイカル・シネマズ」を米タイムワーナーと共同で立ち上げたマイカルグループ(当時 ニチイ)が今月14日に事実上倒産しました。
 「お詫びとお知らせ」マイカルグループ  http://www1.mycal.co.jp/pdf/owabi.pdf  

 今のところ、マイカルグループの各店舗の営業は継続し、今後は再建を支援するスポンサーを見つけて法的整理を進める方針です。 もし、米ウォルマート社との買収交渉がたとえうまくいっても存続対象となるのは200店舗の内の好調な90店舗程度という見通しです。(マイカルグループでもマイカル本社の資本比率の小さいマイ カル北海道は来年二月にも企業名を変更し独立できるようです。 これは例外ですが。)

 このようにマイカルグループのサティの店舗に併設されたワーナー ・マイカル・シネマズは今後どうなるか分からない状況です。そして、ヘラルド・エンタープライズ、ユナイテッド・シネマ、ヴァージンシネマズ・ジャパンや邦画系シネマコンプレックスもその多くが大規模店舗に収容されていることを考えると今後も同じことにならないとはいえ ません。
 また、サティの開発した「シネコン併設出店戦略」、つまり映画の集客力を見込んでシネマコンプレックスを核として大規模店舗を出店する方式ももう難しくなりつつあります。(また、現在の中心市街地活性化政策のうち、大規模店舗を核に据えるテナントミックス方式も見込めなくなります。)

 今回のマイカルグループの事実上の倒産は不良債券処理の加速化とシネマコンプレックスの淘汰の時代の開始を告げるものとなりそ うです。

 シネマコンプレックスが生き残るための戦略としては既存の戦略の見直しの他に「シネマコンプレックスのデジタル配給のシステム対応 のデジタルシアターへの転換」が一つのカギになります。

 現在、配給会社では映画のフィルム原版をプリントし各興行会社へ納品しおり、この方式ではフィルムのプリント本数とプリント代はコスト高の原因になっています。
 このようなフィルムによる配給に対してデジタル配給のシステムによる「デジタルシアター」が採用されつつあります。このようなデジタル配給のシステムは原版をデジタル化しデジタルで上映するため、フィルムプリント代やフィルムの輸送費用のコストが削減できる上に、 デジタル化された原版は劣化しません。もちろん新しい設備を導入するのです から初期投資のコストはかかります。しかし、シネマコンプレックスが元々収益体質をもつシステムであり、それをデジタル配給のシステム対応にすればトータルコストで考えればランニングコストがさらに安くなる可能性あります。
 このことからも、デジタル配給のシステム対応のデジタルシアターへの転換したシネマコンプレックスがこれからの映画館の主流になってくると予測されます。

 しかし、そのさらに先に「映画と新しいメディア」(2000/12/14号)で書きましたように「ブロードバンド・ネット広帯域常時接続」の時代には映画 を自宅で見るネット配信方式もだんだん一般化してきます。
  実際に現在ではネット配信による映画公開はもう実現しています。(そのお話はいずれまた。)  

 美術館の紹介

 
  あなたもトトロに逢えるかもしれない美術館です。

「三鷹の森ジブリ美術館」   
   http://www.ghibli-museum.jp/  

オーブン   10月1日(月)   
場   所  井の頭公園の南   
開館時間  午前10時〜午後6時。   
料   金  大人 1000円、中・高生700円  小学生 400円、 4歳以上100円  
 チケットは入場時間を2時間ごとの4回に分けて販売する。  
 入場者の上限は1回当たり600人の1日2400人。

 尚、予約はローソンセンター及びローソン店舗にあるロッピー端末でのみです。(予約受付中)  
 http://www.lawsonticket.com/ghibli.html  

「オープニング・イベント」

 9月30日の開館前日に井の頭公園西園で開催されるMISHOPフェスティバル(三鷹国際交流協会主催)の会場をメインとして玉川上水沿い (風の散歩道)でのパレードや道路とバスの開通式でのミニコンサート等 が計画されています。
  http://www.geocities.co.jp/SilkRoad-Oasis/2582/index.html

 サイバーテロ・コンピューターウイルス警報


 
日本は「情報収集のため自衛隊のイージス艦を派遣する」ことになりそうです。このようなテロに対する報復という悪循環の中でサイバーテロの危険性が高まりましたので日本でも充分ご注意ください。

 同時多発テロ事件との関連が捜査されている危険度の高い新種のコンピューターウイルス「Nimda」は国内の25サイトで感染が確認されました。
 予防策として、「readme.exe」という名前の添付ファイルを受け取った場合は開かなでください。
 また、ワクチンソフトを最新のものにするなどしてください。  

「米同時多発テロへの報復で サイバーテロが増加〜米FBIが警告」    
 http://www.watch.impress.co.jp/internet/www/article/2001/0917/fbi.htm

「米ハッカーがイスラム系サイトに“報復攻撃 」
 http://www.jij.co.jp/us_terro/010920-2.html

FBI(NIPC)     http://www.Nipc.gov/

インターポール  http://www.interpol.int/

サイバーテロ
インターネットなどを通じて私企業または公共のコンピューター・システムに侵入し、システムやデータを破壊するなどして、交通機関をまひさせたり、業務を停止に追い込み 、社会をまひさせるテロ行為。
(『Cyber Labサポートメール』9/12)

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 『S−Report』は既存の配信システムや問題になっているマイクロソフト社のメーラーを使わず「独自の配信システム」で配信しており、ホストマシン自体にもファイヤーウォール、「最新のワクチン」を導入し必ずチェックを行い対策を とっておりますのでご安心ください。