『S−Report』   9/13号   レトロで 

 
 ガス爆発・台風・米へのテロ攻撃とまさに「ある日突然」が続 き、東証の下落は止まりそうにありません。(今日の寄りつきも 軟調です。)国際的な石油価格の値上げの影響もありさらに経済は悪化しそうです。詳しくはNY市場の再開後の様子を見たいと思いますが。

  このごろ古い建物ワッチングが流行ったり、アンテークや古い おもちゃにも人気があります。レトロなものを面白がったり、懐かしがったり、愛おしむ人も増えたのかもしれません。

 このところレトロランドスケープ、レトロスペースショップがあちこちにできています。(正確にはレトロスペクティブランドスケープ、 レトロスペクティブスペース・ショップ) レトロランドスケープとは古い街並みを再現・再創造した風景です。
 
 レトロランドスケープ
・「テーマパーク」としては
 池袋の「ナムコナンジャタウン」 
http://www.namco.co.jp/home/tp/nt/index.html
 「新横浜ラーメン博物館」     http://www.raumen.co.jp/
 「横濱カレーミュージアム」     http://www.matahari.co.jp/curry/
 があります。
 これらはレトロな風景をイメージとして再創造したもので現実にはない街並みが展開されています。

・「街並み」としては
 比較的新しく作られたものでも伊勢市にある伊勢路の代表的な建築物を移築、再現している「おかげ横丁」
        http://www.okageyokocho.co.jp/index8.htm
 北九州市の門司港レトロ地区 http://www.qbiz.ne.jp/retro/
 があります。
 これらは古い街並みの再現や現存する街並みを歴史保存している場所です。

 レトロスペースショップはアンティークや懐かしものを販売するレトロショップと異なり、新たに作るショップ自体がレトロな空間を演出することによって集客を狙うものです。

 「飲食店・レストラン」では袴姿のウェイトレスで有名な「馬車道」 (http://www.bashamichi.co.jp/)が代表例で、居酒屋本陣系の 「大正居酒屋浪漫亭・味市場浪漫亭」(http://www.romantei.co.jp/) などがあります。その他にもレトロ風のお店はかなりいろいろと全国にはあります。

 テーマパーク・事業、街づくり、個店といろいろとレトロを売り物にしていますが、「レトロ」でうまくいくとは限らないのは一時期流行ったこのタイプのお店等がたくさん無くなっているのを見てもお分りだと思います。


 このようなレトロランドスケープ、レトロスペースショップのような作 りものではない、ほんとに古びた商店街はシャ
ッター商店街になりつつあります。シャッター商店街とは商店街に空き店舗が増え常にシャッターが下りている活気のない商店街のことです。大型店が 整理・縮小されても100円ショップやディスカウトショップの影響もあり、ますますシャッターが下りいてる状況は深刻化しています。

 全国にあった銀座通りの内のひとつ川越銀座商店街もその典型です。

 大正の時代、旧市内南部にあたる当地は「猪鼻通り」と称し、近くにある連馨寺という寺の門前町に数軒の商店ができ、共同で売り出しをしたのが商店街の前身といわれる。
 戦後、近くに大型店ができ、昭和27年に川越銀座商店街商業協同組合を設立、全蓋型アーケードを建設し、商店街の全盛時代を迎えた。
 しかし、東京のベッドタウン化が進行し、通勤者の増加によって駅の集客力が増大し、それにともなって昭和40年代には大型店が駅 周辺に移動し、さらに駅ビルの建設による中心商店街の移動によって、当商店街の衰退は一段と進んだ。さらに、業種によっては廉売店やロードサイド店などの影響も大きいと考えられる。
 かつての繁栄を取り戻そうと知恵を絞って生まれたのが、商店街を 「大正浪漫 夢通り」にしようという発想である。「無理にヤング向けに 街をつくり変えることはない。60代の人でもショッピングを楽しめるような街づくりをして客を呼び戻そう」という考え方である。
 このコンセプトに沿って、街並み改修事業、電線地中化とショッピン グモール化事業、朝市などに力を入れて、その充実をはかっている。
  「続 元気のある商店街100」      全国商店街振興組合連合会編 同友館  (2000/05/01)

 川越市の川越銀座商店街「大正浪漫夢通り」計画は「蔵造り街」と して多くの観光客が訪れる「小江戸 川越蔵造りゾーン」の近くにあり 、駅からはその通り道のひとつにあたるため、このコンセプトで街並み保存とレトロランドスケープの商店街として計画され実施されました。 「小江戸 川越蔵造りゾーン」は歴史を前提にした計画でしたが「大正 浪漫夢通り」(http://www.koedo.com/) には「なぜ大正なのか」という歴史との関わりがコンセプト化されておらず苦戦することになりました。
  
 そして、今このレトロ戦略でできた「大正浪漫夢通り」でも空き店舗数が増えてきておりその対策として、空き店舗で期間限定で店を開けるよう安い家賃で貸し出し、経営のノウハウを川越銀座商店街商業協同組合で指導し永続的に開業できる方策を取り始めました。

 観光地の通り道の商店街がこれだけやってもシャッターが下りるのが現状です。そして、今の経済状況を考えるとさらに深刻な状況が全国で展開されるでしょう。だからこそ、レトロが流行ってるからレトロラ ンドスケープ、レトロスペースショップでどうにかしようというような安易 な方法ではどうにもなりません。

 ただ、レトロなものを求める背景に、レトロものを懐かしみ、愛おしむ気持ちばかりでなく。その時代の持っていたホスピタリティー(もてなし の気持ち)や、人間らしいコミュニケーションがあると私は考えています。
  ですから、レトロランドスケープ、レトロスペースショップを計画されるなら入れ物よりホスピタリティー(もてなしの気持ち)や、人間らしいコミュニケーションを考えていかなくてはならないのではないのでしょうか。

 イベントの紹介


 今年はトリエンナーレが日本で開催です。トリエンナーレとは3年ごとに継続して開催される大規模な国際美術展です。横浜の街巡りもでき てチケットは2日間有効(連続しない日も可)なのでぜひお出かけ下さい。

 横浜トリエンナーレ2001  YOKOHAMA 2001: International Triennale of Contemporary Art  
   http://www.art-tech.jp/yt2001/index.html

全体テーマ:「メガ・ウェイブ−新たな総合に向けて」

 4人のアーティスティック・ディレクターが世界各地を調査し、選出した109組のアーティストが参加。
 各作家には本展のための新作の制作を依頼し、横浜での現場 制作を中心とした展示を行なう。
 屋内会場の展示、またその周辺での屋外展示も加え、近隣の施設へ連携企画の実施を呼びかけ、横浜のまちの魅力を最大限に生かした「美術の祭典」とする。
 展覧会期中は、レクチャーやワークショップなどの関連イベントを 実施し、多数の観客、市民、関係者の間での広範な対話と交流 の場の創出を目指す。

期   間  9月2日(日)〜11月11日(日)
         休 場 日 9月11日(火)、9月25日(火)、10月9日(火)、10月23日(火)
開場時間  午前10時〜午後6時、毎週金曜日は午後8時まで   入場は閉場時間の1時間前まで
場   所  横浜市 みなとみらい21地区を中心とした都心臨海部 パシフィコ横浜展示ホール 赤レンガ1号倉庫
        横浜開港資料館  横浜市開港記念会館  まちづくりギャラリー  神奈川県民ホールギャラリー
料   金  一般 2,000円 大・専生 1,500円  65歳以上 1,000円 小・中・高生 500円
        チケットは2日間有効(連続しない日も可)

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