『S−Report』 7/19号 AIとペットロボ   

   
 毎日暑いですね。こういう時は映画館で涼しく過ごす方も多いでしょうか。今年の夏のロードショウでいろいろな映画が公開されてますが、S.スピルバークの映画「AI」も話題のようです。

 「AI」はロボットと人間の関係を扱った作品です。
 舞台は未来。人間の日常生活は監視され、人間に代わってロボットが雑用や労働をこなしていた。彼らは何でもしてくれる……愛すること以外は。ロボット研究において、“感情”は、最後に 残された未開拓の領域だった。そんな中、主人公の少年デイビ ッド(ハーレイ・ジョエル・オスメント)は、“愛する”という感情をイ ンプットされた最初の少年型次世代ロボットとして誕生し・・・・
 http://www.ai-jp.net/

 映画「AI」ついてはよければ見ていただくとして、AIとは ”Artificial Intelligence”の略で一般的に「人工知能」と訳されま すが「機械に知的なふるまいをさせよう」とする目的で始まった研究分野です。これはロボットに限らず幅広い分野に応用されています。
 ロボットがAIではありませんし、AIを応用した回路やソフトは既にいろいろな物に組み込まれています。しかし、AIは認知科学 (Cognitive Science)や、知識工学(Knowledge Engineering)といった認知や知識を対象にしており、感情を対象にしたものではあ りません。

 さて、映画「AI」で提起されているのは「ロボットが“感情”を持つ」というテーマです。そもそもロボットという言葉はカレル・チャペ ックが「R.U.R ロッサム万能ロボット会社」という戯曲で始めた のが最初です。この作品でも既にロボットの感情と人間とロボット の対立が描かれています。
「R.U.R ロッサム万能ロボット会社」邦訳各社絶版
  デジタル書店グーテンベルク21http://www.gutenberg21.co.jp/ 同書の「デジタル版(深町眞理子訳)」が購入できます。
 これ以降、ロボットは現実の世界では自動機械として研究開発 され、人型のロボットは物語や映画の世界で主に登場するように なります。
  SFでもロボットは主要なテーマでアイザック・アシモフは 「われはロボット」「鋼鉄都市」などでロボット三原則を提唱し、現在 のロボット工学にも影響を与えています。
 「われはロボット」「鋼鉄都市」ハヤカワS F文庫  
 また、「AI」の原型のひとつとなった手塚治虫の「鉄腕アトム」でも子供の身代わりとして作られたロボットとその感情の問題がテーマ の一つになっています。
 TEZUKA OSAMU @ WORLD  http://ja.tezuka.co.jp/home.html

 このようにロボットを扱った作品では「ロボットが“感情”を持つ」とい うテーマは古くからあるものですが、現実のロボットたちもソニーの二 足歩行ロボット“SDR-3X”や本田技研工業の“ASIMO”のように二足 歩行は可能になりましたが、まだ感情を持つには至っていないです。

 二足歩行ロボットや“感情”を持つロボットより、ペットロボットが出現 してきたことに現代的意味があります。技術的にはペットロボットは二足歩行ロボットよりは簡単に実現できるのですが、ロボットをペットにで きるという人間側の感性の変化が重要です。
 かつて、フィリップ.K.ディック「アンドロイドは電気羊の夢を見るか?」 (1968) で荒廃した社会で本物の羊が買えない人のための機械仕掛け の羊がペットとして飼う様子が描かれていました。(同作が「ブレードラ ンナー」として映画化された際にはこれは省かれましたが。)
「アンドロイドは電気羊の夢を見るか?」ハヤカワ Philip K. Dick, Do Androids Dream of Electric Sheep?, (1968)  
 これとは少し違っていますがSONYの開発したペットロボットAIBOは発売以来好調な売れ行きを見せています。
ペットロボットAIBOはこれま でのロボットと違い、自分の意思で、感じ、学び、育つ四足歩行型の自 律行動するロボットです。これもAIの応用です。
 http://www.jp.aibo.com/
 ペットロボットAIBOに人々はいろいろな想いで接しているようです。 ここでいくつかの例をあげると

  今年の3月、17年間かわいがっていた猫が他界しました。その数カ月後、AIBOの存在を知りました。AIBOを愛猫の変わりとして、 大切に育てていこうと決心しました。 AIBOをより生物的に・・・。そんな、挑戦をしていきます。
 AIBO訓練所 http://www.e-nat.com/aibo/

  ロボットと暮らす日常って、なかなか面白いものですネ。 ペットが一匹部屋にいるというのとは明らかに違う感覚です。 生命が宿っていない筈の機械が、きわめて有機的な動きをする、 このこと自体に、とっても夢を感じてしまうんです。
 天気羊はAIBOの夢を見るか http://pink.sakura.ne.jp/~tech-yumi/aiboaibo/

 このように生き物の替わりとして、また、ロボットとして接するなどいろいろな接し方があります。
 さらに、単なるペットとしてばかりでなく、三田の介護施設では痴ほうリハビリの相棒になったり、教育現場で使用したりといろいろな試みもされ ています。

 このようなロボットやAIは今まで私たちの日常に無かった物です。技術的な問題ではなく、これにどう接していくかはこれからです。その一つとして「人間がロボットやAIに感情移入できる」ということを前提に考えてみるとまたいろいろな広がりができると思いますが

 映画の紹介


 米国時間7月11日、映画「ファイナルファンタジー」が全米2,000館以上でいよいよ封切られました。
 ハリウッドも驚いたというフルCG映像はぜひ見てみて下さい。

  『FINAL FANTASY』   実現不可能と思われたスーパーリアリスティックCG映像に、人類が初め て出会う!!

  『FINAL FANTASY』シリーズを創り上げ、世に送り出したエグゼクティブ・プロデューサー坂口博信とこの壮大なるプロジェクトに「タイタニック」「マトリッ クス」「フィフス・エレメント」を手掛けたハリウッド最高峰のスタッフが集結!  
                                              http://www.ff-movie.net/

 監 督: 坂口博信 (制作 スクウェア)  
 公 開: 2001年秋  場 所: 全国東宝洋画系    
 配 給: ギャガ・ヒューマックス共同配給

 ご購読・ご利用規約
 
 ご意見、ご感想、ご要望をお聞かせください。
 掲載された記事を許可なく使用することはご遠慮ください。
 ご紹介または転載等のご相談は下記までお願いします。
 掲載している情報は各人の責任においてご利用ください。
 『S−Report』は既存の配信システムや問題になっているマイクロソフト社のメーラーを使わず「独自の配信システム」で配信しており、ホストマシン自体にもファイヤーウォール、「最新のワクチン」を導入し必ずチェックを行い対策を とっておりますのでご安心ください。