この頃は渋谷・池袋でも「ガングロ」「ヤマンバギャル」をあまり見なくなりました。コギャルのファッションもだいぶ変わって来たようです。 「コギャル」という現象は多岐に渡っており簡単には言えませんので今回はポスト・コギャルファッションについてです。 まず「コギャル」ですが、「ギャル」が若い女性を表す言葉として定着した後に「高校生ギャル」の短縮形として女子高校生を「コギャル」というようになりました。それが転訛して、「子ギャル」 又は「小ギャル」となり、その発展形として女子中学生を「マゴギャル」(「孫ギャル」の意味)ということにもなりました。 コギャルファッションについてはいろいろ解釈はあると思いますがストリート系ファッションの影響を受けたティーンズカジュアルファッションで、そのルーツはアメリカの「HIP-HOP」ファッションとそ のバリエーションの「グランジ」、NBA(全米プロバスケットボール) から来ているブラック系のスポーツブランドファッション(NIKE等) です。これらは、全体にルーズな感じで「づり下げる」「大きめを着る」 などに着こなしの特徴があり、主にAmuro(安室奈美恵)やファッ ション誌「egg」「cawaii」によってスタイルが確立しました。 ガングロ・茶髪のコギャルが多数登場し、コギャル文化の象徴 的存在だったティーン向け月刊誌「egg」(ミリオン出版)が2月1 日発行の3月号を最後に休刊することがわかった。「編集スタッフ の体力的限界を超えたため」という理由だが、突然の休刊に「コギ ャル文化も終焉か?」との声が出ている。ガングロからヤマンバへ と急激にエスカレートしてきたコギャル文化に女子高生がついてい けなくなり、逆に色白・美男子を前面に出した「Popteen」などが勢 力を盛り返してきたことが背景にあるとの見方もある。 「ガングロコギャルのバイブル雑誌「egg」休刊」 夕刊フジ(2000/01/28) http://www.fujinews.com/midashi/200001.htm このように、いわゆるコギャルファッションは大筋では衰退の傾向 にあります。 さて、ポスト・コギャルファッションは二つの意味があります。 ひとつは「コギャルを卒業していった世代のファッション」の意味でのポスト・コギャルファッションで、もう一つは「コギャルの年齢の 子たちのファッション」の意味のポスト・コギャルファッションです。 前者の「コギャルを卒業していった世代のファッション」については いろいろあるようですが、まだ定まらないようです。 ここでは後者の「コギャルの年齢の子たちのファッション」の傾向 についてとりあげます。 このところ注目されているのがスクールバスのブランド「3年2組」 です。 http://www.3nen2kumi.co.jp/index.htm このブランドは現在注目されているブランドですが、「3年2組」のサイトで見てもらえば分かる通りそのルーツにストリート系ファッショ ンを持ちながらコギャルファッションとは傾向の違うものです。 当初、基本コンセプト3年生にあこがれる高校1.2年生のファッションスタイルとし、価格も高校生の小遣いで買えることを意識して設定という。しかし、現在の中心顧客は中学1.2年生。女子高生が大人びただけでなく中学生の娘を持つ母親の支持を集めたものも顧客の低 年齢化に拍車をかけたという。」 「日経トレンディ 2001/6」 34P 高校生(コギャル相当)をターゲットとにしたつもりでも実際は中学 生(マゴギャル相当)に人気が出るという微妙なズレにはいろいろ 要因があります。 まず、以前は中学生「マゴギャル」(死語ですが)はコギャルにあこがれているところがあってその真似をしていた部分がありましたが 今はあまりその傾向はないです。「3年2組」系の中学生と今の高校生の間にはファッション感覚の隔たりがあります。 ファッション的には かつてのAmuroのポジションにAyu(浜崎あゆみ)がいてヤマンバ はともかく、いくらか色白化したとはいえコギャルファッションもまだ女子高生を中心に健在です。 コギャル系のモデルがAmuro−Ayuであるのに対して「3年2組」 系はSPEED−モームス。(モーニング娘。)がモデルになっていると いったところでしょうか。 次に「3年2組」系はコギャルファッションとは異なり「中学生の娘を持つ母親」が許容するファッションであることです。 そして、もっとも重要なことはゴギャルファッション末期の「ガングロ」 「ヤマンバギャル」の時点で既に 「現代はマーケティングによる仕掛けが若者に通用しなくなったと言われる。 80年代は差異化の時代であり、人に知られていないおしゃれなスポ ットに集うことが、若者のステイタスであった。その後のGショック、 ジーンズをはじめとする限定品、別注モデルなど希少性を売りにする マーケティングも有効性を失ってきている。そういった主にマスメディ アを利用した「仕掛け」に慣れ、「仕掛けられている」ことに忌避感を感じるようになっている。90年代、メディア主導型の流行発信から ストリート主導型の流行発信への転換が起きた。ストリート文化においてはマスメディアはストリートで自然発生的に起きている様々な現 象を追随する形で取り上げ、増殖させていく力しか持ち得えない。 「ガングロが行く」JMR生活総合研究所 マーケティングサイト http://www.jmrlsi.co.jp/menu/report/ganguro/ganguro.html つまり、マーケティングによる仕掛けが通用しなくなり、ストリート的な自然発生する文化をうまく取り入れていくのがポスト・コギャルファッ ションの商品展開のポイントです。その意味で「3年2組」はその傾向を先取りしています。それが成功してるかは「3年2組」系の子たちが高校生になった時に分かると思いますが。 先取りと書きましたが、これからは特に先取りよりもさらに先を見ておかなくてはならないでしょう。 例えば『小学6年生』(小学館)には「はじめてなのにヘア&メークの天才」という連載ページもあります。このコーナーは小学生のバイブル らしく書いてあることも大人顔負けのものです。 http://www.netkun.shogakukan.co.jp/magazine/sho6/ 「タカラ」でも昨年度、子供用化粧品だけで、年間7億円を売り上げているようで、大手化粧品メーカーも参入を検討しているようです。 http://www.biena.net/news/columns.php3?ccode=9997019 この先とは、なかなか難しいものがありますが。
「3年2組」系でこれからある程度ブレイクしそうな予感があるのはキャラクター「にゃんにゃんにゃんこ」です。 あの「たれぱんだ」「ぶるぶるたいむ」「こげぱん」などのSAN−Xでキャラクター商品になってます。 http://www.san-x.co.jp/chara/newcha/new20.html これは中島美寿々さんのキャラで絵本にもなってます。 「にゃんにゃんにゃんこ ―にゃんこ茶屋のまき」 勁文社 (2001/03/01) ISBN: 4766937414 税別1200円 *時代は「ごけぱん」(黒)から「にゃんにゃんにゃんこ」(白)とまで は言いませんが。