『S−Report』  4/12号  クリック&モルタル 

 
 
通信販売はすっかり生活の一部になったようです。カタログばかりでなく、通販専門誌や通販のテレビチャンネルや番組などいろいろな方法で好みの商品を見つけることもできます。

 通信販売の伸びと共にインターネットでのネット販売も増加しています。通信販売もネット販売も「時間的場所的制約」で店舗 に行けない人が多くなりで飛躍的に伸びました。
 しかし、最近はアメリカのナスダック(ベンチャー企業の株式上場市場)の下落にともない倒産も相次ぎ一部ではITバブルの崩壊などと言われてます。しかし、これはある程度はあたってい ますが、淘汰された企業には理由があり、生き残った企業にも その理由があります。
 このレポートでも、これからのネット販売は「クリック&モルタル」を目指さないとやっていけないことを何回か書いてきました。

 繰り返しになりますが「クリック&モルタル」とは「クリック」つまりコ ンピューターをクリックして買うことができる「ネット販売」と「モルタル」つまり、モルタル造りの店舗で直接商品に手に触れる買うことができる「店頭・対面販売」の両方を兼ね備えた販売形態のことです。
 つまり、ネットでも、お店でも買えると言う意味です。

 今、アメリカの流通関係で淘汰されている企業はネットにしか基盤のない企業が多いです。

 米国のEC(電子商取引)の主役は、今や完全にクリック&モルタ ル企業に移りまし た。米イートイズ社などドットコム企業のつまず きが相次ぐ一方で、クリック&モルタルは売り上げを急激に伸ばしています。米トイザラス・ドットコム社は2000年に1 億8000万ドル、 米オフィス・デポ社は2000年に8億6100万ドルをネットで売り上げ ました。
 こうしたクリック&モルタル企業のネット戦略を支えているのが、 強い社内インフラだ。マルチチャネル戦略を実現するため、先進企業は2年前から顧客データベースの一元化やECサイトと社内シス テムとの統合などを図ってきた。強じんな社内インフラの上で、様々なチャネルを活用して利便性の高い顧客サービスを提供する。 こうした“外柔内剛”戦略が米国のクリック&モルタルの強さの秘密である。

  「米国クリック&モルタルの真実」のページ  「日経ネットビジネス」 2001年3月25日号(3月25日発行)
  http://nnb.nikkeibp.co.jp/nnb/kako/20010325/f_index.html

 同誌では引き続き、ITバブル?で生き残ったトイザラス、オフィス・デポ、ランズエンドなど著名な成功企業の個別の戦略を詳細に レポートしていますので関心のある方はご覧下さい。

 さて、先程のように通信販売もネット販売も「時間的場所的制約」で店舗に行けない人を対象に伸びた初期のネット販売は「クリック &モルタル」が増加すると不利になります。「クリック&モルタル」 は通販でも、店舗でも、ネット販売でもすべての販売チャンネルを もってます。
 こうなると通販やネットのみの販売の「時間的場所的制約」のメ リットは少ないです。また、品揃は通販でも、店舗でも、ネット販売でもある程度確保できるので、対面販売だけの商売も、今後苦し くなってきます。
 
 店頭・対面販売は通販、ネット販売に対して利点があります。カタログやウェブサイトでは決まった物しか買えないにの対して、店頭では・・・と言われそうですか、そうでもないです。
 例えばルージュ(口紅)ですが、全色を在庫しているお店は少ないです。定番、及び新色を確保しているだけです。全色買い取って在庫するのは無理である以上、店に無いものは取り寄せになり通販やネット販売とかわりません。これは他の商品でも同じ事が 言えます。
 店頭・対面販売の優位点は現物を見て相談することが出来るということです。しかし、クリック&モルタルでは「様々なチャネルを活用して利便性の高い顧客サービスを提供する」努力でこれを克服しようとしてます。
 ルージュの場合ではウェブサイト上に全色サンプル及びいろいろ な肌のモデル(アメリカのサイトなので)の写真を掲載し、メールで 相談にのるといったサービスを行って通販ではできない、そして店頭・対面販売に近いサービスを実現しようとしてます。
 このようにクリック&モルタルは既存のカタログ、店頭販売とネッ ト販売のチャネルを統合して相乗効果を狙ってます。
  ネット専業販売者や店頭・対面販売業者がこれに対抗していくにはクリック&モルタルが優位に立った背景を理解して戦略を考え直す必要があります。

 コンテンツの紹介


 日本で初めて産経新聞社が新聞を丸ごとネット配信を始めることになりました。新聞販売店も今後を考えないと大変です。

 産経Webコンテンツ   http://www.sankei.co.jp/index.html  

内 容:
  『産経新聞デジタル版』と『夕刊フジデジタル版』との名称でサー ビスを実施するもので、両者とも宅配とほぼ同じ時刻に配信し、料金は通常の新聞購読料よりも低めに設定する。ただし、サービ ス提供地域から近畿地方の一部地域など販売店(専売所)が強い 基盤を持つ地域をのぞいており、全国一律のサービスは当面提供 しない。   このサービスでは、新聞紙面のレイアウトをそのまま電子化した イメージファイルを配信し、コンテンツは専用のブラウザーを使って表示する。紙面は自由に拡大縮小することがきる。また、テレビ番組欄や広告画面からウェブサイトへリンクする機能も用意する。
 
日 時: 2001年8月をめどに
方 法: 実際の配信はアットホームジャパン、AII、有線ブロー ドネットワークスといったブロードバンド向けのコンテ
      ンツ配信会社 のサービスを利用する。

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