『S−Report』  10/24 子育てにやさしいまちは、人にもやさしい


 子育て環境の整備や保育施設の拡充が叫ばれていますが、なかなか進まないのが現実です。
 東京都三鷹市では「新たな子育て支援施策」を目指して入園者の少ない市立幼稚園を廃止して、保育所の待機児解消を目指し幅広い子育て支援施設の充実を進め公設民営型保育園やファミリー・サポート・センターで複合的な子育て支援機能を持つ「三鷹市中央通りタウンプラザ」などの事業を進めています。
 もちろん、三鷹市では子育でもワークショップ手法を用いていろいろなプランづくりの段階から市民の意見を活かしてきました。

 今回は「三鷹産業プラザ」で行われた「NPO法人子育てコンビニ」の活動報告と特定非営利活動法人格の取得の記念懇親会にお伺しました。

 4月、子育てコンビニのワークショップに参加していた市民ボランティアから生まれた「NPO子育てコンビニ」が9月19日に「NPO法人子育てコンビニ」として、法人化されました。
 「みたか子育てねっと」は、『ITで子育て支援』の実証実験で試験的に作られたホームページでした。皆さんの積極的な参加で実験が終わった今も継続される事に決定し、「NPO子育てコンビニ」が運営を受託することになりました。  今後も、託児付きIT講習会、スキルアップセミナーなど、子育て家庭を支援するような活動を予定しています。ご期待ください。
 
   NPO『子育てコンビニ』が設立されました。  http://www.kosodate.mitaka.ne.jp/toptop.htm

 「NPO法人子育てコンビニ」のセレモニーの後に子育てコンビニのメンバーと来場者の間で活発な話があちこちでされていました。 メンバーの1人の富高さんは宮崎県から東京に引っ越してくる時に世田谷に住むお兄さん以外に知り合いもなく、子育てに不安を感じていたそうです。引越す前に三鷹市のサイトから「子育てコンビニ」のサイトを見つけて参加してよかったといいます。
 また、佐藤さんはよくあるボランティアみたいなものには違和感を感じていて「自分が子育てコンビニに参加するとは思わなかった」そうです。それが今は「子育てコンビニ」の副理事長です。
 もちろん、元気な女性ばかりでなく、楽しげな男性のメンバーも多く見受けられました。
 このように、子育てに不安を感じている人に役立つばかりでなく、従来の活動に違和感を感じていた人にも開かれている「NPO法人子育てコンビニ」の活動は他にあまりないものです。  

 しかし、「NPO法人子育てコンビニ」のよさはこれにとどまりません。重要なことは「NPO法人子育てコンビニ」はひとつのビジネスモデルを提示していることです。
 三鷹市では新たな産業の創出のためいろいろな施策を試みており、その中で「SOHO CITY みたか構想の推進」というコミュニティビジネス、スモールビジネスの推進も行っています。
 この一環として本年2月8日に「SOHOCITYみたかビジネスプランコンテスト」が開かれ「子育てコンビニのプラン」はその特別賞(三鷹商工会賞)になったのです。

 このプランは「マイナス1〜6才の子供を持つ父母・家庭をターゲットした“コミュニティ型(子育て)コンテンツアグリゲータ事業”」であり ・従来の商業的なリッチコンテンツに拘らず、行政、NPO、グループ、個人事業者、父親母親等が持つ、ノウハウや人材リソースを集め、編集加工し、ターゲットに合わせ提供する。つまり、情報提供者と情報受信者が一体となった“ナレッジコミュニティの形成”による情報相互的な組織形成(またはサイトの形成)が目的。

・リアルな子育て相互機能も組織化し、低額の託児機能を用意するなど子育て家庭が抱えるボトルネックを解消し、積極的にバーチャル及びリアルな活動を推進する。
・提供方法は、インターネットラジオ、ストリーミングビデオなどのメディアを含めた統合Webサービスと講習会、料理会等のリアルな場を相互に組み合わせたものとする。インターネットはプロモーション、申し込み、認証、課金、満足度調査などの一元的な業務を担い、パソコン講習会、子育て講習会、女性SOHO講習会、料理会等の講習会ビジネスや、手作り商品の販売、使って良かった商品の販売代理業務、リサイクル、ガレージセール(バーチャルガレージセール)などリアルなサービスも事業の範囲とする。
・活動初期は、パソコン、インターネットの講習会、利用方法、メール相談等のISPの普及支援を行い、また、Web製作の予備軍を育成する。 ・事業はメンバーのタレント性や、メンバーのニーズに合わせたテーマを継続的にリリースし、時間経過とともに子育てを卒業したメンバーを核に次のテーマ(学校教育、夫婦、シニア)等に垂直展開していく。
・日々の買い物を通じた情報の収集、確認や、定期的なオフラインミーティング(運営会議)を通じた交流などから、“顔の見える”場づくりを目指し、また、EC、オークション、ガレージセールなどでも、地域内であるため運搬が容易で、情報提供者もいいかげんな商品を出すことが軽減され、信用あるサイト構築が可能となる。

収益構造

1.特定マーケット向けインターネットサービスプロバイダ基本サービス料(サービスパックとしてリリース)
2.パソコン講習会、子育て講習会等の子育て家庭向け講習会等リアルサービス
3.地域ブロードバンドインターネット広告、販売促進メディアとしての広告宣伝費
4.個人事業者、SOHO事業者のEC促進と、その情報掲載料、販売手数料

 「SOHO CITY みたかビジネスプランコンテスト公開審査  最終審査発表会入賞者決定」
  http://www.mitaka.ne.jp/tmo/kaisya/businessplan/no2plan/2-8.html#  

 現在、各地で子育て支援のボランティア団体やNPOの活動が活発化しており、保育所の不足などの政府や地方自治体の施策の不備やサービスの不足を自主的に補っています。また、政府や地方自治体の単なる補完ではなく、一歩進んだ活動をしているところも多くあります。
 しかし、その多くは施策の壁や財政難などの事情で活動している人たちの大きな負担によって成り立っています。また、子育て施設の民営化による運営にしてもなかなかうまくいっていないのが実状です。

 この状況に対して「子育てコンビニ」はふたつの力になりえます。
 ひとつは「子育てコンビニ」はオルタナティブビジネスモデル(普通のビジネスモデルとは違ったビジネスモデル)を提示することによって各地の子育てグループの収益化のヒントになります。
 もうひとつは「子育てコンビニ」が事業として子育て支援に関するコンサルティング、システム開発、行政施策の紹介を行うことで、各地の子育てを直接的に支援し、上記のような問題点を解消する力になります。 

 このように、いろいろな力を結集している「まち」(行政ではなく広い意味のまち)だからこそSOHOCITYみたかビジネスプランコンテストに「NPO子育てコンビニ」の案が採用されたのですし、「NPO子育てコンビニ」も子育ての支援にとどまらず、子育ての支援に関する事業を行うことで三鷹の経済活性化の一環となるわけです。  これが、まさに「子育てにやさしいまちは、人にもやさしい」ですね。

 子育てコンビニ  http://www.kosodate.mitaka.ne.jp/toptop.htm
 みたか子育てねっと  http://www.kosodate.mitaka.ne.jp/

 最後に今回もいろいろとご協力頂いたすべての皆さんに感謝します。


   イベントの紹介


  
「2002年度 芸術家の解放区 池袋モンパルナスの集い」 

   10/26 PM13:30〜  豊島区立勤労福祉会館 6F大会議室  
   参加費1000円     

   小熊秀雄協会・池袋モンパルナスの会

   池袋モンパルナスの会事務局(株)三慧内 
   TEL 03-3987-4650 FAX 03-3987-4659 e-mail ske@sankei-inc.co.jp

   プログラム

   あいさつ    尾崎眞人(美術史家)  
   司会       土方明司(美術史家)

   第1部     講演 「桜ヶ丘パルテノンの思い出と一期一会の人ひと」  野見山暁治(画家)
   第2部     公演 「ぐるりとまわして魚の目」                 アーサー・ビナード(詩人) 

   閉会あいさつ 木島始(詩人) 

 
  「池袋モンパルナス 大塚睦画伯の追悼展」

  10/29-11/3 10:00〜18:00 期間中開廊 (無料)

  GALLERIA  PUNTO  創形美術学校内
  豊島区西池袋3-31-2 TEL 03-3986-1981 FAX 1982  

  池袋モンパルナスの会  事務局(株)三慧内 
  TEL 03-3987-4650 FAX 03-3987-4659 e-mail ske@sankei-inc.co.jp



   eワークシヨップの紹介


 国連地域開発センター eワークシヨップ  
          「持続可能な地域開発におけるICTの活用戦略」への参加のお誘い
     Moving from Virtual to Real Benefits in Local Development : Reflections in an e-Workspace

 国連地域開発センターでは、11月11日から12月13日までの間、「Moving from Virtual to Real Benefits in Local Development: Reflections in an e-Workspace」と題したeワークシヨップを開催する予定です。
  掲載予定サイト http://www.uncrd.or.jp/ict/eworkspace/  
            http://www.uncrd.or.jp/ict/eworkspace/japanese/

  この会議は、英語と日本語の両言語で行っていく予定にしています。英語では、情報通信技術によっていかに途上国の貧困削減を行っていくか?ということがメイ ンのテーマになっています。情報通信技術を用いて貧困削減を行っていく上での政策環境、低コストの技術でいかに進めていくのか?、例えば、インフォキオスクな どの場合、どういったコンテンツを考えていくべきか、持続可能性をどのように担保するのか、情報通信技術によって雇用機会を得たり、所得向上にどのようにつながるか、コミュニティ自身が力をつけてくるか(エンパワーメント)などです。
 日本語では「ICTによって切り拓くまちづくり」を課題として考えています。
 ある調査では、地域社会の活性化と課題解決におけるICT活用の可能性を、4つのフェーズに分けて検討しています。すなわち、個人のエンパワーメント、地域コミ ュニティのエンパワーメント、地域自治のエンパワーメント、地域経済のエンパワ ーメントです。
 まちづくりの観点からは、第一に、ICTを活用することによって、地域コミュニティ内及びコミュニティ間のコミュニケーションを高め、地域力を育むこと、そして 、情報を共有・交流し、幅広く議論が展開し、さらに、ネットワーキングを通して 、新しい活動が生まれることが重要です。
 第二に、ICTを活用することで、行政情報の公開が進み、地域の情報共有と交流が活発に行われ、住民が様々な地域の意思決定や政策形成の過程に参加することを通 して、自治体経営の質を高めることが重要です。コミュニティと行政間のコミュニケーションを高め、協働による自治を展開するためには、ICTの活用によって新たに地域社会を切り拓いていくことが重要です。ICTによるコミュニケーションのネットワークが地域ニーズに対応した具体的な解決行動や市民起業による事業活動を 支援する役割を担う可能性もある。e-デモクラシーの重要性が指摘されているよう に、まさに、ガバナンス(共治)の視点からのICT活用です。単なる行政事務の効率化を柱にするのではなく、情報交流によるガバナンスや都市の政策形成能力の向上を柱として考えていくことです。    


                  国連地域開発センター 吉村輝彦  
     
                  転載者(許可済) 
                  地域情報研究所 長岡素彦


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