『S−Report』  10/10 GISを力に − ユビキタスネットワークの世界へ(9)  


 地域活性化や地域づくりでもGISの重要性が高まっています。また、GISがこれからの社会に与える影響が大きくなるでしょう。ここでは、各分野でのGISの動向を概観しながら、地域づくりでのGISの新たな方向を考察します。

  GISとは、地理情報システム(Geographic Information System)の略称で、文字や数字、画像などを地図と結びつけて、コンピュータ上に再現し、位置や場所からさまざまな情報を統合したり、分析したり、分かりやすく地図表現したりすることができる仕組みであり、行政や市民生活やビジネスの現場で幅広く利用することが可能である。     「GISとは」GISひろば  http://www.gis.jacic.or.jp/gis/gakushu/mainfrm_whatis.html  

  GISには行政(国家)における利用、ビジネスにおける利用、教育における利用、研究における利用などの形態があります。最近の動向を交えながらそれぞれの利用形態について御紹介します。

1.行政(国家)における利用
 国土交通省が中心なって推進している「GIS地籍データ整備」によってつくられる全庁型GISによって「住民向けサービスの向上」「市町村業務の効率化」「行政間の広域的活用」が図られるようになっています。
 GIS地籍データ整備WEBSITE http://tochi.mlit.go.jp/g2000/  

 また、「地理情報システム(GIS)関係省庁連絡会議」がGISの利用を支える地理情報(地図データ統計情報等)の整備を行っていましたが、今年よりより豊かな国民生活を実現するための「GISアクションプログラム2002-2005」が実行されています。
 GISアクションプログラム2002-2005(概要)  〜GISにより豊かな国民生活を実現するための行動計画〜
 http://www.gsi.go.jp/REPORT/GIS-ISO/icma/actionpro-gaiyo.html

 このように行政(国家)における利用は「e-Japan重点計画」を具体化する過程でGISを取り込んだ交通事故関連情報、消防広域応援活動支援システムなどが計画にあがっています。

2.ビジネスにおける利用
 GISビジネスは2010年には6兆円を超える市場になるとも言われており、GISは経済活性化の切り札になりうるものです。
 ひとつは、GISの都市開発ビジネス分野です。モバイル端末の発達にともないFM(Facility Management)分野における鉄道、道路、電力・ガス・電話といったライフラインなどの施設管理でのGISとの組み合わせたモバイルGISがこれから発展していきます。
 また、都市計画基礎調査や都市計画の策定や見直しや調査など「土地利用現況」、「建物構造別・階数別現況」、「建物用途別現況」などの現地調査資料にGISに利用することが出来るようになります。
 もうひとつは、GISのマーケティング分野です。実は、GISのマーケティングはそのシステムを提供する企業より流通企業などが現実により有効に利用しています。
 「TSUTAYA」のFC本部であるCCC (カルチュア・コンビニエンス・クラブ株式会社)とその関連会社で「TSUTAYA online」を運営する株式会社ツタヤオンラインのGISのマーケティングシステム(原則非公開)は相当のレベルにあります。(詳しくはこのレポートで御紹介します。)

3.教育における利用
 地理教育から始まったGISは環境教育などの教育の各分野に波及しており、今では総合学習などでも使われるようになりました。  現在では社会教育も含めてGISを使ったいろいろな取り組みがなされています。このような事例としては仙台市の「仙台市の星空を観察しよう(冬の大三角)」 、「空を守るための街灯調査」や「仙台歴史・文化マップ」などがあります。  http://map.sendai-c.ed.jp/
 今後は、教育情報ナショナルセンターが中心になってGISを活用した教育・学習を振興し、総合的学習によってあらゆる教科に広がり、また、社会教育・生涯教育でもGISが広がっていきます。

4.研究における利用
 GISの組織的な研究利用は東京大学空間情報科学研究センター(CSIS)が中心となって全国各地の大学と空間データ(GISを含む)研究ネットワークで各種プロジェクトを進めています。  
  今年9月20日の東京大学空間情報科学研究センター(CSIS)の「第5回シンポジウム 空間情報科学の研究ネットワーク」ではGISがマーケッティングから犯罪学などの多様な分野の研究に使われている事例が発表されていました。
 東京大学空間情報科学研究センター(CSIS:Center for Spatial Information Science)
 http://csis.u-tokyo.ac.jp/  

 さて、GISを使用する場合に多大なコストがかかり問題であったベースマップの情報の地形図のDEM(Digital Elevation Model)やDM(Digital Map)が国土地理院により整備され,かつ非常に安価に入手できるようなり、今後はGISの導入がスムーズに行えるようになってきました.
 また、コンビュータ、パソコン性能の向上によりGISのハードウェアの能力が確保されると、同時に低価格、無償のGISのソフトウェアなどの普及により、GISは国家や研究者・技術者・専門家のための特殊なシステムではなくなり誰でも使えるシステムになりえます。 

 現在、GISは市民活動でも環境保護活動を中心に利用されています。これからはこのようなGISのさらなる発達により地域づくりや幅広い市民活動における利用がなされていくでしょう。こういったGISの進展と同時に、ユビキタスネットワークが進むことで、GISは誰もが使えるようになってきます。
 つまり、ユビキタスネットワークのもとでは国家や大企業などの巨大組織しか持ち得なかったGISのようなツールを普通の人々、市民が使うことができることで、人々にとって「GISは力に」なり、テクノロジカルエンパワーメントできるようになります。  

   ユビキタスネットワークの世界へ向かって


(参考) 「てくてくGIS」 東京大学 空間情報科学研究センター 高橋昭子

 http://home.csis.u-tokyo.ac.jp/~akuri/

 GISに関する本ていろいろあるけど、いまいち専門的すぎてわからない!ArcView買ってはみたけど、使い方がわからない!そんなあなたにお送りする、ここだけのお役立ちコンテンツをそろえてあります。  勉強しながら書いている部分もあるので、管理人のレベルは結構低いです。間違っていたら声をかけてください

  *非常に難しいGISをやさしく解説したサイトです。(謙遜してご本人はレベル低いといってますが、とても)
 

   イベントの紹介



  WPC EXPO 2002  統一テーマ ブロードバンド時代−ユビキタス・ネット社会を拓く

   http://expo.nikkeibp.co.jp/wpc/

 日時  2002年10月16日(水)〜10月19日(土) 10:00〜18:00  ※10月19日(土)は17:00終了  

 会場 東京国際展示場     (東京ビッグサイト http://www.bigsight.or.jp/)  
    東・西ホール及び周辺会議施設及び周辺ホテル

 主催  日経BP社

 併催  WPC フォーラム 2002、ヒューマンキャピタル 2002


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