『S−Report』  9/12   メディア・オン・デマンド −メディアのパラダイムシフト(8)


 前からネットでテレビ番組を見る「ネットのビデオオンデマンド(VOD)」についてお話してきましたが、このサービスである「Chance!@トレソーラ」が始まりました。
 「Chance!@トレソーラ」は、民放3局合同の"テレビ番組"ブロードバンド有料配信イベント。
 ブロードバンド・コンテンツの大本命とも言われているテレビ番組を配信するサービスが9月1日〜11月30日の期間限定イベントとして遂に登場します。
 しかもオンディマンド配信なので、自分の好きな時間に好きなテレビ番組を見ることが出来ます。
 あなたのテレビ&ブロードバンドライフをもっと楽しく!それが「Chance!@トレソーラ」です。
  「Chance!@トレソーラ」  http://www.tresola.com/  

  配信されるのはTBS、フジテレビ、テレビ朝日系で過去に放映したテレビ番組で月額1000円で番組は月ごとに入れ替わります。期間内なら何度でも見ることができて100本前後の番組が配信される予定です。 ただ、利用環境は一部のプロバイダ(OCN・ドリームネット・So-net)とケーブルTV局で広帯域常時接続(ブロードバンド接続 ADSLやケーブルTV、光ファイバーなど)で、下記のような「常時500kbpsの動画がスムーズに見られる通信環境が必要」です。
 OS    WindowsOS(98SE/2000/Me/XP)
 ブラウザ  InternetExplorer5.5SP2以上
 プラグイン Microsoft Windows Media Player 7.1以上       
 Macromedia FlashPlayer6以上       
 Tresola Guardian オリジナル (Web上の画像の二次利用を防ぐため)

 しかし、これではMacintoshやNetscapeでは見れませんし、UNIX・LinuxなどMicrosoft Windows Media Playerの使えないコンピューターでは見れません。
 トライアルなのでこのような制限があり、このトライアル期間後に各社が利用環境ばかりでなく番組内容も考慮して本格的運用を考えていくようです。

 日本の場合はアメリカの様にケーブルテレビの普及率は高くなくなによりも受信料で運営されているNHKがあるため地上波デジタル放送がある程度のシェアを占めることになります。
  ただし、BS(放送衛星)放送、CS(通信衛星)放送、BSデジタル放送、ケーブルテレビについてはそれほどの伸びを示さず、今のインターネットのストリーミング放送の進化した「インタラクティブ (双方向)デジタルテレビ」(IDTV)放送が伸びてくるでしょう。
   「テレビの運命−通信・放送融合」 (2001/8/30号)

 去年、『S−Report』でこのようにお伝えしましたが、BS(放送衛星)放送、CS(通信衛星)放送、BSデジタル放送、ケーブルテレビの淘汰は既に激化しており、ますますインターネットのストリーミング放送が進化していくようになります。  

  このような「通信・放送融合」の動きの中であまり論議されないネットコンテンツが変化について簡単に述べることにします。

 ネットを含めた多チャンネル時代ではコンテンツが不足します。事実、BSデジタル放送では各局とも”数字が取れる”つまり、確実に視聴される可能性がある過去のテレビドラマが番組の柱になっています。
 しかし、それだけでは限界があり、飽きられてしまうので新しいコンテンツが求められていますが、スポンサーの問題、制作費との兼ね合いもあってなかなか難しいようです。

 こんな中、「Chance!@トレソーラ」とは別にネットでアニメ配信サービスも始まりました。

 ヤフーは、9月9日9時からインターネットアニメーションの有料配信サービスを始める。コンテンツは松本零士原作の「銀河鉄道999」で、初のアニメーション配信となる。ブロードバンドの普及により、動画やアニメのインターネット配信が注目されていることから新事業に乗り出す。本配信は9月16日から。

 料金は全コンテツが90日間視聴できるフリーパスコースで2400円、1話30日間視聴と壁紙などのセットコースで500円。企画制作は、東映アニメーションで、制作はコンテンツジャパン。
「ヤフー、ネットでアニメを有料配信」日刊工業ニュース 8/27
http://www.asahi.com/tech/nikkanko/K2002082700112.html

 こちらは「Chance!@トレソーラ」とは違って、既存のビデオ(アニメビデオ)をそのまま公開するのではなく新しいコンテンツを新しいメディアで提供するものです。
 特に、この「銀河鉄道999」はファンは多いのですが、新作が発表されない作品でありアクセス(購読・視聴)が見込めます。

 「銀河鉄道999」はマクロメディアのフラッシュアニメーション(Macromedia Flash)を使い新しい「銀河鉄道999」の世界を展開しています。 「銀河鉄道999」のフラッシュアニメーションおよびテレビ放送時のダイジェスト版ストリーミング映像と壁紙をセットでご提供します。フラッシュアニメ1話、ストリーミング映像2本、壁紙1枚で1商品を構成します。すべてのコンテンツを自由に視聴できるフリーパスコースもご用意しています。
  2002年9月9日午前9時〜2003年3月末日(※壁紙のみ、9月12日〜の提供となります。)
 「銀河鉄道999」 http://999.yahoo.co.jp/

 このコンテンツはコストや狭帯域(ナーローバンド)を考慮してコマ数を減らしたり、フラッシュアニメーションの制限もありまだ充分とはいえません。(とはいっても、マクロメディアはこれにとどまらず、さらに新しいデジタルメディアシステムを展開しています。このマクロメディア戦略についてはいずれレポートします。)
 このように新しいメディアにはまだまだいろいろと制限はありますが、重要なことはこれからは映画ともテレビとも違う新しいネット「メディア技術」で新しい物語が配信されていくことです。
 つまり、既存の映画やテレビ、アニメの技術による表現とは別に表現がはじまっています。また、同時に、これからはネットのビデオオンデマンド(VOD)や本のブックオンデマンドも単に復刻・復刊のツールではなく、新しい形でのメディア表現に変化していきます。

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   「コミック・オンデマンド」の紹介 


 
「コミック・オンデマンド」
 出版の分野でもネットを利用したオンデマンドによるマンガの復刊も始まっています。
 特に「コミックパーク」では講談社、小学館、青林堂の版権絶版や品切れの作品を注文ごとに印刷・製本して読者の手元に届けるというシステムとなっています。

  コミックパーク   http://www.comicpark.net/
  復刊ドットコム   http://www.fukkan.com


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