『S−Report』  9/5   「教室にパソコンを」ではなく


 子供達の夏休みも終わり新学期も始まりました。今年は小・中学校では新しい学習指導要領の全面実施、完全学校週5日制の導入など新しい試みがあります。
 今回新たに、小学校3年生以上に「総合的な学習の時間」が採 り入れられました。この時間では、例えば、地元の川での体験活動をきっかけに、水中にすむ生き物や水質、環境に関する研究 を行い、自分の考えをレポートにまとめ発表するなど、全国の学校で様々な創意工夫が始まりました。この時間で子どもたちは、 自然体験や社会体験を通して、各教科で勉強したことを生きた知 識として確実に身に付けたり、自分で考える力を養います。
「画一から自立と創造へ−新学期を迎えるに当たって」 文部科学大臣 遠山敦子
 小泉内閣メールマガジン 第59号 2002/08/29
「新しい学習指導要領のねらいの実現に向けて」 文部科学省
http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/youryou/111/f_020101.htm  

 さて、政府の「ミレニアム・プロジェクト」(平成11年12月19日内閣 総理大臣決定)ではコンピューター・ネットをテーマの一つとしてお り、2005年度を目標に全ての公立小中高等学校等が、各学級の授業においてコンピュータを拡張できるように定めています。具体的には公立学校内LAN機能の整備の支援、公立学校教員の研修、教育用コンテンツの総合的提供の推進を行い、教室に2台程度のパソコンを設置する予定です。 現在、この「教育の情報化」に向けていろいろ検討されています。
  その一つの公立学校内LANの設置についででさえ、LANの維持管理、セキュリティや子供にあまりふさわしくない情報の取り扱い、LAN 内のネチケット(誹謗中傷)などのいろいろな問題があります。

 残念ながら今の所このような論議はモラルや制度、技術論に終始 しています。ここでは、このような論議のうち、あまり語られない重要なことを指摘するにとどめます。

  そのひとつは、教育全体における「教育の情報化」のビジョンの問題ですが、その理念の論議も重要ですが「総合的な学習の時間」 などの教室外の活動とどう教室内のパソコンを使った活動をリンクさせていくのかということです。
 ご存じのように、インターネットやパソコンを使うと実際に行かなく てもいろいろな情報が分かるので、ついつい実体験を軽視しがちになります。
 その意味でも「教室にパソコンを」ではなくて、eラーニングも含め て「教室のパソコンを実体験にどうつなげるか」が重要です。

 次に、携帯の普及により教室のパソコンにいろいろな制限を設けても、学校内でも携帯で自由にネットにアクセスしたり、メールしたり できます。
 子供たちは携帯をもっていない時にはパソコンのメールをよく使っ ていますが、携帯を持つようになると途端にあまりパソコンを使わな くなることが多いです。(携帯デビュー)これは家族で共用しているパソコンだとメールを親に見られるのがイヤなようです。

 また、ユビキタスネットワークが進めばこの問題はさらに拡大していきます。
 この意味では「教室にパソコンを」ではなくて、「教室のパソコンと携 帯をどう共存、棲み分けさせていくのか」が重要です。

 さて、これらのことで一番重要な点は「携帯・PDAも含めた『情報リテラシィ及びコンピューター・ネットリテラシィ』を教育の中でどう位置づけていくのか」ということです。
 情報リテラシイとはリテラシィ(読み書き能力)を一歩進めた考え方で 「情報を収集する、評価する、活用するための能力」のことです。もちろ ん、コンピューター・ネットリテラシィ、つまり、「コンピューターを使いこなす能力及びコンピューター・ネットで情報を収集する、評価する、活用するための能力」もこの情報リテラシィのひとつです。
 前記の、ネチケット(誹謗中傷)、子供にあまりふさわしくない情報の取り扱いはもちろん、実体験にどうつなげるかの問題も『情報リテラシィ及びコンピューター・ネットリテラシィ』の問題でもあります。

 「新しい学習指導要領」「教育の情報化」の中でも『情報リテラシィ及びコンピューター・ネットリテラシィ』はある程度盛り込まれていますが、ま だまだ十分とはいえません。

 『情報リテラシィ及びコンピューター・ネットリテラシィ』については「コン ピューターを使い、ただの技術や知識だけではなく、将来世界で活躍するための知恵を身につけること」を目的としたフューチャーキッズという 団体があります。

 フューチャーキッズは、米国カリフォルニアに本部を置く世界的情報教育機関。1983年の創立以後、世界73カ国に広がり、情報教育教員の世界団体であるISTE(国際情報教育学会)と共に情報教育の普及に努め てきた。米英などの情報教育先進国では、個人向け教室の展開に加え、公教育の現場でフューチャーキッズのカリキュラムが導入されているケースが多い。特に、世界の都市においてIT特区ともいえるシリコンバレー地区、ニューヨーク市、ケンブリッジ、シンガポールなどでは、公教育のカ リキュラム立案に大きく寄与し、ケンブリッジ地区の中心的役割を担うケンブリッジ大学では、フューチャーキッズのカリキュラムを基にした「情報教育レベル認定制度」を制定している。
 フューチャーキッズ  http://www.futurekids.co.jp/top/  

  「自然体験や社会体験を通して、各教科で勉強したことを生きた知識と して確実に身に付けたり、自分で考える力を養う」のであれば、まず、こ のような計画を進める政府・教育関係者や教育関係企業が「教室にパソコンを」のような発想から抜け出して、世界・日本各地で行われる幅広い活動から『情報リテラシィ及びコンピューター・ネットリテイラシィ』のカリキュラムなどを学ぶことも必要ではないでしょうか。

 そして、言うまでもなく『情報リテラシィ及びコンピューター・ネットリテラシィ』はユビキタスネットワークの世界では今以上に重要になってきますし、 「自分で考える力」を持ちつづけるには必要な不可欠なものになります。

        ユビキタスネットワークの世界へ(8)


   サイト紹介  


 
地域情報研究所の公式サイトが公開になりました。
 
   ”e-tiiki.net”   http://www.e-tiiki.net

 ご挨拶   

 地域情報研究所では研究所案内及び地域活性化、地域づくりに関わる交流のためのサイトを作成中でしたが、この程完成いたしました。
 つきましては地域情報研究所サイト”e-tiiki.net”をご覧頂き、ご意見を賜ればと考えております。
 まだまだ、不十分ではございますが、今後さらに充実させて頂く所存でございます。
 また、皆様より情報提供やご提案をお待ちしております。  
 今後も、よろしくお願いします。  
                         地域情報研究所

 サイトの内容

 1.クローズアップ −いろいろな地域や活動の紹介
  ・全国、地域の人やモノ、活動の紹介、情報術
  ・地域発の生の声としての地域情報の紹介
  ・地域情報研究所、e-tiiki.netについて

 2.研究所の内容
  ・地域情報研究所の目的・分野・内容・活動概要等

 3.Anavi −地域情報の道案内
  ・テレビを中心にメディアでの地域活性化、地域づくりの情報 
  ・取材・調査にも参考になるイベント・祭の先取り情報 
  ・各地のユニークでおもしろい情報
  ・地域活性化、地域づくりの基礎的な知識・情報
  ・リサーチャー田中が地域情報をナビゲーション
  ・e−相談

 註−サイトの中にサイトマップがあります。(「ご挨拶・サイトマップ」の項目)



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