マンガ雑誌を読んでいて楽しみにしていたマンガの連載が突然終わってしまって残念なことはありますよね。連載の打ち切りにはいろいろな理由がありますが、ともかくもうそのマンガが読めなくなったら寂しいものです。 昨年からこのレポートでも何回かマンガについても取り上げてきました。最終的には「マンガはただ!? − 紙の本、電子の本(6)」(2001/10/25号)で「マンガが売れなくなった理由」を検討 しました。 今年度テーマのひとつの「ネット・コンテンツ・トライアル」の一 環として編集者の大串喜孝氏と「このマンガがおもしろい」という トライアルサイトをつくる予定でした。 しかし、残念なことに先日大串喜孝氏が急病で亡くなられました。故人のご冥福をお祈りすると同時に「このマンガがおもしろい」 というトライアルサイトでやろうとしていたことを書いておきます。 まず、出版全体もそうですが、特にマンガの場合には低価格版マンガやコンビ二、「リサイクル書店」などの影響が大きいです。 マンガは雑誌はコンビ二で立ち読み、マンガ単行本はマンガ喫茶で読み、気に入ったものは「新古書店」「リサイクル書店」 で買うという図式が考えられます。 ここで、重要なのはアニメはテレビでただで見るよう、マンガは ただで読むものになってきていることです。今後ますますこの傾向は激しくなってくるのでこのことを前提に考えなくてはならないでしょう。(2001/10/25号) また、出版社、書籍取次、書店がネットを使い今までの流通ルートとは異なる方式で読者にマンガや書籍を販売したり、マンガをネット上でデジタルコンテンツ化して販売することもあり、プロがマンガを発表する機会は少なくなってきました。 それに伴って連載の打ち切りや雑誌廃刊、単行本の絶版も増えてきました。 一般書籍や特殊な分野の書籍の場合には小規模なマーケットでも出版が成り立ちますが、マンガの場合にはそういかない事情もあって、出版社は確実にある程度の利益の上がる作品やスポンサーのつきやすい作品を優先させることになり、ますますマンガを発表する機会は少なくなっていくという悪循環か発生しています。 また、ネットで出版コンテンンツを展開する現在のシステムは各出版社の持つ既存の資源、つまり、評価の定まった、読者の 見込めるマンガを販売する段階であり、これでは上記の様な悪循環を助長する恐れがあります。 このように出版社が利益を確保し、経営を維持するためには一定の発行部数が見込めないマンガは発行しない現状に対して、「ネット・コンテンツ・トライアル」プロジェクトではネットとオンデマンド印刷システムやe−Bookを組み合わせて多様なマンガを提供する上記のシステムとは異なったシステムを考えています。 もちろん、このようなやり方を展開している団体もありますし、 コミケ(コミックマーケット−マンガ同人誌販売イベント)もネットで展開を図っています。 このプロジェクトもそういった流れのひとつなのですが、同人誌は内輪のメディアであり、自己表出、つまり、自分の表現に 終始する傾向にあり人に伝えることを軽視する傾向もあります。 作品が単なる自己表出に終わらないためには、既存の出版のシステムのように編集者が介在し人に伝えられる作品としてマンガをつくりあげる共同作業が必要になります。 ネット等の新しいメディアではこのようなメディアのプロが少ないです。 マンガに限らず今までのメディアではプロの記者や編集者が情報の確実性や伝達性などを確保していました。 しかし、ネットなどの新しいメディアでは誰もが情報発信が可能になりますが、現在のネットの情報発信では情報の確実性 や伝達性などを考慮していないことが多いです。 だからこそ、既存の出版・流通のシステムとは別のやりかたで、既存のメディアの技術を持ちながら、新しいメディアに対応できる新しいメディアのプロが介在してネット・コンテンツを作り上げる必要があります。 このようなことを「ネット・コンテンツ・トライアル」では構想しています。その大切な仲間を失ったことは非常に残念ですが、これを「打ち切り」にせず今後もユビキタスネットワーク時代のメ ディアを模索していきたいと思います。 −メディアのパラダイムシフト(8)へ
フィールドワークの紹介
「おおたかのすむ森 くぬぎ山の過去・現在・未来」 埼玉県所沢市周辺で産廃銀座となった里山「くぬぎ山」を再生する計画があります。その「くぬぎ山」を現地のNGO、環境団体の方々のガイドでまわります。 日時 9月1日 9:30分 現地集合 12:30頃 現地解散予定 場所 くぬぎ山 (所沢市) JR川越駅西口 「新所沢東口行き シチズン前 下車」 持物 水筒、防止、メモ、保険料100円 主催 かわごえ環境ネット 自然環境委員会 詳細は下記のアドレスにメールください。