寒いとついついカフェに入る機会が多くなります。最近ではカフェでもホットスポットサービスが受けられるところが出てきまし た。アメリカではすでにスターバックス(Starbucks)がホットスポ
ットサービスを始めていますが、これは新しいコーヒーのサービスではありません。
まず、ホットスポットとは無線LAN(短距離無線通信技術 −IEEE802.11系やIEEE802.15・Bluetooth)を使ってインターネッ
トへアクセスできる場所のことをいいます。
そして、ホットスポットサービスとは人が集まる公共の場所や駅・空港、ホテル、喫茶店などをホットスポットとしてインターネ ットへアクセス環境を提供するものです。
簡単に言うとスターバックスのようにその場所に行くと手持ちの無線LAN対応のノートパソコンやPDA(電子手帳)でインター ネットにアクセスできるようになるサービスのことです。
日本でも昨年からホットスポット実験が行われています。NTT コミュニケーションズは東京都内で去年7月3日から公衆高速無線インターネット実験「Hi-FIBE」を開始してファーストフード「モスバーガー」での展開しコンビニエンスストア「ミニストップ」やコー
ヒーショップ「BLENZ CAFFEE」、品川プリンスホテル別館などで実験をしています。
主なホットスポット実験には下記のものがあります。
・モバイルインターネットサービス(MIS)の「街角無線インターネット」 (IEEE802.11b)
・JR東日本と日本テレコムの東京駅無線インターネット実験(IEEE802.11b)
・西日本NTTユーザーを対象にした大阪フレッツ・スポットアクセス (IEEE802.11b他)
・日本エリクソン、丸紅、ハンドスプリング「Bluetooth Launch Project(B.L.T.)」(IEEE802.15)
さて、今年からこのホットスポットサービスも商用化されることになりました。
NTTコミュニケーションズ(NTTコム)は2月14日,早ければ4月にも無線LANを使ったホットスポット・サービスを東京23区内で 始める予定であることを明らかにした。利用料金は月額2000円前後。無線LANの国際標準仕様IEEE802.11bに準拠した製品を使って,駅や繁華街の喫茶店などから,高速のインターネット接続が利用できるようになる。(中略)
NTTコムは,東京23区内のほとんどの駅周辺や繁華街に300〜600m間隔でアクセス・ポイントを設置する方針。アクセス・ポ イントから半径30〜50mのエリアで無線アクセスが利用できる。
どこでもアクセスできるわけではないが,繁華街を5分程歩けば どこかのホットスポットにたどり着く計算になる。東京周辺の通勤路線沿線の都市にもサービス・エリアを広げる予定で,「サービス開始後,できるだけ早い段階で首都圏に500〜1000カ所のホ
ットスポットを作りたい」(田代道郎ネットワーク事業部長)として いる。
4月にはベンチャー企業のモバイルインターネットサービス (MIS)がやはり東京23区内で多数のホットスポットをシームレス に展開する形の「街角無線インターネット」を商用で始める予定。試験サービスでは,日本テレコムとJR東日本,NTT東日本なども
開始,または開始予定であるなどサービス提供者側の熱気は高まる一方である。果たしてこの熱気にユーザーが付いてくるか。 4月に始まる2社の商用サービス開始後に最初のヤマ場を迎えそうだ。
「NTTコム,4月にもホットスポット・サービスを開始。月額2000円前後で東京23区から」
(野沢 哲生=日経コミュニケーション) http://itpro.nikkeibp.co.jp/free/NCC/NEWS/20020214/1/
NTT東日本が,無線LAN技術を使う定額サービス「Mフレッツ」 (仮称)の提供に向けて準備を進めていることが明らかになった。 5月にも,東京都と北海道で試験サービスとして開始する見通しである。
Mフレッツのユーザーは,Mフレッツ対応の企業内,喫茶店,ホテルなどから,無線LANを利用してインターネットに接続できる。 企業やホテルなどはNTT東日本のFTTH(fiber
to the home)サービス「Bフレッツ」などを導入して無線LANのアクセス・ポイントを設 置すれば,Mフレッツ環境を構築できる。
「NTT東日本が無線の「Mフレッツ」を提供 東京,北海道で5月にも試験サービス開始」日経BIZTech
どこまで普及するかは別として日本でもホットスポットが一般化してくることは確かです。ただ、依然としてIEEE802.11系やIEEE802.15
の無線LANの解決すべき技術的諸問題もいろいろとあります。
外出中にネット接続するもう一つの方法としては次世代の携帯電話・ネットワークサービスがあります。
「第三世代」のIMT-2000の規格でNTTドコモのFOMA、J-フォンのW-CDMA(Wideband CDMA)、KDDIのAU-cdmaOneのcdma20
00のなどのサービスを始めています。(この辺の昨年の状況は2 001/8/2号「IMT-2000と携帯電話・PHS」にあります。)
現在の「第二世代」でもNTTドコモのimodeでも今年から現行方式(PDC−P)、DoPaののパケット通信速度9600bpsを下りのみ ですが最大28.8kbpsに高速化します。(但し、この方式に対応した
携帯電話が必要)
PHSではDDIポケットの「AirH"」(エアーエッジ)が3月26日より通信速度を現在の32/64Kbpsから128Kbpsに高速化します。
また、NTTドコモは2月1日通信分から「AirH"つなぎ放題コース」 と同じデータ通信向け料金プラン「P−p@c10」「P−p@c20」を始めました。「P−p@c10」は月額2500円の定額料金で10時間まで、「P−p@c20」は月額3200円で20時間まで接続できます。
その内容は
対象データ通信(音声通話なし)のみを行った場合の最適プラン
・ 0〜6.0時間 :パルディオ・データプラス
・ 約6〜約12.8時間 :パルディオ・データプラス+P−p@c10
・ 約12.8時間〜 :パルディオ・データプラス+P−p@c20
特別な端末は必要なく,従来の64Kbpsと32Kbpsのデータ通信対応端末すべてに適用できる。
http://www.nttdocomo.co.jp/p_s/charges/system/phs/p-pac/
ドコモのPHSは(パケット通信ではなく)「回線交換方式」なので6 4Kbpsのスピードが確実に出るのが特徴で、AirH"は「パケット方式」なので非常に切れにくいのが特徴です。どちらにせよ「第三世代」のIMT-2000のコストが下がるまではこれらのサービスがユビキタスネットワークのインフラのひとつとなります。
従来のネットワークよりユビキタスネットワークでは外出中に常時接続できることの必要性があります。現在はこのような携帯電 話・ネットワークサービスとホットスポットサービスがユビキタスネットワークのインフラを担うことになります。
しかし、今後は音声(電話)もデータもインターネットのIPパケッ トで中継するオールIPの携帯電話・データネットワークが主流になりつつあります。
昨年8月には米QUALCOMMとカナダのNortel Networksは「第3世代向けのMobile IPソリューションはこれが初めて」CDMAネットワークでMobile
IPプロトコルのデータ通信に成功を公表しました。
また、今年2月20日にノキアが「3GSM World Congress」で次世代オールIP無線接続ネットワークに向けた取り組みや製品を発表
しました。
http://itpro.nikkeibp.co.jp/free/ITPro/USNEWS/20020221/6/
今言われているブロードバントだけでなく、このように無線データ通信、携帯電話、電話もすべて統合されたネットワークが早期に実現するようになってきました。
(「ユビキタスネットワークへ IT分野の2001年」11/29号)
そして、現在のインターネットはこれらの無線ネットワークやeコミュニティネットワーク、ホームネットワークが確立して初めて「ユビキタスネットワーク」が完成します。
ユビキタスネットワークの世界へ(3)へ
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