『S−Report』  1/17    身近で切実な「国際化」の時代

 
 東南アジアでよく見かける台湾のジュース・茶・ミルクスタンドチェーン「快可立」(Quickly)が昨年末に池袋にできました。こう いうチェーンは欧米のものが多く「快可立」のメニュはおもしろいのですが価格が高くてお客さんは入ってないようです。販売価格 が東南アジア各国の同店の数倍でしょうかよっぽと日本の物価 が高いと思われているんでしょうか。

 「快可立」(Quickly)に限らずいろいろなものが日本に入ってきています。日本国内でも中国製品を始めとしていろいろなものが入っており、これまでも消費者向けの一部中国産野菜の輸入のセーフガードを発動などのトラブルもありました。(「安売りと見識」 2001/4/5号)1月6日世界貿易機関(WTO)閣僚会議で中国と台湾の加盟が認められ、中国は12月11日に正式加盟する予定であり関係は改善されるでしょう。

 「製造業が生き残るには」というタイトルのさいたま市の「経営コンサルタント『堀口敬』のページ」では
「日本の製造業が生き残る道は、『中国工場進出』か『中国部品輸入』しかありません。」と言い切っています。
 http://www.consulparty.com/index.htm

 日本の製造業のリーデンテングインダストリーである電子工業 が赤字か大幅な減益に転落し、それを受けて各社が海外移転、事業中止、人員削減計画を発表しています。(「ある日、突然」 2001/9/6号)この状況では「製造業が生き残るには」の提言は現実味を帯びています。

 こんな中でジェトロ埼玉情報デスクの相談員宮川氏は以前からこの問題に積極的に取り組んでおり、インターネットを使ってサイ トで実際に情報収集できる「貿易情報収集の実例」をしています。

「ジェトロ埼玉情報デスク−インターネットを使った貿易情報収集の実例−」 「彩の国海外経営情報」 http://www.pref.saitama.jp/A07/BG00/kokusaihp/kokusai/k19-2.htm  

 また、地域の自治体でも青森県では県貿易推進連絡会議をつくり積極的に貿易を推進しているようです。その中で「貿易支援ネットワーク整備事業」 を行い県内のジェトロとの連携や割を明確化を図り民間主導の貿易振興団体の設立や「ホームページ開設などの情報インフラ整備」 を検討してサイト開設しています。

「貿易情報青森」
http://www.pref.aomori.jp/trade/jpn/  

今年ヨーロッパでは欧州連合(EU)の通貨統合が行われ、1月13日には日本・シンガポール新時代経済連携協定(JSEPA)が締結されました。この効果として

  自由貿易協定締結に伴う域内国間の貿易障壁撤廃は、域内で取引きされる財・サービスの価格の変化を通じて、域内・域外との貿易 量や経済厚生をそれぞれ変化させます。域内障壁の削減に伴い、従来から行われていた域内貿易が更に拡大するケース(貿易創造 効果)においては、輸入国の消費者は同じ輸入財・サービスをより安 く消費することができ、一方、輸出国の生産者は輸出の拡大による利益を得ることができるため、加盟国の経済厚生は上昇します。(中略)
 そのため、本来ある財を低コストで生産可能な域外国からの輸入に対して関税が賦課される結果、高コストであるが関税が賦課されていない域内国からの輸入に転換される場合もあります(貿易転換効果)
「自由貿易協定の経済効果」「日・シンガポール新時代経済連携協定(JSEPA)」
http://www.meti.go.jp/policy/trade_policy/jsepa/data/fta_effects.htm#top

 このような背景には昨年11月中国とASEANが自由貿易協定(FTA) を10年以内に結ぶことで合意したことに対抗する意味もありますが、日本、中国、韓国、ASEANを中心とする東アジア経済圏が確立する きっかけになる可能性もあります。この進展によっては欧州連合(EU) 南北アメリカをまたぐ米州自由貿易圏(FTAA)に並ぶ国際経済圏が成立するかもしれません。

 このような状況では国内のいっそうの産業の空洞化も考えられる以上これに対応する必要があります。前出のジェトロ埼玉情報デスクはそん
な活動の一環として経済の国際化のネットワークづくりをしています。

 経済の国際化をめざし、自治体や団体が互いの情報を積極的に共有しようとネットワークづくりを進めている。中心となっているのが経済産業 省の外郭団体・日本貿易振興会(ジェトロ)埼玉情報デスクだ。不況を生 き抜くため、海外との提携や進出に活路を見いだそうとする企業は多く、昨年4月に設置された埼玉情報デスクが交渉の窓口役として成果を上げている例もすでにある。
 「この交流が建具製造業界の再生に結びついてくれればいいですね」
 都幾川木工協同組合の関和常夫理事長は期待を込める。組合は今年、リトアニアの木材関連企業組合との産業交流に取り組んでいる。(中略)
 さいたま新都心で今月14日、中小企業の国際化についての討論会が行われた。関東経済産業局と埼玉情報デスクの呼びかけで各地の商工会議所、県や市の自治体関係者、大学教員ら約20人が集まり、意見交換した。
 「さいたまスーパーアリーナに国際見本市を誘致しては」「商店街の空洞化対策として外国企業を空き店舗に誘致したらどうか」。そんな提案や 「経済交流が仕切れる職員を地方自治体に置くべきだ。文化交流だけの時代は終わった」「県内企業の海外進出に関するデータが少なすぎる」と いった注文などが出た。(中略)
 「国内だけでの商売では先が見えてしまったと考える企業が増えてきま した。海外との提携、進出により何とかして現状を打破しようする中小企業は増え続けるでしょう。そうした企業の後方支援がしたいです」と宮川さ んは話している。
「海外連携で不況打破」 埼玉エコノミー  朝日新聞 2001/12/25
http://mytown.asahi.com/saitama/news02.asp?c=5&kiji=471

 これまでも、地域や中小企業、NPOでも海外から輸入をする例は多くありますが、今は中小の製造業者が商品を輸出したり、商店街の空き店舗対策に海外企業の誘致を検討したりするほと切実な状況があります。

 国家や大企業・組織の「国際化」ではなくこのような身近で切実な「国際化」の時代が来ています。
(もちろんこればかりでなく、身近で切実な「国際化」の時代は日本で働いている外国籍の方々やNGOの国際交流も含めた意味です。)

 Cyber Lab Site

 「電脳退行計画」
 http://www.ne.jp/asahi/cyber/lab/sindex.htm

 2002年度のコンセプト「バラダイムシフト−仕事の再定義−」のシステム分野のテーマに基づいて「電脳退行計画」をサイトで公開致しました。

 今回は、去年度『S−Report』で連載しました「もうパソコンはいらない !?」の総集編を掲載しました。
 詳細はCyber Lab Siteの「STUDYコーナー」や『S−Report』でお知らせします。
 また、ご関心のある方はメール等にてご連絡ください。

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