ペイントひび割れ現象

 「エアクリーナーがフードに当たる」でも触れたが、塗装面のひび割れは干渉によって起こる物と、塗装が原因で起こる物とに分けられるだろう。前者は下地のFRPが押し上げられて、その部分の塗装にひびが入る物だ。後者の塗装が原因で起こる物は、やはりオールペンした物に多い。特にウレタンバンパーにひび割れが目立つ物が多い。これは柔軟剤を入れずに、他の塗装面と同じ塗料で塗られているためで、剥離して柔軟剤入りの塗料でペイントするしかない。またもともとひび割れした塗装面に上塗りするために下の塗装面のひびが現れるケースもある。最悪なのは水膨れになったり、しわしわになった物だろう。水膨れはその部分のFRPが補修されている可能性が高い。日本で補修すると湿度の影響で水分を含みやすくなり、時間がたつと表面が水膨れの様になってくる。しわしわになっている物は、上塗りされた塗料がウレタンの場合によく起きる。'81年式コルベットはセントルイスの工場とボーリンググリーンの工場でラインオフされた物がある。ボーリンググリーンでは'81末期と'82年型以降を作っていた。工場が変わったときに塗装の方法も変わっていたのだ。セントルイスではラッカーで塗装されていたものが、ボーリンググリーンに移ってからはベースにエナメル系が使われ、アクリル系のクリアトップコートがされていると言われる。その仕上がりは一目瞭然で、ボディの艶を含め細かい箇所の仕上げが異なる。
 ここで、リペイントした場合に問題がある。ラインオフされた状態に、ウレタンで重ね塗りされた場合は問題ないが、一度ウレタンでリペイントされて更にラッカーやアクリル系で重ね塗りされた場合は以下のような問題がある。ウレタン塗料は上に塗られる塗料との相性がある。例えば、ウレタンの下地にラッカーを上塗りするとウレタンが負けてしわしわになってしまうのだ。特に有機溶剤系のラッカーやアクリルには弱い。また、下地が2液硬化型のウレタンの方が顕著に現れる。ウレタンで塗装されたエレキギターを缶スプレーで塗って、しわしわになった経験を持つ人もいるだろう。
 この逆の場合、ラッカーが下でウレタンが上ならこの現象は起こらず問題ない。ウレタンは非常に弱い塗料なのだ。国産車の補修に缶スプレーを大量に使って、しわしわになった方もおられるのではないだろうか。
 コルベットでしわしわになっているのは一部分なのではないだろうか?それは一応サフェーサーを吹いてからラッカーを吹くのでかろうじて助かって、サフェーサーの薄かった部分がしわしわになって現れるのだ。
 よってこれからコルベットを買おうと考えているあなた、塗装を見て水膨れがあったら事故の経験アリで、しわしわがあったら1回目ウレタン、2回目ラッカーでリペイントされた2回上塗り物と考えた方が良いだろう。
 ちなみに私の車は、元々赤いのをパールイエローに塗った物だ。実はその赤も1度塗られた物らしくフレームなどに色が付いている。元々はマルーンメタリックだったようだ。つまり2回の上塗り物なのだ。しかし、最後に塗られた塗料はウレタンなのでしわしわは発生していない。つまり、剥離しないでリペイントする場合、必ずウレタン指定で塗装すること。そうすることで、しわしわは避けられるのだ。
 当時はコルベットなら何でも良いと思って買ったので後悔している部分でもある。今度塗る機会があったら全剥離で塗りたいと思っている。

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