新作紹介トップへ戻る。

2003年春の新作映画メモ


『ノー・グッド・シングス』 『ディレイルド 暴走超特急』

『青の炎』 『クローサー』 『リベリオン』

『ザ・コア』 『X−MEN2』 『奪還 DAKKAN』

『サラマンダー』


『ノー・グッド・シングス』

 監督:ボブ・ラフェルソン
 出演:ミラ・ジョヴォヴィッチ サミュエル・L・ジャクソン

 ダシール・ハメット原作ハード・ボイルド、映画化!

 休暇中の刑事ジャック(サミュエル・L・ジャクソン)は、隣人に頼まれた家出娘の捜索にでかけるが、偶然立ち寄った家で強盗一味に囚われてしまう。刑事の身分が災いし、無関係なことも理解されないまま、ジャックは監禁され死を待つばかり。だが、一味のボスの情婦であるエリン(ミラ・ジョヴォヴィッチ)は、ジャックを利用し、一味とボスとの関係を清算しようと企てる……。

 『バイオハザード』など当たり役を経て、ジョヴォヴィッチがはまり役の悪女を熱演! この人、格好によっていかにも悪そうというか、ビッチめいているというか……。そしてそれと絡む刑事役で、近年ますます渋系役者としての地位を固めているサミュエル・L・ジャクソン! エロい! 渋い! これはひさびさに本格的なノワールが楽しめそうな予感がひしひしと……したんですがねえ……。

 「すべてを見通す悪女の、完璧なる脱出計画」など、ストーリーに一本背骨があり、その構成の完成度を楽しむ、というのがこういうクライム・サスペンスの一つの形であると思っています。が、今作はそういう構成でなく、多彩な登場人物のいくつもの思惑がからみ合い、状況も展開も刻一刻と変わっていき、果たして最後に残るのは誰か……ということを主題においた、どちらかというと混沌とした形。こうなるとストーリーや構成を追うよりは、主人公に感情移入して共に振り回されるような感覚を味わうのが、見方としては常道でしょう。

 が、共に「ワル」そうではあるものの、あまり頭が良さそうでないというか(失礼……)、どっちかというと動物的勘や本能が先走ってそうな主役二人、濃厚なセクシー路線でストーリーを引っ張るに違いないと独り決めしていたら大間違い。なんとジョヴォヴィッチがピアノを弾き、サミュエルがチェロを奏で、音楽の調べで二人の共感と結びつきを表現! ……ありえねえ! 似合わねえ! 無理ありすぎ。

 知的でないキャラクターが知的でないストーリーを知的イメージで引っ張る……出来るわけないだろ! 脚本を主体に置くならミスキャスト、キャストありきなら脚本の間違い、う〜ん、なにが悪いのか一概には言えない一本でした。

トップへ戻る。


『ディレイルド 暴走超特急』

 監督:ボブ・ミショロウスキー
 出演:ジャン・クロード・ヴァン・ダム ローラ・エレナ・ハリング  

 まだまだ続きます、ヴァン・ダム新作。

 秘密工作員ジャック(ジャン・クロード・ヴァン・ダム)は、怪盗ガリーナ・コンスタンチン(ローラ・エレナ・ハリング)の護衛を命ぜられる。大陸横断鉄道に乗った二人だが、ジャックの家族も乗り合わせてしまい、ジャックは家族に不倫を疑われ絶体絶命。そしてガリーナの盗み出した細菌兵器を狙って、テロ集団までが列車に侵入。果たしてジャックは身の潔白を晴らし、家族と世界の危機を救えるか?

 予算削減、小スケール化著しいここ数年のヴァン・ダム作品ですが、今回はスティーブン・セガールの『暴走特急』を、彷佛とさせるというにはあまりに露骨なサブタイトルを付けて劇場公開。大作感を無理して漂わせようとしてますか? 

 さて、ヴァン・ダムもついに40の坂を越え、外見的にはさして衰えは感じられないものの、徐々にスタイルの転換を迫られている模様。今作ではかつての必殺技であった蹴りは見せ技にとどめ、手技から関節技につなぐ総合格闘技スタイルを披露。狭苦しい列車内での闘いが中心なので、まずまず自然に見えます。ただまあ、狭いとこなら狭いとこで、天井に股割りで張り付くアクションなどを、やっぱり期待してしまうのだがなあ……。

 ミニチュア使用の特撮や、使い回し一目瞭然のヘリ空爆シーン、必然性なき爆発、細菌兵器絡みのシナリオの杜撰さなど、ありすぎる欠点に目をつぶれば……って無理か。でも突っ込みながらほどほどに見られます。

 今作最大の注目は、ヴァン・ダムの息子が出演してるとこですかね。父に代わって回し蹴り、明らかに同じ顔なのでかなり笑えてきますが、そういや昔『ブラック・イーグル』にも出てた……ってそりゃケイン・コスギだよ。

トップへ戻る。


『青の炎』

 監督:蜷川幸雄
 出演:二宮和也 松浦亜弥 鈴木杏

 ひさびさに邦画です。

 櫛森秀一(二宮和也)の家庭を襲った一つの不幸。母のかつての結婚相手である男が家に居座り、数週間。妹に手をかけ母の肉体をむさぼるその男に対して、秀一の怒りは頂点に達した。秀一は男の抹殺を目論み、密かに完全犯罪を完成させようとするが……?

 原作は貴志佑介。実に三作品めの映画化ということですが、今作が間違いなくもっとも出来がいい。キャラクターを無難に処理しほどほどの内容におさえた『ISORA』、原作にないはったりを追加して無内容に仕上げた『黒い家』に対して、いい話なんですが作者の力量次第でもっと良くなったんじゃないかなあ……と思わせた原作を、演出と映像美でもって完成させた、映画化の見本のような作品。ちゃんと演出すれば、邦画でも普通に観られるんだなあ。

 二宮和也は、ジャニーズの看板をまるで感じさせない好演。狡猾さと純粋さの入り交じったキャラクターに、実にはまっています。最近ぽにょぽにょと太っている鈴木杏も、出番は少ないですが相変わらず演技はワンランク違う。台詞も表情のつけ方も、毎回しっかり別のキャラ。松浦亜弥は……まあこんなもんか……。真面目な顔してた方がかわいいんじゃないかね。

 余計な説明やモノローグを極限まで省き、スマートにまとめた印象。殺人シーンを事前の仕込みから解決編まですべて映像だけで見せたのは素晴らしい。なかなかの佳作です。

トップへ戻る。


『クローサー』

 監督:コーリー・ユエン
 出演:ヴィッキー・チャオ スー・チー カレン・モク 倉田保昭 ベン・ラム

 香港アクション映画。

 衛星からあらゆる監視カメラに侵入するシステムを開発した科学者がいた。システムの秘密を狙う企業に雇われた暗殺者によって科学者は殺されたが、暗殺者は企業を裏切り、科学者の娘二人を助け姿をくらます。それから十数年。父の作ったシステムと、育ての親である暗殺者の技術を持ち、姉妹は「夕陽天使」と名乗る殺し屋となっていた。

 またまたコーリー・ユエン! ここのところのジェット・リー作品といい『トランスポーター』といい、どこを開けても元圭印のアクションばかり! まあいいんですが、やはりどうしてもどっかで見たような印象を立て続けに受けてしまうのは否めない。それを差し引いても、充分かっこいいのですがね。

 殺し屋姉妹の姉が『ゴージャス』『トランスポーター』のスー・チー、妹が『少林サッカー』のヴィッキー・チャオということで、これはアクションはお手のものでしょう……じゃなくって! スー・チーは前二作では全然アクションをやっておりません! いつも主人公(この場合はジャッキー・チェンやジェイソン・ステイサム)のまわりをちょろちょろするバカ女役! 一部では「香港のジャー・ジャー・ビンクス」とさえ呼ばれている彼女、ルックスもなんか微妙だよ! だがしかし、そんな彼女もコーリー師父の指導で華麗に生まれ変わり、鮮やかかつ力強いアクションを炸裂! キャラクターも直情的な妹に対しクール系でまとめてます。でもって饅頭少女ヴィッキー・チャオも、『少林サッカー』では手技だけだったのに、今作では和製ドラゴン倉田保昭と壮絶なチャンバラバトル!

 それに加えて姉妹を追う女刑事にカレン・モクという、香港を代表する女優を惜し気もなく注ぎ込んだキャスティング。企画がないと言われる近年の香港映画ですが、なんだまだまだいけるやん、と思わせるスケールです。まあこの作品は海外の資本も入ってるのですが。

 香港映画らしく、どことなく雑な部分もありますが、しかしあくまで香港映画らしく、過剰なまでサービス満点の映画です。きっちり楽しめる内容かと。

トップへ戻る。


『リベリオン』

 監督:カート・ウィマー
 出演:クリスチャン・ベール エミリー・ワトソン ショーン・ビーン

 二週間だけ細々と公開されました。ところが……。

 第三次世界大戦終結後、独裁者「ファーザー」によって支配された世界。さらなる大戦を引き起こさぬため、独裁者は全ての国民に感情抑制剤の投与を義務付け、戦争の源となる人間の感情を排除しようとする。人の感情を呼び覚ます芸術は規制され、絵画、音楽、映画、ペット、あらゆるものが抹消されようとしていた。感情を求める人間を取り締まる職業である「クラリック」最強の男であるプレストン(クリスチャン・ベール)は、無敵の武術ガン・カタを操り、テロ組織の撲滅に当たっていた。だが、ある日、ふとしたことで抑制剤を打ち損ねた彼は、自分の胸の内に潜む感情と対峙することとなる。プレストンには、かつて、感情を持つことを選択した妻を、権力の手によって抹殺された過去があった……。

 拳銃と居合を組み合わせた武術、ガン・カタ……という、なんかよくわからん技が今作の売り。昔、新体操と空手を組み合わせたジム・カタっちゅう武術を主役にした映画がありましたが……。さて、このガン・カタ、至近距離からの二丁拳銃と、敵の弾道を見切った体捌きで、武装した敵二十人に囲まれても無傷で勝利出来るそう。ありえねえ!と思いつつも、この無茶苦茶な設定だけで、アクション映画ファンとしてはつい観に行ってしまうわけです。

 主演のクリスチャン・ベールが、とにかく素晴らしい。抑制剤を打って感情をなくした演技から、感情を取り戻してるんだけどばれるとまずいから感情を抑えた演技をしている演技(笑)にシフトしていく部分の微妙な演じ分けは、見事の一言。

 その感情を取り戻していく過程の描写を、脚本が後押し。抑制剤を打たずに寝て、起きたらまず朝日に感動。仕事の取り締まりに出かけて押収したベートーベンのレコードをかけて感動。無表情だったのが突然泣いてしまう。でもって感情を呼び覚ます有害な物として処分されていた犬の中から、自分の足下にすりよってきた子犬を助けずにはいられなくなってしまう。部下に疑われそうになったところを、「一匹だけでも残して、疫病の検査をしたほうがいい」と苦しすぎる言い訳をかまして、結局連れ帰ってしまう。家で飼うわけにはいかず、夜中に廃虚に捨てに行くが、「クーン」と鳴く犬を置いて帰れず、結局トランクに戻す。ところがそこをパトロールの衛兵に見つかり、不審人物として逮捕されそうになる。「私は第一級クラリックだぞ!」と大人気なく身分を持ち出して追い払おうとするが、衛兵の一人が顔を覚えていてくれてほっと一息と思ったのもつかの間、タイミング悪くトランクから子犬が「ワン!」。万事休すで犬が見つかりそうになったその瞬間、プレストンの怒りの感情は頂点に達した! 唸りをあげる必殺のガン・カタ! 警備兵、一瞬で全滅!

 演技も演出も、脚本も細かい細かい。ベタベタな小道具を配置しながらも、寡黙な男の心境の変化をダイレクトに描写。ついに感情を爆発させた主人公は、それを隠したままに独裁に立ち向かう地下組織に協力し、「ファーザー」を倒そうとします。この燃えに燃えるストーリーもさることながら、人の生きる意志を奪おうとする権力に立ち向かう近未来SFということで『ガタカ』なども彷佛とさせます。

 脚本と演出が最高で、あとはアクションさえ良ければ完璧! 最初は抑え目のテンションながら、主人公が覚醒するのに呼応するが如く、必殺のガン・カタも凄まじいまでの切れ味を見せ、クライマックスでは怒濤の速射&居合い抜き! たまりません。

 期待せずにいったら、度胆を抜かれました。大傑作です。必見!

トップへ戻る。


『ザ・コア』

 監督:ジョン・アミエル
 出演:ヒラリー・スワンク アーロン・エッカート チェッキー・カリョ デルロイ・リンド

 平たくいうと、『アルマゲドン』みたいな映画。

 地球上で多発する謎の怪現象。鳩の暴走、ペースメーカーの停止、シャトルの計器異常。それは、地球の内部の「核」が停止したことによる電磁波の乱れのためだった。再び地球のコアを動かすため、選ばれたクルーは核爆弾をたずさえ、未踏の領域へと向かう。だが、そこは恐るべき高熱の渦巻く未知の世界だった。そうする間にも、刻一刻と、地球滅亡のカウントダウンは続く。巻き起こる常識を超えた嵐、降り注ぐ太陽風。人類に、明日はあるのか……?

 まあとりあえず科学考証は無茶苦茶らしいので、あまり細かいことは気にせず見るのが正しいようです。それでも多数の災害が起きるところは映像的に迫力があるし、人類の滅亡の危機が迫る緊迫感はそこそこ出ています。ただ、地球内部へ降りるべく準備しているあたりまではいいのですが、鉄モグラが地底に向かって出発したあたりから、映画はややトーンダウン。

 なにせ、地球の内部ってのは今まで誰も行ったことがないわけで、そこらへんの描写は全て想像。リアリティがあるとか以前の問題で、まるで現実味が感じられません。観てる間はそれほど退屈もしないのですが、どこか、どうにでもしてくれって気分になります。

 キャスティングもやや問題かなあ……。チェッキー・カリョとデルロイ・リンドなんて、最初から死にに出てきた配役としか思えないのですよ。先が読めすぎるのは、やはり脚本がコピー程度のものだからですね。ジェリー・ブラッカイマーの映画なんて金ばかりかけて大して中身はないんだから、それをやや予算抑えてコピーして、どういう意味があるというのだろう。

トップへ戻る。

『X-MEN2』

 監督:ブライアン・シンガー
 出演:ヒュー・ジャックマン ハル・ベリー イアン・マッケラン パトリック・スチュワート レベッカ・ローミン・ステイモス ファムケ・ヤンセン アンナ・パキン アラン・カミング ケリー・ヒュー

 当然のように続編が製作されました。出来は?

 捕らえられたマグニートー(イアン・マッケラン)を拷問し、Xメンたちの身辺に迫る謎の男。ウルヴァリン(ヒュー・ジャックマン)の失われた記憶の鍵を握る男の正体とは? 政府要人を襲う謎のミュータントと、それによって排斥運動を強めるアメリカ。事件の陰に潜むミュータント抹殺計画とは? さらなる巨大な陰謀に、Xメンが挑む!

 前作の『X−MEN』でも如何なく発揮されたブライアン・シンガー監督の、細かなキャラクター描写は、今作でも発揮されています。なにせ今回は群像劇と言ってもいいほど、登場人物が多い! 上映時間も結果として長くなってはいますが、多数のキャラクターそれぞれに見せ場を用意し、それぞれの立場と心境がストーリーに沿って変化していく様を、過不足なく描いています。

 ただ、作品の核というかメインストーリーが、どこか希薄になってしまったのも事実。誰が主役なのか不明で、ストーリーの中心となるウルヴァリンの過去も完全には明かされないため、物足りない印象も残ります。個々のキャラクターが好きなら楽しめますが、それぞれをストーリーに附随する一登場人物としてしか見ない人には、辛いでしょう。生き残るキャラクターがあり、消えていくキャラクターがあり、自然といくつかの謎、幾人かのキャラクターの行く末は、明かされないまま残ります。群像劇となった故に、一作品としては半端なものになった感あり。続編を作ることを前提にした構成でしょう。ただおそらく続編はあるでしょうが、同じ役者、同じスタッフが揃うとは限らないところがハリウッドの辛いとこなんですがね……。

 あとは、もう少しアクション場面のパワーアップに期待! 能力描写は的確ですが、もうちょっと弾けて欲しい。

トップへ戻る。

『奪還 DAKKAN』

 監督:ドン・マイケル・ポール
 出演:スティーブン・セガール

 久々に炸裂か? セガール拳!

 観光名所と化していたが、ハイテクを駆使して史上最強の刑務所として生まれ変わった、アルカトラズ刑務所。一人の囚人が死刑となる寸前、謎の武装集団が侵入し、死刑執行のために訪れていた州知事を人質に取る。だがしかし、居合わせた謎の囚人が、テロリストの野望を打ち砕く!

 漢字二文字タイトルがなぜか定着したセガール映画。タイトル自体は悪くないと思うんですが、同じようなものばかりだと類似品が氾濫しているようにしか見えないのですけど。まったく別の作品なのに無理やり括られた『沈黙』シリーズよりはましか。

 さて、『電撃 DENGEKI』がアクション監督にディオン・ラムを起用し、セガールに無理なスタイル変更を迫ってギリギリのリアリティを欠いたものに仕上げてしまったのは記憶に新しいところ。今作の武術指導は同じく香港のジャン・シンシン。これまたワイヤーワークが得意なアクション監督です。ハリウッド作品では、『ヤング・ブラッド』が記憶に新しいところです。セガールの巨体がむやみに華麗に宙を飛ぶのは、あり得ないのはもちろんですが、スタイル的にこれまで築いた合気道を中心とした組み立てを超える迫力があるわけではないのが欠点。今作も心配して観たのですが、幸いワイヤーアクションは、セガールが天井からぶら下がった鎖につかまって、同じ態勢の敵と闘うシーンなどにとどめられ、殊更に重力を無視したものには仕上がっていませんでした。役者の個性や力量を考えることなしにアクションは成立しない、その観点が抜け落ちていなかったのは良かった。

 というわけで、出来上がっていたのは、いつもより少し飛んでいるセガール映画。最後に悪役との一騎打ちを持ってきたりしないのも、セガール的でした。最後もやはり空を飛んでますので、やはり飛ぶことに何らかのこだわりはあるのかもしれませんが……。

トップへ戻る。

『サラマンダー』

 監督:ロブ・ボウマン
 出演:クリスチャン・ベール マシュー・マコノヒー イザベラ・スコルプコ

 超期待のハリウッド怪獣映画。

 地底から甦った無数のドラゴン。かつて恐竜を滅ぼし、世界を支配した邪悪な生物たちは、瞬く間に全世界を焼き払い、人間たちを喰らい尽くして行った。その発端となったのはロンドンの地下鉄工事現場。そこで最初の竜の復活を目撃した少年は、生き残りの人間をまとめて平穏な生活を求めていたが、ある日現れた竜殺しの男にこう聞かされる。最初に現れた一匹が唯一の雄。それさえ殺せば、あとはメスばかりの竜は滅びる……。

 最初に情報が出た時から、めちゃめちゃ期待しておりました。が、一番注目していました「全人類絶滅」のシークエンスはナレーションで語られるのみで、直接は描かれず。ま、この時点で低予算映画だっちゅうことはよくわかったので、あとは肩肘張らずに観ることに。しかし全人類を焼き尽くしたはずなんだから、これはさぞえげつない量の竜が存在するのだろう、と思わせつつも、画面に出てくるのは一頭かそこら。たくさんいるから恐ろしい、と言ってるのに。逆にたくさんいる奴の一頭に過ぎない、ということで過剰なモンスター性が描かれるわけでもないので、観てて実に物足りない。せめて最強のはずの雄が、全身金色で頭が三つあるとかなら面白かっただろうに。

 それは冗談としても、核兵器が効かなかったはずの怪物が、手製の火薬入りボウガンでやられるのはなぜ? 「竜殺し」マコノヒー率いるチームが一瞬で全滅され、地の利を取れなければ竜相手に勝ち目はない、というのが描かれる点は良かったのですが、演出による緊迫感はともかく、目に見える形で竜の強さが分からなかったのが痛い。

 ただ出せば「モンスター」ってわけじゃないんだよ! もっと金をかけるべき映画でした。残念。

トップへ戻る。