２０００年秋の新作

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２０００年秋の新作映画メモ

　『６０セカンズ』　『Ｕ－５７１』　『キッド』　『暗戦　デッドエンド』

『マルコヴィッチの穴』　『オータム・イン・ニューヨーク』

『Ｘ－ＭＥＮ』　『五条霊戦記』　『インビジブル』　『金髪の草原』

『スペース・カウボーイ』　『シャフト』　『ホーク　Ｂ計画』

『グリーン・デスティニー』　『チャーリーズ・エンジェル』

『ピッチブラック』　『エクソシスト　ディレクターズカット版』

『６０セカンズ』

　監督：ドミニク・セナ
　出演：ニコラス・ケイジ　アンジェリーナ・ジョリ－　デルロイ・リンド　ロバート・デュバル

　「奴らは６０秒で車を盗む」。バカ大作を作って作って作りまくっている、ジェリー・ブラッカイマ－のプロデュース作品。今回は車泥棒が主人公。

　兄に憧れて車泥棒になったものの、実力に見合わぬ仕事を請け負ったために窮地に陥った弟。その弟を助けるために、７２時間で５０台の車を盗む、という大仕事に、かつて伝説の車泥棒と言われた男が挑む。

　予告編を見た時は、ただ単に車を盗んで盗んで盗みまくる、破滅的な奴らの物語を想像したのですが、違いました。足を洗って真面目に働いている元車泥棒が、弟のミスを帳消しにするために、再び車ドロに手を染めざるを得なくなり、ノルマを達成しなければ弟の命が危ない、というある意味オーソドックスな作劇。ハリウッドの「情けない顔の人」ニコラス・ケイジが、またも巻き込まれ型で事件に関わる事に……。

　取りあえず車が沢山出てくるので、車好きな方は楽しめると思いますが、はっきりいってアンチ車主義者（なんじゃそりゃ）の私でも、この映画は楽しめました。ぼんやりしてても先が読める単純なストーリーですが、さすがに車泥棒映画はそう多くないので、なんとなく手口を見ているだけでも面白いです。

　また、主人公ニコラス・ケイジをはじめとする元車泥棒チームの面々が、みんな車好きで、「車が好きだったから盗んでた」というスタンスを明確にしており、きっちりとその思い入れが描かれていたところも良かったですね。

　クライマックスはニコラス・ケイジ単独のカー・チェイスシーンなのですが、これもなかなか迫力があります。カー・チェイスというのもやり尽くされた感がありますし、この作品でもアクション的には目新しい所はないのですが、市街を走る車と、運転するニコラス・ケイジの運転技術の描写をスピーディなカット割りで見せ、また時間制限のサスペンスとニコケイの車への思い入れを、しっかりと前段で描写しているので、飽きません。

　近年シリーズ化もされているフランス映画『タクシー』、これカー・チェイスがつまらないのです。車はすごいスピードが出てるし、バンバン空も飛ばし、雑魚の車は何台もぶち壊してるのですが、さっぱり迫力がありません。理由として「運転している人間の描写がない」（ハンドルさばき、ギアアクション、アクセルを力強く踏み込む、など）、「主人公の愛車への思い入れが描かれていない」があるのだと思います。

　やっぱり映画って、人間を描かないとダメなんだなあ（笑）と車映画なのに実感してしまいましたよ。

　ストーリーが単純、アクションも単純、なのにニコラス・ケイジは光ってました。『コン・エアー』でも『フェイス・オフ』でもなんだか情けない顔の人が無理して頑張ってる、という印象だったんですけど、今回は単純な話だけに、スター性が際立ってました。シフトレバーを素早くチェンジ、なんて簡単なところが、メチャメチャかっこいいのです。これ、並の人がやっても、多分間が持たなかったと思いますね。あ、だから『タクシー』ではやってないのか……？

　目立って新しいところはない映画だと思いますが、何も考えずに楽しめます。アクションが苦手な人にもオススメですね。