12月 2006
土地改良区内の農地の転用目的での譲渡に際して土地改良区に支払われた農地転用決済金等は譲渡費用にできますか?
2006年12月05日10:22 格納先: 所得税
土地改良区内の農地の転用目的での譲渡に際して土地改良区に支払われた農地転用決済金等が譲渡費用に当たるかどうかが争われた裁判で、最高裁判所等において、この農地転用決済金等は譲渡費用に当たるとの判決があったことから、これを受けて、一定の要件を満たす農地転用決済金等については、譲渡所得の金額の計算上、譲渡費用とするよう取扱いを改める、と国税庁ホームページに掲示されました。
詳しい内容はQ&Aを含んだリーフレットが国税庁ホームページにて配布されておりますので、そちらをご覧ください。
【改正の概要】
土地や建物を譲渡した場合の譲渡所得の計算は、これらの資産の譲渡価額から取得費と譲渡費用を差し引いて計算することとされている。
土地改良区内にある農地を農地以外に転用して譲渡する場合、土地改良法の規定などにより、土地改良区への農地転用決済金及び協力金等(以下「農地転用決算金」という。)の支払義務が生じることがあるが、これまでは、この農地転用決済金等は、譲渡所得の金額の計算上、譲渡費用(資産の譲渡のために直接要した費用及び資産の譲渡価額を増加させるために譲渡に際して支出した費用)に当たらない取扱いがされていた。しかし、このたび、「土地改良区内の農地の転用目的での譲渡に際して土地改良区に支払われた農地転用決済金等が譲渡費用に当たる」とする最高裁判所及び東京高等裁判所の判決があったことから、一定の要件を満たす農地転用決算金等については、譲渡所得の金額の計算上、譲渡費用とするよう取扱いが改められた。
1.農地転用決算金とは?
次の①〜④のすべてを満たすものをいう。
① 売買契約で農地法の規定による農地転用の許可又は届出(以下「農地転用許可等」という)が停止条件とされているなど、売買契約において、土地改良区内の農地を転用して売買することが契約の内容となっていたものであること。
② 土地改良法第42条第2項及びこれを受けた土地改良区の規定により、土地改良区に支払うことが義務づけられている償還金、事業費等(注)であること。
(注)費用の名称については、各土地改良区により異なっている場合がある。
③ 転用目的での譲渡に際して土地改良区に支払われたものであること。
④ 決済の時点ですでに支払義務が発生していた決済年度以前の年度にかかる賦課金等の未納入金でないこと。
2.協力金等とは?
次の①〜④すべてを満たすものをいう。
① 売買契約で農地転用許可等が停止条件とされているなど、売買契約において、土地改良区内の農地を転用して売買することが契約の内容になっていたものであること。
② 土地改良区の規定により、土地改良区に支払うことが義務づけられている協力金、負担金等(注)であること。
(注)費用の名称については、各土地改良区により異なっている場合がある。
③ 転用された土地のために土地改良施設(注)を将来にわたって使用することを目的としたものであること。
(注)「土地改良施設」とは、農業用用排水施設、農業用道路その他農用地の保全又は絵里養生必要な施設
④ 転用目的での譲渡に際して土地改良区に支払われたものであること。
(注)たとえば、次に掲げるものは、原則として「転用目的での譲渡に際して土地改良区に支払われたもの」とは認められないから譲渡費用には当たらない。
イ 農地法第4条の規定に基づいて農地を転用した際に、土地改良区に支払った農地転用決算金等
ロ 土地改良施設使用の再契約のために、土地改良区に支払った協力金等
【過去の事案に対する処置】
農地転用決済均等の金額などを明らかにした上で、税務署に更正の請求の手続きをすることができる。
農業所得など譲渡所得以外の所得の金額の計算上、その農地転用決済均等を必要経費としている場合には、農業所得など譲渡所得以外の所得についても再計算することとなる。また、再計算の結果、所得税が減額されない場合もありえる。
なお、更正の請求をすることができるのは、この「土地改良区内の農地の転用目的での譲渡に際して土地改良区に支払われた農地転用決済金等が譲渡費用の取扱い」の変更を知った日の翌日から2月以内とされている。
(注)法定申告期限からすでに5年を経過している年分の所得税については、法令上、減額されない。