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有限会社ベルアソシエィツは完全中立の立場で火災現場の現象を科学的に解明する会社です。

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火事、火災、火災保険金請求で使われる用語

 

失火
過失から起こした火災のこと
GC/MS
ガスクロマトグラフ質量分析でガスクロマトグラフと質量分析計からなる装置を用いる分析手法のこと
クロマトグラフ
分析装置のこと
クロマトグラフィー
気体、液体、超臨界流体を移動相とし、カラムと呼ばれる管の中に保持された固定相と物質の相互作用によって混合物を分離、検出する分析法のこと
クロマトグラム
クロマトグラフを用いてクロマトグラフィーの結果を棒グラフ状に表わしたもの
火災保険
不足かつ突発的に起こった火災による損害を補償するもの
1.火事と火災の意味
 「火事」と「火災」は、両方とも火が引き起こす災害を指す言葉ですが、その使われ方には微妙な違いがあります。
 「火事」は一般的に、家や建物が燃えている状況を指す日常的な言葉ですが、具体的な出火の状況や火災の状態を示し、一般的には個々の火災事件を指します。
 一方、「火災」はより公式な表現であり、火による損害や災害全体を指すことが多いです。法律や保険の文脈でよく使われ、火事による損害やその防止、対策を表す時に用いられます。火災は一般的に、広範囲での火災や災害レベルの火事を指します。
2.火災原因調査とは
 火災原因調査とは、発生した火災の原因と損害を調査することです。
 出火した原因だけでなく、建物の延焼拡大の原因、避難上支障となった原因、初期消火などが不奏功であった時の原因などがあります。火災として起こった事象をどの様な角度から調べるかによって、原因が複数存在することがあります。
  • 2.1.法的な手続
    • 火災調査は火災予防を目的として、消防法第7章第31条に定められた消防機関の行政調査です。消防職員の火災現場への立入検査権や資料提出命令権、あるいは関係のある者に対する質問権、他の官公署への通報要求権など、火災調査上必要な権限です。警察機関も火災現場の調査を行ないます。これは、放火や失火などの犯罪捜査の端緒として任意捜査で行う場合と、予め事件性が高く、令状による強制捜査として行われる場合です。
    • 他に、海上保安庁、労働基準監督署、自衛隊敷地内火災での警務隊、林野火災での森林管理署、航空機火災での運輸安全委員会、海上船舶火災での海難審判所など、それぞれの機関が所管する法令に則り、火災により発生した事案(例:作業場での火災で労働者が負傷した場合の原因を労働基準監督署が調査する。)に関わる事項の調査を実施しています。
  • 2.2.火災調査の対象区分
    • 火災原因調査及び火災損害調査とし、その範囲は次のとおりです。
    • 2.2.1.火災原因調査
      • 出火原因=火災の発生経過及び出火箇所
      • 発見、通報及び初期消火状況=発見の動機、通報及び初期消火の一連の行動経過
      • 延焼状況=建物火災の延焼経路、延焼拡大要因等
      • 避難状況=避難経路、避難上の支障要因等
      • 消防用設備及び特殊消防用設備等の状況=消火設備、警報設備、避難設備及び特殊消防用設備等の使用、作動等の状況
    • 2.2.2.火災損害調査
      • 人的被害の状況=火災による死傷者、り災世帯、り災人員等の人的な被害の状況及びその発生状況
      • 物的損害の状況=火災による焼き、消火、爆発等に因る物的な損害の状況
      • 損害額の評価等=火災により受けた物的な損害の評価、火災保険等建物火災の場合、どの程度の規模かを判りやすくするため、建物の棟ごとに、全焼、半焼、部分焼、小火(ボヤ)の4つの焼損区分に分けている。
    2.3.火災現場における一般的な調査手順
    • 火災は、何らかの原因が出火の起点となって拡大し、周辺の物を含めて焼損させるため、手掛かりとなる対象が限られて、原因となる事象を特定するのは困難なことが多いです。
    • また、火災現場は焼けた物の倒壊や落下、更に消火作業なども含めて、出火時の原形を留めていないことが多く、作業手順を間違えると正確な原因にたどり着けなくなります。
    • 火災現場では、消防や警察などの調査担当者は、現場の保全や発掘等の作業手順を共有した調査手順により火災調査活動をします。
    • 火災調査活動としては、現場到着時の燃えている状態やその時の関係者の供述内容を現認している消防隊の見分内容が必要となることから、これらを「消防活動中の調査活動」と呼び、次いで、鎮火後に発掘や復元を含めた本格的な現場活動となる「鎮火後の調査活動」があります。
    • また、出火に関係したと思われる物件の分解や鑑定、あるいは火災実験などの「立証のための調査活動」を時系列的にすることもあります。最も重視される「鎮火後の火災現場における調査手順」は、消防活動中の調査内容と関係者への質問、火災現場の倒壊屋焼損状態から、先ず、出火箇所を特定することから始まります。
    • 数棟が焼損した火災現場では、出火した建物の特定から行われますが、出火箇所は出火したと特定される地点(位置)ではありません。関係者の確かな供述があったとしても判断がつかないことがある為、「出火箇所」は出火した建物の部屋単位で特定することとなっています。
    • 出火箇所周辺を含めた周辺範囲から落下、倒壊した焼損物を取り除き、できる限り出火時の現場に近い状態にした上で、出火箇所から推定される幾つかの出火原因を取り上げ、焼損状態や関係者の供述などを踏まえて、最も合理的で妥当とされる出火原因を帰納法に推定して、当該火災の出火原因としています。
    • 例えば、住宅の居室からの火災であれば、放火、子供の火遊び、たばこ、暖房器具や照明器具などの電気製品、石油ストーブ、収れん等、その出火したと推定される部屋の火災原因となる要因は無数に存在します。これらのそれぞれの原因を取り上げて、妥当性を評価して、出火原因を判定します。
    • 火災原因調査では、建物の用途も向上やホテルなど様々であり、自動車や船舶なども対象とすることから、火災の出火原因は多数存在します。
    • この様に、出火原因を判定する人によって、原因が異なる場合もあります。
  • 2.4.火災調査書類
    • 火災調査の結果は、火災調査書類として残されます。全ての火災の一件ごとに、消防機関によって火災調査書類と火災統計報告書が作成されています。通常、総括的にまとめた「火災調査書」、出火原因を判定している「火災原因判定書」、消防隊活動時の状況を記した「火災出場時の見分調書」、火災現場の焼損状況を客観的に記した「火災現場見分書」、関係者からの供述を記した「質問調書」、立証のための調査として行われ、鑑定や実験の「鑑定書、鑑識見分書」などがあります。これらの書式の名称は各消防本部により異なりますが、記載されている内容はとしては一致しています。なお、火災の種別や程度により書式の一部が省略されたり記載方法が簡略になることもあります。
    • 火災調査書類の公表は、消防機関の行政調査として実施されて作成されていることから、火災を管轄する消防機関の存する市区町村の個人情報保護条例、又は情報公開条例に従って、開示又は公表されています。一般的には、個人の自宅から出火した場合には、その個人には開示されますが、第三者には個人情報として一部開示(非開示に近い)となります。
  • 3.GC/MS分析とは
    • ガスクロマトグラフ質量分析計(GC/MS)はmガスクロマトグラフ(GC)と質量分析計(MS)を連結した複合分析装置です。GCでは気化した混合成分を分配クロマトグラフィーの原理に基づいて分離し、MSではGCで溶出し分離した成分をイオン化し、イオンの質量に応じて分離・検出して有機化合物の「定性分析」や生活環境中の有害物質等の「定量分析」などに幅広く活用されています。測定対象成分は揮発性化合物(気化する物質)です。
    • GC/MS分析の目的は、混合物の中身は何(定性分析)で、どの位の量(定量分析)が含まれているのかを明らかにすることです。火災原因調査でGC/MS分析が用いられるのは、焼残物(残焼物とも言う)に助燃剤となる油性成分(灯油、ガソリン、その他)が検出されることによって放火の可能性の有無を判断する手掛かりにすることがあります。
    • ガソリンは揮発性が高く物質の混合物で、小火(ボヤ)で消火された焼残物中には残留する可能性があります。
    • 3.1.灯油のクロマトグラム
      • 灯油は化学的に連続に類似した成分(物質)の混合物で、その内最も沸点の低い成分はC8(オクタン:沸点125~126℃)です。最も沸点の高い成分はC18(オクタデカン:317℃)です。灯油は317℃以上になれば全て気化します。木材やプラスチックに掛かった灯油は火災熱がかかれば、蒸発しやすい成分の順に容易に揮発・蒸発・気化して残留した灯油中の成分構成が逐次変化します。この現象は、クロマトグラムの経時変化で明瞭に判明します。
      3.2.揮発・蒸発・気化とは
      【揮発】
      液体が沸点以下の温度で液体の表面から気体になること。蒸発の一種。常温で起こる蒸発のこと。
      【蒸発】
      液体が気体になる現象。温度が液体の沸点以下であれば、液体の表面から気化が起こる。
      【気化】
      液体が気体になる現象。液体を熱すれば沸騰し気化する。

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