11日目                 出会い  お接待

2017年4月24日   晴のち雨     4:43〜17:22   50.2Km    78,474歩    民宿 坂上
 七子峠越え
疲れが溜まってきているようだ。目が覚めたら4:00である。慌てて出立の準備をする。とりわけ足の手入れを入念に行った。朝の陽ざしの悪戯で、小頭長脚の影絵が出現しました。七子峠の登り口近くで逆打ちの方に出会う。那珂川の人で震災で母親を亡くしたそうである。本当は昨年、逆打ちをしたかったそうだが、今年になってしまったそうだ。現役世代では思うように日程が組めないのは仕方ないことだろう。サインを貰う。
昨日は海の景色を楽しんだ。今日は山である。紀伊半島を思い出すような山の中である。果無峠ほどスケールは大きくないが、視界が開けても、山しかないのである。僅かに高速道路が見え隠れするだけである。例によって喘ぎもがき喚きの苦闘である。朝日に照らされた新緑が眩しく輝いて後押しをしてくれる。8:30頃七子峠をクリアする。お雪椿休憩所で休むつもりが、傍でし尿回収車が作業中のため、諦めた。強烈な異臭でした。昔はどこででも体験できた臭いですが、水洗化の進んだ都市部では、忘れた過去の臭いです。少し進んだ公園で休憩して、足の手入れを行う。通常は出立前にすれば十分だが、今日は少し違和感を感じたので用心して2回目の手入れを行う。
畑で多数の男性が作業をしていた。聞いてみると生姜の収穫だそうだ。女性が一人もいないのが異様に映る。生姜栽培は男手が中心なのだろうか。
歩き遍路用の接待所があり、お世話になる。多摩ナンバーの車が止まっていて、おやっと思ったが、接待所の主が東京町田の人である。この場所を借りて接待所を開いているそうだ。理由を聞きそこなったのが残念である。私が近くの遍路道をパスしたことをしきりにもったいないと言っていたから、この辺りの自然に惚れ込んでいるのかもしれない。北海道の民宿経営者にはそのような人が何人もいたことを思い出す。
七子峠をクリアしても、小さなアップダウンがいくつもあり佐賀駅は遠い。佐賀温泉に泊まる人は多いようだが、私は佐賀駅の少し先である。翌日の行程を考えてのことである。佐賀駅近くで雨が激しくなり、雨支度をするか、近いならばリュックカバーだけで凌ぐか躊躇して宿のありかを通りかかった女性に尋ねた。『少し遠いから積んで行こうか?』と言われた。乗せていこうという意味であることはすぐに理解できたが、人間を『積む』という表現に驚いた。これも一種のお接待と思い、好意に甘えることにした。すると少し先から車が出てきて1Km程度と思うが、乗せてもらった。
着いた宿は、入るのを一瞬ためらう侘しい宿でした。この日の宿泊は私一人である。