410.中島 夜間戦闘機「月光」11型(J1N1-S) [旧日本海軍]

NAKAJIMA NIGHT FIGHTER "GEKKOH" (J1N1-S)(IRVING)[JAPAN-NAVY]

初飛行:1941年5月2日
全幅:16.98m、 全長:12.18m、総重量:6,900kg、
最大速度:507km/h/5,840m
発動機:空冷複列星型14気筒「栄」21型 980馬力/6,000m×2
武装:機関砲20mm×4 、乗員2名

Illustrated by Shigeo Koike , イラスト:小池繁夫氏

 活躍の舞台を夜空の迎撃に替えて名を残した「月光」。 イラストは、そのレーダー装備機である。

 しかし当初は、長距離3座戦闘機(十三試)として中島の中村勝治技師により試作されながらも、空戦性能の不満から戦闘機としては採用されず、二式陸上高速偵察機として生産された。

 しかし、その転機は1943年5月のラバウルだった。 当時、B-17の夜間爆撃に悩まされていたラバウルの航空隊は小園中佐の発案で、この二式陸上偵察機の後部胴体上面に斜銃を搭載し、B-17の後下方死角から攻撃、瞬時に、2機を撃墜するという戦果を挙げた。

 ここから、後部胴体に上下各2門の20mm機関砲を装備した「月光」が誕生した。 

 以降、B-29の夜間本土空襲に対しても活躍するが、レーダー装備機の不足と、また搭載機もレーダーの低性能のため、地上からの無電と肉眼を頼りに夜空で戦わなければならなかった。 夜間戦闘機の性能を決定づけるレーダー性能は ドイツのドルニエ217も優れていたが、アメリカのノースロップP-61は一歩も二歩も進んでおり、日本は極度に劣性であった。 

 このように日本本土上空を、高々度を飛行するB-29に対しては、明らかに全ての性能不足であった。

 作品の月光は薄暮の空をいくレーダー装備機。 作者の小池氏は、「月光は3回描いているけど、夜空を背景にしなくてはいけないので難しい。 でも、漆黒の大気の中で死闘を繰り広げる月光よりも、その優しいフォルムが淡いタ陽の中に舞う姿の方がいい。」

  ・もう一つのイラスト:2004年カレンダー「月光」のページへ

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