■ あっせん代理人とは? 企業組織の再編や人事労務管理の個別化に伴い、労働関係に関する事項(解雇、雇止め、配置転換・出向・昇格、労働条件の不利益変更、いじめ、パワハラ、セクハラなど)についての個々の労働者と事業主との間の紛争(個別労働紛争)が増加しています。 紛争の最終解決手段としては裁判制度がありますが、それには多くの時間と費用がかかります。そこで、これら個別労働契約に関する紛争の迅速な解決を目的として、個別労働関係紛争解決促進法が施行されました。 あっせん代理人とは、この法律に基づいて都道府県労働局(紛争調整委員会)等が行う「あっせん」における代理人をさします。
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■ あっせん代理人は特定社会保険労務士です。 特定社会保険労務士とは司法制度改革の流れで導入された労働トラブルのADR代理権を持つ社会保険労務士のことです。 ADRとは「裁判外の紛争解決手続き」のことで労働局などによる「和解・あっせん」を目的とした紛争解決手続きのことを指します。特定社会保険労務士は、社会保険労務士の中でも労働紛争に関する司法担保措置研修を経て専門の試験に合格したものに与えられる資格で、通常の社会保険労務士は、ADR代理権を持っていませんが、特定社会保険労務士は労働紛争に関する専門家として一定のADR代理権が付与されています。
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■ あっせんのメリット
- 裁判に比べ時間と費用がかからず、迅速かつ簡便です。
- 和解による解決なので、裁判のような敗訴のリスクが軽減されます。
- あっせん制度を利用する費用は無料です。(代理人の報酬は別途必要)
- あっせんの場は、裁判とは異なり非公開で、プライバシーが保護されています。
- あっせん案に合意すれば、民法上の和解契約の効力を持ち、履行の確実性が増加します。
- 裁判のように「対決」ではなく、弁護士、大学教授等労働問題の専門家(紛争調整委員等)が間に入った話し合いによる「和解」です。
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■ あっせん代理人の業務
- あっせん申請書類の作成・提出
あっせん申請書や求められた書類について作成し、提出します。
- 第1次解決案の作成
相手方に対する解決案を考案、作成します。
- 事情聴取の代理出席・陳述
行政が行う事情聴取に代理人として出席・陳述します。
- 第2次解決案の作成
事情聴取の結果に基づいて、解決案を再考案、作成します。
- あっせん当日における代理出席・陳述
あっせん当日に代理人として出席・陳述します。あっせん案の提示要求があれば行います。
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