100円本トリップ
FILE NO.005
レトロカフェ・トリップ
古き良き時代の「純喫茶」を満喫できる一冊
現在、「シアトル系」などのおしゃれなカフェが 各地で盛り上がりをみせておりますが、 のんびりと、ゆったりと、 心からやすらぎを求めるならば、 ワタシ的にはやはり 昔ながらの「純喫茶」がいいですね。 そんな古き良き時代の日本の「純喫茶」を彷彿させる レトロチックなソフトドリンクたちを 目から堪能できる粋な100円本を見つけました。 幼稚園の帰り、 迎えに来た母親と二人で立ち寄った喫茶店の チョコレートサンデーの味。 ページをめくるたびに甦る遠い日の思い出……。 …まぁ、何はともあれ、行ってみますか? さぁ、皆さんご一緒に Let's Go! レトロカフェ・トリップ。 |
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今回紹介する1冊
料理HAND BOOK 3 コーヒーからアイスクリームまで ソフトドリンクス 佐古健一 著 ひかりのくに株式会社 1975年発行 (絶版) |
購入場所:BOOK OFF
実はこの本、私caicoが子供の頃よく読んでいた
とても懐かしい一冊なのです。
確か、母親が購入したものだったと思います。
(表紙は若干違いますが、中身は全く一緒)
引越しや何やらで、
いつの間にか行方知れずになってしまいましたが。
当時、ちょっとおなかがすいた時や、お菓子やケーキが食べたくなった時、
写真中心のこの本を開いては、
気持ちだけ満足させていたものでした(笑)。
(でもまさかこの歳になって再会できるとは。ありがとう!ブックオフ!!)
さて、この「ソフトドリンクス」、
副題どおり、コーヒーからアイスクリームまで、
喫茶店業務で最低限必要であろう
基本的な知識をあらゆる方向から余すことなく、
かつ、初心者でもわかりやすく楽に会得できるように工夫されている
非常にすぐれた実用書でございます。
しかし今回の100円本トリップは
その辺はあえて無視して(笑)
美味しいところだけを堪能させていただくことにしましょう。
それでは皆様、そろそろ参りましょうか。
(今回はいつもとちょっと趣向を変えてみました)
ゴホンッ、では。
OPEN !
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いらっしゃいませ!純喫茶ルンバへようこそ!!
こちらがメニューになっております。
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お好みのものをクリックしてください。
「ソフトドリンクス」に掲載されているドリンク・デザート一覧 (一部、画像のみでご紹介)
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ある日の午後、商店街のアーケードを歩いている父と母、そして、まだ幼い兄と私。 「お姉ちゃんは?」 「行かないって。友だちと買物だって。」 しばらくすると市内で一番大きな書店が見えてくる。その書店のちょっと手前で私たちは立ち止まる。入り口のすぐ横には、ちょっと変わった形をした看板と、デザートのサンプルが数点飾られたショーケース。店内からかすかにもれる甘い香りに幼い心も躍る。ドアを開れば目の前に見慣れた光景が広がる。入ってすぐ、向かって左側に会計レジ、真正面には一階フロア、右には二階フロアに上がる階段。 「いらっしゃいませ。二階へどうぞ。」 “やった!” 二階へ行ける。 二階へ行けばこの階段を見下ろせる。…一段一段が高く、照明らしい照明が殆んどついてない暗くて急な階段。この階段を上から見下ろした時の、まるで“奈落”を覗き込むようなスリル感がたまらなく好きなのだ。母の厳しいチェックの中で、与えられたチャンスは階段を上がりきった時と降りる時のたったの二回。…今だ! 「なにもたもたしてるの。さっさと歩きなさい。」 …ほんの一瞬で終わる私の密かな楽しみ。 暗くて急な階段を上がりきると、明るく広々とした二階フロアが目の前に広がる。壁つたいに続く長ソファー。静かに流れる音楽。席につくと同時に運ばれてくる水とおしぼり。テーブルの上にはスタンド型のメニューと星占いのおみくじ。…おしぼりの袋をポンッとたたいて開ける父。私もそれをまねしてポンッ。 「ご注文はお決まりですか?」 メニューを見なくてもみんなの注文するものはすでに決まっている。父はカツサンドとコーヒー、母はほうれん草サンドとホットミルク、子供二人はクリームソーダにナポリタン。でも決まってるのはそれだけじゃない。例えば、ここの氷は家で作るのと違って水のように透き通っているってことも。 「ねぇ、これやってもいい?」 「だめ。」 どんなに頼んだって、母は星占いのおみくじをさせてくれないってことも。 「お兄ちゃん、ナポリタンが一番最初にくるよね、きっと。」 「くるわけねぇじゃん。ほうれん草サンドが先だよ。」 ナポリタンに添えられているキャベツの千切りにかかっている自家製マヨネーズは最高に美味しいってことも。 「あはは、パパ、居眠りしてる。あ、カツサンド来たよ。」 家族で過ごす時間はあくびが出るほどゆっくり静かに流れるってことも。 「ねぇママ、お姉ちゃんもくればよかったのにね。」 「…あんみつ、お土産に買ってってあげようか。」 そして、誰もが切に願う「幸せ」は、実はこんな何気ない時間の中にあるってことも全て、宇宙が誕生した瞬間からすでにきまっていることなのだ。 「純喫茶S荘回想録」 END |