私は――
ヒカルだ。
……という謎の書き出しから始まる、エイプリルフールのトゥルー日記。い、いや、それはいいとして一体何が、と戸惑わざるを得ない書き出しであります。いや、これも一応日記ということで、最初に記名がわりに名乗るというのも不自然でないといえばないかもしれませんが唐突すぎであり、一体何が……と思う次第です。
ええ、今日が何の日なのかを考えれば、具体的なことは分からなくとも、とりあえずの心構えは持っておけるようにも思えますが……
どうしよう。
聞いてしまったんだ――
海晴姉とママが――
話しているところを。
……という雰囲気の深刻さを見ると、そうも言ってられず。日記で久しぶりにママの存在が言及されたあたりからして緊張の度合いも高めに。ええ、鶴の一声ならぬママの一声で、生活環境がガラリと変わりかねないのがトゥルー家なわけですから。
そしてその話している内容というのが――
どうしよう――
霙姉が――
霙姉が――
……
お見合い、
するって!!
どうしよう――。
という爆弾発言なのですから、それはヒカルのあわてようも分かります。ヒカルってあれで案外、こういう類のハプニングには弱そうなところがありますからね。家族の一大事なのはもちろんのこと、性が関わってくる話でもあるわけですからなおのこと。
……と、ヒカルのあわてようは、わりと真に迫ってる感じなので、ハハ、エイプリルフールのアレなんじゃって笑い飛ばすことが出来なさそうな空気も。まあ、たとえわりとバレバレだったとしても、ちゃんと付き合ってあげるのが礼儀ではありますが、今回のケースはまだちょっと判断不明。
もちろんヒカルとしては絶対反対らしく、もちろんトゥルー俺としても黙ってはいられない話なので、阻止できるというならば全力で阻止に動くつもりではあります……が。
それとも、オマエにとって
霙――
――姉は。
宇宙の塵ほどに――
軽い存在――
なのだろうか――?
…………………………………………んん?
なんでしょう、この違和感。いや、それは言うまでもなく、ヒカルがなにやら霙姉さん的な口調になっているからなのですが、これは一体。
霙姉さんの一大事ということで、霙姉さんの個性をあえて真似することでトゥルー俺に切迫感を与えたいって意図なのかも知れません。それはそれで分かる話ですしね。
ただ、その前の「霙――姉は」の間は、やはりどこかひっかかります。さて、どう判断すべきでしょう。
考えられることとしては――まず、エイプリルフール関係ないガチ話であるということ。ただとりあえず、その可能性は置いておくとして。
そうでないとすると……ヒカルが嘘をついているのでしょうか。もちろん今日はウソを言う日なのですから、ヒカルがそういうことを言ってもおかしくはないのですが、彼女がそういうウソを言いたがるかというと、やや疑問も。それに、もっとへたくそで可愛らしいウソを言いそうですよねヒカルって。
では、もう一つ考えられることとしては――この日記の記名部分からして、実はウソだということ。この日記、ときにリアルタイムの実況のような書かれ方をするので忘れがちですが、一応、日記に書いてある文章なんですよね。だから、ヒカルだとウソをついて日記を書くというのも、4月1日のネタとしてはなかなかに面白いし、ありそうな話だと思うんですよ。
で、もしそうだとすると、本当は誰が書いているのかというと……ねえ。それはもう。こういう茶目っ気が実はかなりある人ですし、口調などの違和感にもぴったりと当てはまります。
なによりなにより。「オマエにとって霙――姉は」って台詞を、あの人が自ら書いて問いただしてきているんだって思うと、ちょっぴり胸がドキドキしてしまいますよね。男女の感覚にルーズなくせに、無意識のうちにわりと興味津々なのが霙姉さんの面白さであり可愛らしさです。
ともあれ、2日のネタばらしが早く見たいところ。
なんか――
もう、がっくりきて。
なんだか――
何も言う気に
なれないよ。
のっけからダウンなテンションのヒカル登場。……っていうか、このリアクションだけで、先日のエイプリルフール日記がどういうものだったか察せられますよね。
どうやら、おおむね予想どおりだったようで――ええ。案の定、霙姉さん本人の仕業でした。それはまあ、霙姉さんに関わるああいうウソを言うのは、本人自身ぐらいしかいないとは自然と思うわけですが。当のヒカルのリアクションも――
あの人は――
霙姉はいったい何を
考えているんだろう――
……
って。
まあ、あの人に関しては
よくこういう風に――
思うんだけど、さ。
意訳:霙姉さんだから仕方ない。……ああ、なんということ。ちょうどこの日記が始まった頃、霙姉さんに対して持ってた苦手意識が少し和らいだというエピソードがありましたけど、どうもその意識は、ちょっとアレな方向へもバイアスがかかってきていたのかもしれませんね。
個人的には霙姉さんって、終末思想がらみで深い思考をしているように見えて、実際はかなり本能レベルの意識に忠実な人だと思うんですよ。それに忠実であるがゆえに終末思想に傾倒してるってところもあるように思えますしね。……ネットでよく見る、頭の中を文字で図解するアレをやってみたら、多分70%ぐらい「あんこ」で締められているようなイメージは正直言ってありますが、まあそれは極端な表現だとしても、そういうところはあるんじゃないかなーと。
今回はちょっと
イタズラが過ぎる
っていうか――
他人になりすまして、
日記を書く、だなんて――
1人で裏山で遭難するより
タチが悪いじゃないか。
ともあれ今回の件は、被害者でもあるヒカルがきちんとまとめてくれました。……そういえば、遭難事件もあったなあ。ともあれ確かに、あれを真に受けてしまったらえらい事件ですからね。それこそ青龍刀モードにならざるを得ないレベルで。
いずれにせよ、エイプリルフールのウソは、人を傷つけたり極度に不安にさせないレベルに留めておくべきってことで。今回の霙姉さんのウソは、まあ、個人的には許容範囲だとは思うわけですが(ニヤニヤするとともに)……
昨日の日記は私が
書いたわけじゃないのは
もちろんなんだけど、
でもなんか責任感じるんだ――
本当にごめん!
とまあ、ヒカルがこんな風に感じてしまっているわけですから。っていうか、ヒカルを騙って言わなくても十分だったというか。そのへん、霙姉さんはどう思ってヒカルの名前で書いたんでしょうね。単純によりウソとしてのインパクトを高めるため? それとも……? そのあたりがなかなか想像しにくいのが霙姉さんのツボですが。可愛いところは間違いなくありますし、身もふたも無いところもそれ以上にある人ですからして。
……さて。今回の騒動もこれで一段落……かと思っていたら。
もし――
それが霙姉じゃなくて
私だったら――
……
ご、ごめん!
日付も変わったし、
この話はもう忘れろ!
じゃっ、おやすみっ!!
……実にナチュラルにさりげなく、無自覚メインヒロイン的なアタックを繰り出しておくことも忘れないヒカルでありました。……ドが付くほどの王道リアクションながら、それだけに地味に効くなあ……。
愛のない結婚なんて――
しちゃいけないの。
絶対――
絶対よ?
なにやら週の初めから重いトーンでマリーのお話が! ……ええ、それは言われるまでもないことながら実際に守れるかというとなかなかにアレなことだったりもしますけれど、ともあれ唐突にこんな話が出てくるのは、やっぱり先日のアレの影響でしょうね。ここで書いていることは、家族全員に知ることになるというのは、日記という形である以上あたりまえのことでもあるのですが、普段の日記を超越した雰囲気からして、ともすると忘れがちな点であります。先週のなりすましで、日記という形なんだということを改めて認識しましたが。
さて、そんな前置きをシリアスにおいてしまうぐらいには、マリーにとってこの「望まない結婚」話というのは聞き捨てならない話だったようですね。……って、なるほど。「マリー」的には。
そう思い至ったところに、真璃の口から、まさにそのような発言が次々と。「それは――もちろんフェルゼンも知っているでしょう?」と問われたからには、知らないなどとは言えません。……実は、そのへんの原典をちゃんと読んだことって無かったりしますが。どっちかというと、長谷川哲也先生のマリー・アントワネットを思い出す俺はもしかしたらマリーのフェルゼン足る資格など無いのかも知れませんがそのへんは今のところ気にしない方向で。
たとえ、ゼツダイな
権力を誇る、
イダイな女帝から
命令されたと
したって――
逆らうことの
許されない、
タイオンある
母親から言われたと
したって――
……たとえ話ではありますが、なにげにこの家においては、決して人事ではなさそうな話なんですよね。ママがトゥルー俺を唐突かつ強引に家族に引き入れたりしたあたり。それは結果的に家族全員を幸せにできたことなのでよしとするとしても、霙姉さんのウソも、決してない……とはいえないことなのかも知れません。それで、真璃のいうことにも真剣味があるのかもですね。
とはいえ、マリーがこんなにも真剣に思っているのは、
このマリーの前世が
教えてくれていることよ?
愛のないケッコン。
その行く末は――
カクメイなの!!
……とまあ、さすがにギロチンの名前は出せませんし出す気もありませんが、やはりそのあたりが。
この、真璃の「前世はマリー・アントワネット」話って、一見するとごくごく可愛らしい子供の思い込みのようにも見え、実際にそうなんですが、それだけではなくって、もっとこう、深く広い視野が無意識のうちに込められている言葉でもあるんですよね。
この子は本当に子供らしく、そのくせ実は姉妹の中でも一番といえるほど実年齢からして大人びているって感じがするんですが、それもこのあたりの妙というか。背伸びをする必要なんて無い、と揺ぎ無く思っていられるその内面は、本当に大人子供って分け方を超越した、器の大きさを感じさせますね。
だから――ダメ。
絶対にしちゃダメ。
お見合いなんて――
……
別れと不幸の始まりよ?
ね。
で、そんなマリーにこんなことを言われるのは、これまた非常に破壊力が高いというか。子供の言葉でありながら、「女」の言葉でもあるという。
もっとも、こんなトゥルー家にいる以上、トゥルー俺が外部の人とお見合いする日など永劫に訪れないであろうという予感を超えた確信もあるわけで、そのへんはマリーが言うように心配ないんですけどね。
でも、マリーは――
……
1回くらいしてみても――
いっかな♥
そしたら、フェルゼンが――
泣きそうになりながら必死で
止めに来て――
くれるんでしょ?
ウフフフフフッ――♥♥♥
そして最後に、可愛らしい悪女っぷりを見せ付けてくれるマリーにすっかりめろめろなトゥルー俺でありました。っていうか、当の霙姉さんもヒカルも、基本的にこれと同じことを言ってくれていたわけでして。……19人分のお見合いを阻止するのに東奔西走しなければならない日がいずれ来そうな予感がひしひしと。
咲きそろった
桜の花が――
いよいよ風に
舞い散り始めて。
それは舞い散る桜のように――というか舞い散る桜そのものですが、いよいよ関東圏およびトゥルー地方においては桜の盛りも過ぎ去ろうとしているようですね。
このようなものの風情も極まろうかという日には、やはりこの子、観月の感性が活き活きと発揮されております。
「毎年やって来る見慣れた光景とはいえ――」というのは、季節の風情にはつきものの感想ではありますが、しかしながら、まだ幼稚園児であり、季節の巡りもまだせいぜい5回程度しか味わったことの無い身でありながらこういう感慨を抱けるのは、やはり観月の超幼稚園児性を改めて思い起こさせるというところも。そのあたりはやはり、人には見えないモノと触れ合い、感じあえるというところから、実経験以上の感覚が養われてきたのでしょうね。
吹く風に舞い散る
儚い桜の小さな
白き花びらは
まるで――
この世に散らばる
妖かしたちの
微かな命のかけらのよう。
……こういう表現を見ても、観月のいう「あやかし」の類というのは、単なるオカルト的なものではなく、ものの風情というか、人の営みが作り出す情緒そのものが形となって現れたもの、って解釈をすべきって気がしますね。もともと、日本における妖怪とか八百万の神々というのは、そういう概念なわけですし。……観念的な面のみならず、観月にとってやつらは半ば実体をともなった対象でもあるわけですが(特にキュウビ)、まあ、それはそれとして。
春の舞い散る桜の景色は
やはりなぜだか――
わけもなく。
胸の痛くなる
景色じゃのう――。
……さっきも言ったように、季節の積み重ねを経たがゆえの言葉でなくとも、観月の風情を解する感覚は、やはり非常に洗練されてますよね。結局のところ、こういう感覚を身に着けていくのって、どういう環境で育ったかというのが大きいわけですから。あやかしの類が見えるというのみならず、このトゥルー家で育ってきたというだけで、こういう優しく風雅なものの見方はきちんと身に付くものなのでしょう。
とはいえ、感性が高すぎるというのも時に困りものというのは、俺がプリンセスメーカーをプレイしたときに覚えたことなのですが――
わらわもこうして――
散りゆく花の風に
巻かれていると――
いつになく妖しい心地がして。
ふわりと――
旅立ってしまいそうになる。
行けば戻れぬ、
常世の川の眼鏡橋。
いつの間にか、
目の前に現れて――
そ、そそそ、それ渡っちゃダメです観月さんー!? ……っていうか、こういうふらりとどこかに旅立ってしまいそうになる血、霙姉さんの妹であると改めて思い起こさせます。たとえ兄弟でも、それほど同じ感覚を持っていたりはしないことも多いとは思いますが、さすがに19人も姉妹がいると、かなり近い雰囲気で通じる感性をそれぞれに磨き上げるってこともあるのでしょう。
霙姉さんは己の内面の感性から、観月は外的なものから受ける感性から、わりと似たようなところにたどり着いているのかなあ、と。もちろん、同じってわけじゃあないんですけど、たとえばワニと恐竜が似ているぐらいには近いかな、と。
ともあれ、こんな怪しい感覚にとらわれてしまった観月には、何か声をかけてあげなくては。その感性に任せるままにしてしまうと、本気でどこかに行ってしまいかねないところもあるような気もしますしね。
――とか思っていたら。
フフフ。
彼岸彼方に行くときは
願わくは兄じゃもともに――。
美しきあの世の景色を
ともにみようぞ?
きっとカ・イ・カ・ン、じゃ――♥
……本質的な解決になっているかはさておき。トゥルー俺がついていてあげないと、という心配に関してだけはまったくの杞憂でありました。っていうか「カ・イ・カ・ン」とか、これまた俺ら世代でさえギリギリなところを……!
私、もう――
……
学校なんかやめる。
絶対、行かない。
唐突になんかとんでもないこと言ってますよ麗!
ええもう、気分的には、「久々にウララ こういう日記を沢山書いていたのが昔の麗なんだよな 今の麗は……」ってまあトゥルー俺への態度はさておき、麗は今も昔も、こういう内面問題的にはあんまり変わってない気もしますが、とにかく週も半ばで唐突に緊急事態発生でありますよ。
それにしても、大規模な学校関係トラブルはあまり多くないのがトゥルー家でありまして、記憶に残っているのもで言えば、せいぜいさくらの登園拒否ただし節分のみって程度だったわけなのですが、しかしながら考えてみると、麗だけが一人別の小学校に通っているという時点で、この子に対してはある意味トラブルがすでに発生していたと考えることもできますよね。
ええ、麗が通っているのは、女の子だけの、電車で通える別の学校ということで、言ってしまうと個人的わがままを通した、非常に優遇された状態ではあるんですよね。ちゃんと仲の良いお友達もいるみたいですし、それでいてなおこんな不満を覚えてしまうというのは、一体どういうことなんでしょう。少なくとも、男の子がらみのトラブルってことは考えにくいわけですが……?
たとえ、海晴姉様が
なんて言ったって――
絶対絶対行かないんだから!!
……と、まっさきに叱ってくるであろう人を指名してまでの拒絶宣言。これは相当本気で嫌がっているなって感じなんですが……麗の場合、瞬間湯沸かし機のように感情が急沸騰する子ですから、ちょっと事態の重さが計りにくいというところもあり、うかつな判断はできません。
とりあえず、「あんなところ」って表現しているあたり、学校の中そのものに原因はありそうなのですが……うーむ、こういうときの麗は大変説明が少なくなるので、やはりこれだけではなんとも推察できず。……っていうか、本当になんだろう? ちょっと予想できません。
そんなこんなで、かなり大変かつやっかいな状況ではあるんですが……それでも、初期の麗と明らかに違うのは、
いくら義務教育って言ったって、
別に学校に行かなくたって、
勉強する方法はあるでしょう?
フリースクールとか、
家庭教師とか――
……
そうだわ。
あなたが――
教えてくれればいいのよ、
私に勉強を――
……トゥルー俺、超頼られてます。よ、喜びたいところではあるんですが……しかしながら、流石にこれは、良くない甘え方。
……っていうことはひとまず置いておきつつ、なにげに麗って、反発心が強い反面、無自覚に人に依存するというか、本質的に甘えん坊なところがあるんですよね。ここがまた、可愛くて仕方ないところでして、海晴姉さんもそういう思いはこれでもかというほど抱いてはいるのでしょうが……しかしながら、やはりこれはいけません。ただでさえ一人だけ無理を言って別の学校に通わせて貰っているのに、そのうえでこれでは――というお説教もいくらでも思いつくわけですが。でも、それを言うのは、少なくとも麗の置かれている状況をきちんと把握してからでないと。
麗に対して接するときは、本当、この危うげなところの多いってことを理解して、大人として判断することが求められるなって思いますね。それがまた、ちょっと嬉しいところではあったりします。
――うん。
あなたが毎日見てくれれば――
私、学校に行かなくてすむわ。
良い考え。
ね、
協力して――
……本当、麗って、無自覚のうちに甘えるのが得意っていうか……良い意味でも悪い意味でも、天性の甘え上手なんですよね。ひとたびトゥルー俺としての立場を忘れてしまえば、もういくらでもこのガラスみたいに繊細でキレイな少女性を堪能し続けたい――という思いこそありますが。それはちょっぴりシャレにならないぐらい背徳的な方向に向かいかねませんし、そもそも俺はトゥルー俺であり立場を忘れることなど不可能の一言。
いや、とにかく。麗の置かれている状況を知らないことには――
麗姉も――
実際は。
少し後悔している
ような気がします。
今日は本当に――
学校を休んでしまって――。
麗は言わないで後悔するよりも言って後悔するタイプ! ……って、結局昨日は学校休んでしまったようで。そんな麗のフォロー日記は、同じ小学生組である吹雪が担当しております。ものごとを冷静かつ客観的に見ることに長けてる子ですから、実にいいタイミングだなって思うわけですが……
我が家では、
私や綿雪以外の者が
学校を休むことに
それほど寛容ではありません。
……と、さりげに気になる一言が。綿雪に関しては、改めて言われるまでもありませんが、この言い方からすると、もしかして吹雪もけっこう学校休みがちだとか? 普段の生活を見ていると、確かに時々眩暈を起こしたりして危ういことはあっても、休みが多いってイメージはないですよね。
これは休みがちだと解釈するよりも、普段はまず休まないけど、何らかの健康トラブルがあった場合、学校を休むことを許されやすい、ってぐらいの意味に取るべきでしょうね。
さてさて、そんな事情もある吹雪と綿雪ならばさておき、麗がその例外に入るわけでもなく、躾にはわりとうるさいトゥルー家ですから、ズル休みなどはそうそう許容されることなどない……はずだったのですが。
きっと海晴姉が不在だったために
霙姉が責任を持った、
病状の査定が甘かった
せいなのでしょう――
あれは、
おそらく明らかに
仮病――
だったのに。
……なるほど、霙姉さんということであれば、わりと納得というか。もちろん、霙姉さんも、そこまで甘かったり適当だったりする人でもない……はず、なんですけど、麗の事情を察したりすることには長けているでしょうし、今は頭ごなしに学校に行かせるよりも、一日頭を冷やして考えさせるって判断をしたのかも知れませんね。
それにしても、吹雪の熱センサーは実に優秀っぽい。まあ、苦手なものなので鋭敏になるのも仕方ないことであり、利点とばかりも言えないのですが、吹雪はとにかく、人のぬくもりに敏感なんだって理解の仕方をすると、ちょっぴりステキにも聞こえたり。
ともあれ、麗の言うような症状は感じられず、「チョコレートが溶ける温度よりは彼女の熱は低かったはず」とのこと。吹雪らしく理論的ながらも、チョコのたとえはなんだか女の子らしくて可愛いですね。
……と、ちゃんといい話にしておきたい、というトゥルー俺が思っていたところに――
考えたくないことですが、
おそらく霙姉は――
……
……
自分も休みたかっただけ――
かもしれません。
看病をするために残るといったら――
蛍姉に止められていましたが。
……フフ♥
…………………………。
……いや、その。なんといったら良いか。い、いや、そういう意図も、それなりにあったりはしたと思うのですが、それだけではないという可能性もあるというか高いというかそう思いたいというか! ……ああ、霙姉さんのイメージがどんどん……。それこそそとまき屋さん的な霙姉さんの姿が否応なくオーバーラップしてしまいそうですが、そういう一面もまた、霙姉さんが確かに持っている側面の一つということで。
っていうか、そのあたりをしっかりと見抜いている吹雪も、ロジカルなだけではなく、人間観察という面においてもしっかりと磨かれたものを持っていますね。……最後の「フフ」には、ちょっぴり母性的なものまで感じてしまい、思わずどきりとしてしまいましたが。
ともあれ。仮病を使ったらしい麗も、うそから出たまこと的なことにはならず元気そうで、とりあえずはほっと。体温低めっていうのは、後悔してたりするテンションによるものでしょうか。
幸いというべきか、立夏の誕生日パーティが行われるので、麗の気持ちもいくらか晴れやかになりそうなこと。ええ、ほかならぬ立夏のパーティですからね。
明日は――麗姉の笑顔が
見られると良いですね。
……そして個人的には、この小学生らしからぬ暖かで大人な視点でことを見守る吹雪に感心しつつ。熱で眩暈を起こさなければ、もういつだって頭をなでてあげたいところですよ。
うん。
まあ――
新学期だから、ね。
……ついに、というべきか。麗関連の騒動において、海晴姉さんの登場は、まさに事件の区切りを示すものであり、麗に対して思い入れた立場からするとなかなかにヒヤヒヤとした気持ちを覚えさせつつ、単純にこの子たちの家族という立場から見ると、ようやく来てくれたという思いがわいてくるというか。
もちろん、これまで散々起きてきた騒動から、お互いがお互いをどう思っているかは、改めて語られるまでもないほどに分かっているわけなのですが、それはそれとして、やはり直接の反応というのは気になるものですよね。
そんなわけで、海晴姉さんの口から、麗の不登校問題に関して、まずはその原因から語られたわけです、が――
麗ちゃんのアレは――
言ってしまえば――
恒例の病気?
みたいなものよ。
花粉症みたいな――
季節性のビョウキ。
学校イキタクナイ病――
…………オオウ。
なんというかなんというか、その気持ちは十分分かるとはいえ、さすがにちょっと――な原因ではありましたが。それはそれとして、もっと困った外的要因とかでなかったことについてはほっとしました。心から。
しかしながら、誰にも程度の差はあれ起こりうる、ごく一般的な精神的要因だったとはいえ……さすがにそれが認められるかというと、それはまた別問題なわけで。こと、躾にうるさいトゥルー家で、そうそう通る理屈ではないということも間違いないはずなんですが……海晴姉さんの口からは、「全然気にしてない」発言が。
フフッ――
麗ちゃんったら、
ヒドイわ――
こんなに妹思いの姉を
つかまえて――
鬼みたいに言うんだもの。
……いやあ。なんというか。麗に対して、海晴姉さんが直接叱ったりしているシーンというのは、日記という形式であるここではなかなかうかがい知れないものではあるんですが。……たとえ麗でなくとも、そういうときの海晴姉さんは……なかなかに、保護者的な威厳がただよっていそうな気が凄く。ええ、愛情あればこその。
しかしながら、本人に向けた言葉でないからなのか、海晴姉さんの口調は、いつものようにひたすらに軽げ。「あれ? ユウツ? ユウウツ?? ――ま、どっちでもいいか!」とか。……なんというか、テレビに出るお姉さんとしてそれはどうかと思いつつも、とにかく超楽しそう。
まあ、なぜこれほどに余裕でかつ楽しげなのかといえば――麗の扱いそのものに、他の誰よりも慣れっこだから、なんですよね。
すなわち――
あえて、麗ちゃんには
何にも言わないで――
放っておくの♥
そうするとね、
これが意外と――
自然にじれて。
ちゃーんと向こうから
折れてでてくるんだな、
これが。
……うむむ。なるほど。思わずうなってしまいそうなぐらい、納得できるお言葉が。……いや、本当、これほどに扱いに長けているのを見ると、まだまだトゥルー俺も家族としての絆の積み重ねでは及ばないなあと思わずにはいられません。そりゃまあ当然といえば当然ですが。
麗はなんだかんだでいい子ですから、この説明には本当、心から納得。……っていうか、なんて可愛い……! 麗は典型的な、言っちゃってから後悔するタイプですよね。それで、言えないで後悔するタイプの小雨とは合うのかなと。言っちゃってそれでなお後悔もほとんどなさそうな立夏も一緒ではありますが。
ともあれ、そんな麗の「ごめんなさい」な様子を想像するだけで、狂おしいほどに可愛いだろうなって思っている俺の心情を察したかのように――
で、その――
じれてあやまろうか
どうしようか迷っている様子を
こっそり見物してるのが――
楽しいの♥♥♥
お姉様歴17年の――
これが密かなお・た・の・し・み!
ウフフフフッ――
……嗚呼、なんというサド……などと言える立場ではないのは、さきほどの自分の発言を省みればこそ。いや、これはもう本当、「お姉さま」としか言いようのない風格というか! その気持ちも痛いほどにわかるだけに、格の違いを思い知らされまして候。
しかも17年のお姉さま暦ということで、この手の楽しみは、麗に限った話ではないんですよね。妹たちのそれぞれに、そういうツボを心得ておられる海晴姉さん……羨ましいのとともに、そんな海晴姉さんの大きさというのを実感します。……リアル俺より遥かに年下なのに、むしろ同世代かそれ以上というイメージすら……って、これ以上いけない。
ええ、ええ。もう、どこまでも「こりゃかなわないなあ」って思わせてくれる海晴姉さん。こちらもその手のひらの上で弄ばれるのがひたすらたまらないわけですよ。なにせ、こんなことを言ってくれるわけで――
即席お兄さんのキミにも
ちゃーんとその楽しみを
わけてあげる。
明日あたり、麗ちゃんの部屋に
普通に家庭教師のフリして行ってみたら?
どんな結果になるかは――
保証しないけど♥
フフフフ――
そ、即席……いやまあ、これ以上ないほど端的にトゥルー俺を示した表現ですが!
……とはいえ、その言葉が、決して他人を感じさせるものではないのは、これもまた海晴姉さんの包容力なんでしょうね。……いや、包容力っていうか……そんな「食べちゃっていいよ♥」と理解せざるをえない発言であおってくれるのは! もっとも、このイケイケイッちゃえ発言も、トゥルー俺の「即席お兄さん」という立場をよく理解してくれているからこその言葉って気はしますよね。即席なればこそ、絆を深めるための機会をお膳立てしてくれているということでもあるでしょうし、「どんな結果になるかは――」って危険な含みも、それはそれで、即席であるトゥルー俺にはある意味許されている可能性の一つですからね。
ちーんっ!
ちーんっ!
ちんちん――
……
ち――んっ!!!!!
……
わあ――
いっぱいでた!
……………………………………………………………………。……さあ、今週最初の日記は、実に青空らしいほのぼのとした雰囲気から!
……はい。この最初の間で、懸命なるトゥルー諸兄には全てを察していただけることだと思いますが、さすがにトゥルー暦も長くなってきた今日この頃、このようなすがすがしいほどあからさまに「別方面の何か」を連想させる内容が姉妹の口から語られることにも、さすがに慣れてきたというか、いくばくかの体性がついてきた次第でございます。……も、もうそんなに勢いよくは釣られないぞ! ……ちんちん……でた……(←釣られてます)
……とまあ、半ばいつものアレとばかりの反応ではありますが、いざ冷静になって理解してみれば、青空の日記はいつだって、ごくごくほのぼのとした、乳幼児らしいものばかり。ときに超一歳児らしさを見せ付けてもくれますが、超がつくとはいえあくまで「一歳児」の範囲なんですよね。
そんなわけで、今日のこの「いっぱいでた」発言も……
ずるずる!
の――
はなみず!!!
……ということでございます。ええ、青空ぐらいの子にとって、鼻水とか、それこそおしっこうんちの類は、切っても切れない間柄といっても過言ではなく。さっそく、自分の鼻水を伸ばして自慢げに見せてくれてます。「そら、えらいねぇ〜♥」の発言も、みんなに「えらいねー」って可愛がられていることから自然と誇らしいときに出る言葉っていうのが分かりますよね。小さい子はみんな大抵そうだと思います。
さて、小さいながらも超一歳児である青空ですから、鼻水などについても色々な知識があるようで。さむいと出るとか、果ては「ちーんしないと、
おはなつまるの。
しんじゃうの」とまで。……「しんだあり!」というのは青空の発言の中でも印象に残るもののひとつですが、この子が果たして「死」というものを、どんな風に理解しているか。青空に限った話ではありませんが、なかなかに興味深いところではあります。
ともあれ、「鼻水はかむもの」ときちんと学んでいる青空は、それをトゥルー俺にも勧めてくれて、「おはな、いっぱい
でたらいいこ。
そらみたい!」と。……普段、こんな風に可愛がられつつ躾けられているのだなあとしみじみ。
おにいちゃん、
いいこいいこ♥
おにいちゃん――
てぃしゅ、あげる!
……青空みたいな小さい子にいいこいいこされる快感……! いつも味わっているものではありますが、それにティッシュが添えられていると思うとなにやら背徳めいた……うそうそ。
大きいつづらと
小さいつづら。
お兄ちゃんだったら――
どっちをとる?
珍しく、いきなりの質問から始まった今日の日記。昔話ではおなじみの単語が飛び交っていますが、そんなことを尋ねてきたのは、この中でいえば明らかに大きいほうを取りそうな気がする、夕凪さん!
夕凪だったら――
絶対絶対絶対絶対!!!!!!
――えへっ♥
大きいつづら!
……などと思ったそばから、全力でその通りであると可愛らしく主張してくださっていますよ。さすがは夕凪さん。実に欲望に忠実であり理性がだいぶ後から付いてくる子! そのおかげで、氷柱からのげんこつもしばしば喰らっているわけですが。
さて、これは別に夕凪さんに限りませんが、こういう質問をたずねてくる人というのは、大抵の場合、自分自身がそういう状況に置かれているとき。では、夕凪さんに何かそういうチャンスが、と思ったら、どうもそうではないようで。……とまあ、それはひとまず置いておきますが、
そりゃあ夕凪だって、
もちろん――
舌切り雀のお話くらい
しってるけど――さ。
ちっちゃい頃、
よく霙お姉ちゃんが――
読んでくれたし。
おお、ちゃんと知っててなおその選択に微塵の迷いをも見せないとは。やはり夕凪さんは、ある意味大物ってところがありますよね。「ある意味」っていうと含みがあるようにも聞こえますが、この場合は、いい方向にも悪い方向にも取れる表現ってことで。
……さて、夕凪さんにそれを読んで聞かせてあげたのが、霙姉さんであるという話。……意外なようで意外ではないというか、霙姉さんは、家事関係はともかく、こういうことはわりと楽しんでやってあげそうなところあありますよね。特に、夕凪さんみたいな、独特かつ元気な反応を見せてくれる子には、読んで聞かせる甲斐がある、って発想もあったのかもしれません。いや、トゥルー俺もそう思いそうなので。
そんな霙姉さんに習って、夕凪さんはさくらに本を読んであげたようです。……ううむ、普通なら親が子へ、その子がまたその子へ、って循環を、姉妹の中で行えてしまうのが19人姉妹の凄いところ。とはいえ、実に心温まる幸せな光景です。読んであげる夕凪さん可愛いだろうなあ。
……と、ひたすら和んでいられるかというと、どうもそうでもなかったようです。ええ、夕凪さんは、その物語とは相反する考えを抱いてしまっているからでして、
今度こそ、なんかとびきり
でっかい大きなイイものが
入ってるのかも知れないって――
だから、大きいつづらを選んだら――
……
さくらちゃん、泣いちゃった……
うわ――ん!
……オオウ、なんという。すなわち舌切断というテリブルな結果を読むことなり、さくらが泣いてしまう事も当然という流れになりますね。
その件についてはさっそく氷柱からのお叱りがあったようで。……まあ、これに関しては、夕凪さんとて悪気はないのはもちろんのこと、責められるような類のことでもないので、ちょっぴり難しいところではあります。なにせ、
だって霙お姉ちゃんも前から、
そうするって言ってたし。
……その判断を示唆していた人が。ええ、これもまた責められる類のことではありませんが、こういうところはしっかりと、姉妹の中でも近い属性の子たちが受け継ぐのだなあとしみじみ。
姉妹の中で、さくらに近い子といえば、きっと小雨とか、ホタ、春風さんあたりになるでしょうね。大人しめで家庭的な。とはいえ、同じ価値観ばかりではなく、違う個性からのほうが学ぶべきものが多いというのは間違いなく。そういう意味で、家の中にながら、実ににぎやかでさまざまな価値観に触れられるというのは、ここんちの持つ非常に大きな利点なのではないでしょうか。
それはさておき。お話を知っていながらなお大きいほうを選びたい夕凪さん。なぜそう思うのかというと、「今度こそ、なんかとびきり
でっかい大きなイイものが
入ってるのかも知れないって」……とのこと。これは一見無謀なようで、実は素晴らしいポジティブさでもありますよね。やる前から決してあきらめたりしない美徳にもなり得るかも知れません。またその一方で、やっぱ前例がある以上やめといたほうがいいという判断が正しいのも間違いではなく。そういうさまざまな意見があるということを身をもって知ることが出来る、トゥルー家は過程でありながら、幼稚園や学校などの機能も持っているといえるでしょうね。
そんなわけで、話はトゥルー俺にそれを尋ねたところに戻ってくるわけですが。
ね、ねねねねね。
お兄ちゃんだったら、どうする?
どっちを選ぶ?
だって――大きいつづらには、
もしかしたら――
マホウのプリンセス・ユーナが
入ってるのかもしれないんだよぉ〜!?♪
……ううむ、なんたる甘美で根拠のない誘惑。というか、夕凪さん自身が舌を切断するリスクを負っても冒険する価値のあるお宝であると一切の躊躇なく思い込めるところまで含め、この子のポジティブさはまばゆいばかりです。ええ、間違いなく正しい事実ですし。
本当に――
困った、春、
ですよね――。
……………………。
い、いや、これはまた、いきなり答えに窮する書き出しが……! ええ、ええ。ワカってはいます。春風さんが語っているのが、とりたてて他意などあるはずもない、ごくごく普通なお天気の話を切り出しているのだということは……。
しかしながら、今年の春は、寒暖の差もさることながら、猛烈な強風こそが印象的であり、春に吹く風、すなわち……ええ、どうしても、きゅんきゅんと猛威を振るうトゥルーにおける日常的な何かを同時に連想しないではいられないわけなのです。トゥルー俺の誰がこの俺の思いを責められるだろうか……ッ!
とまあそんなわけで、この冒頭三行に、思うところはそれこそ語りきれないほどにあるわけですが、当の春風さん自身にそんな自覚がまったくない以上、特に気にしないで会話に耳を傾けることこそ、トゥルー俺としてのつとめであると考える次第であります。ええ、これは天気。天気のお話……。
今年の春は、
なんだか落ち着かない――
困った春に
なってしまいました。
ええ、もう。普通にお話をしてる今にも、お話のオチに、なんだか桃色的なオーラに満ち溢れた言葉が放たれそうな気がして実に落ち着かない気分で……って、それはなんだか確信めいた予感すらあるのですがそれはさて置きましょう。さて置くんです。トゥルー俺ですから!
まあ、春風さんが言っているごく普通のお天気の話としては、要は最近突然寒くなって大変ですよねというお話であり、姉妹たちの体調なども心配であるという方向に思考を進めるわけで。ええ、それは確かに気になることですからして。
みんなのお母さん役であるところの春風さんとしても、その思いは同じでありまして。そこで思いついたのが、あったかいお鍋。ええ、ベストシーズンこそ過ぎたとはいえ、寒い日であれば季節を問わないありがたさですからね。
うん♥
しゃきしゃき水菜に
たっぷり柔らか大根、
甘い金時にんじんも入れて――
特製豚しゃぶ
なんてどうかしら?
自慢のあっさりゴマだれが
春風の特製なの♥
……うん。こうしてウキウキとお料理に思いをはせている姿は、お母さんのようでもあり、実に女の子らしくもあって、本当にかわいいなあ、見ているだけでほのぼのとあったかい気持ちになるなあ……と、幸せで穏やかな気分に包まれるわけですが――
ビタミンパワー
たっぷり充電完了で
きっとたちまち
今夜には――
ゲ・ン・キ♥
になってしまってよ?
ウフフフ――♥
……はい。次の瞬間には、その「穏やかな」って部分が空の彼方に吹き飛ばされてしまいまして。ああもう、もはやいつもの光景とさえいえるほどに味わい続けてきたシチュエーションではありますが、どうしてこうも春風さんってば、きゅんきゅん昂ぶっているときの発言が、乙女の枠を超えた何かがこうも滲み出てきてしまいますか。春風さんは年齢と比較してかなり乙女度が強い子だと思うんですが、逆にその乙女度が強いところで、乙女を超えた何かに至ってしまうという矛盾すらも内包してしまえる人なのでしょう。
……そういう乙女的に矛盾したところも、見方を変えると、これはもしかすると、シスプリの咲耶のような、ある種の諦観があるからこそ大胆になれる的な、切ない思いの表れ……と見れないこともないですが、バレンタインのときの直接攻撃のことを思うと、それも少し違うような、それもあくまでその範囲なのかもって思ったりと、もうこちらの頭の中も大変です。春風さんのことで頭がいっぱいですよもう!
それでも王子様のハートが
少しでも冷えてたら。
最後の仕上げは――
春風が温めて差し上げます♥♥♥
――きゅん♥
そしてとどめ。……いや、これもいつもの決まり手ではありますが、もうトゥルー俺は黒星何回ぐらいなんでしょう。真っ黒に春風さん色に染め上げてしまってくださいもうこの際!
今日は――
とっても寒い上に、
雨まで降っているので――
ユキは学校を
お休みしました。
残念――
のっけからまばゆいばかりの発言をするユキが天使! ……いやまあ、今まで普通に暮らすことさえ出来なかった子の意見を、俺たちの普通の感性そのままで受け取るわけには行かないのですが、それを抜きにしても、ユキって子の天使度は際立っていると思うのですよ。もし、ユキの体が悪くなくて、ごく普通の子供として暮らしていても、きっとこの子はこんな風に、人の心を幸せにしてくれる女の子になっているだろうなあ、と。
まあ、学校をお休みして残念というのは、別にユキじゃなくても、学校が楽しみな小さい子にとってはむしろ大多数的意見なのかな、と今改めて思ったりも。……ええ、ユキが天使というよりは、リアル俺の心が垢にまみれているだけということだという可能性が大。
……とまあそんな自己嫌悪はいいとして、「ユキが学校を休まなくてはならない」という状況は、ちょっぴり気になるところではありますよね。あくまで念のため、ってことは十分承知しているのですが、それでもなお。
午前中、みんなが
いなくなった
お家にいて――
1人――
窓の外を見ていると。
……ほら、こんな風な思いをさせてしまうことになると思うと。
もっとも、ユキにしてみれば、たとえ一時的に一人とはいえ、今まで入院中の病院で味わってきた孤独に比べれば、家族のいる自宅で、それも普段はちゃんと学校に通えている日々の中での例外ということで、なんでもないことだと思えているのかも知れませんが、しかしそれはそれで切なさが堪える兄心。
ちょうど東京方面が春とは思えぬ寒さを記録したこの日、トゥルーもそれに順じているでしょうから、せっかく新学期が始まったばかりとはいえ、ユキが学校をお休みするのも仕方のないこと。(本来は新一年生だとかのトゥルー時空問題は当然スルーするとして)
春なのに、
とても冷たそうな――
目に見えない
しんとした――
雨。
……ただ、目の前の天気をありのままに表現した言葉なんですが、それが一人でいるユキが放った言葉だと思うと、それがまたやたらとトゥルー俺の心を刺激してしまうわけで。ええ、なんでもないことのはずなんですけどね。
さらにはそんな寂しい中、
今ごろ、みんなは
どうしているのかな?
お兄ちゃんは――
雨に濡れたり
していないかな?
って。
なんだか少し
不安になります。
……こんなことまで思わせているんだって思うと、なお。みんなの心配をする優しい心はもちろんですが、この言葉にはそれ以上に、ひとりで寂しいなって思いが込められているに違いありませんから。
……と、家の中で寂しいユキ、っていう状態は間違いではないのでしょうけれど、実際のところ、決して一人きりではないんですよね。
そうしたら。
今日は。
ちっちゃな蜂の
赤ちゃんの――
あーちゃんが、
ユキのところに
来てくれました♥
ウフフッ♥♥♥
このように、あさひさんたちは家に居てくれているわけですから。まあ、あさひさんと青空、そして虹子までは、まだ幼稚園にも通っていないですからね。
この子らがそろっていれば、たとえ他のみんなが居なくとも、だいぶにぎやかなんじゃないかと思います。ただ、小さい子たちなだけあって、昼間は眠っていることのほうが多そうなんですよね。ユキが外を見ていたときも、きっとみんながお昼寝中だったのだと思われます。それで、本日が誕生日であるあさひさんが、たまたま起きて活動し始めたところに、アンニュイそうなユキを見つけた……とそんな感じなのではないかと。
ああ、それにしても、普段から天使度の高いユキが、あさひさんをあやす姿を想像すると、もうそれだけで、どこか神聖なものすら感じられる光景に思えてしまいます。この綿雪のハートつき「ウフフッ」って、年齢というか、女の子という枠を超越した何かを感じてしまいます。色香というか、どこか超越した母性というか。
小さなかわいい、
天使のあーちゃん!
今日は、お誕生日おめでとう――
ああもう、この言い方からして、ユキは少女って名前の天使。赤ちゃんが天使なのはそれは世界共通であり、あさひさんも例外ではありませんが、ユキの天使性はなんというか、触れてはいけない儚いもの、ってイメージと、この優しさとが入り混じったところから来ていますよね。あまりむやみに天使天使というのも、ちょっとアレかなって気はするんですが、それでもなお、ユキを前にしては、そう思う気持ちを抑えることが出来ません。
静かな雨のお誕生日。
こういうのも――なんだか
ユキは結構好きです。
ともあれ、ユキが心静かにかつ幸せに過ごせていてくれれば、それだけでもう。
聞きにくいんですけど――
あの――
えっと――
あの――
……
のっけからなにやら言いよどむ小雨! ……な、なにかトゥルー俺が家族的にはずかしいことをしでかして、それを小雨にこっそり見られてしまったとかそういうシチュエーションなのかと思わず身構えてしまいたくなりそうですが……しかしながら、そこはそれ。小雨のことですから、そういう可能性も似つかわしいとはいえ、やはり考えられるのは……
あのっ!
お兄ちゃんは――
こんな。
しょぼくれた――
小雨のことは――
好きですか?
……………………。
……いや、小雨さん。いくらなんでも、「しょぼくれた」って表現は――って思いきゃ、
……
あっ、ち、違うんです!
その小雨じゃなくて、
もちろん私の小雨のこと
なんかじゃなくて、
そんな図々しいことは
も、もちろん小雨も聞いてなくって、
えっとあのその――
……
お天気の――
小雨のことです。
……なんというか。もう小雨モードのフルパワー全開とばかりの勢いであります。
とりあえず、小雨の言わんとしていることは伝わりましたが……なんだか、前にもこんなことありましたよね。お天気の小雨と、自分の名前である小雨とを重ね合わせてしょげてしまったこと。
小雨って子の性格はトゥルー俺であればみなご存知のとおりでしょうが、ここ最近、だんだんと前向きな考え方になってくれることが多く、この子もちゃんと成長しているなあって思うこともしばしばだったのですが、その成長は成長として、やはりこういう根本的なコンプレックスというのは、捨てきれるものではないんですよね。
とりあえず今日のこの小雨コンプレックスは、ここ最近のお天気に関連して生じたものであることは明らかですね。天候不順で野菜の値段もめちゃ高くなったりと、ニュースで取り上げられたりすることも多かったのでしょう。それでなくとも、海晴姉さんがテレビでお天気のことを話している以上、天気の話題は普通の家よりずっと目の当たりにする機会が多い家なわけですしね。
それだけではなく、家族でのお出かけの機会もナシになってしまったようで、そのあたりがダイレクトに小雨のコンプレックスに響いてしまったのでしょう。
こんな今日の冷たい
シトシトした――
陰気な小雨。
……
やっぱりみんな嫌いなんです。
小雨って。
みんな――とっても
不満がっていて――。
こんなシケた小雨は大嫌いって――
……などなど。そりゃあ、本人自身でちゃんと、「もちろん、わかってます。私のことじゃないって」とは理解していても、もともと抱いているコンプレックスを直接刺激されてしまうのは避けようもないわけで。
とはいえ、今はこうして、天気の小雨に引きずられてネガティブモードになっている小雨ですけれど、そこから立ち直るすべも、ちゃんと心得ている子ではあるので、それを踏まえたトゥルー俺としては、こんなこの子にしてあげるべきことをもしっかりと理解している次第でありましょう。
それはすなわち、こういうネガティブに引っ張られてしまった小雨に対して、「うざったい」なんて思ったりせず、気持ち全部を普通に受け止めてあげること。無理にポジティブなことを言ったりなどせず、小雨がそう思っているんだってことをきちんと理解してあげること。……そういう考え方がいけないなんてことぐらい、この子自身が一番よく分かっているんですからね。
でも――やっぱり。
少し自信が無くて――。
お兄ちゃんはやっぱり、
小雨は嫌いですか?
結局のところ、その「自信がない」ってところだけが、小雨にとっての問題なんですよね。だから、こんな風に落ち込んでしまう小雨をどうにかしようとしたりせず、あるがままの姿を受け止めてあげれば、それだけできっとこの子はすぐ立ち直ってくれると思うんですよ。
小雨は――私は――
こんなしっとりした
春の“小雨”も
たまには――
潤っていていいと
思うんですけれど――
やっぱり、うっとうしいでしょうか……
実際、小雨の言っていることを聞いてみると、まさにその確認をしたいって気持ちが伝わってくるかのようですし。もちろん、農家の人ってわけでもないトゥルー俺ですから、それをことさら厭うなんてことはありません。雨が降るときは雨を愉しむのがいい過ごし方なんですよね。人と人との付き合いもまた然り。
うぉっぱ!
あっぱ!
うんばっば――
にゃーにゃ!!
あおっばばば――
むっちゅ〜〜♥
うぉっぱ!
あばばばばばばばば――
いつものようにYASEI味溢れるあさひさん日記! なにやら今日のは特にその傾向が顕著に思えます。むっちゅ〜、というのはまあ、赤ちゃんでありラブ妹でもあることから自然と理解できそうな雰囲気でもあるのですが、やはり目を引くのは「あばばばばばばばば――」というなにやら名状しがたいリアクション。
個人的にはこの「あばばばば」っていう言葉からは、クマーが発狂したAAをまず思い出してしまうわけですが、ぐぐる先生によると、なにやらちゃんと文学めいた出自の言葉でもあるようで。
とはいえ、そのあたりがあさひさんに直接関係するわけでもないでしょうし、これは単なるあさひさんのYASEI的表現のひとつと見るべきでしょう。
ええ、ちょうど先日、お誕生日を迎えたばかりのあさひさん。……さすがに3度目ともなると、もう「0歳の誕生日」という概念もすんなりと受け入れることができるようになってきましたが、いずれにせよあさひさんにあらゆる意味で注目が集まりやすい日であることには変りなく、その影響をあさひ本人も受けておられるのやも知れません。
……さて、そうして語っていてもキリがないので、翻訳を通させていただきますと――
だめ!
こっちきちゃ!
だれもきちゃだめなの――
だっておにいちゃんは
あさひだけのなんだもん――
ほーらね♥
だめだよ!
おにいちゃんに近づくものは
みんなヨダレ攻撃でこうだ――
……オオウ、期待以上のYASEIっぷりでした。あばばばば――とヨダレ攻撃とな。以前にヒカルがあさひのヨダレでちょっぴりひどい目にあってしまったことなどを思い出すと、これはなかなかに強力な攻撃と見るべきか。それにしても、なんともたのもしいアグレッシブっぷり。
さて、それはさておき。「おにいちゃんはあさひだけのなんだもん」と、ちょっと方向性を誤ると危ないながらも、これはなかなかにラブ妹としての素養も見せ付けておられますね。赤ちゃんが頼りになる親的存在を独占したがるのは当然といえば当然ですが、普通はママなどにその対象は絞られるはずでして。そこのところ、あさひさんは明確にトゥルー俺を「おにいちゃん」としてすでに認識しているあたり、なかなかの超越っぷりなのかも知れません。
しかしそれにしても、なにゆえ唐突にトゥルー俺を独占したがりはじめたのか。いかにあさひさんとはいえ、赤ちゃんの気持ちですから、突発的に思いついただけとも思えますが、もしかしたら何か事情があるのかも知れませんね。お誕生日だから欲しいものを求めているとか。……自分の誕生日を認識できる0歳児……いやまあ、それはもう気にしても仕方ないことですが。
オニーチャンは――
知ってる?
スカートの中に――
あるモノ。
……ヤバイ。いや、確かにこの書き出しの内容そのものからして危険な文章ではあるのですが、なんというか、もっと広い意味で――アブナイ。トゥルー俺は、そう直感的に察知しましたですよ今日の日記について。
いや、このトゥルー生活も、リアル時間で3年目ということで、さまざまな意味での経験則が身についてきたとでもいいましょうか。その身につけてきた知識と経験の中で、この立夏というあらゆる意味でダイナマイトな女の子が、唐突にこういうことを言い出してきたときは――ええ、大変危険であると。そういう刷り込みが、すでにバッチリと心に刻み込まれてしまっているのでございます。
立夏という女の子の危険性は、そのYASEI味溢れた奔放かつ自由すぎる性格が、子供と「女の子」との間をすごい勢いで行きかい続けているという状態にあるんですよね。
たとえば、薄着で素肌をさらしたいのも、奔放さと子供らしさがベースにありながら、その実「女の子」としてのアピールもしっかりと行い始めているという、実に危なっかしい行為なわけで。いや、これが普通の家庭内であれば問題ないですし、学校では社会性を踏まえる以上リミッターも働いているでしょうが……ほら。あくまで「家族」の中にありながら、家族を超えた異性となりうる存在がトゥルー俺なわけですから。もう立夏の危険なところを超刺激しまくりなわけですよ。
……そんな立夏とトゥルー俺の危険な関係というのは、この3年、とくに去年のバレンタインあたりから、かなり顕著に見られるようになったわけですが……ええ、今日の日記からも、そんな危険の匂いがぷんぷんしますとも。
立夏いわく、「スカートの中、知ってる?」……と。……もう、どういう反応をしようと「詰み」って感じではありますが――
それは、モチロン
立夏の超ナガくて
かっこいい――
スラリとしたレッグス♥
だけじゃあ
モチロンなくって。
――イシシシシシシ♥
嗚呼! もう!
単に迫ってくるだけではなく、無自覚に男心の弄びモードすら身につけておられますよ!
……いや、これを「無自覚」と認識するのは甘い考えかもしれません。立夏はこれで、「女の子」の部分は、もう相当に発達している子でもあるわけですからして。下手をしたら、姉妹の中でも、中高生組の中では一番「女」としての部分に自覚的とすら言えるかも知れません。
リッカのカワイイ、
ぱぁ〜〜んつっ♥♥♥
そんな自覚を踏まえたうえでなお、こんな発言をしているとしたら、それはもう、危なっかしいどころの騒ぎではないわけですが……。いや、本当。トゥルー俺がいつ家族としてのリミッターを解除してしまってもおかしくありませんとも。
……まあ、さっそく「見たい?」とすごい勢いで尋ねてきたり、実際に「チラッ♪」とかしてくれたりするあたりは、大変な攻撃力ではあるものの、多分に子供らしさが残ったリアクションでもあるので、ある意味手心を加えられているといえば加えられているのですが。
……実際に見えたかはさておき、「スターダストパァ〜ンツッ☆」なる単語の独創性まで含めて、頭がクラクラしてきそうです。
そんな立夏が語るのは、昔からスカート派だったことと……姉妹のスカートをよくめくっていたという恐るべき事実。さりげにとんでもないことを……! とりあえず、歳の近い子あたりが標的だったのでしょう。氷柱あたり、格好の餌食になっていそうな……。
そしてきっと、もっと年上のお姉ちゃんたちもその毒牙に掛かっていたのだと思われます。というのも、次に話していることが……なにやら、霙姉さんが着物を着ているという話。そして――
ししし♥
あのね――オニーチャンに
教えてあげる、オンナノコの秘密♥
キモノの下は――
パンツってはかないんだよ?
だから――
オニーチャン、早く
見に行った方がイイヨ?
リカのイタズラ秘密情報――
行くか行かないかは――
オニーチャンのゴ・ジ・ユ・ウ、にドウゾっ♪
……今。トゥルー俺に向けて。
とてつもない教唆が行われています。
……い、いや、立夏さん! それ、ちょっと洒落にならないような……この子ってば、トゥルー俺をケダモノに陥れたくて仕方ないのでしょうか! そのあたりの自由さも、この子の危険性の最たるものではありますが……いや、これはある意味、トゥルー俺の理性を知ったうえでのいたずらとも考えられますが。ともあれトゥルー俺の脳が大変なことに。
しかし……霙姉さんが相手というのが、これがまたちょっとばかり曲者というか、面白いところというか。
さりげにこの家の中で、うんと小さい子たちを除けば、ある意味もっともガードが薄いのがこの霙姉さんかも知れないんですよね。そりゃあ当の立夏とか春風さんも相当なものでしょうが、霙姉さんの場合、そもそも「異性に対する意識」というのが希薄なんですよね。そのくせ、本能的な部分では、しっかり「男に対する本能」みたいなものを備えていそうな気がしてならないわけでして。いや、たとえ霙姉さんだろうと、それは間違いなく持っているんですよ。その本能と、純粋に家族として弟として愛してやろうという意識とがいっしょくたになっている感じがして、そういう意味においては、立夏に近い危険性を持っているという気が。
そんなわけで、この立夏の情報は、大変危険なものだと認識すべきなわけです。ヘタに覗きに行こうものなら、「ん? 見たいのか? 別にかまわない」みたいなことになりかねないあたりがもう。いや実際、お風呂絡みでそういうことが以前ありましたし!
……ともあれ、トゥルー俺の理性が試されます。日常的な光景といえば光景なのですが!
きれいなきれいな
にじ色のちょうちょ!
にじ、みつけちゃった――♥
うん、僕も虹子って名前のキレイなちょうちょを今目の前に見つけているよ! ……などとちょいとキモい言動をナチュラルに放ってしまうのがこの虹子って子の恐るべき魅力なわけですが、それはさておき、なにやらようやくあたたかな春に相応しい話題が出てきましたよ。ちょうど東京方面はかなりあたたかだったようですからね。
それにしても、虹子はまだ2歳なのに、ちゃんと春だからちょうちょという図式ができあがっていてえらいというか超2歳児というか。あたたかくなったから出てきたとすでに理解できるというのもさることながら、そういう季節の情緒までしっかり理解していそうなんですよね。
にじいろのちょうちょさん。
みぞれお姉ちゃんの
おきもののすそに
とまって――
さて、そんなにじいろちょうちょのお話ですが、ここで不意に、先日の霙姉さん着物着用の一件とリンク。……この分だと、トゥルー俺はちゃんと理性を保った感じですが、それはさておき。
なんで突然着物を着たのかっていうのがちょっとひっかかるのですが(まさか、こないだのエイプリルフールの話が関係している? ……いやいやまさか)、ただでさえ和服がカッコよく似合いそうな霙姉さんに、キレイな蝶が添えられた光景。これはまた実に良し。
そんな霙姉さんをして、「およめさんみたい」という表現も、これまたちょっと心に引っかかりますが……まあ、とりあえずは気にしないことに。……というか。
にじこも早く
およめさんに
なりたいな。
おにいちゃんの――
およめさん♥♥♥
かわいいにじこの
およめさんよ?
……こんなことを言われてたら、そりゃあ気持ちがそちらにひっぱられるのも無理なからぬわけで。ええ、きっと毎日のように言われている言葉でもあるのでしょうが、未だこの幸福感が色あせることはありません。
おにいちゃんも――
うれしい?
ウフフフフッ♥
着物を着たい、とあこがれるだけならまだまだ子供らしく可愛いな、でも済まされるのですが。この、トゥルー俺に話を振りつつ、最後の「ウフフフフッ♥」笑い――この歳にして、妖艶さと呼べるものすらはなっている虹子であれば、むしろ今すぐにでも着物姿が似合うであろうと思う次第です。
今日も――
給食の時に出たのは――
牛乳でした。
あーあ、
がっかりです。
衝撃! 星花は牛乳があまり好きではない!
……というか、少なくとも俺の世代においては、そもそも牛乳は給食に必ず付いてくるメニューであり、「今日も牛乳だった」という意見が生じる時点でジェネレーションギャップに衝撃を受けた次第なのですが(ヨーグルトの日! そういうのもあるのか)……いやいや、それ以上にこれはちょっとビックリ……っていうか。
ええ、給食のメニューに好き嫌いがあるのは当然のことなんですが、姉妹の中でも特に「いい子」のイメージが強い星花が、こうして真っ先に不満を漏らすというのが、ちょっと新鮮な感じでして。
いや、それがもちろん悪いわけではなく、むしろこういう面もきちんと見せてくれるんだなあという嬉しささえあるのですが、そもそも食べ物の好き嫌いがあまりなさそうってイメージもあったので、ビックリといえばビックリなのであります。
星花は冷たいモノは
そんなに得意じゃないから、
夕凪ちゃんみたいに、
早くアイスの日が来て欲しい!とは――
思わないんだけど。
あーあ、アイスの日よりも
本当ならヨーグルトの日の方が
多いはずなのにな。
……いや、一応、俺の世代にもアイスやヨーグルトはあったのですが、それとは別に牛乳は必ずついてきていたって記憶があります。ああ、なるほど、牛乳の代わりにそういうのがあるというのであれば、この反応にも納得が。アイスの日なんて、夕凪はもちろん、吹雪が特に喜びそうですよね。
それはさておき。「牛乳があまり好きではない」とハッキリ主張する星花。うん、きちんと主張するところは悪くありませんし、
あ、もちろん、せっかくのお給食を
残すのはいけないことだし――
牛さんにも申しわけがないし、
最後まで全部おいしくいただくけれど――
このように、星花らしい良い子っぽさもきちんと見せてくれていたり。本当に躾の行き届いた良い子だよなあ。……しかし、そういう礼儀とはまた別の次元で、そもそもの匂いが気になるというのと……
やっぱり、星花は――
お米のごはんには――
牛乳は合わない気がする……
……わりと納得できてしまう理由もまた。そういえば最近の給食で、牛乳の代わりにお茶を選べるようにしたら、6割もの生徒がそちらを選んだってニュースも見たような気がしましたが、それも単なる好き嫌い以上に、食べ合わせの問題がありそうですね。
かく言うトゥルー俺は、給食の牛乳は当然のごとく好きであり、星花みたいに好きじゃないって子の分まで飲んでた記憶が鮮明にあるぐらいなのですが、食事と一緒に摂取するというよりは、食べ終わった後にグイイ!と飲むって感じだった気がします。
さて、そんな牛乳嫌いのことで、星花としてはひとつ気になることがあるようで。すなわち、背の問題。そういえば星花は、わりとちっちゃい印象がありますが――
たったの1歳違いだし、
そんな気にすることないって
お姉ちゃん達も言ってくれるし、
気にしてないつもりだけど――
星花――
夕凪ちゃんよりちっちゃいの――
本当はちょっぴり――
気にしてるんだぁ……
……という具体的なコンプレックスも。トゥルー姉妹はわりと身長は年齢順になってるっぽいですけど、高校生ぐらいならさておき、星花ぐらいの年齢で年下に背が負けてしまっているのは、けっこう気になるというのも分かる気はしますね。
まあ、牛乳を飲めば背が伸びるというのは必ずしもイコールではないですし、家での食生活を思えば、栄養のバランスも十分取れていると思うので、無理に「もっと飲め、好きになれ」って言うのはナンセンスですよね。
お兄ちゃん、牛乳以外で
早く大きくなる方法って
知ってますか?
お兄ちゃんは大きいから――
お兄ちゃんの方法なら、
なんだかとっても効きそうな
気がします――♥
……と、地味ながらさりげなくかなりクる台詞をすかさず放ってくれるのがこの星花って子だったり。ううむ、このさりげない絶対的な頼りっぷりと親愛っぷり……! 星花はちっちゃいのが可愛いってイメージがあるので、無理にすぐ大きくならなくても良いよって言うのも良いとは思いますが、それで逆に背が伸びるのにコンプレックスをもたれたりしたらアレですし、これはなかなかに難しいところ。まあ、どういう方法をとるにせよ、スキンシップ多目の方法を選ぶことは確定的に明らかですが!
着物は嫌いだ。
とにかく着るのが
面倒くさいし――
うわ、日記のタイトルの最初の三行だけで、霙姉さんという人を端的に表してしまっておられる今日の日記!
……とまあ、それはそれとして。先日から、なにやら霙姉さんが着物を着ているって話が出てきてまして。それはまあ、本人の好みとか、似合うに合わないとかの話にもなるわけなのですが……もっとこう、根本的に気になる部分があったんですよね。
すなわち。エイプリルフールに、ヒカルを装って霙姉さん自身が言っていたこと。あれは確かに、ウソの日記といえば日記だったのですが、はたして内容までが本当にウソだったのかというと……という疑念があったわけですよ。で、そんなときに、霙姉さんに着物という、外見的には似合いそうながらも本人的にはいかにも厭いそうな組み合わせのお話が。
まったく――
面倒くさいこと
この上ない。
おまけに1人で
服を着るというだけで
特殊技術がいるし。
……ああ、霙姉さんの性格が如実に現れている……。もちろん、ここで必要以上に厭っているのは、単に好みの問題だけではないというのが、後の文まで読めばわかるわけですが、それを差し引いても、この人のものぐさキャラはちょっぴり滲み出ているといわざるをえませんよね。
あろうことか、時事ネタで宇宙飛行士の話まで持ち出すあたりなかなかアレですが、霙姉さんにしてはかなり珍しいことに――「あれで十分なのだ!」と語気を荒げるというのは、やはり尋常な事態ではないと理解すべきです。
……
フン。
生憎だったな?
着物の下にも――
パンツをはいてて。
……あ。い、いや、そ、その……? ……その口ぶりからして、もしやあのとき、トゥルー俺は、自由意志かどうかはさて置くとして、その着物の下を確認するに至った……ということなのでしょうか。立夏がそうならざるをえない状況に巧みに誘導したということでしょうか。それとも、ヤケ気味になっていた霙姉さんが、ある種はらいせ的に見せたとも考えられたり。……いや、たとえはいていようと、そもそもパンツそのものだけで十分すぎるほどの視覚的爆弾なわけなのですが!?
だいたい――
着物を着ると――
帯が苦しいせいで、
いつも――
思う存分に
オヤツを食べることが
できなくなる。
……そんな方向に思わず暴走しそうなトゥルー俺の衝動を、ものの見事に鎮めてくれる霙姉さんの霙姉さん的発言。ああもう、この人ブレなさすぎる。この方向に。
しかしながら、方向性はブレずとも、気持ちそのものはいつになく荒ぶっているというか、苛立っているというか。つねに終末思想と、それに関係しているのかしてないのかは分かりませんが、どこかリラックス……というか、悠々とした態度のこの人にしては、かなり珍しい状態といえるでしょう。
とまあ、その理由としては、やはり……さっきも書いたとおり、前々から予感していたことが関わっていたようで。
もう、着物は着ないぞ。
義理は果たした。
いくら私が次女だからと
言って――
そう簡単に嫁に行くと思ったら
大間違いだ!
……ううむ。やはり何か、お見合いというか、それに準じる何かがあったことは間違いないようですね。
ここで注目すべきなのは、果たして霙姉さんは、そういうお見合い的なことに駆り出されたことが不快なのか、それとも着物を着せられたことそのものを嫌がっているのか。……まあ、この口ぶりからして、どっちも嫌だって思っていそうなのは間違いなさそうですけどね。
それにしても、このお見合い的なこと、エイプリルフールの段階でもう決まっていたことなのか、それともウソから出た真なのか、話そのものは元々あって、出るつもりはなかったけどママあたりに押し切られたことだったりするのか(いかにもママはこういうこと言い出しそう)。なにせ大切な姉妹の一大事ともあって、トゥルー俺としては気にしないわけにはいきません。まあ、本人自身にまったくその気がないという時点で、安心しているといえばしているんですけども。
きょうは――
おひさまピカピカの日!
おひさまピカピカで――
さくらはポカポカ!
さくらとおひさまがポカポカならば、このトゥルー俺はポワワ状態ですよ! ええ、さくらが泣きそうな気配も無く最初からげんげん元気にしてくれていると、俺の心も極めてあたたかな状態になろうというものです。
この言い方からも、トゥルー方面もようやく良い天気になってきたようですね。お外で遊ぶことの多い小さい子にとっては大きなことであり、それはわりと大人しめなさくらにとっても同じでありまして。
ようちえんのおにわで
あそんでいたら――
いっぱいいっぱい、
あせかきこどもに
なっちゃった。
……あせかきこども……。いや、なにやら、色々な意味で印象深い言葉というか、フェチ的な部分と、子供らしい表現でいいなあという部分とが入り混じり、なんともいえぬ味わいが。
そんな汗をたっぷり吸った、ホタのししゅう付きあせふきタオル……い、いやいや。別に反応などは。しかしながら、きちんと体まで拭ききれなかったようで、
あせびしょびしょ。
おからだ、きもちが
わるいから――
……いやまあ。トゥルー俺って、さくらといっしょにお風呂入ったりしてるでしょうし、家でなら、その場でさくらに服を脱がせて吹いてあげることぐらいは、幼児ですし家族ですから当然のようにやっているのでしょうが。……それを理解したうえでも、反応してしまうリアル俺のこの悲しみよ……!
それはさておき、自分でちゃんと水をすくえるとアピールするさくらを、これでもかってほめてあげようかと思っていましたら、「えんふくが、
びしょびしょのすけ――」……いやあ、さくらの語彙は可愛らしいクリエイティブさに満ちてますよね。って、感心してる場合ではないのですが、まあ、今この場での話でもないので良しとしましょう。
お兄ちゃんは、
えんふくびしょびしょで、
ポタポタお水のたれてる子は――
やっぱり――
だっこしてくれない?
うわぁあああああん――
むしろ濡れ濡れ状態のときにこそ抱っこして、ほわほわの体温やら生々しいさくらの体臭やらを感じ取りたいです! ……などと即座に全力で主張するリアル俺はそろそろ本格的に反省すべきときが近づいてきているのかもしれませんが、さくらが喜ぶのであればそれもまた良し。
さむさむさむさむ――
うわ――さむ〜いッ!
今日はまた本当に
寒くって――
お兄ちゃんは
大丈夫?
マジ寒いですin北海道! いやあ、つい先日に暖かいなって日記を書いたところにこの寒さですからね。寒暖の差が激しいのは、単純に寒いだけよりもずっと体に堪えますので、トゥルー俺としては、姉妹の健康がちょっと気がかりなのですが、そこはそれ、それに先んじて真っ先にこちらの心配をしてくれるのが、この子がトゥルー家族のお母さんたるゆえんですね。
……というわけで、こんな寒い日でもその存在だけで心も体もあったかくしてくれそうな、ホタの出番でございます。
とりあえず、うがいはちゃんとしたかとか、コートを着た方が良いとか、まさにお母さんばりの勢いでトゥルー兄のことを心配してくれるホタ。これだけできた妹にひたすら面倒を見てもらうと、あたかも自分が平沢唯にでもなったかのような感覚にも浸れます。
もうすぐゴールデンウィーク
がくるっていうのに――
真冬用のダウンコートが
必要だなんて信じられないです――
いつもだったら、
もうとっくに。
冬物のコートなんて
クリーニングに出して
しまっている頃ですもの――
……とまあ、こんな季節外れの寒さに対する感想も、実に所帯じみたところから入るのがホタクオリティ。いやホント、こんなホタがいるからこその幸せなトゥルー生活であることをしっかりとかみ締める必要がありますね。
こんなこともあろうかとまでは思ってなかったにせよ、まだまだ冬もののコートをしまわずにおいたホタはやっぱり器量よし、ってことなのでしょう。本当、頼りになる子だよなあ。
ホタと春風ちゃんが
お料理に使うお野菜さんたちも
みーんなちっちゃく元気なくて。
おまけにすごく高くなっちゃって――
ホタ、本当に困ってます。
さらには、食料方面においてもこんな所帯めいた感想が。野菜が高いってことはニュースでも散々言われてますから、誰でも話題にはできますけれど、実感がともなっているかとなると、これはなかなかに。
とまあ、色々と困ったことの多い寒さなわけですが。こうした外部的な問題のみならず、トゥルー家族内においても、少々困ったことがひとつおきているようです。……それは。
だって、その上――
お家では。
いつまでたっても――
こたつがしまえないんだもの。
お兄ちゃん、次に暖かい日がきたら――
霙お姉ちゃんを説得してくれませんか?
霙お姉ちゃん、今年はこの寒さのせいか、
なんだかすごく執着してて――
最近こたつに入りっぱなしなんです。
――まさに霙姉さん!
などと思わず外道ベイビーばりに思ってしまいたくなるような、霙姉さんの見事なまでの霙姉さんっぷり。ああ、これはとっても霙姉さんらしすぎる――と言いたい所ではありますが。実は本来なら、いかに霙姉さんとはいえ、これほどまでに極端な霙姉さんのアレらしさが発揮されるっていう状態は珍しいという気もするんですよね。
……まあ。霙姉さんの様子を聞く限り、単に寒さでダメ度が増しているというだけではなく。どこかいじけたような雰囲気もただよっている感じが少々。
それの心当たりについては――まあ、いわずもがな。
あの、着物を着てのイベントについて、実はまだ、そんなに詳しいことは知っていないんですよねトゥルー俺。霙姉さんにとって不快な何かが起きたということだけはハッキリしているわけですが。……霙姉さんもあれでなかなかに難しい人であり(特に、女性としての自分を今ひとつ自覚してくれてないところが)、事態もよくわからないということで、ちょっぴり悩みどころではあります。
どうかしたのかしら?
なにも、あんなにもぐりこまなくても――
……とはいえ、この様子を想像すると、ダメというかアレというか、もはや純粋に和んでしまったりも。
明日はいよいよ“昭和の日”で――
ゴールデンウィークの始まりね?
それと同時に、トゥルー家族との日常交流の全てであるこの日記のお休み時期でもあるわけで、諸手を上げては喜べないのがトゥルー俺の心境ではあるのですが、ユキ先生のイラスト更新などがあったりする場合もありうるので、ちょっぴり期待している次第なのです。いや、大型連休だからといってあるかどうかはワカりませんけど。
もっとも、トゥルー家族たちにとっては素直に喜ばしいイベントであることは間違いなく、それではしゃいでいる姉妹たちの姿を見るのもまたトゥルー俺の幸福であり。
本格連休である土曜日を前に、なにやら予定を話してくれたげなマリーですが……「今年のゴールデンウィークは、イズ」?
イズ?
イズって言ったら、イズよ。
ただのイズ。
やだフェルゼンたら、
もう大きいのにそんなことも知らないの?
…………ッ!!(←ビクンビクンビクン!と体を震わせました)
よ、幼稚園児に、「もう大きいのに」とか、子ども扱いを受けるこの恥辱……ッ! しかもその言葉が他ならぬマリーから放たれているのだから、これはもう、体が反応せざるを得ません。M的な意味で。なんという悪女的資質の持ち主……! ああ、このマリーには本当、心の底から弄ばれたい気持ちを掻き立てられてしまいます。
……などと、どこか変態的な喜びに打ち震えていましたら、
いいわ。
ちょっと耳かして――ほら。
……
――ふぅっ♥
……
なんて――きゃーっ、
うふふふふっ♥♥♥
やだ、そんなに気持ちよかった?
――具体的な刺激まで与えてくれましたですよ!? ち、ちちち、ちょっとマリーさん。幼稚園児の領域を超えすぎては……って、いやいやいや。耳にふーするだけなら、それこそ幼稚園児に相応しいいたずらとも言えるのですが。ただ、そんな他愛のないいたずらが、この真璃って女の子に行われるというだけで、俺たちのような人種の人間にとっては、「ご褒美」以外の何物とも呼べないような甘美な属性を帯びてしまうというこの事実に打ち震えざるを得ません。あ、あ、あ……!(←物欲しそうな表情で)
さらに「感じやすいのね、フェルゼンたら!」なんて言葉をかけられたら、それこそ言葉だけで絶頂しかねないところがあり、いよいよトゥルー兄としての危険領域に本気で足を踏み入れかねないところ。「ビ・ン・カ・ン」とか、いや本当、それ以上はマリーさんあぶない。
さあ、今日も一緒に遊びましょ♥
フェルゼンはどんな遊びが好きかしら?
マリーはにぶちんは大嫌いだけど、
かわいい敏感なフェルゼンになら、
親切にしてあげてもよくってよ?
……と、色々な意味でギリギリだったところに、女王様的ながらも和ませる言葉で落ち着かせてくれるマリー。ああ、実に心得ておられる。「よくってよ」発言で犬のように素直に喜ぶトゥルー俺を客観的に見る限り、もう手遅れという気もしないではないですが。世界一ゴージャスなマリーのご褒美、期待しています!
ウフフッ――あ、そうだ。
イズに行っても毎日楽しく遊びましょうね?
マリーは温泉が楽しみだわ、伊豆の――♥♥♥
……と、最後に唐突に、「イズ」の正体明かしをしてくれました。ええ、日記ならではのトリックということで。話し言葉だと通じても、文字だと分かりにくいという。
さて、今年のGWはプチ遠出ということで、伊豆旅行のようですね。夏休みにはけっこう遠くへ、GWや春休みにはわりと近場にっていうのが定番となりつつありますが――。
――ふむ。温泉――
そういうわけで――
明日から!
我が家は春の
プチ伊豆旅行に
出発よ?
準備はいーい?
みんなの――
”お兄ちゃん”!!
ウフフフッ――♥
「みんなのお兄ちゃん」!! ああ、何百回と聞こうとも、まったくその響きの新鮮な喜びが薄れない! 海晴姉さんはいつもこうして、トゥルー俺のことを「お兄ちゃん」として焚きつけてくれますが、それは年上にからかわれる甘さでもあり、家族としての愛情でもありと、多重の意味での喜びがあるんだなあと改めてその幸福っぷりを噛み締める次第です。
さて、今年のGWは、マリーから教えてもらったとおりの伊豆旅行! プチとつけるあたりが今風というか、海晴姉さんのちょっとした茶目っ気――こういうところがちょっと年長さんだなあ、と思わせないでもなく――を感じさせますね。……い、いや、これは極めて率直な意見であり!
それを目前にして、海晴姉さんからは早くも荷物もちの苦労をねぎらわれましたが、確かにここんちだと、人数が人数なだけに、並大抵の労力では済まなそうですよね。伊豆は近場だからといっても、そのへんはさほど変わらないような気も。
とはいえトゥルー俺にとって、一番重くて大事なものといったら、
やっぱり――
お出かけってなると
チビちゃんたちはどうしても
はしゃいじゃって――
最後には。
”お兄ちゃん”の
腕に抱かれて夢の中――
に、なっちゃいがちなのよね。
やっぱりキミが担がなきゃいけない
1番の”荷物”は――
私達姉妹みたいね?
……と、海晴姉さんには先んじて言われてしまいましたが、もちろんこの大事な姉妹達なわけでして。……なるほど、旅行中、他に荷物もある中では、たとえあさひや青空ぐらいだろうと、抱っこやおんぶも大変でありましょう。しかしながら、その大変さを遥かに凌ぐ幸福があることは言うまでもなく。
ところで、姉妹の中では、だいたいどのぐらいの子までトゥルー俺のおんぶだっこのお世話になるのでしょうね。園児組までは問答無用として、体も弱くてまだ一年生のユキも含まれそう。吹雪は眩暈してしまうでしょうから、意識のあるうちはダメっぽそう。ボーダーラインは夕凪さんあたりからか。……夕凪さん、抱っこして欲しいかと問われたら喜び勇んでダイブしてきそうだよなあ。そして個人的には、照れて遠慮しそうな星花や小雨あたりをおんぶしてあげたいところです。麗は……本人が嫌がらない、少なくとも内心で求めていそうならば是非とも。中学生以上は――その、背中に当たる感触がトゥルー俺にとって爆弾に等しいので、不足の事態でもない限りは。氷柱あたりなら大丈夫かもですが……ってなんでもありません。
……などと、姉妹へのおんぶだっこについて甘美な妄想に浸り続けたいところではありますが。
ちょっぴり数が多いけど――
その分。
私達はいつも。
世界で1番の愛情で――
キミのことを思っているから。
この旅行中も、そんな気持ちが――
伝わると良いな♥
なんだかんだで締め役の多い海晴姉さんに相応しい、とても嬉しい言葉を送ってくれるのでした。これに付随する筋肉痛であれば、むしろ買ってでも得たいわけで。
幸いな事にトゥルー方面のGWは実にお天気も良さそうで、お天気お姉さんとしての立場抜きに安心してる海晴姉さん。……あるいは、この人を抱っこするというのも、トゥルー下克上というか、なんというか……たまらんものがありますですよ。
などという妄想はさておき――
5月の紫外線は怖いけど――
きっとキミと一緒なら、
私もついハシャいで――
お日さまにいっぱい
当たってしまいそうよ――♥
……なんか、わりといっつもはしゃいでいるイメージのある海晴姉さんではありますが。長女として、社会人としての重荷が少しでも癒される旅行になることを祈るばかりです。……あ、あと、紫外線にはお気をつけて年齢的に――と直接口を出さないようにするのが旅行中のトゥルー課題ってことで。
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