やれやれ。
月日の経つのは早いもので、
今年ももう師走じゃのう――。
師走に突入し、トゥルー日記もクリスマスカラーに! そんな12月1日の日記を書くのは、色的にはこのカラーにマッチする観月であります。
……いや、最近本当に、月日が経つのは早いと思えてならないわけですが、どうあれ今年残るはあと1年。悔い無きトゥルー生活を過ごしていきたいものです。
とりあえず、今年一年どうだったかを問う観月の質問に対しては、なんだかんだでこのトゥルー家族との生活が(また)一年続いたということが一番大きかったと答えたいなと。
かく言う観月的には、「穏やかな一年」だったと感じられるようで。……まあ、トゥルー内部においても、氷柱の騒動を初め、色々とあったことはありましたが、確かにこの人数を考えれば、穏やかといえる一年だったと言えるでしょうね。
しかしながら、そんな一年の穏やかさの原因は、このトゥルー俺がいたからではないか、と指摘する観月。性格などはさて置くとしても、存在自体がこの女の子ばかりの家において様々な意味で起爆剤ともなりうるトゥルー俺でありますからして、はたしてそれはどうかとも思ったりしたのですが――
なかなか意外なことであったのう――
わらわと似ている
兄じゃのオーラは
魔物を引き寄せるものとばかり――
思っておったのじゃが。
くすくすくす――
どうも――めったな
大物以外は遠ざける
効果があるようじゃ。
……なんか、わりとゴイスーな効果が水面下ではあったようです。いやまあ、別段そういうのを寄せ付ける体質だったとも思ってはいないわけですが。大物以外は、というのは、キュウビとかそういうレベルのものだったりするのかな、と多少気になりますが、もっと気になることとしては――「観月と兄のオーラは似ている」すなわち、「観月のオーラは魔物を引き寄せる」というあたり。まあ、兄妹ですし、観月の体質も考えてみれば当然の流れではあるのかもしれませんが……とまあ、そのあたりのことは今は置いておくとして。
わらわにはこんなにも
心地よいオーラで
あるのじゃが。
コレを嫌う魔物がおるとは!
きっとさぞかしアホな
魔物なんであろうのぅ――
……なんというか、色々な意味でありがたいお言葉が。観月のいう「魔物」っていうのは、なんというか……ガッチガチの魔物そのものというよりも、物事の本質に流れるケというか何と言うか、そういう概念的な意味を多分に含んでいるという気がするのですが、そういう解釈で見ても、どうやらトゥルー俺の存在が、この家の気配を良い方向に向かわせていると考えてもいいのでしょうね。観月の「日々の世間の風は厳しくとも……」という表現が、それを端的に表していると思います。
兄じゃ――
ちょっと背中に
寄せてたも♥
オーラにあたって――
温まりたいのじゃ♥♥♥
そんなわけで、今日もこんな風に、心地よいオーラ放ちまくりのスキンシップ過多なぬくぬくトゥルーライフを満喫であります。観月はなんだかんだで、姉妹の中でもかなりこうして直接スキンシップを求める方ですよね。
12月に入ると――
ただもう、それだけで。
みんなの中になんとなく――
笑顔が増えて、
家の中のあちこちに
その笑顔がこぼれています。
クリスマスとホタという組合せには、どことなく「聖母」みたいなイメージが重なるのですが俺だけでしょうか。いや、普段から母性大盛りな女の子ではあるのですが、こと聖なる夜との組合せとなると。ホタのイメージって、ほわほわふんわりって雰囲気なので、なんとなくクリスマスが似合うって感じもするんですよね。
……とまあそんな個人的な印象はさておき、例年通り、12月に入ってトゥルー家の様子もすっかりクリスマス一色になってきたようです。ちっちゃな子たちの様子に「ウフフフ♥」とはにかむホタからは、やはり溢れんばかりの優しい母性が感じられます。
それにホタにとっては、クリスマスとは単純に楽しみなだけのイベントではないんですよね。ええ、クリスマスの料理を作らなければならないわけで。本人的にはむしろそれこそ楽しみ要素なんでしょうけれども、やはり責任も労力も大きいですから、頭が上がらない話です。
とはいえ、そんな心配よりも先に、クリスマスのことばかりしか頭にない小さい子たちの知恵熱を心配するぐらいですからね。料理の大変さというのを微塵も感じさせないあたり、この子の器の大きさが伺えると言うものです。……ちなみに、知恵熱というのは俗説だと清澄麻雀部の部長から教わりましたつい先日。
あ!
でも――
心配といえば、
今年のクリスマスのメニューも
ホタはとーっても心配。
さて、そんなホタでも、料理そのものの労力はさておき、どんな献立にするかというのは、やはり悩みの種な様子。
この口ぶりだと、クリスマスらしいサイドメニューは一通り全部作るって雰囲気であり(今日覚えた知識 - エッグノッグ - Wikipedia)、その時点でもう凄いなと感心してしまうわけですが。メインディッシュを何にするかというのが悩みどころとのこと。……なんか、その組み合わせも用は「肉」と「イモ」なわけですが、言われてみればどれも確かに美味そうであり、一つと決めるのは困難な気も。肉はさておき、ポテトに関しては一通り用意してしまっても……って意見は、ホタの労力を考慮してないダメなお兄ちゃんの意見でしょうか。
ホタの今の一番の悩みです……
あの、ホタってこういうの1度悩み出すと
なかなか決められなくて――
……こういうところは、なんというか、歳相応っていうのとは違うんでしょうけれど、ホタのいかにも「女の子」って部分が良く出ているなあと。一度悩んじゃったら、なかなか一人では解決できないという。そんなところでは、きちんと妹っぽい保護欲をそそられてしまうのですから、本当あらゆる面でゴージャスな子ですよね。
だから――
お兄ちゃんがズバッと
決めてくれたら嬉しいんだけどな♥
お兄ちゃん――お願い!
お兄ちゃんの好きなように、
ホタにズバッと――
決めてやってください♥♥♥
ホタにズバッと!? ホタズバ!? ……いや、とりたててどうという組み合わせの単語ではないのですが、どこか、なんというか、心に残る響きです。ホタにキメてあげる……あ、この組合せだと妄想も色々と。
それはさておき、こんな風にしっかりナチュラルにお兄ちゃんを頼る妹って部分が出てくるのがホタって女の子なんですよね。完璧じゃあないですかもう。
ねぇ、フェルゼン。
ここだけの話だけど――。
おモチって――
本当に、おいしい、
わよね!
ウフフッ♥
マリーにとってオモチなどの話題は「ここだけの話」扱いになるというこの事実! ……いやまあ、すぐに本人が「ほら、なにしろマリー・アントワネットの生まれ変わりだし」と、その言葉だけで全て理解できる理由を述べておられるわけですが。
さらに本人が言う様に、マリーはクグロフに代表される洋スイーツを好むという印象はもちろんあるわけなのですが、これまた本人が述べたとおり――
大きな声じゃ言えないけど――
もっちろん!
たい焼きもおしるこも、
きなこもちも――大好きなのよ♥
……と、そういう和というか比較的庶民的なものも、洋菓子と同じぐらいに似合うというイメージがありますよね。今までこの二年間の日記などを読んできた中で。
実際、マリーって色々すごい子なんですけど、その一方で、姉妹の中でもトップクラスに地に足が付いた生々しい子供、って感じのところがあるというか。幼稚園での話題が多いこともそうですし、こうした食べ物の好みに関しても、本当にごく身近な生活感溢れるものをきちんと好むというところがあると思うのです。
このことは、マリーという子の特徴そのものをも端的に表してますよね。なんというか、一見貴族的に見せかけて、わりと庶民的なところもあって、しかしながらその庶民的なところがあるからこそ、本質的に高貴なところもハッキリと見て取れると言うか。
12月になると、
いつのまにか
お家に姿をあらわしてくる
おモチって――
本当にかわいいヤツっていうか
なんていうか――
おいしいわよね?
……うん。これぞマリー。素直で可愛らしくもあり、非常に精神的貴族といった風なものの見方が本質にながれているなとも思えたり。
まあ、そんな真璃の特徴がどういうものであろうとも、白いモチをフニャフニャモチモチしている姿が実に愛くるしいことには何も変わらないわけですが。
さて、そんなマリーのイメージを形成するのに一役買っているのが、やはり、和風も多めなトゥルー家族のお料理。どっちかといえば和=ホタって印象もありますが、マリーが好むシンプルおやつのお雑煮は、春風さんの手によるものなのだとか。結局ふたりとも、どっちもイケるんでしょうね。
ともあれそんな大好きなお雑煮を、年末の慌しくも楽しい中、小さい子たちで食べることの楽しさを語ってくれるマリーさん。こういう表現の仕方は本当に大人びてるっていうか、小さい子たちの中で一番のお姉ちゃんって面が良く出ているなと思うのです。
そんなマリーたちの嗜む喜びを、トゥルー兄にも分けてくれようとのことなのですが――
でも、マリーがお雑煮が大好きだってことは、
マリーとフェルゼンだけの内緒の話よ?
もし誰かに言ったら――
ダントウダイのツユになりはてるんだから!!
……うん。マリーアントワネットの申し子が断頭台で脅しをかけるというその構図についてはもうとやかく言うつもりもありませんが。でも多分、今知ったトゥルー兄が改めて漏らすまでもなく、家族の間では周知の事実となっているのだろうなあ、とほのぼの思った次第です。
今日の春風は――
クリスマスツリーの
飾り付けの準備をしていて、
ふぅ――
もう、ほこりだらけ!
春風さん今日も家事仕事お疲れ様です! まあ、こういう料理以外のことについては、家族ほぼ総出で行ってはいるんでしょうけれど、日ごろのお料理などがある分、やはり彼女やホタへの負担というのは非常に大きいでしょうね。
そんなわけで、そんな春風さんがお料理以外でも大仕事で大変そうにしているのを見ると、手を差し伸べなくていいのか的衝動に駆られて仕方ありません。
今春風さんがやってたのは、ツリーとオーメントを出す仕事だったようですが、本人自身大変だったと言ってるあたり、ああ、そういう力仕事こそ、トゥルー俺とか某次女の人とかに頼めばいいのになあと思わずにはいられません。いやまあ、何か別の仕事をしていたのかもですが。
とはいえ、このツリーの輝く様を想像して幸せそうにしている春風さんの顔を見ると、そこに何か言うことなんてそうそうできませんよね。明日明後日、みんなで飾り付けするときの楽しみのために、春風さんが頑張ってくれた。それを覚えていることこそが大事です。
しかし確かに、ツリーの飾りつけなんて、小さい子たちがおおはしゃぎしそうなお仕事ですよね。ちなみに、そんな楽しいお仕事の一番重要な締めくくりとして――一番上の星はあさひさんがつけるのだとか。……ああ、春風さんまであさひがそれを食べるんじゃないかと心配しておられる! ここ最近で、YASEI度がハンパないことになってきているあさひさんですから、大いに心配なところ。
さて、クリスマス当日には、姉妹+トゥルー俺のプレゼント、合計20個が、このツリーの周りに並べられると言う風になるようです。それの仕分けまで春風さんの仕事なんですね。ううむ、こういう責任のあることは、やはり年長のお姉さんでないとってことですよね。ちなみに、「毎年――こっそり希望を聞きながら」とあるのは、多少の便宜はきくってことなのでしょう。なかなかに難しそうな気がしますが、
春風はなんだか、そんな12月の日々が
とっても楽しくて♥
みんなに贈り物をあげられる春風の方こそ――
1番幸せ者かしら って思います。
……ああ、春風さんもまた聖母の一人。さすがにトゥルー姉妹の三女ともなると、このぐらいの慈母オーラは身に付いてしまうのでしょうね。
さて……そんな慈母的なオーラを振りまきつつも、それだけでは終わらないのが俺たちの春風さん。
王子様は――
クリスマスプレゼントには
今年は何が欲しいですか?
春風サンタの精一杯を込めて――
なんでも願いを叶えてあげたい!
……はい。唐突にノリノリになって参りました。いやまあ、ここだけを見れば、春風サンタだなんてお茶目で可愛いなって範囲の話ではあるのですが。
本当は――もし、
「クリスマスには春風が欲しいよ」
なんて言われたら――
……
――きゅぅぅぅぅぅんっ♥♥♥♥♥
春風、天国に行ってしまうかも知れません♥
――クリスマス前に吹き抜ける、一陣の猛烈な春風――! いつものことではありながら、これで締められると、なんともむずかゆいような幸福感と、「ああ春風さんだなあ」的安心感とが同時に心に去来いたします。
だから――ね。
いいこと、おもいついたの!
サンタクロースさんも、
にじこたちのお家にきて
いっしょに住んだら
いいとおもうの!
ね?
すっごい、いいかんがえ♥♥♥
去年のさくらに続き、今年は虹子がなにやらとんでもないことを! ……いや、そんな願いを抱く気持ちの優しさは、家族としてたまらぬほど愛しいのですが、しかしここんちの子はクリスマスに途方もないお願い事をする傾向がありますね。さすがはトゥルー家。
それはさておき、今日の日記の書き出しそのものがもうサンタへの手紙になってるあたり、ここはもう、島本先生のお言葉を思い出さないわけには行きませんね。「サンタはトナカイとふたりぼっち」――この賑やかな家に生まれた子だからこそ、それが心に響くんですね。
さりげに麗が虹子にご本を読んであげているというのもいい絵だなあ。麗って結構、他の姉妹のお遊びに付き合ってあげている感じがありますよね。これはきっと逆もまた然りなのでしょうけど。鉄道関係で。ともあれ、そんなおかげで「にじ、ものしりさん♥」……と。……ふああ。(可愛すぎて頬が溶けまして候)
ともあれ、そんな虹子の優しい心に、トゥルー兄も感銘を覚えずにはいられませんが――
そしたら――
にじこに、
サンタさんがもってる
いーっぱいのプレゼント
ぜーんぶ見せてくれる?
にじこ、たくさんたくさんの
クリスマスプレゼントみてみたい!
それで、サンタさんの
おてつだいするの!
……さりげにとんでもないことも言っておられますね。これってもしかして、「ツリーの周りにプレゼントを並べて」っていうのが伏線に? ともあれ、今年のトゥルー俺は、どうやらサンタの覚悟を据える必要がありそうです。
昨日から――
なんか少し。
喉が痛いかも。
だから――
……
日記は
もうこれで
やめとく。
………………まさか。
……いや、この時点でそうだと断ずるにはまだ早いわけですが……これだけ世間で猛威を振るっている以上、この場合は、最悪のケースを想定しておくべきではないでしょうか。すなわち……ええ、新型の何か。
麗の小学校は、他の子たちとは別のところですからね。そちらの学校で流行具合がどんな感じになっているかは分かりませんが、少なくとも家族のほかの子たちとは別の感染経路を持っているということだけは事実なわけで。……いや、本当、そうでなければと願わずにはいられません。えらいこっちゃですよ本当に。
しかしながら、当の麗はこちらの意図を遮るかのごとく、緘口令的なものを発動させております。……事情はどうあれ、日記が短かったという点のみでもう海晴姉さんに目を付けられる可能性が大なわけで、果たして効果があるかどうかはさて置くとして――そんな微妙に赤信号な体調なのに、
明日は渋谷に行く日。
だれがなんて
言ったって――
絶対に行くんだから。
……と、執念モードを発動させておられますよ。明日に渋谷と言われても、ちょっと心当たりは無いのですが、鉄道関係で何かあるのでしょうか。それとも、昨日の虹子のサンタ話に関して何かが? ちょうど、虹子に本を読んであげてたのも麗ですしね。
とまあ、麗にとって大事なことだというのは間違いないと分かるので、気持ちはできることなら汲んで上げたいわけですが――って!?
おでこだって
熱くないでしょ?
ほら――
……この「ほら――」が、ただ単に手をおでこに乗っけさせられたのか。それとも、おでことおでこをくっ付けられたのか。麗の性格や、そもそもの身長差を考えれば、たぶん前者だろうとは思うのですが……それにしたって、トゥルー兄ドキドキものの行為ですよ。体調が悪いおかげで、セーフティが緩くなってる? ……いや、実際のところ麗って、言葉はキツくとも、肉体的なセーフティはトゥルー俺に対して相当緩そうですけどね。口調とは裏腹に、もうすっかり対家族モードが馴染んでしまってますから。それもかなり早い時期から。
とまあ、そんなスウィーティな話にかまけてる場合ではありません。とにかく、これがただの風邪気味というだけならばいいのですが――
学校でまたぽつぽつ、
インフルエンザが
出てるなんていう話、
きっと――
ただの噂よ――
……なんかフラグ立てちゃってますよこの子は! ああもう、いかにベッタベタな展開がトゥルー家の基本とはいえ! このベタベタだけは外れて欲しいところです。
たしかに――
私は思っていたのです。
あれは――12月5日、
土曜日の夜。
春風姉の誕生日を祝う
パーティーをしていた
時のことです。
……そう言って、吹雪は静かにそのときのことを語り始めた……と、思わず小説のような入り方をしてしまいましたが、何について語っているかといえば、それはもう言うまでも無く――昨日の。心配でなりませんが、もはやこうなってしまった以上は、その状況に適切に対処するしかできることはありませんからね。
とりあえずここは落ち着いて、吹雪の語るお話に耳を傾けるべきかと。
5日は春風さんの誕生日でした。スルーしていたわけではないんですけど、どうも19人もいるので、姉妹の誕生日は日記上ではあっさりと流されがちですよね。
そのときすでに、麗の様子には異常があったようで……。ちょうど4日前ですか。一般的な潜伏期間の範囲内なのがなんとも嫌な感じですが、やはり素直にそれを認めてはいなかったようで。自ら刺したロウソクの数すら分からない状態って……うむむむ。
「私は吹雪ちゃんと違うからそんなの一目じゃわからない」なんて無茶を言うのはいかにも麗らしいですが……
ふと触れた麗姉の手が――
チリリと。
まるであさひの手が
触れたときのように
痛く感じられたのはやはり――
私の錯覚ではなかったのです。
あさひさんのごとき熱量が! ……いやまあ、あさひに限らず、小さい子の体温は高いものなんでしょうが、対する麗は普段は低体温体質と、吹雪とは相性が良さそうな感じ。
……確かに。この時点で吹雪が気付いていれば、という氷柱の思いはもっともですが、さすがにそれを言っても仕方ないですよね。言っても麗が素直に聞いたかどうか怪しいところがありますし、吹雪自身がその熱のあおりでクラリと来てしまうわけで。
まあ、そのあたりはいずれにせよ仮説の話と、綺麗に収めますが……麗の体調はそうも行きませんね。
はい、もちろん――
麗姉は今日は1日
部屋で寝ています。
発熱は現在摂氏38.7度。
渋谷へなどいけません。
……この発熱は……! まあ、まだ決まったわけではありませんが、いずれにせよこんな熱がある時点で部屋で寝ているべきではありますね。もちろん、同室の立夏や小雨は別の部屋で過ごした方がいいでしょう。かわいそうではありますが……。
検査は明日だそうですが、
キミも――
うつらないように
気をつけた方が良いです。
もう――遅いでしょうか?
ノロウイルスの可能性をも示唆しつつ、あくまで現実的な見方の吹雪。この状況においては当然といえば当然ですが……「もう遅いかも」というのもまた事実。トゥルー俺などがかかるならまだいいのですが、小さい子たちや綿雪が……。最悪の事態だけは避けたいところです。
バカ!
アホ!
ヘタレ!
マヌケ!
この――
下僕アタマ!!!!!!
あっ、あっ、あっ、あっ。
……いきなりのフルスロットル、ありがとうございましたありがとうございました。ああ……氷柱の罵倒というのはどうしてこうもニンマリとしながら受け入れられるのでしょうか。理想的すぎるんですけど。その理由については、概ね察しがついておりまして、氷柱という子の内面そのものの在り方によるものなのですが、それを深く語るとそれこそキリがないのでまたの機会に……って、それどころじゃありませんよ!
いや、いくら氷柱だって、何の理由もなしにこんな罵倒する子ではないわけでして、それはすなわち、麗の体調に関わることに違いないとは話の流れで理解できるのですが……ともかくともかく。
「ダメよ、ダメダメ!! ダメに決まってるでしょ?」と、否定の仕方までニンマリしてしまいそうな氷柱の激情っぷりなわけですが、何がダメなのかと言うと――
発病直前――
うぅん、もうほとんど
カンペキに発病してた
麗ちゃんと――
おでこくっつけ合ったりしたような輩は、
ユキの部屋には
ぜーったいっ!!
進入禁止よ!!!!!!!
……ああ、なるほど……って、やっぱ昨日のアレ、おでこtoおでこだったんですか! 熱で気が緩んでいたのか、それとも素なのか、いずれにせよ嬉しい行為だったことは間違いないのですが……その喜びには大きな代償が。
っていうか、この口ぶりだと、やはりインフルは確定ですね。……ああ、覚悟していたとはいえ、なんということ。そして、そこからの心配が真っ先にユキへと向かうのは氷柱でなくとも当然といえば当然でありまして。
あー、でもただ、おでことおでこによる感染リスクまでは想定していなかったので、これはちょっぴり誤算と言うか。……まあ、同じ家に暮らしてたわけですから、トゥルー俺に限った話でもない気がするのですが……とまあ、それはひとまず置いとくとして。
それにわかってると
思うけど、もちろん
チビたちとも接触禁止。
これもまあ、やむなしといえばやむなしですね。いや、麗のおでこ接触がそこまでリスキーかどうかはちょっとよく分からないのですが。それこそもっと粘液交換まで含まれる接触であればそのぐらいの反応もありとは思いますが……っていやいやいや。
まあ、少なくとも感染の確定してしまった麗が快癒するまでは、家族内とはいえ、リスクの高い子たちに接触する人数は少なくするに越したことはないでしょうね。麗の面倒をみる係と、小さい子たちの面倒を見る係とをハッキリ分けてしまうぐらいは必要でしょう。
そんなこんなで、とりあえずは氷柱の口からハッキリと、「麗ちゃんはバッチリA型確定よ」の一言が。……まあ、これは避け得ないといえば避け得ないことですからね。19人もいれば。
とりあえずは、命が惜しくば小さい子及びユキには近づくなとの氷柱からのご厳命が。麗が寝てる離れというのは、真璃の水ぼうそうのときの部屋でしょうかね。かわいそうですし具合も気がかりですが、じっくり治してもらうしかないでしょう。クリスマスやお正月の真っ最中にかからなかったのが不幸中の幸いでしょうか。クリスマスまであと二週間ってことで、順調であればちょうど快癒しそうな時期ですし。
さて、残る小さい子やユキの面倒は、ここぞとばかりに氷柱が見てあげることになるのかな……と思っていたら、なにやら麗のために渋谷へ行ったおかげで、トゥルー俺と同じ扱いに。……これってどういうことなんでしょうね。その麗の頼みごとのために、おでこtoおでこに順ずる接触があったということでしょうか。いずれにせよ、何が渋谷で行われたのかも含めてよく分からないので、そのへんは明日にでも話がでればなあと。
ともあれこれで、氷柱もユキに接触できない身の上に。……それのことを覚悟で麗の頼みごとを引き受けた、って気がしますね。氷柱って子は、そういう向こう見ずなぐらい人の良いところがありそうですし。氷柱の優しさは色々な意味で尖っていますが、姉妹の誰にも負けない大きさであることはトゥルー俺ならば誰もがご存知の通り。とはいえ、その鬱憤は当然とばかりに――
それもこれも――
……
あなたのせいよっ!
バカッ!!!
トゥルー俺へと向かうわけですが。麗のお願いごととも関係しているのかも知れませんけどね。
……しかしながら、この状況。「あなたが接触できるのは、私より年上の子だけ」……ふむ。ふむふむふむ。……なんとなくですが、トゥルー俺がユキとばかりひっついていて、氷柱がなんだかモヤっとした気分になってしまったことを思い出しました。あれはユキを取られたという以上に、トゥルー俺がユキにばかりかまって……という風なところがあったという気がするんですよ。すごく。これで案外、トゥルー俺との接触が好きな子ですからね。言葉の上ではさておき。
……なんだか、これからしばらくの間、氷柱と過ごす時間が長くなりそうな気がしますね。普段小さい子たちと遊んでいる時間の分が回ってくる、というだけではなく。
うわ――ん!!
お兄ちゃんが――
お兄ちゃんが――
……
いないよぉ〜〜〜!!!!
やたら日記のタイトルが長いと思ったら夕凪さんでした! しかものっけから全力で泣いておられる! ……この子はなんであれ喜怒哀楽が超激しいタイプではありますが、それを考慮してもなお、「うわーん」泣きをされてるのを見るのはトゥルー俺的に……グギギギギ! まあ仕方ないのですが。
この反応を見る限り、昨日氷柱の言ってた隔離は、相当徹底して行われているみたいですね。うーむ、トゥルー俺の日々を生きる糧の半分以上は、姉妹の幼児組から得ているわけでして、これは精神的にも死活問題。とはいえ、こうして日記で夕凪さんのピュアな愛情を感じられるので、それはそれでという側面も。
とりあえず、隔離期間は5日間と、インフルエンザの潜伏期間まではこの状態に。ああ、土日を挟んでいるとはいえ、やはり悪夢じみた状況。
そーだ。
きっと夕凪は今、
夢の世界にいるんだ!!
うわ――、
それって、
すっごい悪夢!!
えいえい!
夕凪のバカ、
ほっぺた叩いて、
目が覚めろっ!
ばしばしっ!
……
うわぁ―――ん!!!!
痛いよぉ〜っ。
……夕凪さんがあまりにもアフォ可愛すぎて、悪夢は悪夢でも、それなりに悶絶しそうな幸せは享受しておりますが。ああもうこの子、姉妹の中で一番ピュアなんじゃなかろうか。本当の意味で。
さて、この麗の大変な状況の中、「お兄ちゃんにしばらく会えない夕凪たちもすっごいかわいそうだよね?」と言ってのける夕凪さんは、これはこれでやはりピュアだなあと。別に麗のことを心配してないわけじゃないですしね。自分の感情にも素直というだけで。
とまあ、そんな状況なりの対応を考えられる力強さがあるのも夕凪さんの美点のひとつ。さっそく、この日記を通じてラブのマホウをお届けに。
おーいっ、お兄ちゃあ――ん!!
夕凪はお兄ちゃんのことが大好きでーすっ♥
5日間の間に夕凪のこと、
忘れちゃダメだよぉ〜〜〜!
……い、いや。この今日のマホウは、なにげに相当強力というか……! キました。クラリと。夕凪さんのこのピュアさは、本当にマホウの領域ですよ。
できた!
えへへ♥
これ――
さくらからの
おみまいのお花なの。
日記冒頭からなにやらおうたを歌うかのように行っていたのは、麗へのお見舞いの品でありましたか! その様子を見ているだけでも幸福すぎるというのに、こんな優しさまで見せ付けられた日には、月曜日から幸福な気分にならざるを得ません!
作っていたのはどうやら、折り紙でできたチューリップのご様子。さくらってこういうのは多分好きなんだろうなあ……って印象なのですが、「さくら、折り紙上手じゃないけど、これだけはできるの」とのこと。なるほど、不器用だけど、一つ得意なものはしっかり身に付けているっていうのは、なんだか好感が持てていいなあ。
とにかく、こんなさくらの優しい心遣いを目の当たりにしたら、そりゃあインフルエンザに苦しむ身であろうとも、きっと心が温まって体調もいい具合に向かうに違いありません。「2人ともよろこんでくれるかな?」って言ってますが、もちろん2人とも喜ぶどころか一気に元気に…………ん?
だって、さくらはちびっこで――
おびょうきのお姉ちゃんたちに
会えないから――
せめて、お花を
あげたいの。
………………………………「たち」?
1番最初に
ひどいお風邪になっちゃった、
麗お姉ちゃんと――
その次にお病気になっちゃった
氷柱お姉ちゃんに。
氷柱まで感染とか!
ち、ちょ! 確かに先の日記で、最後のオチ的に「自分もリスクがあるので隔離」って言ってましたけど、まさか本当に発症するとかどんだけ! いや、さすがにコレはビックリです。心配しなきゃならないのに、それ以前にまず唖然。氷柱のオチ担当的な気質の筋金入りっぷりに。
いやはやしかし……まあ、こうやって家族間で感染してしまうことこそがインフルエンザ最大の恐ろしさなわけですし、氷柱本人が怒鳴りたててまで言ってた、小さい子たちからの隔離というのも、実に適切な処置だったということが実証されてしまいました。本当、「まあいいか」で済まさないで良かったと認識すべきでしょうね。
しかしながら、やはりインフルエンザ恐るべし。……実のところ、氷柱が当日渋谷で何をしてきたのか、いまだに良く分からないのですが、恐らくは麗と感染経路は同じ……ってことでいいんでしょうか。ちょっとまだそのへん不透明です。いずれ麗本人が回復したころに教えてくれるといいなあって思います。
さて、これ以上感染者が出ないことを願うばかりですが……もう一人の感染容疑者であったトゥルー俺は、指し当たって麗とのおでこtoおでこの日から、潜伏期間は過ぎてしまってますから、とりあえず大丈夫……ってことでいいんでしょうか。た、多分。
もし更に感染者が出てしまえば、麗と氷柱と同じく、離れに隔離ということになってしまうわけで。まあ、2人以上居れば、隔離されている寂しさも和らぐので、それは幸いといえば幸いかもですが。……それにしても、よりにもよって氷柱と麗という、ツンツン系の組み合わせっていうのは、どういう運命の悪戯なんでしょうね。
ともあれ、健康を保っていられた家族に出来ることといえば、感染らないように配慮しつつの看病と、あとは祈ったり、こうしてさくらのように心を込めたモノなどを送ってあげたりすることぐらいなわけで。そこはまず、さくらを見習おうかと。……なんだか、トゥルー俺の分まで作ってくれようとしてくれていますが……
お兄ちゃんは――
お病気、ならないよね?
…………た、多分! 麗経由からの潜伏期間は過ぎてますが、氷柱から……という可能性もあるので、絶対とは言えませんが!
誰も――
読む当てのない日記を。
こうして――
書いている。
……なにやら、やたらと意味深というか……非常事態の予感がプンプンする今日の日記の書き出しですが、それを書くのは霙姉さん。いつもの終末的な文章にしては、やたらと具体的であり、そのあたりからもただならぬ雰囲気が漂いまくっているわけですが。
いや、この日記は、姉妹みんながトゥルー俺のために書いてくれている交換日記であるということは、トゥルーの当初に立ち返るまでもなく周知の事実でありまして。ときおり日記なのに現在進行形で文章が進んでいたり、時空を越えているとしか思えない内容になっていることもありますが、まあそれでも、基本的には日記というアナログ形式のものであることは間違いないわけですよね。
その日記を、誰も読む当てが無いというのは……?
霙姉さんが言うには、今この日記は、「本来の日記の状態に戻った」とのことなのですが……むむ? まあ、そのように疑問は尽きないわけですが……要は。
今頃――オマエは夢の中だろうか?
麗由来の――
それとも、
氷柱由来の――?
高熱にうなされて。
トゥルー俺、ものの見事に感染確認!
ちょ、なんということ! 全然大丈夫じゃありませんでした!(昨日参照) っていうか、インフルエンザ恐るべしですよ本当に! いくら感染力が高いからって、ここまでバッチリ感染するだなんて、ちょっとすごすぎる自体じゃあないでしょうか。そのうえ、どこまでベタベタな展開なんですか!
まあ、この大家族ですから、インフルエンザが恐ろしいというのは、まさにこのような事態が生じうるからなんですけどね。まあ、感染三人目が、体力のある高校生男子であるトゥルー俺であったことは不幸中の幸いというべきでしょうか。……ここ数日の間、トゥルー俺が氷柱より上の他のお姉さんたちに感染させてしまうような行為に及んでいないことを祈るばかりです。春風さんあたり危険そうな。あと、ヒカルとプロレスとかしてないだろうなあと心配に。
っていうか、麗との間では、おでこtoおでこという、飛沫感染がバッチリ及びそうな行為が行われたので、たぶんこれが原因なんでしょうね。ちょうど発病し始めの時期だったので、ウイルスも最大限に増えていた状態だったのでしょう。
さすがに氷柱から感染したなんてことは……いや、これもまた、日記で描かれて無いところで、それこそ顔をやたら近づけられて怒鳴られたとか、そういうことがあった可能性も十分ありますけれどね。
まあ、感染経路はもうこの際いいとして――これで、小さい子たちどころか、上のお姉さんたちにすら会えない状態というわけですよ! おおおおおなんという。……幸いにというべきか、同じく隔離されてる姉妹が2人いるわけで、その子たちとは安静にしつつもいつになく気持ちを共有できそうな気がしてなりません……って、その相手がよりにもよって氷柱と麗とか。なんてベタベタかつ美味しいシチュエーションなんでしょうか。まさにトゥルー的運命律みたいなものが働いている気がしてなりません。
それはさておき。霙姉さんの口ぶりからして、どうやらこの隔離中には、日記を読むことすらできないみたいですね。まあ、交換すると、こっちの飛沫を渡しかねませんから、止めておいてしかるべきなわけですが……って、ではなぜ俺は今この日記を!? ……はい、これがさっきも述べた、トゥルー日記の時空超越の特徴ですね。トゥルー日記だから、という理解でOK。そういうことにしておきましょう。
……そんなこちらの気持ちも知らず、もしこちらが高熱により、終末的な夢を見てるのだとしたら、自分が感染してでもいいみたいなことを言っちゃってくれる霙姉さんには、後で少しばかりお話が。この前置きがなければ、「オマエの隣に横たわって、オマエの病を――」のくだりでドキリとしたでしょうに! 霙姉さんもときおりこういうセーフティ意識ゼロな行動があるから色々な意味でドキドキものです。
まあ、こんなことをリアル俺が書いている間にも、トゥルー俺は麗や氷柱とともに苦しんでいるわけなのですが……
先刻、チラリと――
部屋を覗いてみたら、
麗と氷柱との間に
挟まれて――
オマエはバラ色の頬で
眠りに落ちていた。
……悪くないかも。これは、とっても、悪くないかも。麗や氷柱の辛い顔を間近で見るのは辛いでしょうけど、不謹慎ながらもそんな表情を見られること自体がけっこうレアというか幸せというか。ましてや同じ部屋で過ごしてるわけですしね。
この状況に、麗や氷柱はなんて言ってるのかがけっこう気がかりでもありますが、とやかく言える余裕すらないほど衰弱してないことを願わずにはいられませんね。是非とも熱にうなされつつも、文句などを漏らしつつ、そのくせ、チラリと頼りにするような視線を向けてくれればなあと。
ともあれ、霙姉さんすらうらやむような状況ですごしているようです。……この人が羨んでるポイントは多分違う気がしますがそこはそれということで。
なにはともあれ――
フフフフフ。
私の可愛い妹と弟たち。
共に――
良い夢を。
快癒を願う皆の気持ちが
オマエたちに届くように――。
姉妹達の愛をバッチリ受け取った次第です。時空を超越して。
やだやだやだやだ!
にじこも――
にじも、おにいちゃんとこ行く!
あわわわ、先週からの一時隔離の時点で予想はしていましたが、やはり小さい子たちから離されるとなれば、やはりこういうことになってしまうわけで――!
ましてトゥルー兄の感染が確定してしまって、これから少なくともクリスマスのあたりまでは、隔離仲間の麗&氷柱以外とはロクに顔も合わせられないわけですからね。そりゃあ姉妹もみんな辛いことでしょう。そして辛いと思ってくれていることがトゥルー俺的には幸福でありつつ身を切り裂かれるような思いでもあり。
さて、さすがにいくらか大きな子たちはインフルエンザじゃしかたないって思えてるでしょうけれど、虹子ぐらいの子では、そうも行かないでしょうね。……夕凪さんや立夏あたりも少々怪しいところですが……。
そのうえ、この隔離が更に納得がいかないものと思えるものとして、
なんで――
麗お姉ちゃんと
氷柱お姉ちゃんだけは良くて、
にじはダメなの?
こういう風な理由もあるわけですね。……しかしながら、この虹子の嫉妬には、小さな子供としてのみならず、やはりどこか「女の子」としての思いの芽生えのようなものを感じずにはいられないのですが、さすがに少々穿ちすぎでしょうか。虹子さんは普段からしてああなので、どうしてもつい。
まあ、女の子であろうとなかろうと、仲間はずれはイヤって気持ちは分かりますけどね。大好きな相手が絡んだこととなればなおのこと。……この状況、むしろ隔離されているトゥルー俺たちのほうが可愛そうという状況なのが本来の形なのですが、それを思わせないぐらいには、トゥルー家におけるトゥルー俺の重力というものは大きいようで。改めて、嬉しいようなはがゆいような。
にじだって――
にじだって――
にじだって、
ちゃんと
おにいちゃんの――
イモウトだもん!
……うあっあ、こんな叫びを上げられてしまったら、トゥルー俺辛くて死にます。辛い上に幸福すぎて。
更には、どうやら熱にうなされつつも、きちんと麗たちとの会話は普通に行えているようで、どういう状況に置かれているのかが非常に気になりますね。当日の渋谷で何が目当てだったのか等も気になりますし、なによりもこの麗と氷柱のみとずっと一緒という状況がどういうものなのか、実に実に気になります。インフルエンザ発症中ってことで、彼女らの態度も普段より大人しいでしょうしね。病気の心細さに対するいくばくかの助けになっていればなお幸い。
もっともこの日記、リアル俺たちには読めていても、トゥルー俺の側は読めていないんですよね。少なくとも、この12月16日の時点では確実に。このリアル俺とトゥルー俺の分離は、しばしばこの日記の中では描かれるパラドックスですが、これはこれで翻弄されつつも面白い試みなので、快癒するまでの展開が楽しみではあります。
ただ、そうとも言ってられず……
にじこも――
もう――
お病気になる――!!!!
うわぁぁぁぁぁぁ〜〜ん……
ぐすっ。
ひぃっく。
おにいちゃん――
にじこ、おにいちゃん
いないいないで
お病気になるよ――
早く、早く――
にじこのとこに
かえってきて――
トゥルー俺ー! はやく帰ってきてくれーっ!(クリリンっぽく絶叫)
ああ、リアルとトゥルーとの剥離がこれほどまでに苦痛な状況はそうそうありませんよ。泣いてしまっているというのもさることながら、このままだと、姉妹の誰かが離れにこっそり忍び込んできてしまいそうなのが恐ろしいです。やだやだやだって叫んでる虹子もそうなのですが、それ以上に……夕凪さんあたりを誰かがしっかり見張ってくれていることを願わずにはいられません。普段押さえてくれそうな氷柱はこっちですしね。
ようやく――
ようやく――
戻ってきましたね♥
私達の――
……
麗ちゃんが♥
麗インフルエンザ快癒! めでたい! まあ、発症してからもう一週間ですし、順調に行けば治る時期ではありますからね。ホタも言ってる通り、一番最初に感染したから出てこれるのも一番最初ということで。
まあ、そもそもかからないことこそが最良なので、めでたいという言葉が適切かどうかは置いておくとして、ようやく自由の身になれた麗のことを盛大にお祝いせねば、というムードにトゥルー家族は包まれていることでしょう。
……ところが。なにやら麗の隔離期間が、本来のものより少し長かったという疑問が。
一体、なぜ。
………………。
……
うふふふふふっ♥
不思議ですね。
でも麗ちゃんが
言ったんですよ。
まだもう少し――
調子が悪いみたいだから
もうしばらくここにいるって。
何か考えがあってのこと
でしょうから――なんて♥
(前略)なんてクールにしていたけれど
うふふふふふふふ――♥
なんだか、隔離部屋に
未練ありあり――って
思ったのは蛍の気のせいでしょうか?
何があったのか――
とーっても気になります♥
……ホタの追い込みが色々ともう!
いや、もちろん、こんな風に追い詰めているからって、決してどうこうという話ではなく、単に麗のいじらしさをからかっているだけなのですが! しかしそれでも、なにやらこの笑顔の迫力に、圧倒されてしまうものを感じてしまうのは俺だけでしょうか。さ、さすがはおっかさん属性の持ち主……! こういう反応には敏感に反応し、的確かつ適度に子供を追い込める技量の持ち主でありますよ!
そんなわけで、この麗の態度に反応するより先にまずホタの笑顔が気になってしまったわけですが……さて、心に余裕が戻ってくると。……来た。きました。じわじわと来ましたよこの麗の態度に対するニヤニヤウフフの体クネリング感情がふつふつと!
いや、もう。追い込むのはもうホタが十分気恥ずかしくなるほどしてくれたのでそれは置いておくとして。ともあれ、トゥルー俺が同じ部屋にいたおかげで、麗もまんざらではない療養期間が過ごせたことをまず喜ぶべきかなと、一時的にトゥルー俺と隔絶されているリアル俺としては。
……しかし本当、麗と氷柱とトゥルー俺とがずっと密室にいっしょで、どんな雰囲気だったんでしょうね。なかなか想像できないぐらいレアな環境ではありますが、こういうときには意外とふたりとも静かに素直に過ごしてくれていたのではないかなーという気がしてなりません。
……って、大切なことを失念してましたよ。ええ、先日までは、麗と氷柱とがいたので、ふたりっきりという状況ではなかったのですが――
って――あ。
お兄ちゃんが出てこられるのは
1番最後なんですよね……
それまでは氷柱ちゃんと
2人っきり――
ホタが鋭敏に反応を! ……と、思わず脊髄反射的な単語を口に出す間すらもなく――
ああ、蛍、心配です!!
2人ケンカしていないと
いいけれど――
……実にほのぼのリアクションでありました。
しかしながら、さすがにこれは、正しい推測の一つではありますが……おっかさん属性といえども少々アレといいましょうか、氷柱はアレで案外、ふたりっきりになったりすると、素直になっちゃうような気がするというか……氷柱内部の妹とか乙女であるとか、とにかく女の子の部分をスルーした発言だとは思う次第です。ホタって氷柱のことを、こういう方面に関してはまだけっこう子供扱いしてるみたいですね。いや、実際にそうなので、的確な認識ではあるのですが……この状況では果たしてどうか。
とにかく、このインフル禍が無事に収まることを聖母的なリアクションで願うホタの前では、そういう氷柱の2人きりのムフフタイム的なことはちょっとおおっぴらには妄想しにくいですね。……それでも妄想してしまいますが!
隔離生活も――
これでおしまい。
ようやく――
日常に戻ってきたわ。
氷柱復活早ッ! いやまあ、麗は個人的要望により長めに隔離期間を取っていただけ(らしい)なので、順調にいけばこれで十分ということなのでしょうね。なにはともあれ、麗に引き続き氷柱の回復、なによりであります。
となると、どうやらトゥルー俺は一人取り残されて隔離ということになるのですが、まあ氷柱とそれほど間をおかず発症してましたから、来週には復帰できることでしょう。土日の我慢ぐらいはまあ、リアル俺たちのいつもの状況の同じですしね。
……さて。そういうわけで、今日の日記は氷柱本人によるものなわけですが……ええ、今俺たちが一番、とことん、何よりも気になっていたこととして、あの一緒に過ごし続けた隔離部屋――麗が出た後など、ふたりっきりに――で、どのようなことが繰り広げられていたか。
困ったことに、この状況を知っているのは、当事者である氷柱と、トゥルー俺しかいないんですよね。トゥルー俺とリアル俺というのは、同一対でありながら、直接意思の疎通や記憶の共有ができないという困ったパラレル同位体なわけで、となると氷柱本人の言葉から知るしか無いわけですが……「全て忘れたわ」発言が!
これはなんというか……逆に言うと、素の状態ではとても話せないようなことが行われたと公言しているに等しいわけで、もうこの発言だけで頬の筋肉が決壊状態になってしまいそうです。しかもそのうえ――
きっと――
インフルエンザの
高熱が見せた――
悪い夢よ。
下僕とあんな――
……
まさか、この私が――
……
……試されていますよ。
今、俺たちの、限りない妄想力が――!
「病気の時は誰だって少しは心細くなるものだし」……と、そのぐらいしかヒントは与えられていませんが、いやもう、これだけで十分すぎるほどの妄想素材というか――!
氷柱はあれでわりと子供っぽく構ってちゃんで、トゥルー俺とのスキンシップも無自覚の内に(あるいは自覚的にも)行ってしまっている子だというのは周知の事実。そんな子が、不安になった末の、後から思い出したら忘れたくなりそうな類の行為を行った……と。妄想する素材はそれらのみですが……ええ、もうこれだけで十分です。十分すぎるほどに……法悦が! ニヤニヤ感が! あまり具体的なことは分からないにしろ、そのときの氷柱がとてつもなく可愛かったであろうことだけは間違いないでしょうからね。
とまあ、そんな妄想に浸るだけで十分すぎるほどの幸せを得られたわけですから、氷柱の「自分と同じように忘れるべし」という無茶リクエストにも、素直に頷いて見せるのがトゥルー兄としての度量ではないかと。ええ、心の中の記憶までは消せないわけですから。
……っていうか、トゥルー俺の熱が一番高かったとき、と。もしかしたらそれって、麗もまだいた時期なんでしょうかね? だとしたら、麗から何か情報が得られるかも……ちょっぴり期待薄ですが。いやもう、この離れの様子、誰か隠しカメラで24時間体制で録画してたりしないんでしょうか。知りたくて仕方ない。
ともあれ、満足に動けない状態のトゥルー俺に対して行った、思い出せないほど恥かしいこと……と。……いやあ、妄想はもう無限大に。
もし覚えてたら――
許さない。
処分してやるから。
……あまり顔をニヤニヤさせ続けると、ローカストに連れて行かれて「処理」されてしまった人みたいなことになりそうなので、このへんで。相手は将来の脳科学者ですからね。くわばらくわばら。……ええ、言いつつニヤニヤしてますが。
氷柱お姉ちゃんが――
戻ってきて。
お兄ちゃんも――
戻ってきてくれて♥
ようやく、おうちの中に――
いつもの毎日が戻ってきました。
トゥルー俺快癒! しかも氷柱に対しこちらにのみハートマークを付けてくれるというところに優越感を……って思うほどには子供じみていないトゥルー俺でありたいと思いつつも、それでも顔は少々ニヤけてしまわざるを得ません。
さてさて、このインフルエンザ騒ぎもどうやら一段落したとみていいでしょうね。もちろん第二波の可能性はいつだってあるわけですけど、まあトゥルー世界のノリ的にそうそう同じ災厄の二度目はないかな、と。
今回の騒動でなによりだったのが、本人も言ってますが、一番危ぶまれていたユキにインフルエンザが襲いかからなかったことですよね。加えて、小さい子たちにも。日ごろのスキンシップの多さを考えると、氷柱やトゥルー俺の隔離が功を奏したと考えることもできるので、やはりトゥルー家はきちんと統制の取れた家だなあと改めて思う次第なのです。
そんなわけで、ようやくトゥルー家にも日常どおりの空気が戻ってきた……かと思いきゃ、なにやら――
氷柱お姉ちゃんが――
ちょっぴり変。
あと――
……
お兄ちゃんも。
……いや。だから。
――いったいあの2人っきりの隔離部屋で何があったというのかッッ!
そう感じたユキですが、生来の性格からか、それとも単純にまだまだ小さい子供だからなのかはワカりませんが、この二人の微妙な空気を単純にお熱の後遺症と認識しておられますが――まあ、それは幸いというべきか。だって、この天使のようなユキに、そんな男の子と女の子的な空気が漂っているなどと指摘された日には、もうどうしろっていうんですかと。
この分だと、小さい子の多くには、ユキと同じような認識で通用しそうです。あと、先日の反応からホタとかも(あれで実際にはよく見抜いていて、その上での発言だとしたら恐ろしいですが)。……ヤヴァイのは、まあ海晴姉さんあたりは間違いなくラブな匂いを嗅ぎ取るでしょうからこれはもう諦めるしか。
……っていうか、他の姉妹の反応がどうかというのも気にはなりますが、肝心なのは当然、当の氷柱のことであり――
とっても――
不思議な2人の雰囲気。
2人とも――
あんまり目線を
合わせないような――
でも、目が合うと、
少しうつむいて――
ちょっぴりほっぺたを
赤くしているような――
2人、仲がいいのか悪いのか――
――もう完全にラブコメモードに入っちゃってるじゃないですか!
なに、なんなのこの青臭いラブの芽生え的オーラは! まるで突然お互いの異性を意識しあった中高生同士であるかのように――って、中高生そのものでした!
いやあ……この状況は、なんといいましょうか……このトゥルー生活が始まった時点から、ワクワクしつつも危惧していた事態そのものではないでしょうか。ああ、年頃の男女が一つ屋根の下で、的な。
いや、もちろん氷柱とトゥルー俺は家族であり、その絆ももうすっかり本物に成長してきたという自覚は(心の中だけにしろ)確実にあるでしょうが、それとこれとはまた話が別なんですよね。たとえきょうだいであれ、一度、男女として意識してしまうと――ようこそ、ラブでコメな甘く気恥ずかしい世界へ、と。
ともかくともかく。クリスマスを目前にして、とんでもない爆弾に導火線が付いてしまいました。……やっぱこう、氷柱みたいな子こそが、一番こういう展開に陥りやすいだろうな、という気はしてたんですよね。普段がツンツンと強気なので、その反動も強い、というごく一般的な物理法則でさえ、氷柱のそういう(恋愛的な)危なっかしさを示しているわけで。
ひょっとして、
まだ、お熱があるのかしら?
……はい。まさに「お熱」です。
あえて言うなら、「まだ」ではなく、まさに今から容態が深刻になるという類のものですが――
なんとなく――
家の中の気圧が低いような。
そんな気がします。
ひょっとして――
私達のおうちの方にも――
大雪が近づいているのでしょうか?
……いやあ、その低気圧は低気圧として、もっと別のヘヴィな状況に陥ってしまった人たちがトゥルー俺含め二名ほどいるような気がしてならないのですが、どうやら小雨はまだまだそちら方面の嗅覚は過敏というほどではないようですね。小学六年生といえばもうそういう方面にアンテナバリバリであってもおかしくありませんからね。性格が内向的であろうと関係なく(むしろそういう子のほうがむっつり助平的な方向に)。まあ、そこで氷柱とトゥルー俺に気を遣わなければならないとなると、いよいよ小雨の受難も大変すぎることになってしまうので、それはこの子にとっても良かったかなと。
まあ、それはさておき、いよいよクリスマスイブが目前に! 小雨は「ホワイトクリスマスなんて滅多に」って言ってますけど、天気予報やここ最近の天気を見る限り、わりと実現しそうな気配が濃厚ですね。リアル雪国に住まうリアル俺としては、むしろ豪雪にならないよう祈りたい気分ではあるのですが。ほどよいホワイトクリスマスに期待です。
それになにより。小雨が「夢みたいに素敵♥」なんて思えることなのだから、是非とも実現して欲しいな、とも。
しかし、トゥルー家の中には、そんな雪を心配している向きもあるようで――
チビさんたちは
みんな――
もし、クリスマスの夜に
大雪が降って、サンタさんが
来られなくなったりしたら
どうしよう――って。
そっちの方が心配みたいです。
クスクスクス――♥
……ううむ。いつも身を持って知っていることとはいえ、やはりトゥルー家の子たちは根本的に心が優しい方向へと育まれておりますね。こんな子達にこそ、聖なる夜の祝福は相応しいと思えるぐらいには。
小雨も「賢いっていうか――心配性なんですね♥」なんて言ってますが、まあそれはもちろん、プレゼントにも関わる話ですゆえに。
もちろん、プレゼントをもらえるのはチビたちのみではないわけで。当の小雨はというと――秘密にするあたり、やはり恥かしがり屋で可愛いなあと。
あ。
でも、小雨が思う、
クリスマスの1番の贈り物は、
やっぱり――
クリスマスの朝に響き渡る
みんなの嬉しそうな歓声と笑顔、
――でしょうか♥
みんなに素敵なクリスマスになりますように!
そして、しっかりと綺麗で優しい締めくくりを述べるあたり、なんだか小雨にもだんだんお姉さんとして頼れるオーラみたいなのが発せられてきた感が。この家族を優しく見守ってあげたいという思いは、それを見事に表してますね。
……さて。そんな願いをかけられたクリスマスに、なにやら導火線に火がついてしまった爆弾がどうなってしまうのか。それが気になって仕方ありませんが――それはそれで、素敵なクリスマスということで。
今日は、
いよいよ――
クリスマス・イブ、
ですね♥
「え? 氷柱ちゃんとのフラグって何の話ですか?」とでも言わんがばかりに春風さんが威風堂々とこのクリスマス・イヴのトゥルー日記を堂々更新ッ! オオオ……風格すら漂うこの乙女モード!
……いやあ、てっきり氷柱とあんな雰囲気になってしまったのは、クリスマスへの壮大な布石なのかと思っていましたが、春風さんの吹き荒らすクリスマス春風(はるかぜ)が全てを巻き込み粉砕していきました。まあ、なにもクリスマス・イブに必ずしも消化しなければならないって類のフラグなわけではないんですけどね。
とまあ、そのあたりはひとまず置いておくとして。ええ、クリスマス・イヴですよ、クリスマス・イヴ。年頃の女の子ともなれば、サンタさんからもらうプレゼント以上に心ときめかすピンク色なイベントのほうを期待してしまう子も多いわけですが……そんな女の子の中でも、春風さんともなれば。
……
ウウフッ♥
……
どうしよ――
あの――
春風――
どうしましょう――
……
――きゅうぅぅぅぅぅん♥♥♥♥♥
……
ああ――もう、
春風――
ガマンできない♥♥♥
…………………………………………発、情?
ええ、もう。期待通り――そして、期待以上の、ものすごい春風がこのクリスマスイブの夜に吹き荒れてしまっております。過去の最大風速と比べても、なんら遜色ありません。さすがは春風さんと言うべきか……とにかく、トゥルー俺の身としては、この突風に吹き飛ばされないようにふんばりつつ、頬の筋肉を色々な意味で複雑に硬直させずにはいられません。「ガマン」……疼いておられる……!
とはいえ、「なんだかもう――胸がドキドキしすぎて痛いくらいで――」なんて言葉を聞いてしまうと、この突風の強烈さとはまた別のベクトルの、ある意味では春風突風よりもずっと(乙女的に)強力な威力を感じてしまいます。ああ、春風さんマジ恋する乙女すぎる。
クリスマスというだけで胸がいっぱい――はい。間違いなく乙女的な意味においてです。春風さん自身も、もうサンタさんのプレゼントに胸を膨らませ――るというよりは、恋(した男の子を魅了するため)に膨らませてしまう年頃だということを、これでもかというほどに実感してしまっておられるわけですからね。
とはいえ――。
今日に限った話ではなく。春風さんは、あれだけイケイケの攻め攻めな人のように見えながら、実のところ、一番根本的なところでは、完全なまでに乙女であり――すなわち、自分から何か決定的な線を踏み越えるなんてことはできない人なんですよね。超が付くほどの肉食系に見せかけて、その実は、ひたすら食べてもらえることを待っている被食者なのです。
それはもっと深いところまで考えると、あくまで姉と弟であるという部分にも関わってくるでしょうし、それがなかったとしても、春風さんはあれで本当は、ひどく臆病な女の子でもあるんですよね。子供の頃のエピソードを踏まえても。だから、もし、トゥルー俺が春風さんに、本気に迫ってしまうようなことが起きてしまったら……こんな超春風突風の様子からは想像もできないほど、無力で小さな女の子になってしまうという気がしてなりません。
そんな春風さんですがゆえに――
きっと何かを――
待ってるんです♥
春風にも一体ソレがなんなのか、
わからない何か――
きっと――
……という言葉に、春風さんの心の真実が表れている。そんな気がしてなりません。
「いつもお料理したり家事したりしてがんばっている“良い子”の春風に――」と、自分のことを「良い子」と表現しているところが、非常に色々な意味を持っているように思えて、興味深くもあり、切なくもあり。どこか自嘲めいた感じすらあるこの表現……でも、春風さんはやっぱり、自分のことを「女の「子」」っていう意識が強いんでしょうね。春風さんにとって、王子様が家族だということが問題だということの他に、それが「弟」でもあるということが、けっこうギャップを感じてしまうところなんじゃないでしょうか。少なくとも、トゥルー俺に対しては、「弟」として愛したい、なんて思ってないでしょうからね。できれば、自分を包み込んでくれる相手として、トゥルー俺のことを見ているのだと思います。
とはいえ、実際にはお姉さんでもある春風さんですから、そこは当然、年上の……もうほぼ大人、という立場としての意識もあるわけでして。そのへんのギャップが、今日のこの「良い子の春風に、素敵なハプニングが――」って言葉を言わせてるのかな、と。
ウフフフッ――♥
ね、春風の大切な王子様――
オトナのクリスマスプレゼントは
やっぱりお互い同士で、ですよね?
春風のミスタ・サンタクロースは
あなたしかいないんですもの♥
そんなわけで、春風さんもちょっとだけ大人として、トゥルー俺への可能な限りのアプローチを試みるのでした。本当に春風さんの思いの中身は、考えれば考えるほど複雑で……だからこそ、こんな聖なる夜には相応しい相手なのかも知れませんね。
やったー♪
やったー♪
やってきた♪♪
そらのとこに――
さんたさんきた♥♥♥
おお……実に、実にクリスマス当日に相応しい日記の書き出しが! 青空ぐらいの子なら、クリスマスをまさに全力で堪能できるわけでして、まさに今日の日記を書くのに相応しいとも言えますね。氷柱の件や春風さんとのイブの顛末も気にはなりますが……まあ、イブを過ぎれば主役はこの子たちということで。
いつも元気一杯な青空ですが、やはり今日はそのテンションも一味違いますね。サンタさんからプレゼントがもらえる=良い子という図式は、わかりやすい躾けの賜物でもありますが、その成果が具体的に現れる日なだけあって、この青空の誇らしそうなこと。「そらもおねえちゃんも、おにいちゃんも――みんなみんないいこ!!」……と、青空自身のみならず、みんなが良い子だということが何よりも嬉しそうなのが、家族としての幸せ感を倍増させてくれますね。青空が嬉しそうなのが何より嬉しいわけですから。
そんなわけで、さっそく昨晩の戦利品を、みんながもらった分まで含めて数えに入る青空ですが――
ぷれぜんと、たーっくさん!
いち、に――
……
ひゃく!!
たくさん!!!!!
えへへへへへ――♥
……これは多分、2から先の数字はまだ数えられないってことなんでしょうけれど……もし本当に100個もプレゼントがあったりしたらどうしましょう。まあ、トゥルー家はお金持ちでも無用なぜいたくはしないので無いかな。まあとにかく、たくさんのプレゼントに囲まれてえへへへへーな青空の笑みが可愛すぎて幸福です。
ちなみに、青空がもらったプレゼントはキャンディのようですが――
いいよ、ぺろぺろ。
そらの、かしてあげる。
いっしょに、ぺろぺろしよ!
……ここだけを抜き出すと……ちょっと……。トゥルー俺も青空とぺろぺろする! 家族同士ですもの、アグネスにとやかく言われる心配も絶無です。
それはさておき、「さんたさん――そらがいいこでよろこぶ?」という発言は、なにげにサンタ=保護者という真理を的確についていて、ドキリとしました。もちろんそれを分かってるわけではないんですけれど、構造的にはまさにその通りなんですよね。青空はこの率直さで、成長したらきっと勘の鋭い子になりますよきっと。
ともあれ、そんなサンタが今どうしてるかを気にしているなど、さらに追及しそうな雰囲気ではありますが――
もうねんねしてる?
ぐうすかぴー♪
そらもおにいちゃんとねるー♥
寝ましょう。青空と。
よぅし、兄じゃ!
いい子じゃから、
そのまま――
じっとしておれよ?
のっけからなにやら面妖なことをされておりますトゥルー俺2009年最後の日記! ……ええ、どうやら通常日記はこれで最後みたいなんですよ。あうあう、去年の年末年始は、霧賀先生による連日イラストがあったので、ある意味平日と同じかそれ以上のトゥルー充実を見ることが出来ていたのですが、はたして今年はどうなんでしょう。
……とまあ、そうした心配はひとまず置いておくとして。なにやらトゥルー俺、「はらったま、きよったま!」と、観月に何かをされているご様子。まあ、そのあたりの言葉を聞いてみれば、何をされているかはおおむね分かるわけですが――
……
うむ。
思いの外――いっぱいおったな♥
これでは――これまで兄じゃが
どうにも運に見放されておったというのも
いたしかたないことじゃ。
……なんだか、大掃除でもされるかのように、体に取り付いていた魑魅魍魎を払ってくださったようです。やりおえた後のリアクションがまさに大掃除のそれなわけですが……まあ、ここでいう魑魅魍魎というのは、いわゆるリアルゴーストなどの類とみることもできますが、ここではあえて、現実の運気のたとえみたいなものとして認識させていただこうかと。
しかし、その認識でいうと……そんなにアレな状態だったんでしょうかトゥルー俺。
まあ確かに、先日のインフルといい、それなりに受難にはあっている気もするわけですが、このトゥルー家で姉妹とともに生活ができているという時点で、よほどの悪運でもなければ、十二分におつりが来るぐらいの幸福超過っていう気はするんですけどね。
どっちかというと、運っていうか、いわゆる「穢れ」みたいなことなんでしょうかね。それならば確かに、年を越す上で、換気扇の汚れ以上に払っておくべきものだと納得できます。
そんなわけで、観月のおかげで綺麗な体で新年を迎えることができそうなのですが――
うむ。
下等な悪鬼どもがすぐさま
戻ってこぬうちに――
わらわも今のうちにこの兄じゃの
浄げなオーラをとくと味わっておかねばの♥
……むしろ、これが目的で払ってくれたと言う気もしないではありません。なんというか……霊的に肉食系ですよね観月は。
ほれ!
何をグズグズいたしておる?
抱っこじゃ――抱っこ♥
すりすり♥
……このスキンシップ過多っぷり。観月こそトゥルー姉妹の中でも最もアグレッシブにトゥルー俺を「求めてくる」子という認識で、この2009年は締めくくらせていただこうかと。なんと幸福な御用納めか――!
おっばばおー!
あんばっば♥
おっばばばおー!!
あんばばばっばー♥♥♥
やはり正月か大晦日には通常日記が来ると思っていた! むろん霧賀先生イラストの更新も楽しみなのですが、こちらはこちらで当然大歓喜ですよ!
……って、今日の日記はあさひさんなのですが……な、なんだか、とんでもない内容が書かれているような……? ちょっと今日は細かい感想などを貫きに、ダイレクトに翻訳などを引用させていただきますが――
あたらしいとし!
やってくる♥
あたらしいかみさま!!
やってくる♥♥
おにいちゃん、だいすき♥
きてよかった!
だからまたあたらしくきても――
きっとたのしい!
…………「またあたらしくきても」?
……こ、この一文だけでも悩乱の極みに達しそうなのですが、さらに追い討ちをかけるかのように、ママと思しき人物がフォロー……と見せかけたニトロターボを。
しーっ!
あさひちゃん、まだダメよ――
そんなことを言っちゃあ――
……………………「まだ」?
さて。……これらの発言を、どう考えるべきか。
無難に考えるなら、干支の新しい神様が新年にやってくることを、単純に兄が来たことと混同して、また来るのかなあとあさひさんが勝手に考えたということでしょう。ただ、その後のママのフォローがひっかかります。
では、言葉どおりに、トゥルー俺が増える? ……いや、そもそもトゥルー俺というのは俺たちのリアル俺の共有体のようなものであり、この立場の存在が増えるなどということも考え難いわけで。
では、納得できる方向で考えてみると――これは単に、2010年、リアル俺たちの人数が増えるということを意味しているのではないかと。
これだけならば単なる希望的観測ですが、そこで活きて来るのが、ママの「まだ言っちゃダメ」という発言。……これはつまり、2010年、リアル俺たちが爆発的に増えるであろう「何か」がすでに予定されていて、それでママはこんなことを言っているのではないか――と。
……考えてみれば。この圧倒的な原作更新度と分量に比較して、『べびプリ』のメディア展開は非常におとなしいといって良いものでした。しかし、G's肝いりの企画が、あくまでWEBと誌面での連載だけで留まりつづけるかというと、それはそれで不自然。
そして、古参の人間として思い出されるのが――かの『シスタープリンセス』で、アニメ化&ゲーム化が行われたのが、G'sで作品が始動してから、だいたい二年ちょっとの時期だったということ。べびプリに例えてみれば……ええ。まさに今です。
まあ、今の時点で何かを断定することなどできませんが――俺のこの、どきどきわくわくな期待感だけは、すでにトゥルー家族への愛情と同じぐらいのボリュームに達しています。2010年のトゥルーには、何かが起きそう。それはきっと、期待よりも予感よりも確かな――
べびプリ日記への感想や、誤字・ミスの指摘などございましたら、こちらからどうぞ。(返信)
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